【連載】秋季関東学生リーグ戦直前特集 第5回 上村慶哉×竹岡純樹×坂内拓也

卓球ダブルス

秋季関東学生リーグ戦がまもなく開幕する。夏も前半戦が過ぎ、上級生である三人は今までの四年間を通して何を学び、何を後輩に託そうとしているのか。これまでの振り返りと共に、次への展望を聞いてみた

※この取材は8月28日に行われたものです。

「積極的に攻めていくことが必要」(上村)

このチームを引っ張る上村

――先日の全日本大学総合選手権(インカレ)ではベスト8に終わりました。この成績をどのように受け止めていますか

上村  上村 去年ベスト8だったのでベスト4のどこか一校には勝たないとベスト4には入れないと組み合わせで分かっていたのでその中で愛工大をくじで引いてまあそんなに悪くはないなと思ってたんですけど僕が一番でエース対決で負けてしまってそこが勝ててれば…っていうのはあります。

竹岡  後ろから見てたんですけど吉村和弘(3年)がずば抜けていましたけどそれ以外はあんまり、うちの選手も五分もしくはこっちのほうが勝ってるんじゃないかっていうのがあったのでエース対決では負けましたけどオーダーなんて外したり外さなかったりいろんな兼ね合いがあったので、1、2番はわかんなかったんですけどダブルス勝ってればとは後ろで見てて思いましたね。

坂内  インカレ現地行ってないので、試合内容はみてないんですけど、関東学生(関東学生選手権)でダブルス優勝していたので、ダブルスが大きい存在だとは思いました。

上村  ダブルスってはすごく大事なポイントだと思うので、秋リーグ戦では全勝できるようにしたいですね。優勝するためには全勝しなきゃいけないと思うので。

――上村選手にお伺いします。エース対決ということで吉村選手との対決はどのように感じましたか

上村  チキータレシーブとバックハンドが強烈な相手に対して自分がチキータをさせないような試合の取り組みをしていたんですけど、結局チキータされ、それに対して自分が全く対応することができなかったので、チキータを狙っていくという気持ちがあればもう少しいい試合ができたのかなと思います。

――愛工大と早大との差は何だと思いますか

竹岡  愛工大のほうが選手を盛り立ててたかなっていうのは思いますし、負けてても最初の一本目、監督コーチ陣全員揃って応援していたり、そういうところで気迫を感じたのでそういうところは差があったかなと思います。

坂内  愛工大は個のレベルがすごく高いチームですが、早大はそういうわけではないので、両方にいい悪いはあると思うんですけど比べる中で早大のいいところをもっと出していく必要があるんじゃないかなと思います。

――インカレ後、心境の変化はありましたか

上村  チキータを主軸として対戦してくる相手に対して少し苦手意識があったので、考え方や取り組み方を変える必要があると思いました。チキータをさせないようにするのではなくて狙っていくという考え方にしてから、大きい試合とかやってないのでどうなるかはわかんないですけど練習している感じではこわさっていうのが前よりは感じなくなりましたね。

竹岡  僕もチキータレシーブは皆さんうまいのでそこを僕は逆にサーブでうまい選手とかのチキータを外したりとか、サーブのトスを変えたり、早く出してみたりとか、そういうサーブを試してみたいなと思いますね。

坂内  チキータレシーブをしていく中でそれだけに対応するだけじゃ勝てないと思ったので、レシーブのバリエーションだったり、レシーブの後の三球目だったり、そういうところの対応力は少しずつ勉強していこうかなぁと思ってました。

――インカレ後、チームの方針転換はありましたか

上村  4年生で何回か話してみたんですけど、どうしても試合に出るメンバーだけで話が進んで行くことが多いので、試合に出れないメンバーにも共有したりとか、同じ目的意識を持つ考えをみんなで持ちたかったので4年生みんなで話して、積極的に質問があれば言ってきてほしいとか、こっちから意向とかっていうのは言うようにしましたね。一人一人課題は明確にしっかり言うようにしているので一人一人が意識を持っていう感じですかね。

――話は遡るのですが、春季関東学生リーグ戦では上村選手、竹岡選手ともに好調だったと思います。理由はありますか

竹岡  結構練習はやりこんでたよね。

上村  気持ちの強さがありましたね。年下と当たったら、なおさら負けてたまるかって感じでしたね。

竹岡  いや、全然違いますね(笑)そんな意識してなかったですけどやっぱり僕が勝つと負けるじゃあ、試合が長さが全く違うので、連戦の疲労をあまりためないためにも、勝たないといけないなと思っていました。

――今のチームの雰囲気はどうですか

上村  結構試合をやっていくにつれてよくなっていく人が多いんじゃないかなと思います。

竹岡  明るくていいチームだと思います。明るすぎてダメな時もあるんですけどみんな明るくしっかり取り組んでると思います。僕はやっぱり元気がないとだめだと思うので僕らのチームは明るさを秋に全面に出してやっていきたいと思いますね。

坂内  いい意味で自由なチームだと思っているので、その中での自分の役割だったりを各々がちゃんと理解してくれていると思っているので、リーグ戦とかになるとみんな力を出してくれるんじゃないかと思います。

「チキータに自分が対応していくだけではダメ。」(坂内)

一般入試組ながらリーグ戦の出場経験もある坂内

――秋季リーグ戦を前に、四年間を振り返ってどうですか

上村  1年生のころから僕はシングルス、ダブルスでずっと出していただいて、1年生の時はシングルスで勝てなくて、1年を通して負け越しだったんですけどそうやって我慢強く使っていただいたおかげで自分自身も、2年生の時にはタイトル撮れたりとか団体戦でもインカレで2位になったりとか、こういう経験ができたのも1年の時から使っていただいた監督さんだとか先輩のアドバイスとかがあってこそだと思います。本当に必要な四年間だったと思いますね。早大には一般生もたくさんいるので一般教養とかそういうのも、もっと勉強したほうがいいのかなとか絶対卓球だけやってたら考えないと思うので、早大に来てほんとによかったなと思いますね。

――入学当初思い描いていたものとはどうですか

上村  僕が思い描いていたのは本当に1年生の時から活躍できるもんだと思っていたので、本当になめていたというか。それで全く活躍できずにどん底まではいかないですけど、自分って本当に強くないんだなっていうのを感じました。本当に調子乗ってた自分が恥ずかしくて、そこからは真面目に考えながら、たまには食事のことを考えてみたりとか、普段絶対に本とか読まないんですけど、ちょっと本も読んでみたりとか変わろうという意識がちょっとずつ大学に入って芽生え始めていろいろと自分を変えてくれたと思いますね。

竹岡  どうですかね。僕も上村と一緒で1、2年は全然勝てなくて。でもどんだけ調子悪くても長山さん、コーチ陣は僕の名前を外すってことはなくて。正直試合出たくないって時期がちょっとありましたけどそんな時でも期待して長く使ってくれるっていうのは早大だけじゃないかなと僕も思うのでそこに関してはありがたかったです。負けてもOBの皆さんが優しい言葉かけてくださったりとか、ご飯つれてってくれたりとかいろいろそういうことをしてもらったので、自分もOBの立場になったらそういうことしなきゃなと思いましたね(笑)早大への愛はますます強まっています。

坂内  この二人とは入ってきた経緯が全然違うので、浪人してそこから早大で卓球がしたいって入ってきてほんとに最初の1年の春リーグなんてベンチに入れるか入れないかっていうようなところにいたので今こうやってリーグ戦とか出してもらえるなんて思っていませんでしたし、そういう中でもこういう強い同期と出会ったり先輩後輩がいてそういう人たちがいる一方で本当に卓球やりたいって一般入試で早大に入ってきてる人もいたりとか実績無いけど早大で卓球やりたいとか本当に、そういういろんな人たちがいる中で切磋琢磨できたっていうのはこうやって僕もリーグ戦に出させてもらったりとか監督、コーチ、OBの方々がすごく気にかけてくださったので恵まれた環境でできたからこそここまでできたんじゃないかと思いますし、逆に自分みたいに浪人して卓球部入ってきて、少しでもリーグ戦に出れた人がいるってことは部にとってもスポーツ推薦がどうしても主役になってしまうと、思うんですけどそういう人たちに少しでも影響を与えられるというか、高校の時は本当に自分のことしか考えってなかったんですけど、卓球的にも人間的にも少しは成長できたんじゃないかなと思います。

――同期の二人には負けないぞという気持ちがありましたか

坂内  最初はもう全然格上だったんで。今もそうなんですけど(笑)でも、負けないぞ。追いついてやる。ぐらいの気持ちでやってた自分もいますし、強い選手に囲まれてできたというのは今までなかった経験なので、すごく良かったなと思いました。満足してるかっていうと、100パーセントではないですけど、自分の中で1年生のときと考え方も全然違いますし、ワセダっていうのを1つのチームとして考えられるようになりましたし、その中で自分がどんな立場で、どういうことを引退間近になってチームに残せるかっていうことを考えるようになったというだけで1年生の頃と全然違いますし、本当に大学四年間で変わったなと思います。

――卓球部として1番印象深い思い出はありますか

上村  ここでは言えないこともたくさんあるんですけど(笑)

――では、担当を決めますか

竹岡  嬉しかった思い出担当で。僕は上村と二人で、春季リーグ戦の優秀選手賞とることができたのは嬉しかったですね。僕らを早大に推薦してくれた前の監督さんに恩返しできたという意味で、いい報告ができてよかったなって思いますね。飲みに連れてってくれて、祝杯をあげました。

上村  面白かった担当か…ちょっと裏エピソードがあるんですけど、僕が本当にやばいなと思ったターニングポイントなんですけど、1年生の秋リーグのときに、関東学生でもシングルスダブルスベスト4に入って、割と調子も良くてちょっと力ついてきたなって自分でも思ってたんですけど、初戦の法大戦で、ダブルスだったんですけど、本当に緊張しすぎて、大島祐哉(平28年卒=現木下グループ)さんと組んでたんですけどレシープミスを6本連続ぐらいでやって1人でミスばっかりして、その試合が終わった後大島さんにガチで怒られて、お前何してんのみたいな感じで、先生からしか怒られたことないんですけど、先輩からマジギレされてこれまじでやべーなって思って…。そこが1番自分の中でターニングボワイントです(笑)ブチ切れられた後に慰められたんですけど(笑)本当は後輩思いの先輩です。でも、その時はまじで怖ぇーなと思ったんですけど(笑)

竹岡  いやあ、あの人がおいしくなるみたいな話はやめよ(笑)結局、大島はいい先輩だったみたいになっちゃうから(笑)

上村  言い直します。その試合の後、個別に呼ばれて怒られて、その時はマジで怖かったです。しばらくは人と話す気も起きなくなるくらいでした。もう1人で帰ろうかなてと思って外に出たら、そしたら大島さんが帰るぞみたいな感じで、言ってくれてそっから慰めてくれました。「まぁ、そういう時もあるよ」みたいな感じで僕の機嫌をとってきましたね。

――坂内選手はこの四年間を振り返っていかがですか

坂内  本当に印象残ってるのは大学3年でリーグ戦出た時で、大学1年の頃からリーグ戦出たいリーグ戦出たいって言っててずーっと練習してきて、大学一年の時は全然出れなくて大学二年生の時に出れるか出れないかで、2年生は一試合も出れなくて、大学3年になって初めてリーグ戦に出て、出れたって気持ちももちろんあったんですけど、本当に全然雰囲気が違って、後ろで卓球部のみんながズラーっと見ていて、上にはOBがいてっていう中でコートがものすごく広く感じて、その時、今までレギュラーで出てきた人ってすげーなって思って、本当に自分のプレーができなくて、そこを目標でやってきてせっかく出れたのに何もできなくて、練習してきたのにこれかっていうのは悔しかったというよりは、どうすればいいんだろうと思いましたね。

上村  あ、ちょっと面白い話で、坂内の話を思い出しました(笑)1年前福島で合宿やったんですけど、後輩にちょっかいかけられていて、部屋で坂内めっちゃ怒って思いっきり蹴ったんですけど、足怪我して合宿に参加できなかったっていう…(笑)

竹岡  思いっきり振りかぶって蹴ったら空振りして壁蹴たよね(笑)

坂内  最後2日、練習やってない(笑)

――監督さんには自己申告されたのでしょうか

坂内  言った気がします(笑)そしたら、まぁそうか…みたいな(笑)

――お互い、1年生の頃と比べてどうですか

上村  1年生のときお互いのことあんまり知らないので、坂内は静かでこいつきれたら怖いなって思って(笑)僕1年生のとき、人のことおちょくって楽しんでたんですけど、坂内だけは怖くて(笑)

竹岡  坂内でけーなって思ってました(笑)

坂内  おれきれたことないじゃん。

竹岡  壁蹴った時だけな(笑)

坂内  僕は逆に、なんだこいつらって思いましたね(笑)最初入った時、3月末ぐらい初めて練習来たら、もうなんかやたらと先輩と馴染んでて1年なのに部の中心なんじゃないかっていう感じで。でも、1年の頃から普通にいいやつでした。

――坂内選手はも春、上村選手のことべた褒めでしたよね

坂内  試合とかでプレーで見せてくれて、あんまり言葉では言わないですけど、チームの主将として信頼は厚いですし、その信頼もこの1年で高まってるんじゃないかと思います。

竹岡  明治のときとかもしっかり1番で勝ってくれて、龍崎とか経歴とか上村よりも上だと思うんですけど、そういう中でもキャプテンが勝ってくれて、あんまり言葉では言わないですけど、その辺はリーダーっぽいですね。

たくさんの人に支えられた四年間だった。(一同)

リーグ戦では冷静沈着なプレーで試合を締める竹岡

――人生最後のリーグ戦ということで、4年生として意識していることはありますか

上村  試合の前は、基本的に相手がどう言う選手かとか自分が分かる範囲で教えてあげるだけですかね。平野(晃生、スポ3=山口・野田学園)とかはたまにこういうときどうしたらいいんですか。って聞いてくるんで、その時は自分が思ってること答えたりとか。

竹岡  後輩には自分が試合見て思うこととか、を伝えるようにしています。なかなか自分の試合を見る機会があいつらもなかなかなくて、僕もそうですけど、中高コーチがいて、大学は職を持ちながら見てくれているので、僕が代わりに見て気づいたことは言うように心がけていますね。

坂内  リーグ戦試合出るの6人とかなんですけど、部員はもっといるわけで、試合に出る人とでない人でモチベーションが違って、それはしょうがないと思うんですけど、その中でもみんなで優勝目指せるように普段の練習から頑張ったりっていうのはしなきゃいけないし、4年生の中でそういう雰囲気を作れるようにっていう話はしましたね。

――最後の秋季リーグで観客の皆さんに見てもらいたいプレーはありますか

上村  最後まで諦めずに気持ちを前面に出して、粘り強さだったり最後まで諦めないプレーを見てほしいです。

竹岡  あんまり言われないんですけど、記事で書かれるような仕事人みたいなプレーですかね(笑)

坂内  僕らが入部してからまだリーグ戦一度も優勝してないので、僕らも最後まで諦めず粘り強くやることが大切だと思うので、最後まで自分も粘り強くやろうと思っています。後輩に、自分たちの気持ちを感じてもらえればなと思います。少しでもいい順位で後輩につなげてあげられたらなぁと思います。

――次の大会で対戦を楽しみにしている、選手・チームはありますか

上村  専修の田添健汰(4年)くんと、試合したいなと思いますね。最近国際大会でも活躍してて、勢いのある選手ですし高校を共に過ごした仲間でもありますし、最後はやっぱりいい試合をしたいと思いますね。

竹岡  専修大学や明治大学は対戦を楽しみにしてますね。やっぱり、青森山田でやってた選手も多いですし、専修大学には春勝てなかったので、そん時僕たちは出れなかったので、僕たちがでてやりたいなっていうのはありますね。

坂内  僕自身は任された試合をやるだけなので、チームとしては明治と専修大学は1年間リーグ戦で対戦してきて、本当に2位とか3位になって最後は優勝したいという気持ちが自分としてもチームとしてもあるので頑張りたいですね。

――最後に秋季リーグの意気込みを教えてください

上村  個人の結果というよりは、みんなで優勝できれば最高なので、優勝してOBの方や監督、コーチにも恩返しできるかなと思います。

竹岡  結果で恩返しするしかないと思うので、みんなと喜びを分かち合えればなと思います

坂内  本当にこの四年間、いろんな人に恵まれて、助けられてここまでやって来れたので、そういう人たちに最後に感謝の気持ちというのを示せたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 佐藤萌)

※春季リーグ、インカレ、秋季リーグの三冠を達成することを『グランドスラム』と呼ぶ。

秋季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!

◆上村慶哉(うえむら・けいや)(※写真)

1995(平7)年7月24日生まれ。166センチ。B型。福岡・希望が丘出身。スポーツ科学部4年。左シェーク裏・裏。この夏は甲子園に熱中。そんな上村選手も、熱戦続きの中、リーグ戦連勝記録を続けてくれるでしょう!

◆竹岡純樹(たけおか・じゅんき)(※写真)

1995年(平7)8月15日生まれ。174センチ。O型。青森山田高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。この夏は甲子園で母校を応援。上村選手と一緒に連勝記録を伸ばしてくれるはず!

◆坂内拓也(ばんない・たくや)(※写真)

1994(平6)11月13日生まれ。186センチ。A型。東京・実践学園高出身。スポーツ科学部4年。左シェーク裏・裏。夏休みは男6人で鎌倉へ行き、由比ヶ浜で3時間遊び、しらす丼を探し求めた坂内選手。後輩へ逞しい後ろ姿を見せてくれる先輩です。