岩渕、自身初のパラ五輪出場へ

卓球男子

 ワセダから世界へ――。卓球競技において、パラ五輪の出場権は2016年1月1日時点の世界ランクで13位以内に入った者にだけ与えられる。早大卓球部に所属する岩渕幸洋(教3=東京・早実)は世界ランク11位(91人中)で自身初となるパラ五輪への出場を決めた。

 日本におけるパラ卓球の競技環境は決して恵まれたものとは言えない。海外遠征は自費であることが多く、コーチが帯同せずに選手だけが大会に参加にすることもある。そのため試合だけに集中することは難しく、英語での監督会議に選手自身が出席することもあったという。また、実力がありながら経済的な理由で競技継続を諦めざるをえない人がいるのも事実だ。このような状況の中で、岩渕は卓球部やOB会の支援を受けながらパラ五輪出場を目指して世界ランクを上げるために様々な国際大会に出場してきた。

リオデジャネイロパラ五輪(リオパラ五輪)ではメダル獲得を目標に掲げる岩渕

 岩渕はいまや、日本のエースとなった。その大躍進の影には、日々共にしのぎを削っている早大卓球部の仲間の存在があるだろう。パラ卓球は障がいによって弱点が異なったり、選手ごとにプレースタイルが大きく変わる。岩渕は大会に参加するたびに様々な選手の試合をビデオに録り、部員にその映像を見せ、動きを真似てもらい練習することでその実力を高めてきた。それが功を奏し、パラ卓球の日本最高峰である国際クラス別肢体不自由者選手権2連覇中で国内では向かうところ敵なし。日本だけでは収まらず、世界各地で行われるオープン大会でも好成績を残した。その活躍が世界ランクを押し上げ、岩渕はリオパラ五輪への切符を手にした。

 かねてからの目標であった、リオパラ五輪出場を決めた岩渕。しかし、岩渕にとってはこれで終わりではなく、あくまでもスタートラインに立ったにすぎない。「リオでも上位の選手を破りメダル獲得を目標に頑張りたい」(岩渕)。たくさんの期待を背負い、パラ五輪の大舞台で表彰台へと駆け上がる。

(記事 稲満美也、写真 加藤万理子氏)

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【特集】2014ITTFパラ世界選手権事後特集――岩渕幸洋インタビュー(2014.10.2)

岩渕の主な戦績

▽2013年

アジア選手権 シングルス クラス9 3位

ベルギーオープン 団体 クラス9 優勝

ジャパンオープン肢体不自由者卓球選手権 シングルス 立位の部 優勝

▽2014年

アジアパラリンピック シングルス クラス9 3位

国際クラス別肢体不自由者選手権 シングルス 立位の部 優勝

ジャパンオープン肢体不自由者卓球選手権 シングルス 立位の部 優勝

▽2015年

ハンガリーオープン シングルス クラス9 優勝

スペインオープン シングルス クラス9 優勝

チェコオープン シングルス クラス9 優勝

国際クラス別肢体不自由者選手権 シングルス 立位の部 優勝

コメント

岩渕幸洋(教3=東京・早実)

――代表決定を受けて、いまの心境はいかがですか

昨年9月のチェコオープン優勝の結果により自己最高の世界ランキングである11位につけ、リオに行けることを確信したつもりではいたのでしたが、どこか正式に決まるまでは落ち着かないところもありました。こうして正式な代表決定を受け、安心したと同時に発表できたことによりたくさんのメッセージをもらい自分の挑戦がひとりだけのものではないと言うことを改めて感じました。これからはリオに向け覚悟を決めて皆様の期待に応えられるように、また悔いなく楽しめるように良い準備をしていきたいと思います。

――9月のパラ五輪までの予定は

2月のイタリアオープン、5月のスロベニア、スロバキアオープンの出場を予定していてリオのシードをよくするためにひとつでも多く勝ってランキングを上げていきたいと考えています。

――パラ五輪に向けて意気込みをお願いします

昨シーズンから世界の上位の選手に勝てるようになってきたと感じているので、リオでも上位の選手を破りメダル獲得を目標に頑張りたいと思います。