全日本大学総合選手権個人の部(全日学)で上位進出を果たした者と外国人留学生のみが出場を許される全日本学生選抜選手権がことしも開幕した。早大からは男子2名、女子5名の計7名が出場。予選8ブロックに振り分けられ、それぞれ決勝トーナメントに出場できる上位の二枠を目指して総当たりのリーグを戦い抜いた。結果は男女共に大健闘。5名があすの決勝トーナメントに駒を進め、早大全体として手応えを感じる大会1日目となった。
前回大会王者である上村慶哉主将(スポ3=福岡・希望が丘)の試合運びは圧巻の一言に尽きる。明大の町飛鳥や専大の郡山北斗ら、競合必至のDブロックで全勝の1位通過。冷静な戦術分析と持ち味の怪力ドライブで強豪たちをねじ伏せた。また町に対しては関東学生選手権(関東学生)のリベンジを果たし、自身の成長を実感できる機会にもなった。きょうの勝因として、上村は先週に開催されたスウェーデンオープンU21での経験を挙げる。「サーブレシーブでレベルの違いを感じ、その練習を増やした。それが自信となり、その部分で冷静さが出ていた」。連覇達成へ視界良好のようだ。
上村主将は台上プレーで先手を取った
女子部は出場者5人中4人が決勝トーナメントへの切符を得る、盤石のスタート。中でも、田中千秋女子主将(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)と徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)の活躍が顕著だった。田中は関東学生2位の強敵に勝利を収め、徳永はストレートの連勝で、共に堂々の予選1位通過。徳永は自身の得意とするサーブからの展開がさえ渡り、相手に一切付け入る隙を与えない完勝だった。また2位通過となった阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)と佐藤風薫(スポ4=岡山・就実)も内容が悪かったわけでは決してない。阿部は関東学生新人戦優勝のルーキーに惜敗したものの、要所で強打の応酬を浴びせるなど状態の良さを示した。佐藤も「練習ができていない割には自分の力が出せた」と、代替わり後のブランクを感じさせない戦いぶり。総じて、あすの試合に向けて十分期待の持てる結果となった。
田中女子主将は強敵のそろった予選ブロックを1位で通過
「神様はそう簡単には連覇させてくれない」。上村がそう話すように、抽選の結果、あすの初戦でスウェーデンオープンU21男子シングルス優勝者の田添健太(専大)と対戦することが決定した。二人は高校時代の戦友であり、互いに手の内を知り尽くしている。大激戦になることはまず、間違いないだろう。そして1回戦を勝ち抜くことができれば、2回戦はリオデジャネイロオリンピックメダリスト・丹羽孝希(明大)との今季3戦目が実現するかもしれない。上村は試合数を重ねるにつれて、ますます丹羽と互角に渡り合うようになってきている。三度目の正直はなるか。また、女子部もあすは厳しい試合となりそうだ。阿部は全日学の覇者であり、高校の先輩である成本綾海(同大)と対戦。佐藤も専大のエース安藤みなみと対峙することとなった。男女共に、立ちはだかる壁がかなり高いものであるのは確か。ここからが真の学生ナンバーワン決定戦だと言っても過言ではない。あすも、早大卓球部が繰り広げる熱戦の数々を見逃すな。
(記事 本田京太郎、写真 大槻竜平、境智鷹)
結果
▽男子 予選リーグ
Dブロック
○上村3―0郡山(専大)
○上村3―2町(明大)
→ブロック1位通過
Hブロック
●平野晃生(スポ2=山口・野田学園)0―3坂野申悟(中大)
○平野3―0張博良(龍谷大)
●平野0―3酒井明日翔(明大)
→ブロック3位 予選敗退
▽女子 予選リーグ
Bブロック
○田中3―0林めぐみ(東京富士大)
●田中2―3山本怜(中大)
→ブロック1位通過
Dブロック
○徳永3―0前瀧初音(東京富士大)
○徳永3―0王佳玉(龍谷大)
→ブロック1位通過
Fブロック
○阿部3―0高橋梓海(日体大)
●阿部2―3奥下茜里(日大)
→ブロック2位通過
Gブロック
○佐藤3―1佐藤優衣(淑徳大)
●佐藤0―3池上玲子(東京富士大)
→ブロック2位通過
Hブロック
●鎌田那美(スポ1=北海道・駒大苫小牧)1―3打浪優(神戸松蔭女子学院大)
○鎌田3―2相原なつみ(日体大)
→ブロック3位 予選敗退
コメント
▽男子
上村慶哉主将(スポ3=福岡・希望が丘)
――きょうの調子はいかがでしたか
調子は良かったですね。出だしから体のキレも良かったです。
――冷静なプレーが目立ちました
いつもより落ち着いていました。サーブレシーブの練習をこの大会の前にたくさんしてきたので、それが自信となって、その部分で冷静さが出ていたのかなと思います。
――直近の国際大会で得たものはありましたか
国際大会でサーブレシーブのレベルの違いを一番に感じたので、そこをもっとレベルの高いところでやっていかないとダメだと思いました。それで、この大会の前はサーブレシーブの練習を多めに行ってきました。
――関東学生選手権でストレート負けを喫した明大の町飛鳥選手に競り勝ちましたが
最近は勝てていなくて、いつも同じ戦術にやられていました。きょうもその戦い方をしてきましたが、しっかりと対応できて勝てたので、一歩成長できた点だと思います。
――その相手の戦術とは
フォア前に落として、先に打たせないようにする戦略ですね。それに対して、きょうはただ返すだけでなく少し難しいボールを返すことができたのかなと思います。
――昨年は優勝しているこの大会ですが、ことしも優勝は狙えそうですか
そうですね。目標は優勝なのですが、決勝トーナメントの組み合わせを見たらすごく厳しい山に入っていました。1回戦で当たる田添健汰(専大)も高校の同期ですし、神様はそう簡単には連覇をさせてくれないなと。それでも、きょうの相手も強かったですし、あすも一つ一つ勝ち上がっていけるように頑張っていきます。
平野晃生(スポ2=山口・野田学園)
――急きょ大会に出場しました。しっかりと準備はできていましたか
ラッキーなかたちでの出場だったので、出られるなら思い切ってやるだけだなと思ってプレーしました。
――全日学選抜選手権(全日学選抜)にあたって、どのような目標を設定していましたか
予選リーグ通過と、ベスト8を目標に臨みました。
――実際に試合をしてみて、体の動きや調子いかがでしたか
最初から強い相手と対戦することは分かっていたので、自分の卓球をすることを一番に試合しましたが、結果的にそれは達成することはできませんでした。
――酒井明日翔選手(明大)にストレート負けを喫してしまいました。振り返ってみていかがですか
相手のやりやすいようにしてしまって、自分が相手に合わせてしまいました。特に相手はサーブレシーブの展開がうまかったです。それで、自分の好きなプレーができなくなって点を取られてしまう、という展開が多かったと思います。
――全日本選手権に向けて、これから取り組むべきところは
サーブレシーブの細かいところや、ラリーの質を上げていければと思っています。
――全日本選手権に向けての意気込みをお願いします
ダブルスでは2年連続で3位になっているので、またそこを狙っていきたいですね。シングルスでは上にいけるように1つ1つを大切に戦っていきたいと思います。
▽女子
田中千秋女子主将(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
この時期は全日本選手権前ということもありバタフライのボールを使って練習してる人が多く、今大会のニッタクのボールとは違っていたため、お互いにラリーになりにくく、早い段階でミスが出て終わってしまう展開が多かったという印象でした。
――調子はどうでしたか
悪くもなく、かなり良いわけでもなかったのですが、安定して入っていたので自信を持ってプレーできました。
――初戦は林めぐみ選手(東京富士大)との対戦でしたが、何が勝因になったと考えていますか
昔から同じ千葉県でプレーしていて、毎年国体予選で対戦もする、よく知ってる選手だったので対策は立てやすかったです。相手の技術も上がっていたんですが、戦術が立てやすかったのが勝因だと思います。
――予選2試合目は2ゲームを先取してから逆転負けとなってしまいましたが、試合を振り返っていかがですか
最初は自分のリズムで良かったんですが、相手も自分のバックを封じようとミドルをついてきたり、リズムを崩しにきて、自分がそれに対応することができなかったと思います。
――明日の決勝トーナメントに向けての意気込みと目標をお聞かせください
組み合わせも決まり、後は強い選手しか残っていないので1つでも多く勝てるよう一戦一戦頑張っていきたいです。
佐藤風薫(スポ4=岡山・就実)
――3年ぶりの全日学選抜出場でした
とにかく一試合一試合、楽しく勝てたらいいなと思って試合に入りました。
――楽しくプレーすることはできましたか
(引退して)練習していない割には、自分の力が出せたかなと思います(笑)。
――淑徳大の佐藤優衣選手との試合は逆転勝ちとなりました
自分よりも相手の方がプレッシャーを感じていて、相手はいつもの力を発揮できていなかったと思います。いつもより思い切って攻めていけたことと、カットの変化が効いたことが良かったと思います。
――東京富士大の池上玲子選手との試合を振り返っていかがですか
相手にされるがままという感じでした。自分のパターンに持っていくことができなかったです。
――決勝トーナメントの組み合わせは、どのような印象を持ちましたか
専大の安藤(みなみ)選手と当たるのですが、何回も対戦しているので、思い切ってやるしかないなと思います。
――あすに向けて、意気込みをお願いします
一試合一試合、全力で頑張りたいと思います。