組み始めてまだ日が浅い主将・ルーキーペアが、早大勢としては8年ぶりの快挙を達成した。関東学生選手権(関東学生)の1日目。この日は男女ダブルスと男女シングルスの1回戦が行われた。男子ダブルスでは、上村慶哉主将(スポ4=福岡・希望が丘)・緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)組が見事に初優勝。決勝で、前回負けていた相手を倒しての栄冠だった。男子の好成績とは対照的に女子ダブルスはベスト16止まり。物足りない結果となり、シングルスでの挽回に期待することとなった。
二人は飛び上がり、利き腕をクロスに合わして喜びを表現する上村(左)・緒方組
尻上がりに調子を上げ、決勝で今日一番のベストパフォーマンスをみせた。4月から組み始めた上村・緒方組の決勝は、坪井勇磨・三浦健太郎(筑波大)組が相手。先月の春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)では、苦杯を舐めさせられた。しかし、それを物ともせず、今回は圧倒。満足のいく最高の試合展開に、試合後の上村と緒方は、ご満悦だった。試合は終始、上村・緒方組が主導権を握った。レシーブからの4球目攻撃やチキータが効果的に決まり、得点を量産。1ゲームは取られたものの、二人のプレーは安定しており、見ていて危なげないものだった。春季リーグ戦からの急成長ぶりに、坪井・三浦組も対応し切ることが、できなかったようだ。そして、優勝の瞬間、二人は飛び上がり、利き腕をクロスに合わして喜びを表現した。
関東制覇を成し遂げた上村・緒方組だが、実は先月の春季リーグ戦では3勝4敗と負け越している。お世辞にも、優勝候補とは言えない存在だった。それがなぜ、今回は優勝できたのか。実は、春季リーグ戦後の上村・緒方組は、徹底的にダブルス強化に取り組んでいた。「インカレ(全日本大学総合選手権団体の部)や秋季リーグ戦では、もう絶対に落とせない」という二人の強い危機感から特訓がスタート。普段は大会直前にするダブルスの練習を約2カ月間毎日、練習の中に組み込んだ。約1時間半ほどの練習で、主に戦術や技術面の改良に着手。まずは、春季リーグ戦ではワンパターンになっていた得点の軸をできる限り増やした。そして、共に課題としていたレシーブ精度の向上に、先手先手に動けるよう二人の動きも確認。それが上手く成果として今大会の成績に現れた。あまりに出来すぎた結果に驚いている部分もあったが、「勝てない相手ではないと思っていた。自分たちの力を出せれば優勝できると思っていた」(緒方)と本人たちは当然の結果だと言う。そんな二人はまだまだ先を見据えているようだった。しかし、2カ月間でこの成長ぶり。二人の今後に、期待せずにはいられない。
二人の今後に注目だ!
あすからは男女シングルスが本格的に始まる。男子ダブルスの優勝とは対照的に、女子ダブルスはベスト16止まりと元気がない。シングルスでは、阿部愛莉(スポ3=大阪・四天王寺)が昨年度のチャンピオンであるだけに、何としても挽回したいところだ。男子部も「今大会は僕と緒方にしか、二冠のチャンスはない。何としても、僕が二冠達成を果たしたい」と上村が意気込んでおり、単複での快挙に期待が高まる。あす以降も、早大勢の活躍を見逃すな。
(記事、写真 本田京太郎)
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結果
▽男子ダブルス
1回戦
○上村・緒方組(不戦勝)
○竹岡・硴塚組(不戦勝)
○平野・葉波組(不戦勝)
○中窪・飯沼組3―0福田・小川組(慶大)
●泉・海崎組2―3藤本・橋本組(駒大)
○小川・廣田組3―2長田・飯塚(東洋大)
○内田・松原組3―0中山・萩原組(創価大)
○山下・漆畑組3―2荒木・宮崎組(明大)
●巽・青木組1―3東・石澤組(日大)
○伊志嶺・村上組3―0前野・菊池組(東洋大)
○坂内・村山組3―1佐々木・本宮組(大正大)
●吉田・清水組1―3松澤・三井組(明大)
2回戦
●小川・廣田組0―3鎌田・稲津(明大)
●内田・松原組0―3郭・龐(埼玉工大)
●山下・漆畑組0―3高取・青山組(法大)
●伊志嶺・村上組1―3水谷・二木組(駒大)
○上村・緒方組3―1小澤・條組(大正大)
○竹岡・硴塚組3―1宇根・松井組(国学院大)
○平野・葉波組3―1西村・佐藤組(立大)
○中窪・飯沼組3―1東内・田中組(東洋大)
○坂内・村山組3―1吉松・加藤組(日大)
3回戦
○上村・緒方組3―2永安・倉組(日大)
○竹岡・硴塚組3ー1吉田・田口組(日大)
○平野・葉波組3―0福田・相馬組(日大)
●中窪・飯沼組0―3渡部・古市組(明大)
●坂内・村山組1―3村田・原田組(筑波大)
4回戦
○上村・緒方組3―1梅崎・片岡組(筑波大)
○竹岡・硴塚組3ー1長門・森屋組(埼玉工大)
●平野・葉波組2―3高橋拓・高橋徹組(中大)
●坂内・村山組1―3村田・原田組(筑波大)
5回戦(ランク入り決定戦)
○上村・緒方組3―1一ノ瀬・高杉組(中大)
●竹岡・硴塚組2ー3周・春日組(日大)
準々決勝
○上村・緒方組3―2大塚・高杉組(日大)
準決勝
○上村・緒方組3―0田添響・田中組(専大)
決勝
○上村・緒方組3―1坪井・三浦組(筑波大)
▽男子シングルス
1回戦
●青木2―3可可(東洋大)
●清水0―3三谷(法大)
●飯沼0―3詫間(日大)
●吉田0―3佐々木(千葉商科大)
●泉2―3野口(専大)
●内田0―3青木(獨協大)
○松原3―0川村(専大)
○廣田3―0瀬谷(法大)
○小川3―2相沢(大正大)
○中窪3―1川崎(日大)
○村上3―0林(大正大)
○巽3―2長島(千葉商科大)
○漆畑3―0野口(埼玉工大)
○山下(不戦勝)
○村山(不戦勝)
▽女子ダブルス
1回戦
○深澤・小笠原組3―0関・山谷組(東女体大)
●伊藤・須黒允組0―3上村・高原組(日大)
○加藤夏・板尾組3―1中原・田添組(東京富士大)
○須黒香・渋谷組(不戦勝)
○鎌田・金子組(不戦勝)
○阿部・徳永組(不戦勝)
○田中・加藤結組(不戦勝)
○鳥屋・林組(不戦勝)
2回戦
●須黒香・渋谷組0―3松本・佐野組(国学院大)
●加藤夏・板尾組2―3大家・田中組(専大)
○鎌田・金子組3―0一ノ瀬・鈴木組(青学大)
○阿部・徳永組3―0竹崎・岡田組(慶大)
○田中・加藤結組3―0吉良・山本組(大)
○鳥屋・林組3―2梅森・西川組(日大)
○深澤・小笠原組(不戦勝)
3回戦
●田中・加藤結組1―3湯本・柴田組(大正大)
●鳥屋・林組2―3望月・髙東組(筑波大)
●深澤・小笠原組0―3伊藤・瀬山組(中大)
○鎌田・金子組3―0牧之内・堀組(専大)
○阿部・徳永組3―0滑川・星組(東京富士大)
4回戦(ランク入り決定戦)
●鎌田・金子組2―3奥下・小室組(日大)
●阿部・徳永組0―3秋田・森田組(中大)
▽女子シングルス
1回戦
●荒井0―3嶋崎(国学院大)
○林3―0西川(日大)
○渋谷(不戦勝)
●小笠原1ー3村田(東京経済大)
○加藤夏3ー0神田(東京経済大)
○深澤3ー0野沢井(東洋大)
○鳥屋3ー0鈴木(日女体大)
コメント
▽男子
上村慶哉主将(スポ4=福岡・希望が丘)・緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)組
――優勝おめでとうございます。率直な感想を教えてください
上村警戒していたペアが棄権したり、予想外のこともあったのですが、一戦一戦、気を抜かないことを意識してプレーしていました。
緒方ベスト8が目標でした。ベスト8が決まってからは、いい意味で力を抜いて試合ができたので、二人ともいいプレーができました。
――優勝に対しての評価を教えてください
上村春季リーグ戦では負け越していたので、どうなるかなと思っていました。でも、対戦していて勝てない相手ではないなと感じていたので、しっかりと勝てたのは良かったです。春季リーグ戦を終えて、すぐにあるインカレ、秋季リーグ戦ではもう絶対に落とせないという思いがあったのでダブルスを強化してきました。それが、優勝という結果になって、良かったです。
緒方決勝以外は対戦したことのない相手でした。決勝は春季リーグ戦で負けていた相手だったんですけど、どんどん僕たちの調子が上がってきて、いいプレーができました。
――春季リーグ戦後に取り組んできたことについて教えてください
上村僕たちは長年組んでいるペアと違って、組み始めて日が浅いので、得点パターンが少ないです。なので、そのパターンをできる限り増やすようにしました。特に、僕と緒方はレシーブを苦手としていたので、そこからの展開で得点できていませんでした。レシーブからの得点パターンを確立できたのが大きいです。
緒方春季リーグ戦を終えてから、関東学生まで毎日、約2時間練習してきました。
上村こいつ盛ってます(笑)。最短で45分くらいの日もあったから(笑)。
緒方すみません。盛りました(笑)。でも、上村さんが言ったように、この大会では、これまで練習してきたことがしっかり生かせました。新しいパターンで何点も得点できたので、インカレに向けて自信になりました。
――逆に、課題はありましたか
上村そうですね。やはり、出だしの悪さが課題ですね。インカレだと試合数が少ないのですし、これからは短期間の中でいかに自分たちの強みを出せるかが重要になってくると思います。
――シングルスに向けて、目標と意気込みを教えてください
上村この結果で、二冠取れるのは僕と緒方だけなので、決勝で緒方を倒して二冠の快挙を達成したいと思います。
緒方僕も二冠を勝ち取りたいです。でも、決勝で慶哉さんと対戦することになったら譲りたいです。嘘です(笑)。優勝します。