「ワセダを全国に広めたい、という思いで参加している」(阿部一博男子コーチ、平成19年卒)。新潟県の卓球選手との交流を目的に男子4人、女子2人が亀田オープンにエントリー。出場した6選手全員がベスト8以上に勝ち残り、懸命なプレーで大会を盛り上げた。特に、緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)と鎌田那美(スポ2=北海道・駒大苫小牧)が男女でアベック優勝を達成し、男子はベスト4に3人も名を連ねるなど、ワセダは大活躍。招待選手としての仕事を全うして見せた。
ルーキー離れした戦いぶりだった。今大会を通して落としたゲーム数はたったの3つ。リードを許した場面も準決勝の一度だけだ。それに、緒方はドイツ・ブンデスリーガの試合から帰国したばかりで、「時差ぼけが多少ある」というコンディションの中での試合だった。そんな厳しい状況中での、この戦いぶり。末恐ろしいの一言に尽きる。中でも圧巻だった試合は先輩である硴塚将人(スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)との決勝戦だ。ラリー戦になると強みを見せる硴塚に本領を発揮させず、チキータや精度の高い両ハンド攻撃で主導権を渡さなかった。試合中、硴塚に「強すぎる」と言わしめるほどの圧倒的な強さで、優勝を成し遂げた。
緒方は新人離れした戦いぶりで見事に優勝
女子シングルスでは2年連続でワセダが優勝を飾ることとなった。前回大会の徳永美子(スポ3=福岡・希望が丘)に引き続き、今大会を制したのは鎌田だ。一時は窮地の立たされた準々決勝を粘り勝って、決勝までやってきた。そして、地元が同じで、お互いに手の内を知り合っている相手との対戦だけに、決勝も「苦しかった」と振り返る。2ゲームを先取するも相手の猛追にあい、すぐにフルーゲームとされてしまった。「どうしようもない状況だった」。しかし、絶体絶命の場面で繰り出した回転サーブが功を奏す。「これまでとは違う戦い方ができた」と最終ゲームで主導権を握り返し、見事に優勝をつかんだ。
厳しい試合を乗り越え、優勝を果たした鎌田
準決勝で硴塚に負けてしまったが、葉波啓(スポ1=山形・鶴岡東)の活躍も目覚ましいものだった。0ー2と早々に追い込まれる絶対絶命の場面から、硴塚に追いすがり、2ゲームを連取。相手の優位のラリー戦にも、打ち負けない場面が多々あった。ことしも頼もしい新人がワセダに加入してくれたようだ。チームはあと10日で春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)開幕を迎える。オープンではあったが、今大会の結果は開幕戦に向けて大きな自信となったはずだ。この勢いのままに、春季リーグ戦でもワセダが優勝杯をつかんでほしい。
(記事、写真 本田京太郎)
男子はベスト4に3人も名を連ねた。左から、緒方、硴塚、葉波
女子シングルスで優勝した鎌田
結果
▽男子シングルス
2回戦
◯硴塚3―1鈴木(開志国際高校)
◯中窪3―0原(新潟青陵)
◯緒方3―0青木(新潟央工業高校)
◯葉波3―0深沢(新潟産業大)
3回戦
◯硴塚3―0中井(東北大)
◯中窪3―1関(新発田ジュニア)
◯緒方3―0大平(新潟大)
◯葉波3―0赤石(東北福祉大)
4回戦
◯硴塚3―0宮崎(新潟産業大)
◯中窪3―1片桐(新潟産業大)
◯緒方3―0小唄(新潟産業大附属高校)
◯葉波3―1牛込(樹徳高校)
5回戦
◯硴塚3―0高木(ラージヒルズ)
●中窪2―3田代(青藍泰斗高校)
◯緒方3―0和久井(文星芸大附属高校)
◯葉波3―1浅沼(新潟大)
準々決勝
◯硴塚3―0任(開志国際)
◯緒方3―1高橋(東北福祉大)
◯葉波3―0王(新潟産業大附属高校)
準決勝
◯硴塚3―2葉波
◯緒方3―1田代(青藍泰斗高校)
決勝
◯緒方3―1硴塚
▽女子シングルス
2回戦
◯鎌田3―0松浦(橘高校)
◯田中3―0美遠(IBIS卓球クラブ)
3回戦
◯鎌田3―0新田(新潟高校)
◯田中3―0渡辺(亀田クラブ)
4回戦
◯鎌田3―0大橋(北越高校)
◯田中3―0石川(新潟大)
準々決勝
◯鎌田3―2大場(新潟大)
●田中2―3水野(新潟大)
準決勝
◯鎌田3―0謝(開志国際)
決勝
◯鎌田3―2水野(新潟大)
コメント
▽男子
緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)
――本日の試合を振り返ってみて
オープンの大会ですが、優勝できたことは嬉しいですね。負けで終わりではないので。
――大会を通して、苦しかった試合はありましたか
準決勝は(今大会で)初めてリードを許してしまったので、苦しい試合でしたね。準備不足だったというのと、決勝戦のことを考えてしまったのが、いけなかったです。同士打ちの決勝を楽しみにしていました。
――硴塚選手との決勝戦を振り返って
3ゲーム目は取られてしまったのですが、それ以外は完璧なプレーができたと思います。高校時代の対戦成績は五分五分くらいで、今回がワセダに入って初めてだったので、楽しみでした。
――ドイツ・ブンデスリーガの試合から帰国してすぐの試合だったと思いますが
あと少しで、春季リーグ戦が開幕します。そこでベストな試合ができるように、調整も兼ねて、ドイツから帰国してから今大会に出場しました。
――コンディションに関しては
時差ぼけがありました。でも、試合になると言い訳になってしまうので。
――春季関東学生リーグ戦に向けて意気込みを教えてください
モチベーションはものすごく高いです。春季リーグ戦は何が何でも、優勝したいので。春季リーグ戦のことしか頭にないです。
▽女子
鎌田那美(スポ2=北海道・駒大苫小牧)
――本日の試合を振り返ってみて
危ない試合がすごく多くて、苦しかったですね。今は優勝できて、ホッとしています。
――どの試合が一番苦しかったですか
準々決勝ですね。0−2と追い込まれてからの展開だったのですが、落ち着いて試合ができたのが良かったです。途中で、自分のプレーよりも、相手の弱点をつくことに集中したことがうまく勝利につながったと思います。具体的には、相手のペースが乱れるように、ラリーを続けて、ミスを誘いました。
――決勝も接戦でしたね
相手のミスが多くて、前半はリードできていました。でも、終盤に調子を上げてきて、すぐに追い上げられました。どうしようもない場面だったのですが、サーブで得点することができました。これまでとは違う戦い方ができていたと思います。
――最後に、春季リーグ戦に向けて、意気込みを教えてください
チームの目標がグランドスラム達成ということで、まずは春季リーゲ戦が重要になってくると思います。部員の一人として、チーブが勝てるように貢献できればいいなと思います。