【連載】『不屈』第1回 荒井和也×儀間望×顧琳婧×杉田陽南×福岡乃愛

卓球ダブルス

今回登場するのは今年度早大卓球部に入学した荒井和也(スポ1=福岡・希望が丘)、儀間望(スポ1=東京・桐朋)、顧琳婧(スポ1=愛知・桜丘)、福岡乃愛(スポ1=兵庫・三田学園)、杉田陽南(スポ1=大阪・香ヶ丘リベルテ)の5人。コロナ禍の中で入学した世代の苦悩、そして大学生活への意気込みを伺った。
 

※この取材は4月23日に行われたものです。2021年の春季関東学生リーグ戦は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となりました。この特集では、中止が決定するまでの間に取材を行うことができた選手のインタビューを掲載します。

「早大は小さい頃から憧れてきた大学」

――コロナ禍入学された世代ですが、入学するまで、また入学後でコロナウイルスの影響を感じたことはありましたか

荒井 授業では対面が少なくて、自分が思っていた生活とし少し違うなとは思いました。部活はあまり変わらずできています。

儀間 自分はもともと卓球で入ってきたわけではなく一般入部なのですが、大学生活に部活以外で期待しているものがなかったのでオンライン授業と部活を並行してできるっていうのがすごく幸せです。

 新型コロナウイルスで授業ができないだろうなと思ったのですけど、7割対面で卓球もすることができているのでありがたいです。

福岡 コロナウイルスの影響で試合が中止になったりすることも多く、今年もどうなるのかわからないということが多かったので、練習の予定や試合後の帰省の予定を立てづらくて影響を受けているなと思います。

杉田 入試のときの影響を受けてしまったので、高校3年生のころのインターハイもなくなってしまいました。合格するには枠があるので、そういう部分ではラッキーだったかなと思います。

――大学入学後東京に来て何か変わったことはありましたか

荒井 自分は兄と今二人暮らしをしていて、高校中学は寮で暮らしていたので安心感があります。家に帰ったらご飯ができていてありがたいです(笑)。

儀間 実家暮らしをずっとしてきているので、寮生活をしている皆さんの生活力に及びません(笑)。大学に入ってからの生活の変化というところで言うと、中学高校は好きな卓球につぎ込む時間がなかなかなくてただ過ごしているだけだったのですけど、大学に入り強豪の方々と一緒に練習することができて刺激的で毎日楽しいです。

 自分は高校時代も寮だったので、大学に入り寮生活をしていてあまり変わったことはないです。高校の寮では門限が21時だったので、大学ではそのようなルールがなく卓球の練習を何時まででもやることができて良いと思います。

福岡 高校3年まで兵庫で親の元で育てられて、大学生になって東京に来てまず誘惑とか多いから自分で自立して生活しなくてはな、と思いました。この誘惑だと生活リズムが崩れる人は崩れると思うので、逆に自分はちゃんと高校と同じように練習時間を決めたりしたら、今までより自由なので強くなるチャンスはあるのかなと思います。

杉田 中高が大阪で、小学校の頃も合宿などをしていたので親元を離れるのが当たり前だったので、東京きても正直あまり生活が変わらないですね。

――早稲田大学卓球部に入部して最初の印象をお願いします

荒井 一人一人が強くなろうと言う気持ちがあって、自分の考えのなかで練習してうまくなろうとみんなが思っているなと印象です。高校までは練習時間が長く大学は練習時間が少ないので、体力がある今のうちにたくさん練習をしておかなければな、と思っています。

儀間 早大体育会卓球部ということで、世間的な厳しい体育会のイメージを抱いていたのですけど、先輩や同期も優しくて印象は変わりました。高校では弱小校だったので自分が上の立場にいることが多かったのですけど、大学に入りサポートメンバーとしてどう立ち回ればいいのか難しいところがあります(笑)。

 自分は受験する前に一度早大卓球部の練習に参加する機会があったので、そこで先輩たちも人間的に魅力だなと知ることができました。高校のときは練習メニューなどは先生に言われたものをこなしていたというかたちだったのですけど、大学に入って課外練習の時間が多く自分でメニューを考えなければならないことが多くなったので、そこが違うなと思います。

福岡 高1の頃から練習に来ていたのですけど、そのときから先輩方の面倒見がすごくよくてそのときからよくしてもらっていたので、高校のときよりも上下関係が少なく、よくお世話をしてくれるなという印象です。自分はあまり強豪校出身ではなく先生の指示というものはなく、課題練習なども自分で決めるかた家だったので、自分としてはそこの部分はあまり変わっていないです。練習時間も今までは少なかったので、逆に少し増えたなというくらいです。でも練習の相手の質が高くて、一本でもミスができないという環境で練習することができているので、強くなれる環境だなと思います。

杉田 様々な大学の見学に行ったことがあったので練習の内容はそれほど違いがあるということがなかったのですけど、練習以外の面ですごく優しくて気を使っていただいてひとつひとつ丁寧に教えてもらったというのは強く印象に残っています。岩越さんには逆に(高校に)来ていただいたこともあって、入試の話も聞かせてもらっていて、そのときもすごく丁寧に教えてもらったというのが印象的です。

――早大卓球部を選んだ理由を教えてください

荒井 1番の理由としては卓球がやりやすそうな環境だったからです。2番目の理由は早稲田のブランドです(笑)。でも最終的に取ってくださるといってくれたのが一番の理由です。

儀間 大学で頑張って卓球をやろうと思うと部活に入る必要があるのですけど、一般生が入れる卓球部は1部、2部合わせても早稲田と慶應しかないからです。早大卓球部を調べていくうちにすごくオープンな環境だと知ることができたので、それが理由です。あと自分が受かりそうな大学のなかで一番親が喜びそうな大学だったからです(笑)。

 早大は小さい頃から憧れてきた大学で、中国でもすごく有名な大学だからです。日本で練習をしていても早大卓球部の雰囲気はよくて文武両道できる人が多い印象で、リーグ戦等でも活躍したいなと思っていたので、早大を選びました。

福岡 私はあまりブランドとか意識したことがなくて、入ってから感じました。早大を選んだ理由は今まで中高で卓球が強い環境でやってなかったので、この大学に入学できるという話がきたとき、日本一を目指せる大学で悔いなくやろうと思ったので、早大に入ることも決めました。

福岡 私は高卒社会人になり卓球一本でやるという覚悟がなかったので、大学で4年間続ければそのあと社会人にも行けるし、そうでなくても卓球をやめて一般就職という道も選べるので、そこのメリットを感じて大学に進学したいなと思いました。大学を選ぼうという話になったとき、多くの話を聞いて早大に入りたいなと思ったので、ここに決めました。

――自分の卓球の持ち味を教えてください

荒井 自分はラリーして勝つというタイプではなくて、サーブを出してスマッシュをして終わらせるというタイプです。そこが持ち味です(笑)。

儀間 ないです(笑)。でもラリーして打ち勝ったときは喜びを感じられます。大会では頑張っているなという健気さを見て欲しいです。

 自分はカットマンなので、守備範囲が広いのが持ち味です。カットから攻撃というのも意識して練習していたので、そこが自分の持ち味かなと思います。

福岡 私もカットマンなのですけど、顧さんほど守備範囲は広くないので、回転で変化をつけてミスさせたり、回転から攻撃を仕掛けるというパターンが多いのでそこが自分の他の人にはないプレーだと思っています。

杉田 ラリーになったとき気持ちでミスをしないところが持ち味だと思います。自分は攻撃型なので後ろに下がるタイプなので。卓球はミスしなければ点を取れると思うのでそこの気持ちの部分が自分の持ち味だと思います。

――大学4年間で卓球面で伸ばしたいところを教えてください

荒井 さっきいったサーブを出してスマッシュで終わらせるという部分を伸ばしたいのですけど、大学生相手だとそうもいかなくて…。長くラリーになってしまい、自分が決まったと思ったボールでも返してくることが多くなっているので、そこからのラリー戦をもっと上手になりたいです。

儀間 ラリーして打ち勝った瞬間が好きといったのですけど、自分のレベルだと大学生相手にはまだまだ厳しくて…。だから卓球の醍醐味であるラリーで勝つというのを楽しむために、サーブレシーブを磨きたいです。

 自分はいつも攻撃だとカットをしてから攻撃することが多かったのですけど、大学ではサーブレシーブをもっとうまくしたいので、そこを伸ばしたいと思います。

福岡 細かい技術をあげれば色々あるのですけど、試合のなかでの戦術というのが苦手なので、自分の持っている技術を全て出し切れるように作戦を立てることをもう少し伸ばしたいなと思います。

杉田 私は荒井くんとは逆でさくっと終わらせられるように頑張ります(笑)。

――大学に入り何か学業面で学びたい技術はありますか

荒井 自分はあまり人に教えるということが得意ではなくて…。特に自分と同じレベルや格上の選手に的確なアドバイスをすることが難しいです。だから自分と上のレベルの選手や同じレベルの選手に対しても、いろいろなことを知って卓球に限らず的確なアドバイスができるコーチングスキルを磨きたいです。

儀間 スポーツというと強い人とか弱い人とか関係なく感覚で捉える人が多いと思うのですけど、人体の特性を正しく理解し、競技を科学的に理解することでスポーツに従事している人々の底上げができるようになりたいです。

 自分が大学で学びたいことはスポーツ文化やスポーツビジネスです。そこでスポーツ文化を勉強して、将来卓球に限らず世界のスポーツを通して架け橋になりたいなと思っています。

福岡 スポーツももちろんなのですけど、早大は英語に力を入れていて、私自身将来海外で働きたいなと思っているので、英語を書くだけではなく聞いて話せるようになりたいなと思っています。

杉田 私がいた大阪のチームでは卓球界のトップクラスの選手と同じ場所で練習することができていて、そういった選手を見ているコーチからもアドバイスをもらったことがあるのですけど、どういう理屈でそうなるのかということが知りたいなと思っています。

――今年1年間の目標をお願いします

荒井 大きい大会はあると思っているので、シングルスでもトップの方に行けるように。団体戦ではずっと出るということは多分ないと思うので、出る試合は全て勝つという気持ちで頑張りたいなと思います。

儀間 大会に出場する選手のサポートを頑張り、強い選手と練習するときに少しでも練習の内容が良くなるように選手として成長していきたいです。

 自分は高校3年生のとき試合がずっとなかったので、大学に入ってからはリーグ戦、インカレで試合に出させてもらったときは全部勝つという気持ちでやっていきたいと思います。個人でも上のランクに入れるように頑張りたいと思います。

福岡 私も団体戦に出て、しっかり勝ってそのまま何回も使っていただけるように頑張りたいです。そのためには普段の練習試合やオープン戦で負けていたら信頼してもらえないと思うので、一試合一試合全力で勝ちに行って少しずつ出してもらえるような成績を出していきたいと思います。個人戦は正直大学生の大会のレベルがわかっていないので、具体的な成績は言えないのですけど、自分が中高のとき負けていた選手にリベンジして勝ちたいなと思っています。

杉田 今年1年間は、思い切って戦えるというのは1年生の特権だと思うの、それを最大限活用して目の前に囚われすぎずに全ての大会をけがなく走り抜けられたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荻原亮)

大学生活での意気込みを色紙に書いてもらいました!

◆荒井和也(あらい・かずや)(※写真下段左)

福岡・希望が丘高出身。スポーツ科学部1年。 右シェーク裏・裏。大学ではコーチングスキルを磨きたいと話した荒井選手。その磨いたスキルでさらに早大卓球部を強く導いてくれるでしょう!

◆儀間望(ぎま・のぞむ)(※写真下段右)

東京・桐朋高出身。スポーツ科学部1年。左シェーク裏・裏。対談では独特な語り口で場を和ませてくれました。1年生で唯一の一般入学の儀間選手。今後の活躍に期待です!

◆顧琳婧(ぐ・りんじん)(※写真上段中央)

愛知・桜丘高出身。スポーツ科学部1年。 右シェーク裏・表。スポーツ文化を学び、スポーツを通して世界との架け橋になりたいという顧選手。色紙に書いた『挑戦』の言葉通り様々なことに挑戦していきます!

◆福岡乃愛(ふくおか・のあ)(※写真上段左)

兵庫・三田学園高出身。スポーツ科学部1年。 右シェーク裏・裏。色紙に書いた言葉は『進歩』。何事も一つ一つ前に進んでいく福岡選手に注目です!

◆杉田陽南(すぎた・はるな)(※写真上段右)

大阪・香ヶ丘リベルテ高出身。スポーツ科学部1年。右シェーク裏・裏。「卓球はミスをしなければ点を取れる」と話してくれた杉田選手。冷静に相手のミスを誘って、勝利を積み上げてくれるでしょう!