【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集 第6回 山本直哉×山本航平

卓球男子

 ついに、あすから春季関東学生リーグ戦(リーグ戦)が開催される。ラストイヤーを迎えた山本直哉主将(スポ4=山口・野田学園)と山本航平(教4=東京・早大学院)はいま何を思うのか。主将として、主務として、それぞれの立場でチームを支えている二人に話を伺った。

※この取材は5月4日に行われたものです。

「上級生としてチームをまとめる」(山本直)

取材に応じる山本直主将と山本航(右)

――春季リーグ戦が間近となりましたが、いまのチーム状況はいかがですか

山本直 新入生も入って、最近はみんな練習もやり込んでいるので、一人一人自信がついてきて良い状態で試合に臨めるかなと思います。

――最近はどのようなことに意識して練習に取り組んでいますか

山本直 主にサーブとかレシーブとか細かい技術から先に攻めることを意識した練習をしています。

――最上級生になられて、お二人の心境はいかがですか

山本直 プレーだけではなくて、取り組みの姿勢だとか態度とかで下の学年を引っ張っていかなければいけないなと思います。

山本航 僕は主務としてプレーはできない状況なので、選手が練習でどういった時間の使い方をしていけばチームが良くなるかというのを考えてきました。練習に加えてやっぱり後輩への生活面での指導もしっかりとやっていかなければいけないなという責任感もあります。

――いまのチーム体制になって半年が経ちましたが、最初の頃との変化はいかがですか

山本直 代が変わって、練習とかトレーニングとかいろいろと変えてきたんですけど、みんなそれにすぐ対応してくれましたし、自分たちがやっていくことを話し合って、いい状態の中で練習できていると思います。

山本航 具体的には森口さんというトレーナーの方に付いてもらっているんですけど、その人は違うスポーツも見てきて、卓球というのは他のスポーツに比べて技術の練習になりがちということで。僕らはまず自分たちをアスリートとして見つめ直して、それからの卓球選手ということを意識するようにしてきました。その中で、やっぱりトレーニングを僕らはしっかりやるようにしました。それとケアの部分ですね。きょねんまではストレッチも各自で、そんなにやらない人も居たんですけど、いまはほとんど全員が練習を終わってストレッチをして、水風呂と普通のお風呂に入って、アイシングもするようになって。ケアの面ではかなり意識が変わってきたかなと思います。

――チーム全体の雰囲気はいかがですか

山本直 新入生が入ってすごく元気なので、それをうまくリーグ戦に生かしていきたいです。

山本航 この前の立川オープンでも(山本)勝也(スポ3=石川・遊学館)が2位で、神奈川オープンでも団体優勝しているので、その良い流れをそのままリーグ戦に持っていけたらいいかなと思います。

――お二人が主将・主務になられた経緯を教えてください

山本直 僕たちは結構自分たちで主将も主務も決めるんですけど。自分は中学校も高校も主将をやってきて、自分のこと中心ではなくてチーム全体を見て、何が自分たちに必要かというのをやってきたので、それを大学でも生かせるようにということで立候補しました。

山本航 僕の代は4人しか居なくて、二人は卓球が強かったので、主務ってことはなくて。僕ともう一人のどっちかということになって、学連という試合の運営をする機関があるんですけど、それは須山(廉、先理4=早稲田渋谷シンガポール校)がやることになったので、半強制的に主務をやることになりました(笑)。でも仕事自体やることは嫌いじゃないですし、いまはかなり充実した生活を送らせてもらっているかなと思います。

――主将として、主務として、どういったことを心がけていますか

山本直 上級生としてチームをまとめる主将なので、一番良いことは勝つことでアピールするのが良いかもしれないですけど、それができない時に、自分はエースではないので取り組む姿勢とか普段の練習の態度とかそういった面で後輩たちに認めてもらえるようにしています。

山本航 自分も卓球が強いわけではなくて、それでチームに何を貢献できるかということで、まず仕事を完ぺきにこなすということと、誰よりも仕事と練習をして4年生が頑張っているからうちらも頑張ろうというふうなチームの雰囲気にするように心がけています。

「自分で考えて実行できるようになった」(山本航)

主務として仕事をこなし、陰ながらチームを支えている山本航

――主務さんは普段どういったお仕事をされているのですか

山本航 基本的には外とかの連絡ですね。例えば早スポであったり、あとはOB会というのがあるので、そこでの仕事関係です。あとは試合の申し込みとか合宿の準備とか早慶戦の準備も一から全部自分たちで準備しなければいけないので、そういったことをやっています。

――主将は練習メニューを考えたりするのですか

山本直 練習の計画とか誰かに来てもらったり、自分たちが行ったりするのを考えたり、監督とコミュニケーションを取って今後どういうことをやっていこうか考えたり、いろいろと幅広いことを考えています。

――やっていて大変だなと思う部分はどういったところにありますか

山本直 やっぱりどんどん下から選手が入ってきて、みんなで意識を統一しなくてはいけないので、そういうことを分かってもらうことですね。あとは4年生なので就活もあったり、勉強はあんまりもうないですけど(笑)。全部両立するのは時間が足りないくらいなので、ちょっと大変ですね。

山本航 そんなに大変だと思ったことはないですけど、強いて言うならやはりOBの方々など上の人と関わることが多いことですね。でもそれが社会に出た時に生きると思うので主務は良い役職だなと思います。

――役割を通して成長したと思う部分は

山本直 いままでは結構周りに流されることもあったんですけど、主将を経験して、自らアクションを起こしたりという経験ができたのは良かったです。

山本航 副務だった時はいつも主務の人にこれはどうすれば良いですかと確認を取らなければいけなかったんですけど、いま主務になって何か問題が起こったら自分で考えて何でもできるので、何か問題が起こった時にそれをどう解決するかというのを考えて実行できるようになったということが自分の成長かなと思います。

――きょねんとことし、比べていかがですか

山本直 板倉さん(健信、平26スポ卒)たちも主将になって、いまの代もみんな学年が上がってすごく変わったなと思ったので、自分たちもそんな感じで引っ張っていかなければいけないし、その時よりもいまは少しチームの層も厚くなった分、もうちょっと結果を残さなければいけないと思いました。

山本航 ことしは僕らの代4人しか居ないので、4人でどういうふうにやったらいいかと話し合って、こうしたいんだけどどう?っていうのを大島(祐哉、スポ3=京都・東山)、勝也を含めてみんなに問いかけて、あの二人はチームを引っ張っていく存在だと思うので、二人の意見を大事にしながら、僕らの考える道に進めてこれたかなと思います。

山本直 まず一番上の学年がまず意見をまとまらないと、やっぱり何も伝えることができないので、そういうことを意識してきました。

――4年生同士の仲はいかがですか

山本直 いや別に悪くはないですけど、いろいろあります(笑)。

山本航 仲良いという設定で(笑)。

――お二人はお互いにどのような印象を持っていらっしゃいますか

山本航 それをここで言うのはちょっと恥ずかしい(笑)。

山本直 でも航平はすごく主務に向いていると思います。何でもきっちりしているので。ちょっと余計なところまでしっかりし過ぎているということも聞いたこともあるんですけど(笑)、それはそれで主務なので悪いことではないしすごく良いと思います。あとは結構、新しいことをやりたがる人かなと思います(笑)。

山本航 まあ左翼なんで(笑)。直哉の印象は、正直最初の方はキャプテンとしてみんなにあまり言えなかったり頼りない部分があったんですけど、やっぱりキャプテンをやっていく中で、どんどん自分がしっかりしなきゃと思ってみんなに言うようになったり、いままで練習量が少なかったと思うんですけど、それをやらなきゃと思ってやろうとしているところが見えて、いまはとても頼もしいキャプテンだなと思っています。

――きょねんのリーグ戦では春が5位、秋が3位という結果でした

山本直 秋は自分たちの力がすごく出せたと思うんですけど、やっぱり春はまだまとまっていないというかいまいち波に乗れていないなという感じがありました。まあ秋の試合は全体的に良かったんですけど、もうちょっと頑張れば2位にはなれたのかなと思って。春の試合とかは特にもっと自分たちで勝ちにいけたら良かったかなと思いました。

――山本直主将は秋にリーグ戦初勝利を挙げました

山本直 いままで勝ったことがなくて、それでも自分に回してくれて、監督も使ってくれていたので、ここで自分のできることをとにかくやろうと思いました。自分が新体制になる前の最後の試合だったので、そこでしっかりと勝って結果を残して、後輩たちに認めてもらえるようになるためにも、もっと勝ちたいなと思いました。

「後悔しない」(山本直)

 

プレーだけでなく練習に対する姿勢でも後輩に示している山本直主将

――後輩についてお聞きしたいのですが、1年生の印象はいかがですか

山本直 3つしか違わないんですけどすごく子どもみたいですね(笑)。でもやっぱり卓球は、特に上村(慶哉、スポ1=福岡・希望が丘)と竹岡(純樹、スポ1=青森山田)の二人は名門の高校でやってきてすごく技術はあるので、あとはどれだけリーグ戦の雰囲気に飲まれないかとか、僕たちはうまく送り出せば必ず勝ってくれると思うので。卓球の心配はしていないんですけど、人としてちょっとしっかりしてほしいです(笑)。

山本航 成長してほしいです(笑)。卓球部は卓球だけ強くなればいいわけではなくて、人として成長できるような指導をしていけたらというスタンスがあるので、直哉だけでなく僕も、1年生にはそういうところをもっと言っていかないといけないなと思います。

――大島選手、山本勝選手といった主力二人の印象はいかがですか

山本直 大島と勝也も3年生になって一応上級生なので、練習だけでなくて普段からしっかりした態度をとってくれるようになりました。後輩たちにも何でも言ってくれますし、チームを引っ張ってくれているので、自分たちもあいつらよりは学年も上なのでもっと頑張らなきゃなと思っています。

山本航 ちょっと上から目線になってしまうかもしれないんですけど(笑)。正直大島は強い高校でやってきて、その中でも一番強くて。入ってきた時はやっぱり自分本意なところがあったと思うんですけど、ナショナルチームの練習に参加するようになってからそこで自分が下の立場になったことで成長して、こっちの練習に来た時にすごい気遣いができるようになったかなというか。あと大島の良いところは、強い人も強くない人にもみんなに話しかけてあげたりしていて、それがすごくチームにとっていいことだなと思います。

――他の選手たちのチーム内の競争はいかがですか

山本直 リーグ戦に出るか出ないかという選手が、前よりも結果でも普段の練習でもすごく争っています。リーグ戦の5番手、6番手で出た時に勝つか負けるかというのがすごく大事なので、そういった部分ではいまのメンバーの競争というのはすごくチームにいい刺激をもたらしているなと思います。

――ことしワセダはどのくらいの位置で戦っていきたいですか

山本直 正直メイジはすごく強いメンバーなので、まずは他に勝つように頑張って、それから全勝でメイジと戦っていいプレーをして勝つことが大事だと思います。まずそれまでに他の大学に負けないことを先に考えなくてはいけないなと思います。

山本航 戦力的にはやっぱりメイジを置いて、専大、ワセダ、中大という2、3、4位が同じくらいという形なので、そこから戦力をどう補うかというとやっぱりチーム力だと思います。ワセダはチーム力があるといままで言われてきているので、ことしもそれを引き継げるように、サポートメンバーもいままでにないようなことも取り入れていけたらなと思っています。

――ワセダのことしの強み、アピールポイントを教えてください

山本航 勝也が前に使えることですかね。ダブルスに出た人は前半と後半で出なくてはいけないんですけど、いままで勝也と大島がダブルスを組んでいたので勝也が絶対後ろになる形でした。でも、今回上村が入ってきてくれたことによって、ダブルスは大島と上村が組むので、そうすると勝也がどこでも使えるようになるので、それがかなりメリットかなと思います。

山本直 上村も勝也もすごくレベルの高いところでやってきてやっぱりすごく技術はあるので、やはり技術で相手に勝って、勝負したいです。

――お二人にとってはラストイヤーですが、この1年の目標、意気込みを教えてください

山本直 僕は後悔しないことが一番の目標です。一日一日の練習から取り組んで、それで自分が主将なので、出る出ないにしても勝つことに対して考えて、自分がどのような動きをすればいいかを考えながらやっていきたいです。

山本航 主務としてやらせていただいてる1年間なんですけど、やっぱりいままで後輩への引き継ぎとかが完ぺきではないところがあったので、そういったところで今後もみんなが主務をやっていけるようなシステムをつくることが僕の目標です。あとは、こんなに卓球ができるのもあと半年もないので、自分の中で時間をできる限り使って、卓球と仕事をやっていけたらなと思います。

――最後にリーグ戦に向けての意気込みをお願いします

山本直 まずは自分たちのできること、出せる力を出し切って、そうすれば自然と優勝も見えてくると思います。春はなかなか良い成績が出せていないので、まずは1試合目から勝ちにいきたいです。

山本航 1試合1試合、チームが協力して、一致団結して戦って、全力のワセダらしいプレーをしていけたらと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤万理子)

書いていただいた言葉は『臥薪嘗胆』と『完全燃焼』

◆山本直哉(やまもと・なおや)(※写真左)

1992(平4)年4月8日生まれ。山口・野田学園高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。今期3つの授業の受講を終えれば、あとはゼミだけだという山本直主将。単位バッチリ、まさに文武両道を体現されていらっしゃいます

◆山本航平(やまもと・こうへい)(※写真右)

1992年(平4)9月11日生まれ。東京・早大学院高出身。教育学部4年。右シェーク裏・裏。チームを良くしていこうと日々取り組んでいる山本航選手。後輩にはメールの打ち方、電話対応の仕方まで丁寧な指導を行っているそう