大島が敗れる波乱も、ダブルス2組が準決勝進出!

卓球男子

 全日本選手権(全日本)は鬼門とも言える5日目を迎えた。シングルスでは、優勝を目標に掲げていた大島祐哉(スポ4=京都・東山)が5回戦で早大OBの笠原弘光(平23スポ卒=現・協和発酵キリン)に敗戦する波乱もあったが、上村は自身初のランク入りを果たす。そしてダブルスでは、大島・上村慶哉(スポ2=福岡・希望が丘)組と山本勝也(スポ4=石川・遊学館)・平野晃生(スポ1=山口・野田学園)組が揃って準決勝進出を決める快進撃を成し遂げた。

 「自分の心の弱さが出た」(大島)。5回戦を振り返って、大島はこう語る。翌月に控えた世界選手権の代表権を自力でつかみ取るには、もう全日本で優勝するしかない。2年連続の世界選手権出場のためにも、『日本一』の三文字だけを目指して大島は全日本に臨んでいた。しかし現実は厳しいものだった。まさかの5回戦敗退。3年連続のランク入りすら果たせずに大島の夢路はついえた。一方で、上村は5回戦で早大に進学予定の硴塚将人(JOCエリートアカデミー/帝京)を破って自身初の全日本ベスト16入り。6回戦でベテラン選手に惜敗したものの、「大学生活の中で目標の一つ」(上村)を2年生ながら達成した。

大島は5回戦で敗れ、『日本一』の悲願は果たせなかった

 目標であるランク入りを懸け、社会人ペアとの5回戦に挑んだ山本・平野組。第1ゲームこそ落としたが、第2ゲームからは平野のバックハンドが冴え劣勢を振り払う。接戦に持ち込み、試合はフルゲームに。迎えた第5ゲーム。後半は激しい点の取り合いとなったが、最後まで集中力を切らすことなく攻め続け、緊迫の一戦を制した。準々決勝も社会人ペア相手であったが、臆することはなかった。瞬く間に2ゲームを先取し、王手をかける。第3ゲームは一時3-8と点差を広げられるも、ここから怒涛(どとう)の8連続得点で逆転。あまりにも鮮やかなストレート勝ちであった。絶好調の二人が、今大会の台風の目となっている。

5回戦、準々決勝共に快勝を収めた山本・平野組

 早大の大本命である大島・上村組は、5回戦でリオ五輪出場に内定している吉村真晴(愛知工大)と丹羽孝希(明大)によるペアと対戦。予想通り、試合は激しい打ち合いに。そんな中、相手の隙をつくバックハンドなど多彩な攻撃で得点を重ね、ゲームの支配権を握る。勢いは止まらず、文句なしのストレート勝ち。優勝候補の牙城を崩し、大番狂わせをやってのけた。準々決勝で立ちはだかったのは、社会人チャンピオンである上田仁(協和発酵キリン)を擁する実力者ペア。序盤、両ハンド攻撃で猛攻を浴びせ第1ゲームを奪う。しかし第2、第3ゲームは力及ばず崖っぷちに立たされた。それでも、上村のサーブで流れを引き寄せると、フルゲームで迎えた第5ゲームは11-3と圧倒。またしても金星を挙げた新旧エースが、笑顔でハイタッチを交わした。

準々決勝で苦しい試合を勝ち抜いた大島・上村組

 シングルスでは振るわなかったものの、男子ダブルスではベスト4に早大ペアが2組入り、全日本の舞台でエンジの強さが光っている。「先手を取って相手を下げてからチャンスをつくっていきたい」(大島)。攻めの姿勢を貫き、狙うはもちろん日本一。その瞬間は、刻一刻と迫ってきている。

(記事 稲満美也、川浪康太郎、写真 稲満美也)

※ダブルスではベスト8以上、シングルスではベスト16以上を『ランク入り』と呼ぶ。

結果

▽男子シングルス

5回戦

○上村4―2硴塚将人(JOCエリートアカデミー/帝京)

●大島2―4笠原弘光(協和発酵キリン)

6回戦

●上村2―4張一博(東京アート)

▽男子ダブルス

5回戦

○大島・上村組3―0吉村真晴(愛工大)・丹羽孝希(明大)組

○山本・平野組3―2笠原弘光・森本耕平組(協和発酵キリン)

準々決勝

○大島・上村組3―2松平賢二・上田仁組(協和発酵キリン)

○山本・平野組3―1森田侑樹・軽部隆介組(シチズン)

コメント

大島祐哉(スポ4=京都・東山)・上村慶哉(スポ2=福岡・希望が丘)組

――大島選手は優勝を目指されていましたが、5回戦での敗退となってしまいました

大島 技術や体力というよりも、自分の心の弱さが出た試合かなと思います。自分の心をうまくコントロールできずに「どうしよう、どうしよう」という気持ちが出てきてしまったので。やっぱりあの試合は勝たないといけなかったです。僕は優勝を目指していて、日曜日(シングルス準決勝、決勝)が勝負だと思ってやってきたので、本当にいまは悔しい気持ちです。

――上村選手がランク入りを果たしました。後輩の活躍についてはいかがですか

大島 全日本学生選抜選手権でも優勝しましたし、すごく調子がいいと思います。卓球人として、ランクというのは大きな意味を持つので、先輩として後輩が活躍してくれて心からうれしいです。

――上村選手は組み合わせが出た段階で、4回戦で松平健太選手(人通卒=現JTB)と対戦する意識はされていましたか

上村 4回戦より前にも強い選手がいたんですけど、松平さんのところまで勝ち上がって勝負することを目標にやっていました。

――初めてのランク入りとなりましたが

上村 ランク入りすることが大学生活の中で目標の一つだったので、今回は(ランクに)入れると思ってなかったんですけど、結果的にランク入りできてすごくよかったと思います。

――ダブルスは準決勝進出を決めましたが、あすに向けて意気込みをお願いします

大島 準決勝で当たるのが、水谷さん(隼、beacon.LAB)と吉田くん(雅己、愛工大)なので、思い切って3球目や5球目でなんとか先手を取って相手を下げてからチャンスをつくっていきたいと思います。

上村 こっちから攻めていければいいと思います。

平野晃生(スポ1=山口・野田学園)

――ダブルスの目標は

ベスト8でした。

――5回戦はフルゲームとなりましたが、どんな思いで戦っていましたか

大体やることは一緒だったので、あとは思い切ってやるだけだと思っていました。

――第5ゲームでは、10―8の場面でタイムアウトがありましたが、どんな話をされましたか

2回とも同じことをしようと言っていて、2回とも自分たちの得意パターンをやろうという話をしていました。

――準々決勝はストレート勝ちでしたが、振り返って

思い切ってやった結果が結びついたのでよかったなと思っています。

――あすの準決勝、決勝への意気込みをお願いします

ここまで来たからには、昨年3位だったのでそれを超える結果を出したいと思います。