全日学選抜、閉幕。徳永が4位入賞を果たす

卓球ダブルス

 学生界のトップオブトップを争う、全日本学生選抜選手権(全日学選抜)。大会2日目のこの日、前日の予選リーグを勝ち抜いた男女それぞれ16名による決勝トーナメントが行われた。女子部は3名が1回戦を突破し、ベスト8入り。徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)は4位入賞を果たした。一方、男子部で唯一ベスト16入りしていた上村慶哉主将(スポ3=福岡・希望が丘)は、1回戦で高校の同級生に敗れ、連覇を逃した。

 『連覇』への道はあまりにも早く途絶えた。決勝トーナメント1回戦で、上村は希望が丘高の同級生である田添健汰(専大)と対戦。第1ゲーム、サーブを起点に得点を重ね、8―3とリードを奪う。しかし粘る相手にじりじりと点差を詰められ、デュースに突入。一進一退の攻防が続いたが、最後は上村のチキータがネットに阻まれた。17-19でこのゲームを落とすと、試合の主導権は田添健へ。「長い1ゲームを落としたことで流れを持っていかれた」。第2ゲーム以降は、プレーの癖を知り尽くされた相手にサーブを攻略され、上村のサーブレシーブにもミスが相次いだ。台上プレーで後手に回り、大きなラリー戦でも先にミスする展開が続く。最後まで悪い流れを断ち切ることはできず、ゲームカウント0―4で完敗。前年度王者はベスト16で姿を消した。

上村主将は1回戦で敗れ、連覇ならず

 女子部からは4名が決勝トーナメントに臨んだ。佐藤風薫(スポ4=岡山・就実)が1回戦で対するは、昨年の全日学選抜で優勝した安藤みなみ(専大)。「思い切って試合ができた」と振り返るように、カットの変化で相手を翻弄(ほんろう)し、隙あらば積極的に攻撃に転じる佐藤らしいプレーが光り、ゲームカウント3―1と強敵を追い詰めた。しかし第4ゲーム以降は、相手の強打に押され逆転負け。金星を逃し、ベスト8入りはならなかった。高校の先輩・後輩対決を制したのは阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)。先月の全日学で優勝し波に乗る相手に対して、両ハンド攻撃で応戦し、ゲームスコア4―3で勝負あり。徳永、田中千秋(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)と共に2回戦へと駒を進めた。

前年度チャンピオンを追い詰めた佐藤

 昨年は早大の女子部全員が敗退した、鬼門とも言える2回戦。阿部はことし4度目となる、安藤(専大)との一戦を迎えた。目標のベスト4入りを懸けて挑んだ阿部だったが、相手の強烈なフォアハンドを前に劣勢が続く。「自分の弱いところをうまく相手に攻められた」(阿部)。強みも弱みも知り尽くしたライバル対決に敗れ、昨年と同じベスト8で大会を終えた。他方で日体大の温馨と対戦した田中も、苦戦を強いられる。際どいコースに連打される強烈なボールに対応できず、3ゲームを簡単に奪われ、窮地に立たされた田中。「思い切って向かっていこう」と開き直り、2ゲームを奪ったが反撃もそこまで。第6ゲーム、出だしから勢いを増す相手を止められず、ベスト4入りはならず。専大の鈴木李茄に快勝した徳永だけが、準決勝進出を決めた。

 順調に白星を積み重ねてきた徳永は、準決勝で全日学2位の山本怜(中大)と対戦した。第1ゲームを落とした徳永だったが、第2ゲームは得意の3球目攻撃で9―2とリードを広げる。しかし猛攻を仕掛ける相手を前にミスを重ね、このゲームを落としてしまう。流れを変えようと、積極的に強打を狙う徳永だったが、決めにいくボールはことごとくアウトに。悪循環から抜け出すことはできず、3位決定戦へと回った。メダルを懸けた試合の相手は、高校の先輩でもある温(日体大)。思い切って攻めたいところだったが、徳永のボールに慣れている相手にラリー戦を支配され、3ゲームを立て続けに失う。ゲームカウント0―3と後がない状況で、サーブから相手を崩し2ゲームを奪う意地を見せた徳永。しかし、第6ゲームはサーブレシーブと決め球の精彩を欠き、ゲームカウント2―4で敗れ、メダルにはあと一歩届かなかった。

徳永は山本(中大)との準決勝に惜敗し、決勝進出はかなわなかった

 2日間にわたって全国から集結した猛者たちがしのぎを削った全日学選抜が、ついに幕を閉じた。強敵ぞろいの今大会で、早大から男女5名がベスト16に名を連ねたことは収穫だと言えるだろう。しかし、試合後に選手たちがそろって口にしたのは、悔しさや課題。来年1月に控える全日本選手権に向けて、弱点克服は急務だ。「シングルスでベスト8に入りたい」(上村)、「ランク入りを目指して頑張りたい」(徳永)。気持ちを新たに、国内最高峰の舞台でエンジの快進撃を誓う。

(記事 稲満美也、写真 佐藤菜々、大庭開)

結果

▽男子 決勝トーナメント

1回戦
●上村0―4田添健(専大)

▽女子 決勝トーナメント

1回戦
○徳永4―1邵盼盼(中京学院大)

●佐藤3―4安藤(専大)

○阿部4―3成本(同大)

○田中4―2打浪優(神戸松蔭女子学院大)

2回戦
○徳永4―1鈴木(専大)

●阿部0―4安藤(専大)

●田中2―4温馨(日体大)

準決勝
●徳永1―4山本(中大)

3位決定戦
●徳永2―4温(日体大)

関連記事

男女共に大健闘!上村は連覇へ視界良好/第13回全日本学生選抜選手権(2016.11.26)

コメント

▽男子

上村慶哉主将(スポ3=福岡・希望が丘)

――2連覇することはできませんでした

2連覇を狙っていたので、ベスト16で負けてしまって残念です。

――逆転で取られた第1ゲームを振り返っていかがですか

5点リードしていたので取りたかったのですが、長い第1ゲームを落としたことで流れを持っていかれたという感じがありました。

――競った第1ゲームを落としたことは、後のゲームに精神的に影響はありませんでしたか

精神的に響いていたわけではないですが、そこから盛り返せるだけの力が、今の時点で僕にはなかっただけだと思います。あの状況からでも勝てるような力をつけなきゃだめだと思いました。

――終盤はサーブで崩すことができませんでした

慣れている相手で、僕が長いサーブを出すタイミングや癖を知られていたので、その中で僕が出すサーブが途中からなくなってしまいました。サーブのフォームや回転量を変えていかないといけないと思います。

――最後に全日本選手権(全日本)に向けて意気込みをお願いします

ことしはシングルスでベスト8には入りたいと思っているので、入れるようにまた頑張りたいと思います。


▽女子

田中千秋女子主将(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)

――1回戦を振り返っていかがですか

初めて対戦する相手だったので、どういう相手なのかきのう対戦していた鎌田(那美、スポ1=北海道・駒大苫小牧)の話を聞きつつ探る感じだったのですが、思った以上に相手のボールが取りづらくてやりにくかったなという印象です。

――2回戦ではゲームカウント0-3から2ゲームを奪い返しましたが、戦術の変更などはありましたか

相手にいろいろとやられて私自身がやることがなくなってしまったので、思い切って向かっていこうと開き直って取ることができた2ゲームだったなと思います。

――フルゲームに持ち込むには、あと一歩届きませんでした

出だしに2―7と一気に離されてしまったので、それを巻き返すのはやっぱり大変でした。

――ことしは決勝トーナメントに早大から4人が残りましたが、主将としてどのように感じていますか

これだけ多くの人数が出られたということは、チームのレベルが上がっているということでもあると思います。ですが、ここで満足せずにもっとレベルアップできるように頑張っていきたいなと思います。

――全日本選手権の目標を聞かせてください

チームメイトも頑張ってほしいですし、私自身としてもランク入りを目指して頑張っていきたいと思います。

佐藤風薫(スポ4=岡山・就実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

いつもより思い切って試合ができました。いつもは結構簡単に負けてしまうんですけど、競ることができたと思います。

――競った末、最後に敗れてしまった理由は何だと思いますか

ゲームカウント3-1でリードして、自分の中で勝ちを意識してしまったのが原因だと思います。油断して追いつかれて、負けてしまったと思います。

――ファイナルゲームでタイムを取られた際、どのようなこと考えていたのですか

タイムを取ったとき負けていたので、ここから切り替えていこうと思っていました。でもやっぱり相手の方が強かったです。

――この大会で得た収穫を教えてください

勝ちを意識しすぎると、変な力が入って勝てないなと思いました。負けて当たり前くらいに思った方が、のびのびとプレーできると思います。

――全日本に向けて意気込みをお願いします

全日本はあまり勝ったことがないので、今回こそ上位を目指して頑張ります。

阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)

――試合前に掲げていた今大会の目標を教えてください

ベスト4以内に入ることです。

――今日の2回戦敗退という結果についていかがですか

勝ちたかったんですが、相手の方が上だと実感したので、まだまだ力不足だと感じました。

――1回戦の相手は高校の先輩でした

先輩でしたが、全日本大学総合選手権個人の部(全日学)で優勝していて強い相手だと分かっていたので、思い切ってやることができました。

――2回戦の相手の安藤みなみ選手(専大)とはことし4戦目でした

戦っている数が多い分、慣れられてしまっている部分もありました。逆に相手の手の内も分かっているのですが、今回は自分の弱いところをうまく相手に攻められたと思います。

――2回戦では毎ゲーム競りながら最終的にリードを許すかたちとなっていましたが、その原因はどのように考えていますか

最初は相手の嫌がることをやって得点していたんですが、それを相手が待ち出して、対応されてしまいました。それに対して自分が焦ってしまって中盤から逆転されてしまうことが多かったように思えます。

――安藤選手のような強打を得意とする選手に対してこれからどのような対策をしていこうと考えていますか

やはり先手を取らないとこれから勝つことは厳しいとおもうので、サーブレシーブの早い段階で先手が取れるように練習して行きたいと思います。

――全日本選手権(全日本)に向けて意気込みをお願いします

全日本では社会人の人や年下の高校生も出てくるので、1回でも多く勝てるように頑張りたいと思います。

徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)

――4位入賞という結果について、いかがですか

全日学から気持ちは切り替えていました。全日学選抜(全日本学生選抜選手権)は強い人ばかりですが、優勝を目指していたので、最後にぼろぼろと負けてしまったので悔しいです。

――全日学後にはサーブレシーブを課題として挙げられていましたが、今大会サーブレシーブはいかがでしたか

強化はしていました。全体で見ると、前よりはミスが減ったと思いますが、サーブがうまい選手になると回転が分からなくて、レシーブで失点することが多かったので、これからも続けて取り組んでいかないといけないと思います。

――2回戦で対戦した鈴木李茄選手(専大)に対して、対策は用意していましたか

大学に入ってから1勝1敗の相手でした。左対左なので、戦術もそうですが、ラリーで粘ることが大事かなと思っていました。相手がミスするまで粘ったり、早めにフォアサイドに回したり、攻められたことが良かったと思います。

――準決勝を振り返っていかがですか

関東学生(関東学生選手権)でも、7ゲームで負けていた相手で、いろいろ考えて臨みました。2ゲーム目の挽回負けが後ろに響いてしまって、相手の緩急にやられてしまいました。もう一回対策を練り直して、ラリー力を上げていかないと勝てないと思いました。

――回り込んで3球目攻撃を積極的に狙っている印象でした

もともと武器が3球目に回り込むことなのですが、相手がレシーブを変えてきても狙いにいけるようにしていかなければいかないと思いました。

――準決勝の直後に3位決定戦が行われましたが、気持ちの切り替えはうまくできましたか

気持ちは切り替わっていました。でも、相手が高校の先輩で、相手には「(徳永選手の)ボールに慣れていた」と試合後に言われました。サーブも取れず、慣れられている相手に勝つ工夫が足りなかったと思います。

――ベンチにはきょう温馨選手(日体大)と対戦した田中選手が入っていましたが、アドバイスはありましたか

タイプが田中さんとは違うのですが、作戦は教えてくれたのですごく良かったです。

――ラリー戦についてはいかがですか

出だしの3ゲームは打たれてばかりで相手の調子を上げてしまいました。最後は攻められたのですが、最初から攻められたらラリー戦でもう少し押せたかなと思います。

――賞金は何に使いたいですか

誕生日が12月にある友達が結構いるので、プレゼントを買えたらなと思います(笑)。

――全日本に向けて

いつもスーパーシードとの試合まではいくのですが、そこで1回も勝てたことがないので、ことしはランク入りを目指して頑張りたいです。