秋季関東学生リーグ戦直前特集第2回。今回は創部史上初の「グランドスラム」(※)達成を狙う女子部から金子碧衣(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)、加藤結有子(スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)、岩越帆香(スポ1=福岡・希望が丘)が登場。早大女子卓球部の強みである層の厚さを象徴する存在である3人にこれまでのシーズンの振り返りと秋季関東学生リーグ戦に向けての意気込みをお聞きした。
※この取材は9月2日に行われたものです。
「チーム力を信じて勝つことができた」(岩越)
春季リーグ戦、専大戦で貴重な白星を挙げた岩越
――10年ぶりの春季関東学生リーグ戦優勝でしたが
金子 私は秋リーグの優勝経験はあったのですが、チームの雰囲気が優勝したシーズンのように良くて、みんなが隙のない行動をしたことが春リーグの優勝に繋がったのかなと思います。
加藤 ことしは(女子部の)13人全員で優勝しにいこうという話をしていたので、みんなでまとまって1試合1試合集中して臨めたことが良かったと思います。
岩越 今回初めてのリーグ戦だったので、1年生としての仕事であったり大変な部分もあったのですが、サポートメンバーの方たちにも協力していただいてうまくチーム力を発揮できたことが優勝に繋がったと思います。自分が負けている場面でもベンチの先輩方やサポートメンバーの方への感謝の気持ちを思い出して、勝たないといけないなと思って挽回することができたのかなと思います。
――チームの勝敗が自分に懸かっている状況での試合はやはり緊張しましたか
岩越 今まであまり最後を任されるという経験がなかったので試合前はすごく緊張したのですが、ワセダのチーム力を信じて勝つことができたかなと思います。
――リーグ戦の雰囲気には慣れましたか
岩越 はい。あまり緊張せずに楽しんで試合ができているかなと思います。
――先輩の2人はベンチで後輩の活躍ぶりをどのように見ていましたか
金子 1年生らしく元気に試合してくれたので良かったですね。
加藤 頼もしかったです。負けている場面では励ましてあげて、あとは全力で応援するだけでした。
――続いて6月の関東学生選手権を振り返っていただきます。加藤選手は見事ベスト8進出という結果でした。
加藤 この大会の前に足を動かすということを意識して基本練習から見つめ直して、実際に試合になったら練習通りに足をしっかり動かして打ち切ることができたことが良かったです。あとは、戦術面でもしっかり準備してどんな場面でも焦らずプレーできたことがベスト8という結果に繋がったと思います。
――金子選手、岩越選手は関東学生選手権を振り返っていかがですか
金子 ベスト8決定戦で優勝した山本選手(中大)に負けてしまったのですが、組み合わせ的には周りの選手に比べればチャンスがあったのかなと思いますし、(トーナメントを)上がってくる選手もある程度分かっていたので分析などを事前に行って楽に試合に入ったのですが、大事な競った場面で1点が取り切れなかったので勝負所で確実に勝ち切る力をつけなくてはいけないなと感じました。
岩越 ダブルスはいい形でベスト8まで進めたのですが、シングルスではシードに入ったことで、自分にとっては初戦でも相手は何試合かしていて調子を上げてきている状態だったのでうまく戦うことができませんでした。また、予想していた相手とは違う相手が勝ち抜いてきたので対策もできていなかったです。自分の準備不足を感じたのでこれからはどんな相手に対してもしっかり準備して勝てるようにならないといけないと思います。
――個人戦の試合内容はチーム内で共有するのですか
金子 そうですね。特にインカレやリーグ戦前はワセダは他大の分析を徹底的にやっている方だと思うので、その時にチームで情報をまとめられるように個人戦も対戦相手の情報は共有するようにしています。
――金子選手、加藤選手が敗れた山本選手に対してワセダの選手はあまり対戦成績が良くないですが、要因はどのようなことだと考えていますか
金子 今回の試合では相手のサーブにうまく対応することができずにレシーブになった時に最後まで迷いが出てしまったことが敗因だと思っています。ラリーに持ち込むことができれば緩いボールを織り交ぜながら戦うことでそれほど負けているとは思わないので、やはり大事な局面でのサーブ、レシーブの差が出てしまったのかなと感じています。
加藤 山本選手はコース取りが上手くてラリー力があるので、(自分にとって)対角線のコースに厳しいボールを打たれて失点してしまいました。あとは、金子さんと同じように相手がサーブの状況で先手を取られてしまったのが苦しかったです。
――続いて3連覇を達成した全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)を振り返っていただきます。金子選手、加藤選手は過去の優勝と比べて今回の優勝はいかがでしたか
金子 去年、一昨年の優勝は勢いもあって負けているという状況がほとんどなかったのですが、今回は青学大戦で1-2と追いこまれてしまった中でもしっかり勝ち切ることができたように実力で勝ち取った優勝だったかなと思います。
加藤 金子さんが言ったように去年はワセダが優位な試合が多かったので、応援をするにしても試合に出場するにしても思い切ってできたのですが、ことしは相手チームがワセダに対して向かってきているなと感じることが多くて苦しい場面や負ける寸前までいった場面もあったので、今回は実力が伴った優勝だったかなと感じました。
――岩越選手は初めてのインカレでしたが
岩越 リーグ戦は7番手までありますがインカレは5番手までなので、相手が勢いに乗ってくると苦しかったのですが、そういう場面を切り抜けてみんなで掴んだ優勝だったので嬉しかったです。
――決勝では中大のエースペア相手に貴重な勝ち星を挙げましたね
岩越 試合前からペアの笹尾さん(明日香、社1=神奈川・横浜隼人)とも「この試合勝たないと優勝できない」という話をしていたんですけど、勝つ、という強い気持ちだけで戦っていました。以前対戦経験がある先輩からもたくさんアドバイスを頂いてとても助かりました。
サーブ、レシーブの重要性
関東学生選手権で自己最高のベスト8入りした加藤
――これまでのシーズンを振り返ってみて個人的な課題は見つかりましたか
金子 最近ダブルスでうまくいかない試合が多くて、1年生の時から鎌田さんとペアを組んでいるのですが、慣れられてきたというか、苦手なところを突かれて自分たちが思うようなプレーをできないまま負けてしまうことが続いています。ラリーになったら自分たちは右・右のペアなので足をたくさん動かしてフットワークで戦うだけなのですが、サーブレシーブだったりレシーブからの4球目攻撃の幅を広げることが課題です。
加藤 私は、試合になると最後に大事になってくるのはサーブレシーブや、レシーブからの4球目攻撃の多彩さや精度だと思っているので、その部分を改善することが課題だと思っています。
岩越 自分はバックハンドでの得点が多いのですが、ここまでのシーズンではフォアハンドが安定しなくてミスすることが多かったのでフォアの強化をしなければいけないと思っています。あとは、試合になると自分のサーブに相手も徐々に慣れてくるので、サーブレシーブからの戦術の幅を広げて試合を優位に進めることができるようになりたいです。
――夏休みにはどれぐらいの練習量をこなしていますか
金子 だいたい合計で1日4~5時間は練習しています。
――チームとして重点的に取り組んでいることはありますか
金子 女子の人数が少ないこともあって男子部の選手に女子の練習に入っていただいていることが多いのですが、男子の強いボールを受けることも女子にとってはプラスになっていると思います。
加藤 春から引き続きダブルスの強化に取り組んでいますね。1日に1回はダブルスの練習を入れるようにすることでチーム全体でダブルスの強化をしています。
――個人的に夏の間に強化してきたポイントはありますか
金子 フットワークやトレーニングをすることで体力面なども含めて強化をしたことと、3球目攻撃、レシーブからの4球目攻撃は特に重点的に練習してきました。
加藤 私はサーブレシーブの質を上げることと、下回転のボールに対するフォアドライブの安定性を増すことに取り組んできました。
岩越 自分はレシーブに苦手意識があるので、フォア前のサーブに対するレシーブを特に練習してきました。他には先ほど言ったようにフォアハンドの質や安定感を高めるためにフットワークなども見つめ直して練習しました。
――合宿ではどのような練習を行いましたか
加藤 合宿では前後のフットワークを強化したり、戦術の幅を広げるために各自が新しい戦術にチャレンジしてきました。
岩越 環境的にも練習に打ち込むことができる環境だったので自分のプラスになるいい合宿だったかなと思います。
金子 カットマン対策もチームとしての課題の一つなので、罰ゲームを作ったりしてみんなで競い合うような練習をして、入れなければいけない場面で入れる力だったり実際の試合でも勝ち切ることができるようなメンタルの強化も同時にできたかなと思います。
グランドスラム達成
上級生としての役割を求められる金子
――秋季関東学生リーグ戦が近づいてきましたが、現在のチームの雰囲気はいかがですか
金子 去年と比べると人数は減ってしまったんですけど、1年生も馴染んできてまとまりのあるチームになったかなと思います。
加藤 みんなで同じ目標に向かっているのでいい雰囲気で練習できていると思います。
岩越 春リーグ、インカレと優勝できて、秋リーグは『グランドスラム』が懸かっているので、試合に向けて気を引き締めて練習できているかなと思います。
――チームの人数が少ない中でムービーメーカーはいますか
一同 荒井咲季(教2=東京・早実)ちゃんです(笑)。
加藤 咲季ちゃんがいるだけで周りのみんなが笑顔になるというか、明るくなるような存在です(笑)。
――現在の個人の調子はいかがですか
金子 私は良くもなく悪くもなく、という感じです。自分の中で課題もまとまってきているので、ここから少しずつ調子をあげていければいいかなと思います。
加藤 悪くはないかな、という感じです。リーグ戦が近づいてきたので、少しずつ調子を上げてリーグ戦でベストに持っていけるようにしたいです。
岩越 ここ最近試合が多かったのですが、ダブルスでもシングルスでもいい調子で試合ができていて、試合ごとに課題も見つかっているのでリーグ戦までに調整していければと思います。
――リーグ戦では後半に出場する選手の働きも重要になってくると思いますが
金子 勝利を目指すことはもちろんなのですが、その中でも最高のプレーをしてチームに流れを持ってくる試合をしたいと思います。
加藤 団体戦ということで自分が明るく戦ってチームを盛り上げることが大事だと思っているので勝ちを狙いつつ盛り上げることを意識したいです。
岩越 試合に出させていただけたら、出ることができないメンバーの思いも背負って、感謝の気持ちを忘れずにプレーしていい流れを作っていきたいと思います。
――4年生の先輩と戦う最後のリーグ戦となりますが
金子 4年生は3人と少ない中でここまでチームを作り上げてくださったので、最後に優勝してグランドスラムを達成していい形で終われるように頑張りたいです。
加藤 私も4年生のみなさんにここまで引っ張ってきていただいたので、最後の秋リーグで優勝してみんなで笑顔で終わりたいと思います。
岩越 4年生の方々には入った時から面倒を見ていただいてとてもお世話になった大切な存在なので、感謝の気持ちを優勝という形でプレゼントしたいと思います。
――金子選手は次のチームを引っ張らなければいけない立場となりますね
金子 3年生になって後輩も多くなり、気付いたことがあれば声をかけたりと周りを見ようとしてきました。チームの雰囲気に関しても4年生と話すことも多くなったので、今から自覚をもって行動していかないといけないと思います。
――加藤選手も上級生になりますが
加藤 上級生になるということで今よりも周りをよく見て、後輩を積極的にサポートできるように頑張りたいです。
――秋リーグではチームの中でどのような役割を果たしていきたいですか
金子 レギュラーに入れていただいたので、いつ試合に出ても自分の卓球ができるようにしっかり準備することと、試合に出なくても周りをしっかり見て積極的に選手に声をかけたりしていきたいなと思います
加藤 私もいつ自分の出番が回ってきてもいいようにしっかりと準備して、ベンチにいる時も選手が最高のプレーができるようにサポートをしていきたいと思います。
岩越 2回目のリーグ戦ということで仕事などもだいたい分かっているので1年生として率先して行動したいと思いますし、試合に出させていただければ、1年生らしく元気に試合をしたいと思います。
――最後に秋リーグに向けての意気込みを聞かせてください
金子 グランドスラムにリーチがかかっていますし、4年生も最後なので、13人全員で優勝します!
加藤 秋リーグ絶対に優勝してグランドスラムを達成します!
岩越 向かってくる他大の勢いにも負けないぐらいワセダも向かっていく気持ちでグランドスラムを掴み取りたいです!
――ありがとうございました!
(取材・編集 吉田寛人)
※春季リーグ、インカレ、秋季リーグの三冠を達成することを『グランドスラム』と呼ぶ。
秋季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!
◆金子碧衣(かねこ・あおい)(※写真右)
1997年(平9)12月19日生まれ。163センチ。O型。愛知みずほ大瑞穂高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・裏。金子選手はよく応援に来てくれるお父様の前では緊張しないそうですが、お母様が応援している試合ではとても緊張してしまうそうです。
◆加藤結有子(かとう・ゆうこ)(※写真中央)
1999(平11)年1月19日。162センチ。O型。東京・JOCエリートアカデミー出身。スポーツ科学部2年。左シェーク裏・裏。独特な雰囲気で対談を明るく盛り上げてくださった加藤選手ですが、コートに入ると表情が一変します。
◆岩越帆香(いわこし・ほのか)(※写真左)
160センチ。福岡・希望が丘高出身。スポーツ科学部1年。左シェーク裏・裏。親御さんの前での試合でもあまり緊張しないという岩越選手。持ち前の強心臓ぶりを秋季リーグでも見せてくれることでしょう!