秋季関東学生リーグ戦直前特集、第5回は最高学年として男子部を引っ張る平野晃生主将(スポ4=山口・野田学園)、漆畑竣太(商4=埼玉・春日部)、海崎泰世(教4=福井・高志)、泉凱仁(スポ4=秋田)が登場。4年生としては例年よりも人数が少ない中、下級生中心のチームをまとめてきた4人に最後のリーグ戦に懸ける思いを伺った。
※この取材は8月24日に行われたものです。
「上位の大学と比べて基礎力の差を感じる」(平野)
ここまでのシーズンを振り返る平野
――ここまでチームを引っ張ってきましたがそれぞれの役割を教えてください
平野 自分は主将なので、上に立つ身として主将らしいことができているかどうかは分かりませんが自分なりに考えて同期と協力しながらチームを作ってきました。
海崎 僕は副将なので、自ら引っ張るというよりは後輩とのパイプ役として積極的に話してうまく部をまとめられればいいかなと思っています。
泉 僕はトレーニング担当として日頃のトレーニングの管理をしています。ことしはスタミナ不足を改善するためにダッシュ系のメニューを増やしました。あとはレギュラーメンバーの練習相手をやっていて、特に平野とは試合に向けて練習パートナーとして組むことが多いです。
漆畑 僕は選手兼主務という立場なのですが、リーグ戦では選手たちがベストパフォーマンスを発揮できるようにマネージャーの観点から支えたり、他のサポートメンバーの統率をしてチームをまとめられるように動いています。
――ここまで主務として活動してきて大変だったことはありましたか
漆畑 主務はどうしても他の選手よりは練習量が少なくなってしまったり、授業や就職活動との両立が大変でしたね。
――今お話にありましたが、春季リーグ戦前後の期間での就職活動との兼ね合いについてはいかがでしたか
海崎 就職活動がだいたい午前中から昼過ぎにかけてやっていたのですが、面接などがあると結構疲れが溜まったりして午後からの練習がキツイと思うこともあったんですけど、やるしかないと思ってとりあえず練習場に来て練習するという毎日でした。
泉 自分も平日の授業後に面接や説明会に行って、夜練習するというスケジュールは少し大変でしたね。
漆畑 就活をしながらも主務としての仕事が頭にあったり、また練習量も少なくなってしまったのでその部分での葛藤が少しありました。
――春季リーグ戦は3位という結果でしたが
平野 負けてしまった明大、専大戦は接戦だったので手応えを少しつかめたかなと思います。秋リーグに向けてはその手応えを確信に変えるためにしっかりと準備をしていかないといけないなと思っています。
――レギュラーとして出場していた1年生2人の活躍についてはいかがでしたか
平野 緊張はあったと思うんですけど、僕たちからは思い切ってやってこいと常々言っていましたね。
泉 川上(尚也、スポ1=静岡学園)は後半での起用だったので厳しい場面であったり競った場面で回ってくることが多かったのですが、かなり緊張してしまっていたので、思い切ってやりたい卓球をやってこいと声をかけました。
海崎 五十嵐(史弥、スポ1=石川・遊学館)はとても実力がある選手ですが、初めてのリーグ戦ということもあって一人で戦ってしまっていると少し感じたので、秋はチームとして勝ちにいければいいなと思います。川上は試合前からネガティブ思考なところがあるので、強気で自信を持って試合してくれれば大丈夫だと思います。
漆畑 初めてのリーグ戦で緊張するのは当然だと思うので2人ともすごく頑張っていたと思います。秋リーグでは2回目なのでさらに期待したいですね。あとは1年生ではないのですが、葉波(啓、スポ2=山形・鶴岡東)が勝ち切れない試合が多くて苦しんでいたので個人的に意識してフォローするようにしていました。秋はやってくれると思います。
――続いてインカレのベスト8という結果についてはどのように受け止めていますか
平野 (準々決勝の)専大戦では個人力の差をまざまざと見せつけられてしまいましたね。専大の選手一人一人の基礎力の高さを感じた試合でした。インカレはリーグ戦と違って試合に出る選手が限られるので、より差が浮き彫りになってしまったかなと思います。
――インカレはベンチメンバーが限られているということで、チームとして動く部分での難しさはありましたか
海崎 ベンチメンバーが限られている分サポート体制に人数をかけられるので、僕はやりやすかったと感じました。
泉 僕は反対で、上の観客席からの応援だとどうしてもベンチとの温度差というか、一体感を出すことが難しかったと思います。
漆畑 僕は主務としてベンチに入っていましたが、リーグ戦と比べてベンチ内でのサポートメンバーが減ってしまうので、自分がそこはカバーしていけるようにアンテナを張って行動していました。
――インカレは対戦経験がない大学と対戦することがありますが、どのように対応しましたか
平野 相手のデータがない分難しさはあるのですが、サポートメンバーに次の対戦校のビデオを撮ってもらったりして対応しました。
――女子部の活躍に対してはどのように感じていますか
平野 刺激になる部分もありますが、やはり悔しい気持ちが大きいですね(笑)。
海崎 僕は女子部はドリームチームだと思っています(笑)。男子部には突出した実力の選手はいないのでその分チームとして勝っていければいいですね。
泉 インカレで関西の大学のデータをまとめている様子を少し見たのですが、個々の実力だけじゃなくて対策も入念にやっていて、男子も少し足りなかったかなと思いましたね。
漆畑 女子が優勝すると毎回祝勝会をやるんですけど、僕が主務として準備や手配をしているんです。そういう時に悔しい気持ちがやはりあるので秋は男子の祝勝会の準備もやりたいですね(笑)。
――これまでのシーズンでチームとしての課題は見つかりましたか
平野 試合に出ている立場から見ると、上位の大学と比べて基礎力の差を感じるので、強い選手と対等なレベルで試合をできるぐらいの力をつけていかないとチームとして勝つのは厳しいなと感じます。
海崎 上位大学との試合でも競り合うことはできると思うので、あとはそこで勝ち切れるかということが大事になってくると思います。
泉 僕も海崎と同じことを感じているのですが、勝ち切るためにはベンチからの盛り上げだったり声掛けということも必要だと思うのでそういう部分で貢献したいですね。
漆畑 インカレでは僕も個々の選手の実力差というものを痛感したので、レギュラーメンバーが基礎力を伸ばすための環境をうまく整えられればなと思います。
同期の印象
入学当初の思い出を語る4人
――4年生ということで引退も近づいてきましたが、初めて会った時のお互いの印象を覚えていますか
泉 平野は全国大会でもすごく活躍していた選手だったので、最初はあの平野くんか、という感じでしたね(笑)。
海崎 僕も一度だけ全国大会に出たことがあったんですけど、その時に2台ぐらいとなりで試合をしていたのが平野だったんですよ。本当に夢の存在っていう感じでしたね(笑)。
漆畑 僕も同じですね。雑誌でしか見たことがなかったスター選手だったんですけど、実際会ってみて本物はよりかっこいいなと思いました。
――海崎さんについてはいかがですか
平野 海崎は最初見た時ヤンキーかと思いましたね(笑)。
泉 髪がめちゃくちゃ短くて。
漆畑 こんなこと言ったら申し訳ないけどザ・田舎のヤンキーって感じだったよね(笑)。
平野 話してみたら全然そんなことなかったんですけど、第一印象は強烈でしたね。
――泉さんについては
海崎 僕は入ってきた時に「秋田3冠」って聞いていたのでちょっとビクビクしていました(笑)。
漆畑 山口のスター(平野)と並んで秋田のスターだったので遠い存在でした(笑)。
平野 今と違って最初は静かだった印象がありますね。
海崎 あと話を聞かない。
泉 それはダメじゃん(笑)。
――漆畑さんについてはいかがですか
平野 年上の同期ということで最初はどのよう接すればいいか分からなかった気がします(笑)。それでも気を遣わないようにしてくれたのですぐに仲良くなれました。
海崎 同期のスター二人に囲まれて肩身が狭かったんですけど、一浪している漆畑が入ってきてくれて自分に近い存在の同期ができて嬉しかったです(笑)。
泉 どうしよう、全然覚えてないな。
漆畑 やっぱり秋田3冠には埼玉の凡人は見えてなかったみたいです(笑)。
――4年間で変わった部分はありますか
平野 大学は毎日の練習メニューを決めてくれる人がいるわけではないので、自分で考えて行動するようになったことは成長した部分なのかなと思います。
海崎 きっちりとした部活に入ったのは初めてだったので精神力はついたかなと思います。
泉 自分は卓球の部分なのですが、高校までは点差が離れてしまうと諦めてしまうこともあったんですけど、ワセダに入って自分よりも強い選手たちが最後まで諦めない姿勢をたくさん見てきたので、粘り強く戦うようになったかなと思います。
漆畑 高校までは部活の中での存在意義を見出すことなんて考えたこともなかったんですけど、このチームに入って試合に出られない中でチームの為に何ができるんだろうということを考えるようになったことは成長なのかなと思います。
――4年間の活動の中で特に印象に残った出来事はありますか
平野 1年生の秋リーグで専大に敗れた試合が今でもすごく印象に残っていて、あの時の悔しさがリーグ戦で優勝したいというモチベーションになっていると思いますね。
泉 高校までは出場したことがなかった全日本選手権に出ることができたことは思い出ですね。東京体育館の独特な雰囲気の中で勝つこともできたので嬉しかったですね。
海崎 泉の全日本選手権でベンチに入らせてもらったんですけど、相手の対策をしっかりやって勝てたことは泉と同じぐらい僕も嬉しかったですね。
漆畑 去年の秋リーグの日大戦が印象に残っていますね。去年の秋リーグは自分たちの代のことも意識しながらのリーグ戦だったんですけど、日大戦のラストで平野が勝ってチームが勝つことができたので、それを見て来年やっていけるかもと思うことができて嬉しかった記憶があります。
後輩への思い
リーグ戦への意気込みを語る漆畑(右)
――リーグ戦が近づいてきましたが、夏の間に重点的に練習した部分はありますか
平野 先ほども話したように基礎力を伸ばすためにミスをしないということをポイントに練習に取り組んできました。リーグ戦で練習の成果が出せればいいなと思います。
海崎 普段の練習は個人の課題練習がメインなのですが、合宿ではあえて細かく練習メニューを決めて全員で同じ目的を持った練習をしてきました。
泉 試合で力を発揮するためにはやはり基礎の力がとても大事だと思うので夏やってきたことをリーグ戦でうまく出してもらいたいですね。
漆畑 練習内容は3人が言った通りですが、あとは練習量も増やすようにしましたね。部員が多いので劇的に増やすことができたわけではないですが、常に練習量を増やそうという視点を持ってこのチームではやってきました。
――現在のチームの調子はいかがですか
平野 夏の間に良い練習ができたと思っているので春以上に良い状態なのではないかなと思います。
海崎 リーグ戦まであと2週間ぐらいあるのでいかに調子を維持できるかということが大事かなと思います。
漆畑 最近は団体戦の実戦がないので練習の成果を出すことはできていないのですが、リーグ戦前に練習試合もあるのでそこで夏の間にやってきたことを出していきたいと思います。
――秋季リーグ戦で優勝するためにカギになってくる選手はいますか
平野 僕は全員がキープレイヤーだと思っています。みんなそれぞれの役割がありますし、全員で高め合っていくことで優勝も近づいてくるのかなと考えています。
海崎 僕は団体戦で1番手として出場する選手がカギになってくると思います。団体戦の1番手はチームに勢いを与える上でも重要なので誰が出るか分かりませんが、出た選手には頑張ってもらいたいです。
漆畑 もちろんみんなに頑張ってもらいたいですが、僕は個人的にはやはり葉波に特に頑張ってほしいなと思っています。春リーグで苦しんでいる姿を見てきたので秋は勝ち切ってくれると期待しています。
泉 僕はやはり平野を挙げます。試合に出ない僕らの思いも背負ってやってほしいと思っていますし、平野の秋リーグで優勝したいという思いがチーム全体に伝わればいい雰囲気で試合ができるんじゃないかなと思います。
――最後のリーグ戦ということで後輩に伝えたいことなどはありますか
平野 自分としても最後は優勝して終わりたいですし、後輩にとっても一度優勝という経験をすると今後にも間違いなく生きてくると思うので優勝させてあげたいなと思っています。
海崎 僕たち4年生が必死でやっている姿を後輩が見て何かを感じてくれればいいのかなと思います。
泉 僕は同じサポートメンバーの後輩に向けて試合に出られないなりの貢献の仕方というか頑張り方というものを感じてもらいたいですね。試合に出られなくてもレギュラーメンバーと同じ気持ちで日頃から練習をすることが大事だと思いますし、自分なりの目標をしっかり持ってもらいたいですね。
漆畑 主務として働いている姿を見て後輩たちが自発的に何かを感じてくれたら嬉しいですね。
――優勝に向けて警戒する対戦校はありますか
海崎 例年上位校と当たるまでに取りこぼしをしてしまっているので全勝で格上の相手に挑戦できるようにしたいと思います。
泉 明大、専大は言うまでもないですが、僕は初戦の筑波大戦を挙げます。秋は前半に5試合組まれていて、初戦で出ばなをくじかれると立て直すのが難しくなると思うので筑波大に勝って勢いをつけたいです。
――最後になりますが、秋季リーグ戦に向けた意気込みを聞かせてください
平野 最後なので内容はともかく優勝という結果でみんなで笑って終わりたいと思います!
海崎 僕ができることはひたすら応援することだと思うので、声が枯れるまで必死に叫び続けたいと思います!
泉 レギュラーの選手が思い切って自信を持って試合ができるように全力でサポートをしていきたいです!
漆畑 どこの大学にも負けない最高のサポートをしてチーム一丸となって優勝したいと思います!
――ありがとうございました!
(取材・編集 吉田寛人)
秋季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!
◆平野晃生(ひらの・こうせい)(※写真左)
1996年(平8)6月7日生まれ。177センチ。山口・野田学園高出身。スポーツ科学部4年。左シェーク裏・裏。あまり感情を表情に出さないタイプの平野選手ですが、試合中の鋭い目からは強い闘志を感じます。
◆海崎泰世(かいざき・たいせい)(※写真左から2番目)
1997年(平9)2月21日生まれ。173センチ。福井・高志高出身。教育学部4年。右シェーク裏・裏。後輩と海水浴に行くなど、パイプ役としてチームをまとめてきた海崎選手。リーグ戦でも後輩と一緒にチームを盛り上げてくれることでしょう。
◆泉凱仁(いずみ・かいと)(※写真右から2番目)
1996年(平8)12月21日生まれ。168センチ。秋田・秋田高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。いつでもベンチで大きな声援を送る姿が印象的な泉選手。最後のリーグ戦でも選手にパワーを与える応援に注目です。
◆漆畑竣太(うるしばた・しゅんた)(※写真右)
1996年(平8)1月5日生まれ。169センチ。埼玉・春日部高出身。商学部4年。右シェーク裏・裏。漆畑選手には主務として当会の活動に大変ご協力いただきました。最後のリーグ戦でも最高のサポートで選手を支えます!