最終回に登場するのは、五十嵐史弥主将(スポ4=石川・遊学館)と岩越帆香主将(スポ4=福岡・希望ヶ丘)。ルーキー時代からチームの勝利に貢献してきた2人も4年生に。早稲田大学卓球部を引っ張る男女主将に、部の強みや主将として迎える今シーズンへの意気込みなど、幅広くお話を伺いました!
※この取材は4月17日に行われたものです。2021年の関東学生春季リーグ戦は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となりました。この特集では、中止が決定するまでの間に取材を行うことができた選手のインタビューを掲載します。
「みんなが思いやれるチームに」
主将として周りを見ることができるようになってきたと話した岩越
――昨シーズンを振り返って
五十嵐 去年は怪我が続いてしまって思うような結果が出なくて、自分の実力が出せずに終わってしまったかなと。高校生の時と比べて、きつい練習をしたらどこか痛めたりということがあったので、今年からは体のケアの部分もしっかりしてまずは万全の状態で臨むようにしたいと思います。
岩越 コロナ期間で1年空いてしまっていて、試合がなかった分試合感覚を取り戻すのに時間がかかってしまって、最初の全日本学生選抜強化大会では自分は良い結果が出せませんでした。でも、次の関東学生選手権では少し良くなったかなという感じで。どんどんリーグ戦に向けて調子は取り戻しつつあると思います。
――春休みはどのような練習を行ってきましたか
五十嵐 春休みはチーム全体でフットワーク系の動く練習に取り組んでいて、試合がなくて試合だけでしか得られないような感覚は付けられないので、足を試合で動かせるように厳しめの練習を多くやっていました。
岩越 女子は合宿を設けてそこで強化練習をしました。フィジカルなどトレーニングでたくさんやったので体を鍛える面と、それぞれの課題を見直して練習することを意識して。あとはリーグ戦に向けて他大学の分析も行いました。 ビデオを見て対策を練ったり。
――主将になってから何か難しさを感じることはありますか
五十嵐 やっぱり主将になったので、基本的には練習にも毎日行くことを意識していて。3年生の時は、実業団とか外部に練習しに行くことが多かったのですが、今はまとめる立場なのでなるべく行かないようにしています。良い意味ではチームをしっかりまとめることができるんですけど、マンネリ化しちゃうというか。同じ相手とばかりの練習になってしまうので、その分少し刺激が足りないという難しさはあります。
岩越 チームをまとめるということで、周りを見ないといけないので、一人一人選手の個性も違いますし、まとめるのが大変だなと思います。あとは連絡などのやり取りが大変で。だんだん今は慣れてきて、周りを見られるようになってきたかなと思います。
――練習内容を考えるのは、主将の役割ですか
五十嵐 そうですね、基本的には主将が決めています。毎日同じ練習にならないように、時間とか内容とかを工夫しています。
岩越 早稲田は全体的に課題練習、自分で考えて練習することが多いんですけど、時々チーム状況を見てこういう練習をやったほうがいいっていうのを4年生たちで考えてメニューを提示したりもします。
――主将としてどのようなチームを目指していますか
五十嵐 僕は、自分が3年生の時は自主性を大事にして頑張りたい人が頑張って、という環境をつくりたいと思っていたのですが、いざ自分が4年生になると、自主的じゃない人が気になってしまったりして。意外と、全員で同じことに取り組んだら一生懸命やって、逆に自主的にやらせたら中々頑張れないっていう人が多かったので、みんなで同じメニューに取り組んで、それをみんなで頑張ろうっていうチームをつくるようにしました。
岩越 みんなが同じ目標、今だったらグランドスラムという目標に向かって日々練習に取り組むチーム、上級生が練習を引っ張ったり、周りに声を掛けたり、みんなが思いやれるチームにしたいと思っています。
――前の代から受け継いだことや、逆に変化させたことはありますか
五十嵐 受け継いだ点は、4年生全員でお手本となるような行動をして、それを後輩に見てもらって、ついてきてもらう。指示するだけじゃなくて自分たちの行動を変えようというのは意識しています。変わった点は、以前はある程度決まった時間の中でトレーニングしようとか、練習しようというふうにしていましたが、今は、時間をオーバーしてもいいから、しっかり練習とトレーニングができるようにやっています。
岩越 受け継いだ点は、早稲田大学は他の大学より一歩先を進んで行動するということ意識していて、分析とかトレーニングとか。今はウエイトトレーニングも取り入れたりしていて、他の大学がやっていないことを早稲田大学はするという方針です。変わった点は、(部内の)ルールが前は曖昧だったんですけど、ちょっとだけ厳しくして。集合時間もしっかり決めて、遅れたら罰を与えるようにして。男子は厳しいんですけど、女子は曖昧だったので男子に合わせるようにしました。
――同期の中で役割分担はありますか
五十嵐 1人1役はできるようにしています。主将、主務、副主将、掃除、トレーニング、勧誘、ホームページ、みたいな感じです。
岩越 女子は2人なので、一緒にという感じです。トレーニングなどを任せるようにしています。
――お互いの主将ぶりを見ていていかがですか
五十嵐 岩越の最初のイメージは、受け身というか、優しくて、言われたことに対して何でもオッケーしてくれるイメージがあったんですけど、主将になってから自分で行動するようになって。たくましいです(笑)。
岩越 すごい真面目で練習とかもストイックなので尊敬していて、本当に。私も見習わないとなと。後輩とも仲良くしてて、女子部員にも声掛けてくれるのでありがたいです。
――下級生とのコミュニケーションはどのようにとっていますか
五十嵐 男子は部内ランキング順で(練習相手を)指名していくので、なるべくいろんな人と練習して、最近のことを話したりとかしていますね。
岩越 五十嵐と同じで、相手が偏るのを防いでいます。あとは、今はコロナで行けないんですけど、後輩とご飯とか一緒に行ってコミュニケーションをとったりしたいと思っています。
――今年の新入生の印象は
五十嵐 新1年生は、けっこう明るい、コミュニケーション能力の高い子が来てくれました。最初に緊張して話せないという感じじゃなくてフレンドリーに話せるので、同期の間でもいい後輩が来たと話しています。
岩越 新1年生は強い子が来てくれました。1年生同士もだんだん仲良くなってきて、私たちもコミュニケーションとったりして、慣れてきたのでいい感じです。
――普段はどのようなスケジュールで練習していますか
五十嵐 月曜日が休みで、火曜日から金曜日は13時から17時まで。土曜日は11時から14時半と14時半から18時を男女で分けて。日曜日も9時から12時、14時から16時と、12時から14時、16時から18時でやっています。 基本的に女子は男子と練習したほうが練習になるんで週に1、2回くらいは男子から何名かが女子の練習に参加したり。逆に男子の練習に女子に来てもらったりもしています。
――月曜日がオフということですが、オフの日はどのように過ごされていますか
五十嵐 最近は…卓球しないときは、朝アラームかけずに寝て、買い物とか。見るだけでも好きなので。あとは温泉もたまに同級生と行ったりします。最近は卓球ばっかり(笑)。
岩越 卓球をしない日は午前中は寝て、疲れているときは家でリラックスして。買い物が好きなので、買い物に行ったり、ご飯に行ったりします。
――部員同士で過ごすことが多いですか
五十嵐 温泉は部員と行くんですけど、買い物は迷惑かけたくないので、1人で音楽聴きながら(笑)。
岩越 部員が多いですね、あとは予定が合えば高校の同期とか。
春季リーグ戦開幕を前に
プレーでもサポートでもチームを支える五十嵐はチームに欠かせない存在
――チームの雰囲気はいかがですか
五十嵐 団体戦と個人戦は全然違いますが、みんな団体戦に向けて頑張ろうっていう気持ちが伝わってきて、雰囲気はとても良いです。
岩越 女子は新1年生が2月くらいから来てくれていて。コミュニケーションをとって距離も近くなってきたので、全体的な雰囲気もいい感じです。今回のリーグ戦は、人数も少ないので全員で臨むので、誰が試合に出てもいいように。全員で優勝をとるのが目標です。
――団体戦は2019年の秋ぶりですが、期間が空いたという点で不安はありますか
五十嵐 一応試合は去年の秋からしているので、リーグ戦が1年空いたからということでの不安は特にないです。
岩越 1、2年生はリーグ戦の経験がないので、3、4年生がリードして1、2年生が試合をやりやすいようにすることが大切かなと思います。
――今年のチームの強みはどこにありますか
五十嵐 今年のチームは良い意味で距離が近く、1年生から4年生までけっこうみんな仲が良いので、それをうまく利用してというか。ただ仲良しなだけじゃなくて、みんなで頑張っていくチームにできたらと思います。
岩越 人数が少なくなったんですけど、強い選手が多いのでレベルはそんなに変わっていません。誰かが点数を落としても他の人でカバーすることができそうなので、そういうところが強みだと思います。
――逆に、ここを補強したいという点はありますか
五十嵐 一人一人が持っているものを出し切れるような準備をするのが1番かなと思います。
岩越 今までサポートの役割があったんですけど、今年は人数が少ないのでそれを作らずに全員でサポートというかたちになるので、サポートの部分を見直したいです。早稲田はサポートも強みなので。
――サポートというのは具体的にどのような役割でしょうか
岩越 ビデオの準備や試合の分析、試合中の荷物管理です。試合に出ていない人が選手のサポートをする感じです。
――チームとしての目標を教えてください
五十嵐 チームとしては、今年はオープン戦になってしまったんですけど、リーグ戦で明治を倒して優勝することです。
岩越 グランドスラム達成の第一歩として、春リーグ優勝。優勝というと、みんな気持ちがあれなので、楽しく挑戦する気持ちで向かっていけたらいいかなと思います。
――目標達成のカギは
五十嵐 まずは4本取ればいい中で自分は2本出るので、その2本をしっかり取るようにすることと、あとは団体戦なので回りのメンバーのサポートも自分からしっかりやっていこうと思います。
岩越 第1戦目が流れを作るために重要なので、そこを全力で戦って勝つこと。あとは専修大学と中央大学、青山学院大学が強いので、そこで勝つこと。ダブルスが今年は1本になってしまって、ダブルスを取ることがカギになってくると思うので、しっかり落とさないようにすることです。
――チームのキーマンを挙げるなら誰ですか
岩越 (五十嵐に)自分?(笑)
五十嵐 いやいや(笑)。僕は、新2年生の杉本(和也、スポ2=福岡・希望ヶ丘)と柏(竹琉、スポ2=JOCエリートアカデミー)の2人。同級生の川上(尚也、スポ4=静岡学園)とか1個下の岩永(宜久、スポ3=福島・帝京安積)は団体戦のプレーを信頼しているので、去年リーグ戦を経験していない杉本と柏が思い切ってプレーをして、チームに勢いを付けられるようなプレーをしてくれることを期待しています。
岩越 リーグ戦を経験していない1、2年生です。どうやって勝っていけるかを考えて、勝てるように私たちがサポートしていきたいです。あとは、私と笹尾がしっかり点数を取ることです。後輩たちも楽になると思うので。
――先程ライバル校の名前が出ましたが、どのような点を警戒していますか
五十嵐 男子の明治大学は今年すごく強くです。選手が集まっているので、エース級のメンバーが勝つだけだと厳しいので中堅層の選手が勝負強さを見せて勝ってくれたらチームの勝利に繋がると思います。
岩越 専修大学は選手が揃っていて、木村香純選手、新しく入った出澤杏佳選手がとても強くて、オーダーもしっかり考えて組まないといけないなと思います。
――個人的に注目してほしいプレーは
五十嵐 守りに入らないプレーを見てもらえるように頑張ります。
岩越 ラリーが得意な方なので、たくさんラリーを続けて点数を取って、見ている人にいいプレーを見せられるように頑張りたいと思います。
――最後に意気込みをお願いします
五十嵐 個人としては今まで全勝した経験がないので、最後の年に全勝して、それでチームも勝てるようなプレーを見せたいと思います。チームとしては自分は主将なので他の選手が負けても責任を持たせない、他の選手が負けたら自分が責任を負うくらいの気持ちでサポートして良い結果を出せるように頑張りたいと思います。
岩越 個人としては、4年間最後の集大成として、全勝してしっかり終えられるように。プレッシャーもあまり抱え込みすぎずに、楽しく向かっていく気持ちでやれたらいいかなと思います。チームとしては早稲田大学らしく、明るく元気に、1、2年生も楽しく試合できたらいいなと思います。リーグ戦なので1回負けても優勝できる可能性があるのであきらめずに試合したいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 鬼頭遥南)
色紙にはリーグ戦への意気込みを書いていただきました!
◆五十嵐史弥(いがらし・ふみや)(※写真右)
石川・遊学館高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。同期の福田選手から「一番強いうえに誰よりも練習している」と紹介された五十嵐選手。常にひたむきな姿勢に、チームから厚い信頼を寄せられています!
◆岩越帆香(いわこし・ほのか)(※写真左)
福岡・希望ヶ丘高出身。スポーツ科学部4年。左シェーク裏・裏。下級生とのコミュニケーションにも気を配り、部員思いな岩越選手。笹尾選手とともにダブルエースとしてチームを勝利に導きます!