【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集『Never Stop,Never Settle!』 第1回 硴塚将人×緒方遼太郎×加藤結有子

卓球ダブルス

 春季関東学生リーグ戦直前特集『Never Stop,Never Settle!』第1回は硴塚将人(スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)、緒方遼太郎、加藤結有子(ともにスポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)。下級生でありながら早くもチームを担う三人だが、その言葉には重責すら力に変える気概が満ちていた。海外遠征やエリートアカデミーでの選手生活、来る大一番への意気込みを聞いた。

※この取材は4月28日に行われたものです。

「海外遠征は30回くらい」(加藤結)

緊張しながらも、丁寧に取材を受けてくれた三人

――新年度が始まりましたがいかがですか

硴塚 1年間で大学の流れや授業のやり方に慣れて、1年生の終わりくらいから少しずつ結果が出てきたかなと思います。

緒方 高校よりも充実した毎日を送れています。バレーとバスケの実習が楽しいです。

加藤結 環境が変わったので最初は慣れなかったんですが、今は毎日楽しく過ごしています。

――冬から春にかけて強化してきたことはありますか

硴塚 授業が終わって春休みに入ってからは試合が多かったです。2月の終わりから3月の初めまでずっと試合で、いい結果だったり悪い結果だったりしたんですけど、そこで出た反省点をもとにして3月下旬にあった合宿では追い込みました。

緒方 僕は全日本(全日本選手権)が終わってからは休養で1週間くらい練習しませんでした。遠征が1カ月くらいあったのと引っ越しもあって。思うようには練習できませんでしたが、大学に来てちょっと落ち着いてからは春季リーグ戦(春季関東学生リーグ戦)に向けて頑張ってます。

加藤結 フォアハンドを強化しています。いつもちゃんと練習しているんですけど、試合が2月に終わってまた課題が見つかったのでもっともっと安定させられたらと思います。

――加藤選手は田中千秋女子主将(スポ4=愛知みずほ大瑞穂)とのダブルスが好調と聞きました

加藤結 田中さんが私の長所を生かしてくださるのですごく組みやすいです。毎日練習しているのでだんだん二人の息が合ってきているので、大丈夫だと思います。

――新入生のお二人は練習の場所も仲間も変わりましたがどう感じていますか

緒方 練習は楽しく真剣にやってます。前まではコーチもいたので受け身の感じがあったんですけど、今はリーグ戦に向けて自分たちでやらないといけないので、コーチがいない中で自分たちで練習しています。

加藤結 緒方くんが言ったように自分も楽しく練習しています。

――自主練習もしていますか

緒方 やってない・・・。

硴塚 いや、規定練習終わってからもこいつはけっこうやっています。

――他の選手からも緒方選手が真面目だという話が出ています

緒方 みんなけっこう言ってると思うんですけど、デマです(笑)。

一同 (笑)

――コーチに指導されるのと自分で考えて練習するのではどちらの方が向いていると思いますか

緒方 こっちの方が向いてますね。そういうのも含めてワセダに行きたかったので。

――加藤選手も早大を選ぶ上で自主性は大きなポイントでしたか

加藤結 そういう部分もあります。

――硴塚選手から見て新入生のお二人の姿はどう映っていますか

硴塚 去年とはチームの状況も全然違うんですけど、去年は大変な時でした。自分は絶対に勝たなければいけないというプレッシャーがあって、それに負けてしまって個人的には良くない結果になってしまいました。ことしはチーム状況が変わって、他大を見るとワセダが上位に食い込む可能性もかなりあると思います。新入生二人は戦力になっています。

――緒方選手、加藤選手は新戦力として期待されているのですね。緒方選手は昨秋から参戦したドイツ・ブンデスリーガでのプレーを振り返っていかがですか

緒方 練習して週末に試合をして課題が見つかってまた1週間練習して。いろいろこうやってみようと繰り返しできたし、ずっと練習して自信をつけてもいざ試合になったらできないということが多かったので、いっぱい試合をして試合勘の点ではいい経験になりました。団体戦なので、応援の声も日本より大きくて。それはリーグ戦にも通じる部分なので、いい経験ができたと思います。

――応援の大きさでプレーが左右されることはありますか

緒方 団体戦は嫌いではないです。もちろんアウェーの観客の方が多ければいらいらすることもありますし、(ドイツは)日本より暴言とかもけっこう言うのでそこで冷静に試合しようとしたことはいい経験になったと思います。

――平日練習、週末試合というサイクルははまっていましたか

硴塚 体力的にきつかったんですけど、自分が思ったより勝てて、その後の全日本もいい感じでいけたので良かったと思います。

――大学生として初めて出場した亀田オープンはいかがでしたか

緒方 関東の学生は出てなかったんですけど、リーグ前だったのでリーグにいい流れでつなげられるような試合をしたいと思っていました。決勝(硴塚選手と対戦)は物足りなかったんですけど。

硴塚 (笑)

――加藤選手は昨年2月のフランスジュニアで優勝しました。国際大会の経験は個人戦においての自信になりましたか

加藤結 自信ですか!?(笑)試合にはけっこう出させていただいて、そこで課題が見つかってまた出させていただいての繰り返しなので、それはすごく自信になりましたね。

――国際大会に初出場したのはいつですか

加藤結 小学6年生の時に香港ジュニアサーキットという大会に出ました。6年生はその1回だったんですけど、中学1年生からJOCエリートアカデミーに入って、そこからはたくさん行きましたね。

――何回くらいですか

加藤結 30回くらいですね。

――英語も話せますか

加藤結 英語は単語をつなげたりジェシチャーしたりしてコミュニケーションを取ってました。何回も行って慣れてはいるのでたぶん大丈夫だと思います。

――エリートアカデミー出身ということで団体戦の経験は少ないと思いますが、リーグ戦が目前に控えています

加藤結 団体戦は少ないので緊張しています。海外の試合では団体を組んだりするんですけど、日本の試合ではあまりないので。

――団体戦のプレッシャーかかる場面で自分のプレーをする自信はありますか

加藤結 まあまあですね(笑)。

――硴塚選手も海外遠征が多いですよね

硴塚 高校時代に比べると回数は減っていますし、(海外遠征には)慣れました。

緒方 強かったもんね。エースだったんです。アカデミーの中でも群を抜いて強かったです。

硴塚 らしいです(笑)。

――2月にスウェーデンで開催されたサーフィール国際オープンではU18男子シングルス2位でした

硴塚 神奈川選手権でもシングルス決勝まで進んでいて、厳しい試合も何試合かあったんですけど調子も良かった勝ち上がれました。日本の他大の選手と当たっても勝つことが多かったので、その点は自信になりました。

――2回戦敗退となったITTFチャレンジ・タイオープンを振り返っていかがですか

硴塚 サフィール国際オープンと違って世界ランクが出場に関係してくるので、レベルも全然違いました。久々にトップクラスの選手と試合をして実力はまだまだだなと思いました。

――海外の選手と対戦して足りないと思ったものは何ですか

硴塚 パワーが全然違って。戦術や試合の進め方も全然違って自分より相手の方が手数が多かったです。一つの作戦がだめでもどんどん次の作戦に切り替えていて、自分はそれに追いついていけなかったり、その面で差が出ていたと思います。

――海外での試合を経て成長しましたか

硴塚 自分の力になっていると思います。

「外出は7時半まで」(緒方)

ルーキーでありながら緒方の実力はチームトップクラス

――ここからは3人が所属されていたJOCエリートアカデミーに話題を移したいと思います。エリートアカデミー時代から会話する仲でしたか

硴塚 人にもよりますが男女はあまり話しませんね。

緒方 練習場は同じなんですけど、練習時間がちがったりするんで。

――緒方選手と硴塚選手は仲良かったのでしょうか

硴塚 いやそんなに(笑)。

緒方 そう思われてたならちょっと残念ですね・・・(笑)。

加藤結 (笑)

――硴塚選手が緒方選手をワセダに誘ったのですか

硴塚 たまたまだよね。僕は何回か練習に来てみて、(ワセダは)雰囲気も良かったし、他の大学だったら卓球強い人ばかりが集まったりしていましたが、ここだったら一般生も多くていろいろな人と触れ合えるかなと思いました。あと上村くん(慶哉、スポ4=福岡・希望が丘)もいたので入りやすかったです。

緒方 かっこいいなと思っていました。卓球王国とかで小さい頃ワセダが強かったのを知っていたので、明確に入りたいとは思っていなかったんですけど、大学と言われたらワセダに行きたいなとずっとぼんやり思ってました。

加藤結 私は高いレベルでの文武両道をしたくて。志望したのは高校2年生くらいですね。ほかの大学も考えたこともあったんですけどやっぱり早稲田大学が良くて。

――エリートアカデミー時代の思い出はありますか

緒方 ルールが厳しかったですね。規則がとても多いです。外出は7時半まで、中学生は6時半です。

硴塚 僕が入った中1の頃は6時でしたね。

――何時まで練習していましたか

硴塚 食堂が9時までなので9時ちょっと前までやっていましたね。平日は4時間くらいで、今と比べるとちょっと高校時代の方が長かったかなというくらいです。

――味の素ナショナルトレーニングセンターは設備が整っていますが、特別な練習はありましたか

硴塚 台を2台つなげてコーチの球出しで多球練習していました。

緒方 たまにウエイトトレーニングをした後にプールで泳いだりもしました。

加藤結 ウエイトトレーニングは女子もやっています。

――練習メニューを決めるのは誰ですか

硴塚 基本コーチが決めていました。

――コーチは何人いますか

緒方 最近増えましたね。

硴塚 2、3人に1人コーチがついていたんですけど、最近アカデミー生が少なくなったので担当コーチのように一人一人見てもらってました。コーチがつききりの練習もありましたし、他の選手と練習しても1球2球やったらすぐコーチからアドバイスをもらってました。

――エリートアカデミーには張本智和選手(エリートアカデミー)や平野美宇選手(エリートアカデミー)など有名な選手も多く所属していますが一緒に練習していましたか

硴塚 僕はやっていないですけど、緒方は高2、高3くらいでナショナルチームの候補に入っていたのでやっていました。

緒方 ナショナルチームで人が足りないと呼ばれます。

硴塚 基本は(練習は)別々です。

――女子はどうでしたか

加藤結 いや、していなかったです

――平野選手はアジア選手権優勝で話題となりましたが、張本選手含めエリートアカデミー出身の選手の活躍をどう感じていますか

硴塚 すごいなと思います。この二人後輩なんだ、頑張ってんなって。張本とはけっこうしゃべるし仲良いんですけど、会ったら頑張れよって言いますね(笑)。

緒方 1年間張本とは一緒でした。平野さんとも一緒か・・・。男女ではそんなにしゃべらないというかしゃべる暇がなかったですね。

硴塚 タイミングが合わないんですよね。

緒方 こんな(ワセダのような)感じじゃないんです。練習場内で別々でやっていて、荷物置くところも離れていて休憩のタイミングも合わないし。

硴塚 食堂でちょっとしゃべるくらいです。

「強いワセダの原点になりたい」(硴塚)

全日本でランク入りを果たすなど、波に乗っている硴塚

――ここからは春季リーグ戦についてお聞きします。硴塚選手は2度目の春季リーグですね

硴塚 1年生のときは自分は新人ということで雰囲気とか分からなくて。勝率も7勝6敗でいいというほどでもない数字だったので、ことしはチームに貢献するために勝ちにいきます。

――自信はありますか

硴塚 1年目よりはあります。全日本とかサフィール(サフィール国際オープン)とかの結果も踏まえて。

――新入生のお二人はいかかですか

緒方 僕自身はどうなるか全然分からないですが優勝したいです。個人成績より優勝できたらと思います。

加藤結 自分も初めて出るので分からないんですけど楽しみです(笑)。初めてなので思い切って試合ができるなと。団体戦なので若干緊張はするんですけど、楽しみの方が大きいです。

――加藤選手は初めてのことも楽しんでやれるタイプなのですか

加藤結 最初は楽しみと思ってるんですけど、いざコートについたらちょっと楽しみじゃなくなっちゃいますね(笑)。

――チームでの自身の役割は何だと考えていますか

硴塚 自分が必ず点を取らないと優勝はまず無理だと思うので、一戦一戦出た試合は勝ちに行きたいと思います。

加藤結 もし出る機会があったら勝ちに行きたいと思います。

緒方 僕は1年生なのでとりあえず元気よくやらないといけないと思ってます。試合の時あまり声を出す方じゃなかったんですが、逆にそこで声を出したら相手もびっくりすると思うので、ちょっと一発やってやろうかなと思います。

硴塚 頼もしいです(笑)。1点は計算してますから。

緒方 それはやりづらいです(笑)。

――リーグ戦での目標を教えてください

硴塚 リーグ戦はもちろん優勝を目指していきたいですし、個人的には優秀選手賞を取りたいと思ってます。

緒方 僕は出た試合は全勝したいです。特にメイジ、専修が格上の人もいっぱいいて強いですが、そこで勝てたら優勝に近づくと思うので特に勝ちたいですね。

加藤結 リーグ戦で優勝することはもちろんなんですけど、もし試合に出たらダブルスでもシングルスでも勝ちたいです。

――対戦を楽しみにしている選手はいますか

硴塚 誰とかは特にないですけど、明大、専修といった優勝争いをしそうなところには勝ちたいと思います。

緒方 アカデミーの先輩とやりたいです。松田さん(尚樹、駒大)とか大塚さん(大寛、日大)とやりたいです。

――なぜですか

緒方 違うユニホーム着てやっているっていうのが、面白そうだなと。

――全日本選手権で勝利した森薗政崇選手(明大4年)についてはいかがですか

緒方 (勝ったのは)たまたまだと思います。その前の試合はけっこうボコボコにやられてて。リーグ戦だからわからないですけど。

――対策を立てている選手はいますか

硴塚 特にないですけど、どちらかというと勝たなければいけない格下のチームは逆に緊張しちゃうので、そういったところでしっかり勝ちたいです。きょねんはころっと負けてしまったりしたので。格下には確実に勝てるようにしたいです。

加藤結 警戒してる選手はいないですけど、アカデミーの先輩には当たったら勝ちたいです。谷岡さん(あゆか、日体大4年)や森田さん(彩音、中大2年)ですね。

――ワセダのキーパーソンは誰だと思いますか

加藤結 阿部愛莉(スポ3=大阪・四天王寺)さん、徳永美子(スポ3=福岡・希望が丘)さんですね。

硴塚 俺は緒方ですね。しっかり取りこぼしなく取ってくれるだろうと思ってます。

緒方 葉波(啓、スポ1=山形・鶴岡東)と晃生さん(平野、スポ3=山口・野田学園)です。僕はインターハイに出ていなくて大学生だと誰に勝って誰に負けるか予想がつかないので、葉波にはいっぱい勝って欲しいです。晃生さんは波があるとは思うので、うまく勝ってくれればと思います。

――自分のどんなプレーを観客に見てほしいですか

硴塚 普段の練習を適当にしているように見られちゃうので、リーグ戦の大事なところでしっかりやって「こいつやる時はやるんだな」とそういう印象を与えたいです。

加藤結 元気にプレーしているところをみんなに見ていただければといいなと思います。

緒方 あいつ吠えるんだって思ってくれたら狙い通りです。

一同 (笑)。

――リーグ戦に向けて一言意気込みをお願いします。

加藤結 チームの優勝に貢献したいと思います。

硴塚 最近ワセダの男子はリーグ戦優勝の経験がないので、ことしは春秋優勝してこれを機にワセダが常に1位なんだというその原点になりたいです。

緒方 みんなちょっと頼りないので、僕が2、3、4年生を引っ張っていけるように、いや引っ張っていくので、優勝して僕の存在を知らしめたいです。

硴塚 かっこいいな(笑)。

――ありがとうございました!

(取材・編集 本田京太郎、曽祢真衣)

※春季リーグ、インカレ、秋季リーグの三冠を達成することを『グランドスラム』と呼ぶ。

春季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!

◆硴塚将人(かきつか・まさと)(※写真中央)

1997(平9)年10月6日生まれ。168センチ。AB型。東京・JOCエリートアカデミー出身。スポーツ科学部1年。左シェーク裏・裏。休日は部員の家で鍋パーティーをしているとのこと。好きな部員宅は緒方選手、小川遥太選手(スポ2=神奈川・三浦学苑)

◆緒方遼太郎(おがた・りょうたろう)(※写真左)

1998(平10)年4月14日。175センチ。AB型。東京・JOCエリートアカデミー出身。スポーツ科学部1年。右シェーク裏・裏。趣味を見つけたいという緒方選手。今は温泉旅行に行きたいそうです

◆加藤結有子(かとう・ゆうこ)(※写真右)

1999(平11)年1月19日。162センチ。O型。東京・JOCエリートアカデミー出身。スポーツ科学部1年。左シェーク裏・裏。音楽を聴いてリフレッシュしているという加藤選手は乃木坂46ファン。好きなメンバーは齋藤飛鳥