座間市立市民体育館、通称スカイアリーナ座間。その名前にぴったりな快晴だったこの日、前日の涼しさとは異なり少し蒸し暑い体育館の中で関東学生新人選手権は行われた。早大からは前日の男子シングルス1回戦、女子シングルス2回戦を勝ち抜いた総勢16名が出場。12日から始まるリーグ戦でも対戦することになるだろう他大の選手たちをなぎ倒し、女子の部では笹尾明日香(社1=神奈川・横浜隼人)が見事優勝を決めた。また男子の部では五十嵐史弥(スポ1=石川・雄学館)が準優勝。さらに岩越帆香(スポ1=福岡・希望ヶ丘)、川上尚也(スポ1=静岡学園)もランク入りするなど、リーグ戦に向けて手ごたえ十分の結果となった。
先に試合が進んだのは女子の部だ。岩越は5回戦、日体大のカットマン・石田茜(1年)に苦戦を強いられる。ゲームカウント0-2となり迎えた落としたら終わりの第3ゲーム、仲間からの大きな声援を受け何とか拾ったものの、その後の第4ゲームを落としゲームスコア3-1で悔しくも敗退。準決勝へとコマを進めることはできなかった。一方、この日の笹尾は見るからに調子を上げていた。相手を自分のペースに引き込むと、そこからは得意のフォアドライブでどんどん攻めていく。4回戦では、前日のダブルス優勝者が相手だったが、臆せずゲームスコア3-1の快勝を見せた。「シングルスでは絶対に優勝したいという気持ちで戦いました」(笹尾)。一度もフルゲームに持ち込まれることのなかった笹尾は、準決勝も決勝もストレート勝ちを見せつけ、誰もが納得の優勝を果たした。
勝負強さを見せ、見事優勝を果たした笹尾
男子の部では川上と五十嵐がランク入りを決めた。準々決勝、川上は第1ゲームを11-6と差をつけて先制するも、その後は相手にじりじりと押されゲームスコア1-3で敗退。後半は連戦の疲れが見て取れた。勝ち進んだ五十嵐は、準決勝で川上の敗れた専大の小林准也(1年)と対戦。この日8試合目だったものの、それを感じさせない動きで相手を前後に振り勝利を収めた。同じく準決勝、隣のコートでストレート勝ちを決め決勝に進んだのは、なんと高校時代のチームメイトである明大の出雲卓斗(1年)であった。出雲との対戦は、決勝戦にふさわしい緊迫した試合となった。出雲の強烈なレシーブに対応できず2ゲームを連取されるも、続く第3ゲームは拾い試合をつなぐ。第4ゲームではどちらが勝ってもおかしくない16-14の大接戦を制し、決勝戦はフルゲームに持ち込まれた。前半は6-2と点差が開き、このまま五十嵐が逃げ切るかと思いきや、そう簡単には勝たせてもらえず。後半に失点を重ね9-11で敗北を喫し、惜しくも優勝を逃した。しかし五十嵐の顔は沈んでおらず、むしろ高校時のエースと良い勝負を行ったことに対し充実感を見せていた。
持ち味のパワフルな卓球で準優勝した五十嵐
今週末には春季関東学生卓球リーグ戦(春季リーグ戦)が開幕する。女子の初戦の相手は東京富士大、男子は駒大とどちらも強豪である。優勝するためには、ルーキーたちの活躍が必須だ。この日の結果は、ワセダに良い風をもたらすものになったことだろう。エンジの伝統を背負い始めるルーキーから、今後の試合も目が離せない。
(記事 今山和々子 写真 吉田寛人)
表彰式後の笹尾と五十嵐
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結果
▽男子シングルス
2回戦
〇五十嵐3-1窪田(慶大)
〇川上3-0板倉(千葉商科大)
〇泉3-2池之山(東洋大)
〇海崎3-1渡辺(明大)
〇飯沼3-0横田(白鷗大)
〇村上3-0小澤(大正大)
〇福田3―1新井(國學院大)
〇伊志嶺3―0西川(大正大)
〇廣田3―1飯島(東海大)
●青木0-3長山(白鷗大)
●巽0-3小久保(日大)
●内田0―3熊本(筑波大)
●漆畑―岡村(國學院大)
3回戦
〇飯沼3―2中村(専大)
〇川上3―1野口(専大)
〇福田3-1篠崎(東海大)
〇五十嵐3-0柳(國學院大)
〇村上3-0秋廣(駒沢)
●伊志嶺1-3林(明大)
●廣田0-3森廣(駒大)
●泉2―3遠藤(埼玉工業大)
●海崎1-3西村(駒大)
4回戦
〇川上3―1山口(日体大)
〇五十嵐3-2大畑(明大)
●福田2-3東(日大)
●飯沼0-3西(明大)
●村上1-3竹崎(明大)
5回戦(ランク入り決定戦)
○川上3-1吉田(中大)
○五十嵐3-0福山(日大)
6回戦
○川上3-1沼村(明大)
○五十嵐3-2蛭田(専大)
準々決勝
●川上1-3小林(専大)
○五十嵐3-1西(明大)
準決勝
○五十嵐3-1小林(専大)
決勝
●五十嵐2-3出雲(明大)
女子シングルス
3回戦
〇笹尾3-0柏木(国学院大)
〇岩越3-0藤倉(東京女体大)
●小笠原1-3土本(筑波大)
●須黒0-3杉本(青学大)
4回戦(ランク入り決定戦)
〇笹尾3―1中村(中大)
〇岩越3-0嶋津(大正大)
5回戦
〇笹尾3―0加藤(専大)
●岩越1-3石田(日体大)
準々決勝
〇笹尾3―1秋山(青学大)
準決勝
〇笹尾3―0梅村(中大)
決勝
〇笹尾3-0松岡(東京富士大)
コメント
▽男子
五十嵐史弥(スポ1=石川・遊学館)
――試合を終えたいまの気持ちは
大学生としては大きな舞台で試合するのは初めてだったんですけど、苦しい場面もあったのですが、自分の力を信じて最後までやれたのは良かったです。決勝では負けてしまったんですけど、高校の時の同期として今までにないくらい良い試合ができたので、悔いの残らない内容になりました。
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
自分のメンタル面で少し甘さが出てしまった部分があったので、リーグ戦ではそのような面を出したらすぐに負けてしまうので、自分に厳しく、もっとあと1週間練習して、リーグ戦に向けて頑張りたいと思います。
――きょうは9試合ありましたが、連戦の疲れはありましたか
いや、いまはないのですが、多分あしたあたりに(くると思います)。
――出雲さんとは高校のチームメイトでしたが、試合に臨むにあたって何か特別な思いはありましたか
高校を一緒に卒業して、大学に入って初めてあたった試合なので、絶対に勝ちたいという気持ちがありました。
――決勝戦の第3ゲームの時、9-10でタイムアウトがありましたが、そのときはどんな話をされましたか
自分のやることを監督と確認して…ここにきたらこう返して、ここにきたらこう返す、という感じで、自分の考えをまとめるタイムでした。
――リーグ戦までに直したい課題点はありますか
特にここといった点はないのですが、自分の攻める相手のコースとかをもう少し狙わせて、良いコース取りで戦えるように調整していきたいです。
――リーグ戦への意気込みをお願いします
リーグ戦で優勝するには、自分が勝たないとチーム的にも厳しいと思うので、1年生だからという気持ちではなく、最後のつもりで頑張りたいと思います。
▽女子
笹尾明日香(スポ1=神奈川・横浜隼人)
――ダブルスでは悔しい敗戦となりましたが、シングルスにはどのような意気込みで臨まれたのでしょうか
ダブルスは優勝を目指していて、しかも負けるとは思っていなかった相手に負けてしまったのが悔しくて、シングルスでは絶対に優勝したいという気持ちで戦いました。
――きょうの試合を振り返ってご自身の評価はいかがですか
始めの方は動きや感覚があまり良くなくて、探りながらのプレーだったんですけど、試合の合間に身体のコンディショニングを調整したり、試合の中で修正していけたので、準決勝、決勝はいいプレーができて良かったです。
――課題は見つかりましたか
バックの強化はずっと自分の中で課題にしています。この大会ではその他に、自分から攻撃できた時はいいプレーになるんですけど、攻められたり苦しい展開になった時に安定して入れることができなかったので、攻められた時にもなんとかしのいで得点できるようになっていきたいです。
――来週から始まるリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
リーグ戦では全勝してチームの優勝に貢献できるように頑張っていきたいと思います。