【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集 第4回 阿部愛莉×鎌田那美×金子碧衣

卓球ダブルス

 女子部の部員全員が掲げる目標、グランドスラム(※)。昨年、全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)、秋季関東学生リーグ戦(秋季リーグ)で優勝したものの、春季関東学生リーグ戦(春季リーグ)で中大に負け、惜しくも達成とならなかった。ことしこそ。静かに闘志を燃やす部員の中から、主力としても、上級生としてもチームを引っ張っていくであろう阿部愛莉(スポ4=大阪・四天王寺)、鎌田那美(スポ3=北海道・駒大苫小牧)、金子碧衣(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)に、春季リーグへの意気込みを語ってもらった。

※この取材は4月27日に行われたものです。

「チーム力を養いました」(金子)

丁寧に質問に答える金子

――春休み中に重点的に練習してきたことは何かありますか

阿部 春休みは練習場が使えなくて、結構部内で練習するよりも、他大の選手だったり、他のチームの選手と練習することが多かったので、実践的な、練習試合を多く取り入れた練習をしました。色んな戦型に対して対応できるようにしました。

鎌田 春休みには、トレーニング合宿をチームとして取り組んだりして、トレーニングとか身体を追い込むという面でも、しっかりと鍛える時期になっていたと思います。

金子 2月と3月に一回ずつ合宿があって、新チームになって、新しく1年生が入ってきて、新体制としてチーム全員でコミュニケーションを多くとったりして競技以外の面でもチーム力を養いました。

――春休み中の実戦での結果はどのように受け止めていますか

阿部 ダブルスで最近試合ではあまり成績が出ずに自分たちの思うようなプレーができていなかったんですけど、東京選手権では去年は(ベスト)8だったんですけど、もう一つ上のベスト4に入れて、久しぶりに自分たちのいいところが出せた試合でした。準決勝では負けたんですけど、自信につながった試合です。

鎌田 東京選手権はシングルスに出れなったので、オープン大会とか色々な大会で試合をしていて、すごい色んな課題が見えた試合で、春休みなので色んなことに挑戦するというか、新しい技術に取り組んでいけていたと思うので、良かったかなと思います。東京選手権はダブルスのみの試合だったので、ダブルスに特化して取り組んでいけたことが良かったです。

金子 私は、海外遠征に行かせていただいて、春休みに他大にいって練習試合をさせてもらったりだとか、さっき阿部さんが言ったんですけど、試合に近い形で2月に色んなところに行って、色んな選手と対戦出来たことで、自分の中で自信になるような試合ができたと思います。東京選手権は私もダブルスのみだったのですが、春休みは特にダブルスを練習してきたので、自分たちのできることはしっかりできた試合になったと思います。

――金子選手は国際大会に出場しましたが、国内と海外の試合で差は感じましたか

金子 向こうで、ヨーロッパの選手と練習する期間が3日間くらいあったんですけど、ヨーロッパの選手は日本の選手に比べて一発で打ち切るボールが多くて。あまりラリーにならなかったり、そういう違いがあって、私は結構一発で打ち抜くボールという怖さがあまりないタイプだと思うので、この海外遠征行かせてもらったことでそれを実感できました。ラリーの中でもそうですし、サーブ3球目、レシーブ4球目などでそういう打ち抜けるボールというのを課題にして取り組んでいました。

「最上級生としての自覚」(阿部)

エースとしての活躍も期待される阿部

――新体制となって約半年経ちますが、ことしのチームはどのようなチームですか

阿部 わかんないですけど、キャプテンが結構一方的に自分の考えを押し通すというよりは、周りの意見も聞きながら練習メニューを立てたりしているので、下級生上級生関係なく意見を言いやすいような雰囲気になっていると思います。良い意味で上下関係がそんなにないです。

――風通しが良いということでしょうか

阿部 あ、風通ししかないです。(笑)

鎌田・金子 (笑)

阿部 下級生も、そういった部分ではやりやすいのかなと思います。

――阿部選手は最上級生になりましたが、学年が上がったことで意識に変化は生まれましたか

阿部 最上級生なので、昨年よりはやっぱり責任感を持つようになりました。一つ一つの行動がみんなに見られていると思うので、最上級生としての自覚が自分の中に生まれたと思います。

――4年生は3人と少ないですが、うまく協力して連携をとれていますか

阿部 3人しかいないからこそ、それぞれのできる役割というのが明確になっていると思うので、それぞれがしっかり自分の持ち場持ち場で頑張っているかなと思います。

――鎌田選手・金子選手も上級生となりましたが、何か変化はありましたか

鎌田 前までは上に二学年先輩がいて、でもことしからは後輩のほうが多くて、まだちょっと違和感があるというか、3年生っぽくなり切れていないのかなと思うんですけど、その中でも3年生は4年生との間というか、中立的な立場だと思うので、4年生の背中を見ながら、後輩との関係もつなげていけたらと思っています。

金子 後輩がきょねんと比べて増えたので、2年のときよりももっとチームを見るという面で、4年生が3人しかいないので協力するというか…。まだ何をしたかと問われれば何もできていないのかもしれないですけど、4年生の見えない部分でも、後輩にちょっとしたことでもどんどん声をかけにいったりとか、そういう意識はできるようにはなってきました。

――ことしの新入生2人(笹尾明日香、社1=神奈川・横浜隼人、岩越帆香、スポ1=福岡・希望が丘)の印象はいかがですか

阿部 笹尾はめちゃめちゃはきはきしていて明るい感じの印象なんですけど、めちゃくちゃ天然で、たまにえっという感じのことを言ってくるので(笑)、卓球は強いんですけど、とりあえずギャップがすごいです。岩越のほうは、大人しそうに見えて結構馬鹿にしてきたりとか(笑)、岩越はいつも練習中とかでもニヤっとしています。先輩でも関係なくいじってくるような子です。(笑)

鎌田 2人とも明るくて、積極的な人柄なのですごく楽しいです。

金子 わたしもそう思います。

――聞く必要がないかもしれませんが、新入生はチームに馴染めていますか

阿部 全然馴染んじゃってます。(笑)

「一体感を見て欲しい」(鎌田)

笑顔で質問に答える鎌田

――リーグ戦がもうすぐ始まりますが、今の調子はいかがですか

阿部 リーグ戦は、個人戦もダブルスもあるんですけど、最近個人戦は4月に遠征で試合を結構させてもらって、ボールが今回変わったので、その調整をリーグ戦に向けてしているんですけど、やっぱりちょっと前のボールとは違うところがあって…最近はだいぶ打てるようになってきて、ミスも少なくなってきていると思います。シングルスは波があまりなくできている感じで、ダブルスは東京選手権から試合がないので、試合勘を最初の方はつかめるか不安なんですけど、一試合目からダブルスでもシングルスでも出ることができたら、しっかり勢いに乗って勝てるようにしたいと思います。

鎌田 シングルスは4月に入っても色々な対外試合が多くて、試合勘とかは試合がいっぱいできたのでそこで課題が見つかったりして、そこを修正していく時期かなと思います。ダブルスはあまり試合がないので、部内でやることになると思うんですけど、自信を持てるように調整していきたいと思います。

金子 シングルスは4月の試合ではわりと自分の力をしっかりと出すことができたと思っているんですけど、大事なところでの…サーブが台から出てしまったりだとか、ちょっとしたミスが出てしまったりだとかがあるので、リーグ戦に向けて少しでも試合に近い状態で練習を工夫できたらいいなと思っています。ダブルスは、最近試合がないのでゲーム練習とかを多くして、調子を上げていけたらいいかなと思います。

――部のHPで、女子部の部員は皆グランドスラム(※)を目標に掲げていますが、グランドスラムへの思いはやはり強いですか

3人 はい。

――リーグ戦での個人的な目標は何かありますか

阿部 シングルスでもダブルスでも、出た試合は必ずどんな形でもいいので最後勝ち切って、全勝で終えることが目標です。

鎌田 どんな状況でも、試合に出させていただいたときは内容問わず勝ちに行くということと、加えて暗い顔をせずに明るく試合することが目標です。

金子 この前のミーティングで、『勝ちにこだわるチーム』ということを目標に立ててやってきているので、もし自分が試合に出させてもらったらもちろんそうだし、出させてもらえなかったとしても、チームが勝てるように行動していくことです。

――全体の目標である優勝へのカギとなってくるのはどのような部分だと思いますか

阿部 毎回言っていると思うのですが、女子はダブルスが2点あるので、ダブルスを2点取りにいけば絶対勝ちに大きく近づくので、ダブルスの得点をあげることがカギかなと思います。

鎌田 春は新入生がいっぱい出てくると思うんですけど、多分強力な新人とかもいると思うので、その選手に対してもしっかりチームで対策を取ってやっていくことが大事かなと思います。

金子 団体戦は第一戦目からの勢いがすごく大事になってくると思うので、リーグ戦の前に他大との練習試合があって、それを第一戦と考えてみんなでやっていこうという話があったので、最初から勢いに乗っていけるようにしたいです。

――阿部・徳永(美子、スポ4=福岡・希望ヶ丘)組と金子・鎌田組は結成から長く、相手からも研究されていると思われますが、その辺はどのように対応していきたいですか

阿部  私のところのダブルスは、オーソドックスではない…異質と左なので、結構対策しやすいのかなっていう部分があって、リーグ戦では苦しい場面とか、対策されてるなと実感したときもあったので、やっぱりそれを狙われても対応できる能力だったり、新しい戦術を取り入れて相手が待ってないところに入れていかないと勝てないと思うので、少しでも新しい戦術を取り入れて、自分たちの得点源を増やしていこうと思います。

鎌田  自分たちは右・裏裏、右・裏裏で、一個狙われたり突かれたりしちゃうと結構崩れてしまって、徹底的に狙われてしまうので、リーグ戦では自分たちの卓球をするのは難しくなると思うので、そういうときにしっかり落ち着いて細かい部分をミスしないように、自分たちの卓球にもっていけるようにしたいと思っています。

――警戒したい選手はいますか

阿部  今までいた選手は対策とか分析しながら試合をやっていったらいいと思うんですけど、新入生はまだやったことがない人が多いので…私の高校(大阪・四天王寺)の後輩が専大と中大に入ったので、その2人はきっと強いので警戒しています。

鎌田  4年生が抜けて、新しい人がリーグ戦に出てくると思うので、その勢いとか注目されている選手だけじゃなくて、新しく出てきた選手たちにもしっかり対応できるようにしていきたいなと思いました。

金子  新入生を警戒するのもそうですし、多分ダブルスの組替えをしている大学もあったと思うので、対策ができるのであればしっかりビデオとかを見て対策をしていきたいと思います。

――リーグ戦で、自分のここに注目してほしい!というところはありますか

阿部  きょねんの秋リーグは、私が今までリーグ戦やってきた中で一番チーム一体となって応援をできていたと思うので、今回はそれを一戦目からやっていきたいなと思います。応援も戦ってるぞ!という全体を見て欲しいです。

鎌田  一体感を見て欲しいですね。

――最後に、リーグ戦への意気込みをお願いします。

阿部  わたしは4年生で、学生最後の春リーグになるので、今まで3回春リーグ経験したんですけど、一回も優勝できていなくて、春リーグに対する思いはその分強いので、グランドスラム達成のためにも春リーグは必ず優勝して次につなげるように一戦一戦頑張りたいと思います。

鎌田 優勝するためには一戦一戦の価値が大事になってくると思うので、1戦目から最後の試合まで、チームがまとまって優勝達成できるように、チームの明るいところがいいところなので、そこを失わないように頑張っていきたいです。

金子  きょねんに比べて人数が4人少ないので、その分応援のときの声をもっと大きくしたいです。グランドスラムを達成するためには、最初の春リーグで優勝しないといけないので、全員でしっかり勝ちにこだわって、全勝優勝できるように頑張りたいです。

(取材・編集 今山和々子)

※春季リーグ、インカレ、秋季リーグの三冠を達成することを『グランドスラム』と呼ぶ。

春季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!

◆阿部愛莉(あべ・あいり)(※写真左)

1996年(平8)12月6日生まれ。148センチ。B型。大阪・四天王寺高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・表。K-POPが好きだという阿部選手。試合前は聞きながらストレッチをやるのがルーティーンだそうです。

◆鎌田那美(かまだ・なみ)(※写真中央)

1997年(平9)11月27日生まれ。156センチ。O型。北海道・駒大苫小牧高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・裏。春休みのオフには、ダブルスを組んでいる金子選手と共に東京選手権の決起会としてパフェを食べにいったそうです。

◆金子碧衣(かねこ・あおい)(※写真右)

1997年(平9)12月19日生まれ。163センチ。O型。愛知みずほ大瑞穂高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・裏。試合のときはいつもチョコレートを常備している金子選手。鎌田選手とのパフェといい、甘党ですね。