昨年、秋季関東学生リーグ戦制覇を果たした女子卓球部。そして目前に迫った春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)での2季連続優勝のカギを握っているのは、チームの精神的支柱となる佐藤風薫女子主将(スポ4=岡山・就実)、昨年ルーキーながら主力級の活躍をした阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)と徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)の3人だ。小道野結(平28スポ卒=現アスモ)ら昨年の主力が抜けた今季、この3人に求められる役割とは。そして、選手たちの素顔にも迫った。
※この取材は4月15日に行われたものです。
「みんな伸び伸びやっている」(佐藤)
チームへの思いを語る佐藤女子主将
――新チームとして始動してみて、何か感じることはありますか
佐藤 新チームになって、これを特にしているというのはないんですけど、リーグ戦に近づくにつれてみんな自分のやるべき課題をしっかりやっているなと感じています。みんな伸び伸びやっていると思うので新入生たちも過ごしやすい環境なんじゃないかと思います。
阿部 佐藤主将に代わってから、(佐藤主将が) 言ったように、みんな伸び伸びというか、うーん。
佐藤 ゆるい?(笑)。
阿部 学年関係なく仲良くできていると思います。あと、みんなの意見を取り入れてくれて、下級生の目線からも発言してくれるのでこちら側としてはやりやすいです。
徳永 みんな団体戦に向かっているけど昨年より個人の力を上げていこうと頑張っているなと感じています。
――佐藤主将にお伺いします。主将になって初めて感じたことはありますか
佐藤 思っていたよりもやらないといけないことが多すぎて、下級生の時に見えていた部分が見えなくなっているところが多いです。あれもしなきゃ、これもしなきゃっていうので結構まとまらなくなってきています。でも、そこは自分でも分かっているところなので、そこをしっかりまとめるのが主将かなと思います。
――見えなくなっている部分というのは
佐藤 下級生の頃は、あれをしたらいいんじゃないかとか、練習方法もこれをもっと取り入れたらいいんじゃないかって気づいたりしていたんですけど、いざ自分が上の学年になった時にやることが多くて時間が足りなくて、時間配分がうまくできていないです。そのせいで練習方法とかも、どんどん単純なものになってきている気がします。
――阿部選手、徳永選手は2年生になられたということで競技面や大学生活面において、余裕は出てきましたか
阿部 大学生活の余裕は出てきたんですけど、1年生の時は試合とかだったら(周りが)「もう思い切ってやってきな」とか言ってくれて、じゃあ思い切ってやるだけだと試合に臨めたんですけど、2年生になって下の代も入ってくるので自分が勝たないといけないって勝手に思っちゃってます。
徳永 (阿部選手と)同じで、大学での授業とかには慣れてきたんですけど、卓球では昨年よりももっと勝てるようにしないといけないんだと思ってしまいます。
――大学に入学して成長した点、もしくは見つけた課題を教えてください
阿部 今まで中高とかで1年生の仕事とか、そんなにやってこなかったので、大学に入学して結構1年生の仕事が多くて、うーん、何て言ったらいいんだろ。
――雑用をするようになって人間的にも大きくなれたということですか
阿部 そういうことです!(笑)。
佐藤 しゃべりなよ(笑)。
阿部 いや、言葉が出てこなかった(笑)。
――徳永選手はいかがですか
徳永 卓球の面では大学生になって、高校生よりみんな強くて球の威力もあって、戦術をもっと考えなきゃ勝つのは難しいかなと思うようになりました。
――昨シーズンはどのようなシーズンでしたか
佐藤 昨シーズンはインカレ(全日本大学総合選手権団体の部)で負けた悔しさが全部試合に出て、秋リーグ優勝というか。全体をまとめるとそんな感じかなと思っています。去年の良いところと言ったら、みんな一人一人が優勝という目標を持っていて、秋リーグでは1戦目から負けてしまったんですけど、そこからの切り替えが早くて、それが優勝につながったと思います。そこが良いところだったのかなと。
――佐藤主将、個人的な成績の面ではいかがですか
佐藤 前の年よりは思い切ってできたと思うし、自分なりにも成長できたかなっていう年でもありましたね。
――阿部選手はいかがですか
阿部 昨年は成績的には、そんなに波もなく、まあ良かったといえば良かったんですけど結果的には満足していなくて悪い意味で安定していたという感じです。でも、自分的には結構、うーん。
佐藤 あのさ、ちゃんとした試合で勝ってるから良くない?(笑)。大きい大会で(笑)。
阿部 いや、うーん(笑)。
徳永 何を言ってるのか分かんないよ(笑)。
一同 (笑)。
阿部 いやでも、そこでベスト8とかに結構入ってたんですけどベスト4決定とか別に勝てない試合じゃなかったし、そういう面で言ったらあまり満足はしていないです。
――徳永選手はいかがでしたか
徳永 個人戦では団体戦よりも成績は良くて、全部ランクには入れたんですけど、全日学(全日本大学総合選手権個人の部)や選抜(全日本学生選抜選手権)で全部、セットオールの最後競ったところで負けてしまったから課題が残るシーズンでした。ダブルスももう少し上に行けたらいいなと思います。
――阿部選手と徳永選手のダブルスについてお伺いします。ことしの全日本選手権では平野早矢香(ミキハウス)・石川佳純(全農)組を相手にあと一歩のところまで追い込みました。その時のことを振り返ってみていかがでしょう
阿部 相手が今大会で一番強い相手だと思っていたので思い切って試合ができました。それに、思ったよりも相手に利く技術があったのでそれは自信になったんですけど、最後は力の差というのが出て負けてしまいました。ことしは何でもいいので最後は勝ち切れるようにしたいです。
徳永 自分たちはその試合まで3試合を戦ってきてきたのですが、相手はスーパーシードで出てきて1試合目ということで最初は調子が上がってきてなかったように思います。なので、阿部さんのボールが入ったりして、競っていけたのかなと思います。でも、最後は自分たちの弱点を攻められて負けてしまったので、反省して、いつも2-3で負けることが多いので5セット目で勝てるようにしていきたいです。
――阿部選手は2月末にスウェーデンで開催されたサフィール国際オープンに出場されました。そこでの戦績についてはご自身でどう考えていますか
阿部 結構、日本人同士の対決が多かったです。専修大の安藤みなみ選手が3種目すべて優勝して、私も(安藤選手に)2回当たって2回とも負けてしまいました。あまりその成績とかは気にしていなくて他大の選手には勝てたのですが、安藤選手には2回も負けてしまったので課題が多く見つかった試合でした。
――冬の間や春休みはどのようなことに重点を置いて練習をされてきましたか
佐藤 春休みとか、授業がない時に合宿や他大、実業団にちょっと追い込みに行ったりしていました。
阿部 ちょっと追い込みに行ったり(笑)。
佐藤 追い込む練習をしたり、合宿が一番ですかね。2回行ったのでチーム的にも良い刺激になったのかなと思います。
――その合宿ではどのような練習をされたのでしょうか
佐藤 合宿では、みんなで決まった練習や同じ練習、フットワークをやったり、普段やらないようなゲーム練習だったり、試合につながってくるような実践的な練習を多くしてきました。
――阿部選手は個人的に重点を置いて練習してきたというのはありますか
阿部 個人的に行なったのはレシーブからの展開です。
――阿部選手の不安に思っている点を伸ばしたということですか
阿部 はい。
――徳永選手はいかがでしょう
徳永 ラリーはよくするんですけど、あまり抜けるボールが少ないのでフォアで打ち抜けるような練習をやってきました。
「これから(新入生を)締めていきたいと思います(笑)」(阿部)
先輩としての威厳ものぞかせた阿部
――ここからは競技の面以外の質問をいくつかさせていただきます。まず、みなさんは部内でどういうキャラクターなのでしょうか
佐藤 どういうキャラ?(笑)。
阿部、徳永 えー(笑)。
佐藤 自分的には同期に抜けている人が2人もいるので、高校まではいじられることが多かったんですけど、いまはどっちかって言うと同期に対してはいじっている方です(笑)。後輩と話すのが好きなんですけど、後輩には上下関係をあまり感じさせないような人柄にしています(笑)。ふふふ(笑)。
――他のお二人から見て阿部選手はどういうキャラクターですか
佐藤 実はかまってほしい(笑)。
阿部 なに(笑)。
佐藤 いつも一人でいそうに見えて、実は誰かと一緒がいいみたいな(笑)。
徳永 年上にはあまりツッコんだりしないよね。
阿部 人によるかも。
徳永 結構、人にツッコんだりするんですけど、結構変わってる人?(笑)。一人で何か変なことしている時がある(笑)。
佐藤 変わってるのは美子じゃない?(笑)。
阿部 それは君だよ(笑)。
徳永 えっ(笑)。
阿部 それは君だよ。
――徳永選手はどういうキャラクターでしょうか
佐藤、阿部 変わってる(笑)。
徳永 聞こえが悪いぞ(笑)。
――エピソードなどあったら教えてください
佐藤 美子にしかできない動きがある(笑)。
一同 (笑)。
佐藤 トレーニングとかでも「みんなできるでしょ?」みたいなことを言ってくるんですけど、美子がやっている動きの方が難しいだろっていう動きをしていたりしてびっくりします(笑)。
徳永 そうかな。でも、そんなの動かなきゃわからないじゃん(笑)。
阿部 あと発する言葉もおかしかったりする(笑)。
徳永 うわ、ショック(笑)。
佐藤 どっちかって言うと(徳永選手は)いじられるキャラですね(笑)。
――卓球部内での推しメンを教えてください
佐藤 推しメンは鳥屋(真帆、社3=高知・明徳義塾)と新入生の鎌田(那美、スポ1=北海道・駒大苫小牧)です。鳥屋は自分から話してくれるタイプではないんですけど話しかけていると結構面白いことを言ってくれるので。あと、飲みに行ったりもするのでよく絡まないとわからない部分が結構あるので面白いです(笑)。鎌田ちゃんはかわいいです(笑)。普通に(笑)。
阿部、徳永 (後ろで対談をしている鎌田選手に向かって)かわいいって(笑)。
佐藤 (鎌田選手に向かって)推しメンだよ(笑)。
鎌田 ありがとうございます!(笑)。
佐藤 鎌田ちゃんはすごく真面目というか、第一印象はかわいいです(笑)。
――阿部選手はいかがですか
阿部 1年生の渋谷京香(文構1=東京・早実)です。
――理由とかはありますか
阿部 見た目によらず、うーん、言っていいのかな。結構、変態(笑)。
佐藤 え、そうなの?(笑)。
徳永 知らなーい(笑)。
阿部 結構おもろいよ(笑)。
徳永 早スポに変態って思われちゃう(笑)。やばいやばい(笑)。
佐藤 渋谷、変態って(笑)。
一同 (笑)。
――徳永選手はいかがですか
徳永 栗原(加奈子、スポ4=北海道・札幌大谷)さんです。面白いからです(笑)。なんかすごくない?(笑)。
佐藤 同じオーラを持ってるよ(笑)。
徳永 えー面白いじゃん(笑)。
佐藤 同じ雰囲気を醸し出してるよね(笑)。
徳永 いや、でも、かなさん(栗原選手)に違うって言われた(笑)。
佐藤 うそ(笑)。
徳永 許可され済み(笑)。
阿部 許可はされてないじゃん(笑)。
徳永 あっ、違うって。公認済み(笑)。
――栗原選手の言うことがすごいというのは
徳永 言うことが面白いです。素で言ってて面白いです。天然かな(笑)。
――先ほど少し話に出てきましたが、ことしの新入生たちはどういう印象ですか
佐藤 みんな真面目で、本当に卓球が大好きなんだなというの感じます。
――新入生たちとはうまくコミュニケ―ションをとれていますか
佐藤 そうですね。結構、話しかけに来てくれるので、こっちとしてもやりやすいかなと。
2年生になり、初めてできた後輩はどうですか
阿部 なんか若干もう馬鹿にされるようになってきているので、まあかわいいんですけど、これから締めていきたいと思います(笑)。
佐藤、徳永 こわー(笑)。
徳永 これ、こわー(笑)。えげつない!(笑)。
一同 やばいやばい(笑)。
――徳永選手も阿部選手同様に新入生を締めますか
阿部 締められるよ(笑)。
徳永 まじで馬鹿にされてるよ(笑)。
一同 (笑)。
徳永 なんか私たちの学年とはまた雰囲気がちがうよね。
阿部 うん。どの学年もみんな違くない?
徳永 まあ確かに。
徳永 うーん。良い子たちだと思う。
阿部 (笑)。
佐藤 まとめすぎでしょ(笑)。
徳永 小鳥みたい。
――小鳥みたいというのは
徳永 いや、良い子たちという意味です(笑)。
阿部 こういうとこだよね(笑)。
徳永 なになに、いいじゃん(笑)。
佐藤 は?みたいなところね(笑)。
一同 (笑)。
「自分が勝たないといけないというのを持ってもらいたい」(佐藤)
リーグ戦ではエース級の活躍が求められる徳永
――ここからは春季リーグについてお伺いしていこうと思います。まず、佐藤主将にお聞きしますが、今季のチームの強みは何ですか
佐藤 飛びぬけて、この人が絶対に(勝ちを)取ってくれるという人はいないと思います。なので、人任せにするのではなくて、自分が勝ちにいくんだという気持ちを一人一人持っていれば、個々の選手は強いので、それがまとまったら本当に強いチームになると思います。自分が勝たないといけないというのを持ってもらいたいです。
――春季リーグでのそれぞれご自身の役割というのは何だと考えていますか
佐藤 チーム全体の雰囲気を見ることと、自分もレギュラーに入っているので、後輩たちがやりやすい雰囲気にするために自分自身も試合で頑張りたいなと思います。
阿部 出た試合は勝たないといけないかなと思っています。勝たないといけないと1年生の頃よりも思うようになりました。
徳永 去年は「勝っても負けても思い切ってやれ」と言われていたんですけど、ことしは勝たないといけないかなと思います。あと、後輩の二人もレギュラーに入っているので、去年春リーグで二人(阿部選手と徳永選手)とも雰囲気に押されてしまって負けたりしたので。阿部さんは違うかもしれませんが(笑)、私はそうだったので、もし試合とかで緊張で試合をしづらかったりしたら、去年経験したことで声を掛けたりだとかで、いろいろ助けてあげられたらいいなと思います。
――春季リーグで自分のここ、このプレーを見てほしいというのはありますか
佐藤 カットからの変化をしっかりつけて、攻撃で得点するパターンが私の強みだと思っているので、そこを試合の中で多く発揮できたらいいなと思っています。なので、そこを見てもらいたいです。
――阿部選手はいかがですか
阿部 うーん。スマッシュ。
一同 (笑)。
佐藤 まあそうだろうね(笑)。
――スマッシュをすべて見てほしいということですか
阿部 いや、一番最初の頃よりかは、スマッシュを自分的には打てるようになったかなと思っているので、はい、そこを。
佐藤 回り込んだほうがいい?(笑)。
阿部 あっ、はい(笑)。頑張ります(笑)。
――どこの場面でのスマッシュを一番見てもらいたいというのはありますか
阿部 え、どこの(笑)。
佐藤 回り込み、回り込み!土井さん(みなみ、中国電力)との試合(東京選手権、5回戦)はまじ強かったよ。回り込んでた。
徳永 めっちゃいきなり打つやつもやることない?
佐藤 逆にね。回り込みと、逆打ちスマッシュ。
阿部 頑張ります。
――徳永選手はいかがですか
徳永 前よりもバックの練習をしているので、今まではバックをあまり打てていなかったんですけど、バックで攻めて自分の得点するチャンスにつなげたいです。そこを見てもらいたいです。
――今季のライバルとなるであろう大学は
佐藤 どこも差はないんですけど、やっぱり中央大学が多く新入生が入っているので、だれが出てくるのかわからないというのが怖さになっていますね。それと専修大学は昨年とほぼメンバーが変わらないので、専修大学もそうですね。
――それぞれ、個人的に注目いている選手、またライバルはいますか
佐藤 東京富士大学はみんな向かってくるというのは分かっているので、そこは気をつけたいですね。
阿部 同学年で言うと専修大の安藤みなみ選手ですね。
徳永 私も同い年の安藤選手に何回負けたか分からないくらいに何連敗もしていて、いつも競って負けるので勝ちたいです。
――今季の目標を教えてください
佐藤 昨年の秋リーグで優勝しているので春リーグで優勝したいという気持ちは強いんですけど、それが逆にプレッシャーにならないように気をつけたいというのと。4年生になったことで春リーグもこれで最後なので、思い切って楽しみたいと思います。
阿部 小道野さんたちが抜けて、結構戦力的にも落ちてしまったのですが、やっぱり目標はグランドスラム(※)達成で。頑張ります(笑)。
徳永団体戦なので、自分の勝ち負けにこだわりすぎないで、みんなで盛り上がって試合をして結果的に優勝を目指せるように頑張っていきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 本田京太郎)
※春季リーグ、インカレ、秋季リーグの三冠を達成することを『グランドスラム』と呼ぶ。
春季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!
◆佐藤風薫(さとう・ふうか)(※写真左)
1994年(平6)4月16日生まれ。156センチ。岡山・就実高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク裏・裏。阿部選手や徳永選手から「ふうちゃん」と呼ばれている佐藤女子主将。下級生たちが伸び伸びとプレーできているのはその優しそうな雰囲気のおかげだと対談をしていて感じました。このチームが佐藤女子主将の下、どんなチームになっていくのか非常に楽しみです!
◆阿部愛莉(あべ・あいり)(※写真中央)
1996年(平8)12月6日生まれ。147センチ。大阪・四天王寺高出身。スポーツ科学部2年。右シェーク裏・粒高。対談中、話している徳永選手にちょっかいを出す阿部選手は佐藤女子主将がおっしゃった通り、かまってちゃんでした。試合中には強烈なスマッシュを放ち強打で相手を圧しますが、プライベートではかわいらしい阿部選手のようです!他の部員さんとの掛け合いにも注目ですね!
◆徳永美子(とくなが・みこ)(※写真右)
1996年(平8)12月12日生まれ。158センチ。福岡・希望が丘高出身。スポーツ科学部2年。左シェーク裏・裏。少し天然でよく阿部選手や佐藤女子主将にいじられていた徳永選手。彼女だけにしかできない動きや発言があるのだとか!春季リーグ戦ではおちゃめな徳永選手の動きを観察してみましょう!