【連載】秋季関東学生リーグ戦直前特集『覇気』第3回 黒野葵衣主将×中島彩希×里川奈優×杉田陽南

卓球ダブルス

 今回登場するのは、黒野葵衣主将(スポ4=東京・武蔵野)、中島彩希(スポ4=福井・敦賀)、里川奈優(スポ3=高知・明徳義塾)、 杉田陽南(スポ2=大阪・香ヶ丘リベルテ)。チームの中心として活躍する4人だが、春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)では5位、全日本大学総合選手権(インカレ)ではベスト16に留まるなど、ここまで何度も涙をのんできた。団体優勝のラストチャンスとなる秋季関東学生リーグ戦(秋季リーグ戦)に向けて意気込みを伺った。

※この取材は8月13日に行われたものです。

(インカレでは)「練習してきたことを出せなかった」(里川)

質問に答える(左から)里川、黒野、杉田、中島。笑顔の絶えない対談となった

――まずは隣の人の他己紹介をしてください

里川 (黒野選手は)キャプテンとしてチームのことを考えてくれて、卓球も強いし頭もいいし、私生活でもすごく規則正しくて、尊敬するところがいっぱいの先輩です。

黒野 杉田は、勝つためには何でもするという感じです。試合前の準備もしっかりするし、試合に勝つためにいろいろな作戦を持っている人なので、すごい人です。

杉田 中島さんはとりあえず優しくて、後輩、先輩、同期にかかわらず、誰からも頼られている存在です。卓球は試合前だと「ああ~」と言ったりする感じなのですが(笑)

一同 (笑)

杉田 でも、試合に入るとちゃんと勝つし、すごくいい内容で試合をしてくれるので、すごい先輩だと思っています。卓球ももちろんそうですが、個人的には日常生活でもお世話になっていて、頼りやすくて相談しやすい、身近な先輩だなと思います。

中島 はずっ。

黒野 照れてる照れてる(笑)。

中島 奈優ちゃんは、卓球はもちろん強くて、練習もすごく一生懸命やっているし、試合でもガッツがあるので、ベンチにいて応援したくなる試合をいつもしてくれます。卓球以外の面でも、誰とでも関わって、優しいしかわいい後輩だなと思います。

――今季の結果やご自身のプレーを振り返っていかがですか

杉田 春リーグ(春季関東学生リーグ戦)で反省があって、インカレではそれを生かして特に問題なくできたかなと思います。春は自分が大事な部分で負けてしまって、それがチームの負けにつながってしまって、そこはだめだなと思います。インカレも自分が勝ったからいいわけではなく、結局チームが負けてしまっているので、その中で自分の準備不足など試合に至るまでの過程に反省点が多いかなと思います。

黒野 特にインカレは昨年優勝させていただいたというのもあって、目標としては、今年の結果が来年の組み合わせに直接影響するので、「来年第1シードになれるように優勝しよう」と言っていました。負けた立命館大戦では、ダブルスで勝っていたら勝ちだった試合で、そのダブルスに出場したので…。(インカレが行われた)愛知に行く前から「ダブルスは絶対取ろう」と言っていた張本人が負けたので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

里川 インカレの時は気持ちが入りすぎて、自分が練習してきたことをあまり出せませんでした。自分が5番で負けてしまったせいでチームも負けてしまったので、4年生と戦う最後の大会となる秋リーグでは、一戦一戦後悔のないように戦いたいと思います。

中島 さっき杉田にも指摘されたのですが、試合前に「ああ~」とか言ってしまったり、4年間の中で自分の思うプレーが長すぎて、試合に自信を持って望めないというのが自分の中で課題としてずっとあります。次の団体戦は最後だし、一緒にダブルスを組んでくれるペアもいるので、自分のためにもみんなのためにも、最後は自信を持って試合したいなと思っています。

「いい人ばかりです」(黒野)

――個人としての持ち味と課題は何ですか

里川 私の持ち味は、サーブの種類の多さとラリー戦での粘り強さだと思います。あと、団体戦の方が好きで、団体戦の方が個人戦よりも自分の力を出せることが多いので、そこも持ち味です。これからの課題については、学年も上がってきて、団体戦では向かっていくというよりも責任感が多くなって、「自分が勝たなきゃ」という気持ちが逆に自分にとっての負担になっていることです。勝つことも大事なのですが、試合ができることに感謝して一試合一試合楽しむというのが目標です。

黒野 自分のいいところは、肝が据わっているところです。課題は秋リーグで引退というかたちになるので、3年生以下にそれまでの期間に少しでも多くのことを残して去っていけたらいいなと思っています。

杉田 何ですかね、声ですか?

中島 迫力?

杉田 迫力だそうです。秋リーグに向けての課題は、試合前に「わー」ってなってしまうのですが、そこを抑えることです。試合に出ることというのは当たり前じゃないので、感謝の気持ちを忘れないことと、4年生最後なので、みんなで楽しく試合ができるように頑張りたいなと思います。

中島 持ち味は、ボールにかける回転量の変化が持ち味です、多分(笑)。課題は最初に自信を持って入れないところがあるので、この期間でしっかり準備して、自信を持って試合に臨めるようにしたいと思っています。

得点を挙げ、喜ぶ杉田

――チームとしての強みと課題はどこですか

里川 チームとしての強みは、他の大学と比べて人数が少ないので、結束力があると思いますし、仲がいいことです。本当に早大の人は人が良くて、仲が良いところが良さだと思います。逆に課題は人数が少ない分、一人でも欠けてしまうとチームへの影響も大きくなるので、一人一人の負担が大きいところかなと思います。

黒野 いいところは、本当にいい後輩しか入ってこないところです。いい人ばかりです。課題は、春リーグも7番まで回って3-4で負ける試合が多かったり、インカレの立命館大戦でも2-3で負けて、あと団体として1点取れば勝ちだし、春リーグは個人としてあと1点取ったら勝てた試合も取りこぼしていることです。その差が大きく春やインカレの順位にも出ているので、その1本、2本を取り切れるように、秋リーグまでの間準備したいです。

杉田 いいところは2人が言っていたように、人がいいというところです。自分のだめなところも受け入れてくれて、認めてくれるところが、懐が広いなと思います。課題は黒野さんが仰っていたのですが、取りこぼすという点です。昨年度開催されたのはインカレだけということで、そこで優勝したチームとして相手からも見られますし、自分たちも心のどこかで「昨年優勝したしな」という気持ちがゼロではなかったのではないかなと思っています。どこか受け身に回って戦うと、それはその人の勝負になってしまうので、どうしても勝ったり負けたりが生まれてしまうと思います。やはり挑戦者として一試合一試合勢いで進められるように頑張りたいです。

中島 人がいいのはもちろんですが、みんな育ってきた環境が違うので、一人一人の言動に刺激を受けるところです。みんないい人だけど、いろいろな個性があって、そこがいい意味でお互いに影響し合っているのではないかと思っています。課題は、私もインカレのダブルスで勝っていたら勝ちだったし、春のリーグ戦でも私がシングルで勝てたらチームが勝っていた試合もあったので、最後勝ち切れるように、自分がしっかり準備をするのもそうだし、みんなが勝てるようにベンチから後押しできるといいかなと思います。

――最近チームとして取り組んでいることはありますか

黒野 一昨日まで合宿に行っていました。他の大学だと合宿したらいけないところもあるのですが、早大は感染対策をしたらやっていいよということだったので、3日間行かせていただきました。その時に、3人一組でお互いのいいところを言い続けるというのをやりました。トレーナーの方に「それをやったら気持ち悪い感じになるよ」と言われていて、やったら本当にみんながハイになって、言う通りだなと(笑)。もっと月1など定期的にやれば良かったのと、その後で自分でそれを処理して練習に生かせるところまで持って行けたら良かったなと、大変反省しております(笑)。なので、頼んだよ、秋以降は。

里川 はい。頑張ります。

来年度は女子で唯一の4年生となる里川

――4年生の引退も近づいていますが、里川選手と杉田選手は4年生との思い出はありますか

黒野 やばいやばい(笑)。

杉田 多分1時間しゃべりますよ。

里川 一緒にディズニーに行ったのが私生活の面では楽しかったです。よく一緒にご飯に行ってくださって、その時に優しく相談に乗ってくださって、全然関係ない面白い話とかもしてリフレッシュできました。4年生は全部で4人いますが、上級生としてチームを引っ張ってくださって、4年生の4人には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

杉田 私は一人でご飯を食べるのが好きではなくて、練習後に「ご飯行きませんか」とか、後輩の立場なのですが誘わせていただいて、来てくださるので、ご飯行くとき8割がた誰かしら4年生が来てくださいます。後輩の立場から言うのもおこがましいですが、誘いやすいというか(笑)

一同

杉田 他の大学だと、先輩とご飯に行くとなるとちょっとしたイベントで前もって予定を立てると思うのですが、人数が少ないのもあって、すごく良くしていただいています。日常の一コマではあるかもしれないのですが、一つ一つが大切な思い出だと思っています。

――逆に黒野選手と中島選手はいかがですか

黒野 私はディズニーが好きで、大きい試合が終わった後何日かフリーにしているので、その時に「誰か行くぞー」と誘うと誰かしら「行きまーす」と言ってくれるので、里川とも行ったことあるし、杉田も最近一緒に行きました。誰かしらいつも来てくれるのでありがたいです。

中島 大きいイベントとして思い出というよりかは、日々の中で話していたり、「ご飯行きましょう」と言われてご飯に行ったりとか。何人かでご飯に行って話すと、「意外とこういうことを考えているんだ」と発見があって面白いです。みんなでご飯を食べながらいろいろな話をしてきたのが、一番思い出として自分の中にあります。

「自分らしい試合を最後に」(中島)

インカレでプレーする黒野(左)と中島

――秋季リーグ戦でのチームとしての目標を教えてください

黒野 優勝します!

――特に意識している大学はありますか

黒野 全部です。結構女子はどの大学も拮抗(きっこう)していてどこが優勝してもおかしくないし、どこが2部に落ちてもおかしくないような状況です。特に今回春が5位だったので、春優勝した中大や2位の専大と早い段階で当たるスケジュールになっています。そこに勝てたら次の週にいい流れで入れると思いますし、逆にそこで負けると優勝は難しい状況かなと思うので、そこの2戦を勝つか負けるかが大事かなと思います。

――秋季リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

里川 自分が卓球できているのは、部長やOBOGの方の支援だったり、監督とコーチの方やチームメート、家族のおかげだと思っています。一戦ずつ、そういう人への感謝の気持ちを忘れずに、周りの人に恩返しができるような試合をしたいと思います。

黒野 自分たちの代の最後の団体戦というのもあるのですが、あまり最後だと思わずに、早大の代表として出る人が気持ち良く出られるようにサポートしたいなと思います。もし自分が出るのであれば、個人としての賞もありますし、自分が勝つことが団体の勝利につながるので、勝つことを一番の目標にできたらいいなと思います。

杉田 本当にいろいろな人の支えがあって今ここでプレーしていて、特に私は高校が先輩がいない状況だったので、「早稲田に行かせて良かった」と思われないと後輩のためにもならないですし、卓球をやらせていただいている以上は、卓球をプレーする姿で恩返ししないといけないと思います。勝つことも大事ですし、試合態度も含めて見ている人が何か感じられるようなプレーができるように、感謝の気持ちを持って頑張りたいと思います。

中島 私は秋リーグが多分現役最後の団体戦になると思うので、自分のためにもチームメートのためにも、今までいろいろな面で支えてくださった人のためにも、自分らしい試合が最後にできたらいいなと思っています。自分の力を出し切りたいです。その時にできることを全部出し切って、見ていて面白いと思ってもらえるような試合ができたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 澤崎円佳、是津直子、藤田珠江、芳田彩歌)

秋季リーグ戦に向けた意気込みを色紙に書いていただきました!

◆黒野葵衣主将(くろの・あおい)(※写真中央左)

東京・武蔵野高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・ツブ。1年間主将としてチームを引っ張ってきた黒野選手。チームメートからは「全ての面で尊敬できる」「ぶれないところがすごい」「気配りがすごい」と尊敬の声が上がっていました!

◆中島彩希(なかじま・さき)(※写真右)

福井・敦賀高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・アンチ。コロナにかからないように、最近ご飯を多めに食べている中島選手。現役最後の団体戦という秋季リーグ戦に向けて、予防も万全のようです!

◆里川奈優(さとがわ・なゆ)(※写真左)

高知・明徳義塾高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・裏。オフの日は高校時代の同期と遊びに行くことも多いという里川選手。オフは「引きこもる」という選手が多い中、アクティブな一面を見せてくださいました!

◆杉田陽南(すぎた・はるな)

大阪・香ヶ丘リベルテ高出身。スポーツ科学部2年。右シェーク裏・裏。2年生ながら主力として大車輪の活躍を見せる杉田選手。中でも、春季リーグ戦で中大の選手に勝利した試合は、黒野選手をうるうるさせたそうです!