【連載】『不屈』第2回 岩永宜久×黒野葵衣×杉本和也

卓球ダブルス

今回登場するのは次世代の早大卓球部を引っ張る岩永宜久(スポ3=福島・帝京安積)、黒野葵衣(スポ3=東京・武蔵野)、杉本和也(スポ2=福岡・希望が丘)の3人だ。対談では新型コロナウイルスの影響で多くの大会が中止となった昨年について、そしてそれぞれの卓球についての考え方を伺った。
 

※この取材は4月21日に行われたものです。2021年の春季関東学生リーグ戦は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となりました。この特集では、中止んが決定するまでの間に取材を行うことができた選手のインタビューを掲載します。

昨シーズンを振り返って

関東学生選手権でプレーする岩永

――昨季はコロナ禍のなかで多くの大会が中止になってしまいましたが、卓球とはどのように向き合っていましたか

杉本 試合が少ないなかで自分のプレーをどう改善していくかということを考えるために充実した時間を過ごせたと思います。

岩永 試合があまりなかったので、練習する期間が長かったです。そのため自分の弱点だったりできないことをできるようにする時間が多く取れたので、その面ではとても充実した一年間だったと思います。

黒野 試合自体が個人戦ばかりだったのですけど、特に4月の末はほとんどの部員が実家にいる状態のなかで、それでもZOOMなどを用いてチーム力を高めた一年でした。そのため団体戦はなかったのですけど、チーム力が高まった一年だったと思います。

――ZOOMでの話し合いとは具体的にどのようなものでしたか

黒野 そうですね、仲間の試合を担当を振り分けて見て、良いところであったり強化していく部分を見つけ合う時間を過ごしていました。

――昨年の試合の結果を振り返っていかがですか

杉本 自分の目標としていたところには行けなくて、関東学生(関東学生選手権)や選抜(全日本学生選抜強化大会)もランクに入れなかったので悔しいです。

岩永 自分もそうなのですけど、関東学生と選抜と全日本選手権(全日本卓球選手権大会)の三つの大会で3試合に出ましたが、結果を残すことができませんでした。それでも練習していたことは良くなってはいたのですけど、3試合という少ない試合のなかで練習していたことを活かせなかったので、その点では悔しい思いをしました。

黒野 私は全日本選手権の予選が夏頃にあって、東京予選で負けてしまったので(本戦には)出れなかったのですけど、その反省を生かして数ヶ月後にあった選抜で優勝したので、全日本(本戦)に出れなかったというのは反省点なのですけど、一つ結果を残すことができたのは良かったです。

――杉本さんにお聞きします。プレースタイルを変えられたとおっしゃられましたが、具体的にどのように変えられましたか

杉本  高校までは動きのあるプレースタイルだったのですけど、大学に入り(他の選手は)みんなラリーが強いので、そこで両ハンドを使って相手を振り回すプレースタイルに変えました。

――昨年の結果を踏まえて、オフシーズンにはどのような練習をされましたか

杉本  大学生はラリーが強いので、ラリー力が強い相手にどうやって勝つのかということを考えたときに、やはり小さい技術が大事だと感じたのでそこを重点的に磨きました。

岩永 自分は球に威力がないとコーチや監督に言われていて、いざ試合やっても周りの選手と比べてボールに威力がないと思っていたので、春休みは威力のあるボールを打つ練習を重点的に取り組みました。

黒野  私は戦型が守備型なのですけど、春休みは逆に攻撃の練習を増やして守ることも攻撃することもできるようにしたいなと思って練習していました。

――3月に出場した東京優勝大会で何か手応えなどはありましたか

杉本  久しぶりの大会で、自分の当たる選手を見た時、一回勝ったことがある選手だったのですけど、試合ではストレートで負けてしまって、練習していたプレーができなかったことと、久しぶりの試合で試合感覚がなくなっていたことが敗因でした。

岩永 自分は全日本までの反省をかなり活かせたので良かった試合だと思っています。負けた相手もこれまでは競ったことがなく簡単に負けていた相手だったのですけど、今回は負けても競ることができてその中でも自分で決め切る練習をしてきたので、成長することができたと思う試合でした。

黒野 組み合わせ的に春季リーグ戦で多く当たる選手と対戦することが多くて、結果的には2位だったのですけどほとんどの試合を勝つか負けるかのギリギリのところで勝った試合がほとんどでした。東京優勝大会で勝てたというところは良かったのですけど、試合でやったことをもう一度振り返って春季リーグ戦で当たった時、もう一度勝てるように頑張りたいなと思います。

全日本学生選抜強化大会で優勝した黒野

――新しい学年になり後輩が入ってきましたが、心境に変化はありますか

杉本  自分は去年1年生で仕事とかたくさんあったのですけど、今年は後輩が入ってきて見本となれるように練習量を増やしたりしてます。

岩永 上級学年となってこれまでは先輩が多くいて、頼ることが多かったのですけど今は後輩の方が多くて上の立場となったので、頼られるような存在になれるように行動であったり一つ一つ意識して行動するように心がけています。

黒野 先ほど戦型が守備型という話をしましたけど、1年生で同じ守備型の選手が二人入ってきてくれました。今私を含めて守備型の選手が4人いるのですけどみんな戦い方が違うのでそれぞれの良いところを吸収できるようになりました。そのため今まで自分がしてこなかったことを後輩から学ぶことができています。それがプレーの幅につながると思っています。

――ありがとうございます。それでは他己紹介をお願いします!

杉本  岩永さんは普段はすごくおちゃらけている感じなのですけど切り替えがすごいと思います。試合ではメンタルが強く、頼りになるので良い先輩です(笑)。

岩永 黒野は自分たちの学年の中でしっかりしていて、リーダーシップがあります。選抜優勝しても天狗にはならず、練習は謙虚で自分のできないところをしっかり練習するので、自分もそういう選手になりたいと思います。

黒野 杉本くんはずっと練習しているイメージがあります。一応規定練習は17時で終わるのですけど、そのあともずっと練習しているイメージがあります。やってるなと思って目を離すと今度は違うことをしていて、それだけすごい卓球が好きなのだろうなと思います。試合を見ていたら応援したくなる人です(笑)。

――春季リーグ戦について伺います。3年生にとっては2年ぶり、2年生にとっては初めてのリーグ戦ですがそれを控えての現在の心境はいかがですか

杉本  自分は経験したことなくて初めての試合になります。雰囲気とかがわからないので、1試合目に出させてもらったとき勝ちにこだわって全勝したいと思います。

岩永 1年生の時は春季リーグ戦ではあまり勝てなかったのですけど、秋季リーグ戦では満足する結果を出すことができたのでその経験を生かして今回のリーグ戦も戦っていきたいと思います。秋季の時は全員格上だったのですけど良い結果を残すことができたので、今回もその気持ちを忘れないで向かっていきたいと思います。

黒野 私は1年の春にチームとして優勝していて、秋は2位という結果だったのですけど、優勝したときは三つ巴で優勝ということだったので全チームに勝って優勝したという経験がありません。先輩方は全勝して優勝したことがあるので、後輩のためにも全勝して優勝したいと思います。

――リーグ戦で見せていきたい自分の持ち味を教えてください

杉本  声を出して盛り上げるところを見て欲しいです。

岩永 自分はプレー的にはバックハンドを多く使うので、バックハンドを見て欲しいです。点数が離されても最後まで諦めないことを心がけているので、どんな場面でも最後まで諦めないでプレーすることを見て欲しいです。

黒野 私は戦型的に長いラリーをして最終的にミスさせるというプレーなので、試合時間も長く一球一球も長いのですけど、眠たくならず応援していただけたらと思います。

――警戒しているチームや選手はいますか

杉本  明治大学の宇田選手と戸上選手と宮川選手、そして専修大学の阿部選手なのですけど、同年代ということもあり強い選手なのでその選手と当たった時は頑張っていきたいと思います。

岩永 明治大学と専修大学です。秋はその2チームに負けて3位だったので。個人的にも専修大学には勝ったことがないので、個人的にもそこに勝ってチームも勝てるようにしていきたいなと思います。

黒野 女子はどのチームも強いので、毎試合力を入れるのはもちろんのことなのですけど、卓球は最近プロリーグ(Tリーグ)というものができました。大学生で活躍されている方は少なくてその中で専修大学の木村さんと井出沢さんというお二人はTリーグでも活躍されていて、春季リーグ戦も出てくると思うので、その2人に当たった時は向かっていく気持ちで試合に挑めたらと思います。

全日本学生選抜強化大会では決勝トーナメントに進出した杉本

――春季リーグ戦の個人目標をお願いします

杉本  全勝します。

岩永 自分も全勝を目標にします。

黒野 私も試合に出させていただけたら、チームのためにも全勝したいと思いますし、試合がやってない時や出れなかった時も一生懸命応援したいと思います。

――チーム内のキーマンを挙げるならどなたですか

杉本  自分は岩永さんだと思います。4年生の先輩がとても強くて勝ってくれると思うので、あと1試合というところだと岩永さんだと思います。

岩永 自分は福田さん(純大、スポ4=福岡・希望が丘)と杉本です。五十嵐さん(史弥主将、スポ4=石川・遊学館)と川上さん(スポ4=静岡学園)が強くて、2人が点数をとって残りをどちらかが取ることが大切だと思います。福田さんと杉本は卓球に対して貪欲ですごく考えて練習しているので、2人には勝って欲しいです。

黒野 私は1年生の杉田(陽南、スポ1=大阪・香ヶ丘リベルテ)です。1年生ということで強気に行けると思うので。全日本でも結果を残している選手でもあるので思い切ってプレーして欲しいなと思います。

――最後に春季リーグ戦への意気込みをお願いします

杉本  初めてのリーグ戦なので、オープン戦というかたちになってしまいましたが、本来のリーグ戦と同じ気持ちでいきたいです。もし出させてもらったら全勝してチームも勝てたらなと思います。

岩永 オープン戦になってしまったのですけど1年生のころは2位と3位というかたちで優勝できなかったので、今年は優勝を目標に頑張っていきたいなと思います。

黒野 どこの大学も制限がある中での練習だと思うので公平なかたちでの開催ではないと思いますが、優勝するということをチームとしてやってきているので、全勝優勝を目指してやっていきます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荻原亮)

色紙には春季リーグ戦への意気込みを書いていただきました!

◆岩永宜久(いわなが・なりひさ)(※写真中央)

福島・帝京安積高出身。スポーツ科学部3年。 右シェーク裏・裏。切り替えが上手という岩永選手。試合での切り替えでは普段見せない一面も見せてくれるでしょう!

◆黒野葵衣(くろの・あおい)(※写真右)

東京・武蔵野高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・ツブ。常に謙虚な姿勢だという黒野選手。試合でもその姿勢で後輩を引っ張ってくれるでしょう!

◆杉本和也(すぎもと・かずや)(※写真左)

福岡・希望が丘高出身。スポーツ科学部2年。右シェーク裏・裏。明るい性格が持ち味の杉本選手。今回の対談でも場を和ませてくれました。