【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集『打破』 第3回 加藤夏海×田中千秋×鳥屋真帆

卓球ダブルス

 いよいよ春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)の開幕が近づいてきた。今季グランドスラム(※)を最大の目標に掲げ、そのためにまず春季リーグ戦制覇を狙う女子卓球部。その屋台骨とも言える加藤夏海(社3=秋田商)、田中千秋(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)、鳥屋真帆(社3=高知・明徳義塾)の3年生トリオに、大一番を控えるいまの心境を伺った。

※『グランドスラム』とは、春季リーグ戦、インカレ、秋季リーグ戦の三冠を達成することを指します。

この取材は4月15日に行われたものです。

3年目の自覚

昨シーズンを振り返る田中

――大学生活も折り返しの3年目となりましたが、心境の変化はありますか

鳥屋 時間割もそんなにきついわけでもなくて、卓球について考える時間が増えたのは3年生になったからかなと感じています。また下に後輩が増えてきたことで自分の行動に責任を持たなきゃなとも感じています。

加藤 3年生になるとすごく上級生な感じがして、4年生になったら最後の1年しかないし、時間がもう残り少ないんだなと3年生になって改めて実感しています。時間が少ない分、時間を無駄にしないように卓球だったり勉強だったり、やらなきゃいけないことを効率よくやっていかなきゃいけないなと思って、練習や他のやりたいことに向かうようになりました。

田中 さっき鳥屋も言ってたんですけど、だんだん単位が取れてきて時間に余裕が出てきたのもあって、卓球に向き合う時間が増えたというのは大きな変化だと思いますし、ことしの1年生って私の高校の後輩もいるので、そういう面でも先輩としてもっとしっかりしなきゃっていう自覚も2年生の時よりはるかに強くなって、普段の何気ない行動に気を配るようになったと思います。

――田中選手は髪をばっさりと切られましたね

田中 気合を入れて、ということにしといてください(笑)。

一同 (笑)。

――みなさんにとって昨シーズンはどんな1年間になりましたか

田中 1年生の時は、がむしゃらにやっていた印象で、2年生は後輩が入ってきて、その後輩が実力があって強いということで、いろいろ迷いながらというか、上からも下からも、良い意味でも悪い意味でも影響を受けて、自分の中でもブレがある1年というか、不安の多い1年であんまり良いイメージがないっていう感じですね。

加藤 私個人としてはすごく卓球の調子が上がって、前の年よりも上達できたのかなと思う時もあったし、逆に全然うまくいかなくなって自分の卓球が分かんなくなったり、教えてもらったこともうまくできなくて、自分が何から手を付けたらいいのかも分からなくなって混乱した時期もあった1年だったんですけど、その分自分の卓球と向き合う時間が増えた1年だったし、卒業した4年生とのリーグ戦で学ぶことも多かった1年でした。

鳥屋 春季リーグに出させていただいて、緊張感も味わって良い経験をさせていただいたり、反対に秋季リーグはあまり出ない分、試合に出るとか出ないとか関係なく自分の役割を果たすことの大切さを知れたので、自分がもし試合に出たときに自分の力を発揮するっていうことを意識して取り組めたかなという1年でした、それで自分が実際に試合の中で力を出せたか出せないかはいろいろあるんですけど、勝ったり負けたりしたので、それを安定してというか、自分の実力的に勝てる相手にはしっかり勝てるようにできたらいいのかなと学べた1年でしたね。

――昨年1年間を通して課題や収穫は見つかりましたか

鳥屋 私はすごく波が激しいというか、良い時は何も考えずに自分の思っていることができるんですけど、うまくいかなくなった時に歯止めが利かなくて負けてしまうので、連続ミスした時にどう対応するかとか、そういうところで勝てる試合に勝てなかったりしたので、そういう課題が印象に残ってます。

加藤 私も良い時は自分の得意なことができて、自分より強い相手とも互角にプレーできるんですけど、最後の最後で一本取れなかったり、最後に追いつかれたりして。最後に戦術を変えたり、自分の中で勇気が出せなかったので、そこはこれからの課題としてやっていきたいと思います。

田中 さっき不安が多い1年だったって言ったんですけど、そのおかげというか、不安を克服するっていう意味でいろんな人にアドバイスをもらったりして、自分はこれだけ人に支えられてるんだって、自分が落ちて気づくものが多かったです。多分上にいたら分からないんですけど、下にいたからこそ周りの人が普段からこれだけ応援してくれてるんだ、こんなふうに思ってくれてるんだって感じられて、自分もそんな人になりたいとも思ったし、すごくありきたりな言葉なんですけど感謝の気持ちを忘れちゃいけないんだなと実感したので、そういう意味では収穫でした。

――1年前の対談では「加藤選手は緊張しやすい」という話がありましたが、克服できましたか

加藤 できてないです(笑)。

一同 (笑)。

加藤 やっぱり、緊張するのは、治らないです。

――鳥屋選手はことしの全日本選手権で石川佳純選手(全農)と対戦されました。世界トップクラスの選手と戦ったことで感じることはありましたか

鳥屋 そんな相手と試合できることはめったにないし、そこまで勝ち進んだのはすごくうれしかったんですけど、(石川選手は)オーラが全然違って、試合の中で私も思い切っていくんですけどそれを跳ね返すくらいの精神的な強さを感じました。技術ももちろんすごく上なんですけど、競った時に絶対先に攻めてくるので、一番感じたのは精神力の強さでしたね。

――チームとしては昨年の秋季リーグで連覇を達成しました。振り返っていかがですか

田中 先輩って偉大だな、と。3つ上の先輩も、2つ上の先輩も、秋季リーグは自分の力を出し切れる状態にしていて、そういう面でも背中で見せるじゃないですけど、かっこいい先輩で。そういうのを見ていて、圧巻というか、すごいの一言でしたね。学生最後でプレッシャーがあるのに、あれだけ力を出し切れるんだというのは本当に尊敬しました。

加藤 卒業した4年生は、春季リーグはチームのことを考えてくれすぎて逆に力が入っているのかなと感じる部分もあったんですけど、秋季リーグではいままで練習してきた成果というかプレーでチームを引っ張ってくれて、本当にすごいなと実感しました。

鳥屋 試合に出る人も出ない人も自分のやることをすごく明確にされていて、それで私たちも付いていけたので、多分4年生同士ですごく話し合っていたんだと思うんですけど、そうやってコミュニケーションを取っていたところも尊敬します。プレーもすごかったんですけど、団結力もすごいなって感じてました。

――おととしのチームもことしのチームもリーグ戦で優勝しているということで、プレッシャーはありますか

一同 あんまりないです。

田中 結局毎年メンバーは変わるので、前回優勝したワセダっていう部分もあるかもしれないですけど、それ以上に、新しいワセダっていう気持ちが私は強くて、だからいままでがどうとかは、あんまり考えてないですね。

チームの強み

言葉を選びながら質問に答える加藤

――佐藤主将はみなさんから見て、どんな方ですか

鳥屋 明るい。

田中 見守ってくれる存在というか、上からがつがつ言うよりは、下からの意見をすごく尊重してくれて、チーム一人一人に意見を求めてそれを取り上げてくれて、周りをちゃんと見てくれる主将だなと思います。

鳥屋、加藤 そんな感じです(笑)。

――チームの雰囲気はいかがですか

田中 まとまりがあるっていうか、仲良いです。同期も仲良いし、先輩後輩も仲良くてコミュニケーションが取れているなって。新1年生は恐縮したり緊張してるかもしれないんですけど、結構そういうのも取れてみんなわきあいあいとやってる印象が強いです。

加藤 みんなやりたいことができてるというか。

田中 確かに。

加藤 変に気を遣わないで、自分のやりたいことに取り組める環境ができていると思います。

――新入生の印象はいかがですか

鳥屋 真面目で頑張り屋さんが多い。

田中 練習熱心で卓球大好き。努力家ですかね、結構。

鳥屋 いつも夜遅くまで練習してます。

――学年問わず仲がいいというお話がさきほどありましたが、休みの時も学年関係なく部員同士で遊びに行くことが多いですか

田中 私1回行ったかな。鮎美(伊藤、スポ1=愛知みずほ大瑞穂)と碧衣(金子、スポ1=愛知みずほ大瑞穂)連れて。

鳥屋 あと、鍋会とか。

加藤 ご飯とかね。

田中 夜、誰かの家に集まってご飯食べたりとかするので。

鳥屋 部室でもね、結構話したりするし。

――その仲の良さがリーグ戦などの団体戦ではプラスに働いていますか

田中 そうですね。ベンチで、プレーヤーが求めるときもアドバイスしやすいですし、アドバイスする側も先輩後輩関係なく思ったことを言えるので、仲がいいっていうのはプラスになってると思います。

加藤、鳥屋 うん。そんな感じ(笑)。

――ことしのチームの強みは何でしょうか

加藤 チームの雰囲気がよくて、佐藤主将も明るくて見守ってくれる雰囲気があって。例えば普段の練習でも、「こういうことがやりたい」とかすごく言いやすい環境なので、学年問わずみんながやりたいことに取り組めるので、その分個々のレベルアップにつながっていると思います。そういうことがこれからのリーグ戦やインカレ(全日本大学選手権団体の部)でも生きてくると思うので、それが強みだと思います。

田中 その通りだと思います(笑)。

――いまそれぞれが力を入れて取り組んでいることは何ですか

鳥屋 私は試合を想定した練習をしてます。普段はバック対オールの練習が多いんですけど、それを練習相手にも動いてもらって、全面を使って、コースも決めたりしないでオール気味にやる練習を増やして実践的にやっています。

加藤 私はレシーブとか台上の処理が苦手なので、ことしに入ってからそういう細かいプレーに重点を置いて練習しています。あとは私もゲーム練習を多くして、できないことを明確にして次に取り組めるように、そういった練習を多く取り入れています。

田中 私は結構試合してて相手の調子を上げてしまうというか。すごいラリーが続いて、周りから見ると「良いラリーだね」ってなるんですけど、最後勝ち切れないっていう課題があるので、サーブ3球目とか早い段階で決めにいくボールをつくったりとか。あと私はバックに表(ラバー)を貼ってるので、ラリーでもナックル出したりサイドスピンを入れて変化付けたり、コースもバックじゃなくてサイドにいくとか、そういう細かいところに目を向けてやっています。

――先日の立川オープンではリーグ戦でも対戦する可能性のある他大学の選手とたくさん試合をしたと思いますが、手応えはありましたか

田中 私は東京富士大のカットマンの後藤さん(奈津美)と対戦して、成果も見えた部分もあるんですけど、それ以上に課題が見つかった試合でした。やっぱり富士の人たちは、ここ一本の粘りがすごいチームで、それが富士の強みだと思うんですけど、そういう面で自分たちが粘られたときにどう戦うかっていう課題がもらえた試合だったので、立川オープンで富士の選手とやれてよかったと思います。

加藤 とりあえず私は立川オープンの時に調子が悪すぎて自分が何をやっているのか分からなくなってしまって、試合どころではなかったです(笑)。最後はリーグ戦にも出てる中大の人に3―0で負けてしまったんですけど、どのセットも競ってて。そういう調子が悪い状況でもラリーにはなるんですけど、そこで点が取れないのはやっぱり自分の苦手なことができてないからということで、ビデオを見て一貫してできていないところが分かったので、そこをもうちょっと練習していきたいなと思います。

鳥屋 中央大学の左利きの選手に負けたんですけど、やっぱりサーブレシーブがうまくいかない時にずるずるミスが続いてしまったので、もっとサーブレシーブの練習が必要だなと感じさせられました。反対に自分のサーブが効く相手には私も有利に試合を運べるので、もっとサーブレシーブを追究したり、そういうところに目を向けることの大切さを感じさせられる大会でした。

「目標は全勝優勝」(鳥屋)

リーグ戦に向けての意気込みを語る鳥屋

――リーグ戦が近づいていますが、いまの心境はいかがですか

田中 私は団体戦が一番好きなので、やっとこの時期が来たなって(笑)。秋季リーグが終わると、個人戦が続いて、団体戦がなくなる状態で、春になるとようやく団体戦がいっぱい入ってきて、私自身すごく団体戦が好きなので楽しみでもありますし、早く開幕戦を迎えたいなって思ってます。

加藤 今回はいままでとチームのカラーも結構違うので、どういうリーグ戦になるのかなって結構楽しみでもあります。授業が始まって春休みより練習時間が取れないんですけど、リーグ戦に向けて自分のやらなきゃいけない練習にひたすら取り組んでいる状況です。

鳥屋 自分としては早く試合がしたいっていう気持ちだし、特に千秋とのダブルスがすごく楽しみで、秋はあんまり出られなかったので、春も出られるか分からないですけど、出させていただいた時はしっかり勝ちにいけるように残り少ないですけど準備してチームに貢献できるようにしたいなって思ってます。

――いまお話にもありましたが、田中選手と鳥屋選手のダブルスの調子はいかがですか

鳥屋 いいよね?

田中 うん。

鳥屋 絶好調だよね?

田中 うん。絶好調だと思う。

一同 (笑)。

田中 やっぱりダブルスって二人のコミュニケーションが大事なので、二人の練習量がそのまま試合に出ると思うので、時間を見つけてしっかり練習できればいいかなと思います。

――それぞれの大学が新戦力を迎えての春季リーグとなりますが、警戒しているルーキーはいますか

田中 ルーキーで言ったら森田(彩音、中大)じゃない?

加藤、鳥屋 あー。中大のね。

田中 中央大学の森田選手はオープン戦でも上位に乗ってきていて、本人も調子が上がってきていると思うので、その選手が一番強いんじゃないかな、と。大学全体だったら、専大、中大、東京富士大がやっぱり強いと思います。

――ライバル視する大学も、その専大、中大、東京富士大の3校になってきますか

一同 そうですね。

――ワセダのキーマンは誰だとお考えですか

田中 個人的には、最近2年生の徳永(美子、スポ2=福岡・希望が丘)が部外の試合で結果を出してて、神奈川選手権で優勝したりしているので、爆発してくれないかなと思ってます。

加藤 阿部(愛莉、スポ2=大阪・四天王寺)、徳永ですかね。去年も初めてのリーグ戦なのに落ち着いたプレーができていたので、2年目は少し慣れてくると思いますし、爆発するんじゃないかなって(笑)。

――鳥屋選手はいかがですか

田中 私ですって言いなよ(笑)。私が爆発しますって(笑)。

一同 (笑)。

鳥屋 うーん。阿部、徳永も期待してるんですけど、新入生の活躍も期待してます。やっぱり高校とは違うと思うので、大学の雰囲気が好きで爆発する選手も出てくるので、そういう意味では新入生の活躍も期待したいなと私自身思っています。

――リーグ戦の中でご自身はどんな役割を果たしていきたいですか

加藤 チームが勝つために自分は何をしなきゃいけないのかをその時その時でしっかり考えることをまず一番頭に入れたいっていうのと、試合に出るか出ないか分かんないんですけど、もし出れた際には緊張は一番すると思うので(笑)、他のチームメイトに助けてもらいながら少しでも自分のプレーを出して勝利に貢献できるようにしたいです。まず一番にチームのために何ができるのかを考えてリーグ戦を迎えたいなと思います。

鳥屋 試合に出させていただいた時にはしっかり自分の力が発揮できるように、それまで後悔しないようにサーブレシーブとかも準備して、心の面も準備することと、試合に入ったら試合に出ても出なくても雰囲気を盛り上げたり、明るくみんなと接したいなと思います。

田中 自分の強みは明るさや元気だと思っているので、出た時はいつも意識して「後ろを振り向いて笑顔でいよう」って言ってるんですけど、そういうふうにベンチやチーム全体が盛り上がるように明るくプレーしていきたいです。自分が出られなくても、試合に出るメンバーを笑顔にできるようにサポートしていきたいですし、周りを気遣いながら自分自身も明るくチームが盛り上がるように貢献していきたいなと思ってます。

――では最後に、リーグ戦への意気込みをお願いします

一同 優勝。

田中 やっぱ優勝ですよね(笑)。新チームなので新チームらしく開幕戦を迎えて、どんな状況になってもみんなで一致団結していけるようにしていきたいと思います。

加藤 目標はやっぱり優勝で、去年もグランドスラムを達成できてないので、ことしこそはグランドスラムを達成できるように楽しみながら勝ちにいきたいなと思います。

鳥屋 目標は全勝優勝です。去年の秋季リーグも一敗してるので、開幕戦から一戦一戦みんなで一致団結して戦っていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 稲満美也)

春季リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!

◆田中千秋(たなか・ちあき)(※写真左)

1996(平8)年2月14日生まれ。157センチ。A型。愛知みずほ大瑞穂高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・表。明るさがトレードマークの田中選手が今回の対談をリードしてくれました。リーグ戦でもムードメーカーとしてチームを元気づけてくれるでしょう。

◆加藤夏海(かとう・なつみ)(※写真中央)

1995(平7)年6月8日生まれ。160センチ。B型。秋田商業高出身。社会科学部3年。右シェーク裏・裏。控えめな口調ながらも言葉の端々に春季リーグ戦への強い気持ちを感じました。春季リーグ戦では普段の表情とは異なる、闘志あふれる加藤選手が見られるはずです!

◆鳥屋真帆(とりや・まほ)(※写真右)

1995(平7)年8月1日生まれ。156センチ。A型。高知・明徳義塾高出身。社会科学部3年。右シェーク裏・裏。終始笑顔で質問に答えてくれた鳥屋選手。田中選手とペアを組むダブルスでの活躍にも期待です!