最も過酷な大会2日目!激闘から多くの収穫を得る

卓球ダブルス

 第29回夏季ユニバーシアード代表選手選考会(代表選考会)は最も過酷な2日目を迎えた。男子は7試合、女子は4試合の連戦を戦い抜き、代表権獲得に向けてラストスパートをかける。その中で輝きを見せたのが男女両主将。上村慶哉主将(スポ3=福岡・希望が丘)と田中千秋女子主将(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)だ。関東学生リーグ戦(リーグ戦)でも対戦する他大の主力たちから勝利を収め、頼もしさを感じさせた。また阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)は総合成績6勝2敗と昨日に続き暫定1位をキープしており、代表権獲得に王手をかけている。激闘の中で、早大勢は多くの収穫を得ることとなった。

 

 5月のリーグ戦開幕に向けて、好材料ばかりの試合だった。まずは上村の第9戦。昨年のスウェーデンオープンU21男子シングルス優勝の実力者・田添健汰(筑波大)を下した試合だ。好調とは言えない状態の中で、上村は頭を使って好機を作り出した。普段は多用しないバックハンドで相手を後ろに下げ、ここぞの場面で得意のフォアドライブ。ライバル校である専大の主力を、見事に撃破した。その後も、上村は全日本選手権ベスト8入りの龍崎東寅(エリートアカデミー/帝京)をあと一歩のところまで追い詰めるなど、意地を見せた。また、ここまで大きく負け越している硴塚将人(スポ1=東京・エリートアカデミー/東京)は第13戦で坪井勇磨(筑波大)と対戦し、フルゲームの末に勝利。最終日に向けて、自信を取り戻した。

 

専大の田添健汰や中大の坂野申悟など、他大の主力たちを下した上村

 

 大会2日目の第6戦が田中にとってのヤマ場だった。対戦相手は関東学生秋季リーグ戦で優勝を譲った東京富士大の主力のひとり、池上玲子だ。「絶対に勝ちたい」と意気込み、試合に臨んだ田中だが「気持ちの面で焦っていた」と単調なプレーを繰り返す。持ち味の粘り強さを発揮することもできず、試合の主導権を奪われてしまった。しかし、第4ゲームにとったタイムアウトが試合の流れを変えることとなる。「自分のやるべきことを整理できた」(田中)。冷静さを取り戻し、フォア前の甘い球を相手のミドルコースに打ち込むことを徹底。逆転で勝利をつかみ取り、田中は総合成績5勝3敗で大会2日目を終えた。代表権獲得を狙うには難しい状況だが、わずかな望みにかけて最終戦に挑む。昨日全勝の阿部は、この日に2敗を喫した。それでも総合成績6勝2敗と暫定1位をキープしており、代表権獲得は射程圏内だ。

 

大会2日目で気を吐いた田中

 

 「精神的にも身体的にもきつい状態です」と硴塚が話すように、全選手総当たり方式の今大会は過酷さを極めている。ここまでの2日間で行われた試合総数は男女合わせて82試合。試合間のインターバルも5分から15分と短く、淡々と続いていく。また、今大会出場者は大学卓球界を代表する強者ばかり。一試合一試合のレベルも非常に高いため、なおさら疲労も積み重なっていくことだろう。しかし、この経験は選手にとって大きな財産となるはずだ。成長の糧とするべく、最終日も全力で戦い抜いてほしい。

 
 
 

(記事 本田京太郎、写真 大庭開)

 

 

結果

▽男子リーグ

上村慶哉(6勝7敗)
●上村1―3及川(専大)

●上村2―3松山(愛工大名電高)

◯上村3―2田添健汰(専大)

◯上村3―2松下(日鉄住金物流)

●上村2―3龍崎(エリートアカデミー/帝京)

●上村0―3徳永(鹿児島相互信用金庫)

◯上村3―0坂野(中大)

硴塚将人(3勝9敗)
●硴塚0―3龍崎(エリートアカデミー/帝京)

◯硴塚3―1徳永(鹿児島相互信用金庫)

◯硴塚3―1坂野(中大)

●硴塚1―3郡山(専大)

●硴塚1―3定松(中大)

◯硴塚3―2坪井(筑波大)

▽女子リーグ

佐藤風薫(1勝7敗)
●佐藤2―3徳永

◯佐藤3―0中畑(愛工大)

●佐藤2―3田口(筑波大)

●佐藤0―3山本(中大)

田中千秋(5勝3敗)
●田中1―3打浪(神戸松蔭女子学院大)

◯田中3―2池上(東京富士大)

●田中0―3小道野(アスモ)

◯田中3―2中畑(愛工大)

阿部愛莉(6勝2敗)
●阿部1―3山本(中大)

◯阿部3―1田口(筑波大)

●阿部2―3池上(東京富士大)

◯阿部3―2打浪(神戸松蔭女子学院大)

徳永美子(2勝6敗)
◯徳永3―2佐藤

●徳永0―3小道野(アスモ)

●徳永1―3打浪(神戸松蔭女子学院大)

●徳永2―3池上(東京富士大)

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コメント

▽男子

硴塚将人(スポ1=東京・エリートアカデミー/東京)

――きょうの試合全体を振り返っていかがですか

最初の目標が一試合一試合頑張って一つでも多く勝つということだったんですけど、きのう全部負けて、負けに慣れてしまったというか勝ち方が分からなくなってしまっていました。きょうは精神的にもきつかったですが、午前の第8戦でなんとか勝つことができて、そこから少しづつ勝ち方というか自分のパターンを取り戻すことができたので、きょうは良かったと思います。

――ここまでの結果についてご自身でどのように評価していますか

試合前は今の状態よりはもっと勝てるかなと思っていましたが実際に始まってみると全然勝てなくて、自分もまだまだなと思いました。

――強豪選手との試合の中で何か得ることはありますか

どの選手ともある程度は競ることができるのですが、競ったときの点の取り方が自分は少なくて、相手選手は競ったときに点を取る技術の引き出しをたくさん持っているので、そこはやはり参考になります。

――連戦が続いていますがやはり疲労も溜まってきているのではないでしょうか

全日本(全日本選手権)が終わってからあまり練習ができていなかったので、体の状態もすごく良い訳じゃなくて今も筋肉痛がきていて、負けも立て込んでいるので、精神的にも身体的にもきつい状態ですね。

――筑波大の坪井勇磨選手と対戦しフルゲームまでもつれ込んだきょう最後の試合を振り返っていかがですか

1ゲーム目を競りながらも取ることができていけそうだったので、きょう最後の試合だしなんとか勝ちたいと思って踏ん張りました。

――坪井選手に勝利できたことは自信になったのではないでしょうか

そうですね。自信になったというか自信を取り戻すことができたと思います。

――あしたへの意気込みをお願いします

あしたは2試合だけですけど勝ちにいって、少しでも勝率を上げたいなと思います。

▽女子

田中千秋女子主将(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)

――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか

初戦で対戦した打浪選手(優、神戸松蔭女子学院大)には全日本学生選抜選手権の時には勝利していました。しかし、きょうは対策されていて、自分が立て直す前に負けてしまいました。その初戦での敗退は後悔が残りました。

――打浪選手はどういった戦術で向かってきましたか

レシーブからミドルを狙われました。そこの球を返そうとすると、打点が低くなってしまうので私にとっては苦しい展開でした。そして、サーブに対するレシーブが最後までうまくいかず、そこがあまり良くなかったですね。

――大会2日目のヤマ場はどこに定めていましたか

第6戦の池上さん(玲子、東京富士大)との試合でした。絶対に勝ちたいと、試合前から思っていたので勝てて良かったです。ただ、そこに重点を置きすぎたせいで、その他の試合で戦術などがおろそかになってしまいました。そこが反省点ですね。

――第6戦は第4ゲームにとったタイムアウトが逆転につながった印象を受けました。タイムアウトの意図は

気持ちの面で焦っていたので、それを落ち着ける意味でのタイムアウトでした。粘りがないプレーのまま、点を取られてしまっていたので、自分をやるべきことを整理するためでもありましたね。タイムアウト後は、冷静にプレーをすることができて、良いタイムアウトをとれたと思います。

――池上選手への対策というのは

ドライブで前後に揺さぶることが効果的でした。またフォア前にツッツキでボールを入れてくるのも狙い目だったので、そこを積極的に、ミドルコースに打っていきました。

――第8戦については

中畑選手(夏海、愛工大)は、男子っぽい威力のある球を打つ特徴的な選手でした。また、今回はいつもより後ろに下がってボールを捉えたほうが効果的だと試合中に気づくこともできましたし、プレーの中でそういった工夫ができたことも勝利につながりました。

――ユニバーシアードの代表に関しては

代表権は狙っていたのですが、今の状況だと厳しいですね…。まずはあしたの最終戦を勝って終われるように頑張っていきたいです。