【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集『打破』 第2回 上村慶哉×坂内拓也×硴塚将人

卓球ダブルス

 目前に迫った春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)に新たな気持ちで臨む、上村慶哉(スポ3=福岡・希望が丘)、坂内拓也(スポ3=東京・実践学園)、硴塚将人(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)の三名。上村は新エース、坂内は新レギュラー、硴塚は新入生として――。チーム最大の目標の一つであるリーグ戦制覇に向けて、意気込みを伺った。

※この取材は4月13日に行われたものです。

「チームを勝たせられるように」(上村)

新エースとして勝利が求められる上村

――最近の調子はいかがですか

上村 最近は調子いいです(笑)。ナショナルチームの合宿に行って、強い選手と練習したりして、技術もそうですし戦術とか精神面でも、最近少しずつ成長できてると思うので、まあまあ調子いいです。

坂内 調子は今いいかって言われるとそうではないんですけど、リーグ戦を見据えて調子を上げていっているという意味では良い準備ができてるんじゃないかと思ってます。

硴塚 1年生ということで、入部から1カ月くらい経って少しずつ大学の練習には慣れてきて、授業とか慣れない部分もあって。練習時間も以前よりは短くなったので、厳しい環境の中でも調整して、これからどんどん調子を上げていきたいと思ってます。

――リーグ戦を間近に控えて、いまのお気持ちはいかがですか

上村 やっぱり去年と立場が変わって、僕が前半に出てチームに勝利をもたらすだけじゃなくて、勢いも求められる立場になったので。リーグ戦になると実力があまり出ない部分があるので、精神面で試合前にしっかり準備して、チームを勝たせられるように頑張りたいです。

坂内 僕はこの2年間はリーグ戦に出る機会がなくて、今季初めて出るってことになるんですけど、そうなると立場も変わってきて、期待されるものも変わってきますし、出る以上はチームを勢いづける戦いをしなくてはいけないと思うので、3年生なんですけど挑戦者の気持ちでやっていきたいと思います。

――下級生時から試合に出ていた上村選手も3年生になり、後輩も増えてきたと思いますが

上村  そうですね…。なかなか僕のことを尊敬してくれる後輩は少ないので…。

坂内、硴塚 (笑)。

上村 大島さん(祐哉、平28スポ卒=現ファースト)も行動とか真似できるようなものじゃなくて、大島さんの試合を見て「こういうふうにやれば勝てるんだ」とか、「こういう戦いをしなきゃいけない」って勉強してきたので、やっぱり卓球してる姿だとか、そういうところは僕が後輩に教えてあげられるところは教えていきたいです。

――同期からしても上村選手は心強い存在なのでしょうか

坂内 そうですね。言葉で引っ張っていくよりは、自分で練習追い込んでとか、シビアな行動をして背中で見せてくれる感じだと思いますね(笑)。 尊敬してます。

上村 (笑)。

――硴塚選手は、後輩として見ていかがですか

上村 こいつ(硴塚選手)はしてないっす(笑)。

硴塚 いや、多分卓球部の中で一番尊敬してると思いますよ。

一同 (笑)。

――この対談の組み合わせについてはいかがですか

坂内 この二人(上村選手と硴塚選手)は小学生の時、同じクラブチームだったので。

上村 僕が小4か小5のときから。

硴塚 そうですね。

上村 地元が熊本でクラブチームが一緒で。

硴塚 もう…腐れ縁です(笑)

――早大卓球部の練習はどんな雰囲気ですか

上村 実力も目的も幅広いんですけど、ワセダは(実力が)上の人と下の人で練習したりもするので、みんな一生懸命やってると思います。

硴塚 似たようなことになるんですけど、幅広いレベルの中でいろんな選手とか戦型の人たちがやってるので、いろんな視点が持てたり、アドバイスがもらえたり自分もしたりして、自分の向上にもなるし、チームの向上にもなっていいと思います。

上村 素晴らしい後輩ですね。

一同 (笑)。

――練習の休憩中の雰囲気はいかがですか

坂内 休憩中はみんな仲良くしてますね、和やかで。練習が始まったら、切り替えて追い込んでいこうっていう雰囲気でできてると思います。

――先ほどお話にもありましたが、幅広いレベルの部員がいることで良いところはありますか

上村 これが良いって人と嫌って人がいると思うんですけど、僕は好きですね。みんな強い人ばっかりだと、もちろん練習相手がいっぱいいていいんですけど、なんか雰囲気が…。だから僕は好きですね。

坂内 強くても弱くても、努力している人はすごく努力してるので、たとえ自分より弱い人でもすごく努力してる人を見ると自分も頑張らなきゃなと思いますね。

上村 強い人ばっかりだったら、団体戦に出られない人が「どうせ俺出られないから」って端っこの方で流したりとかすぐに練習切り上げたりとかあるかもしれなくて。そういう雰囲気の人がいると周りに伝染するので、そういう意味では試合に出られない人もしっかり真面目にやるし、雰囲気は良いかなと思います。

「伝統を実感したい」(硴塚)

硴塚のルーキーらしい勢いあるプレーに注目だ

――坂内選手と硴塚選手から見て、上村選手はどんな存在ですか

坂内 上村も1年生の頃はリーグ戦で勝てなくて、1年の春リーグは負け越しで終わったと思うんですけど、そこからだんだん勝てるようになってきて、いまでは勝ち越ししてますし。個人戦でも選抜(全日本学生選抜選手権)で優勝したり、全日本(選手権)でランク入りしたり、結果を出しているので、そういう意味ではどんどん頼れる存在になってきてるなと思ってますね。

硴塚 小さい時のイメージがあるから、あれなんですけど。昔より、やる時はやるようになってると思います。

一同 (笑)。

坂内 昔は真面目じゃないみたいになってるけど(笑)。

硴塚 いや、真面目なのは真面目だったんですけど、いまは練習ない時とかは笑って騒いだりしててメリハリがありますね。

――上村選手のプレー面以外はいかがですか

坂内 やっぱりムードメーカーなんですよね。盛り上げる時はわーっと盛り上げてくれるし、だから上村が練習場にいてチームを盛り立てたり、試合の時も盛り立ててくれると、安心するなと思ってます。(上村選手の存在は)かなり精神的に大きいと思います。

硴塚 まあ、そんな感じですね。

一同 (笑)。

――硴塚選手はワセダの卓球部には慣れましたか

硴塚 少しずつ慣れてきました。

――どうしてワセダを選ばれたんでしょうか

上村 俺に憧れた?

硴塚 それも一理あります。って言っておきます(笑)。

坂内 絶対嘘だろ(笑)。

硴塚 ワセダは伝統や歴史があるチームで、僕は中学、高校は新しくできたばかりのチームだったので、伝統の重みとかあまり分からなくて。中学、高校と伝統あるチームでやってた人と違ってそれを味わってないので、伝統を実感したいなと思いました。

――普段はどんな先輩とよく接していますか

硴塚 いろんな人と接してます。

――先輩はみなさん優しいですか

硴塚 はい。適度にかわいがってくれます(笑)。

――いままで所属していたエリートアカデミーと早大卓球部の練習に違いはありますか

硴塚 1コマ1コマの練習時間が大学は短いので、短期集中でオンオフのメリハリがついてるなと思います。

――ことしの全日本選手権ではランク決定戦で上村選手と対戦されていましたが、その時の印象は

硴塚 いままで(上村選手に)勝ったことなかったので、挑戦者の気持ちで挑みました。まあ、あともう2、3歩くらいだったんですけど、ぎりぎりのところで意地を見せられて、「これがワセダか」と思いました(笑)。

上村、坂内 (笑)。

――勝った上村選手はいかがでしたか

上村 いやー全然負ける気しなくて(笑)。でも、本当に(硴塚選手は)強くて、しかも全日本のランク決定戦で。結構緊張したんですけど、最後は勝つだろうなって思って試合してました(笑)。

――坂内選手は高田直騎主将(スポ4=福岡・希望が丘)とダブルスのペアを組まれるとのことですが

坂内 そうですね。東京選手権から組ませてもらっています。

――相性などはいかがでしょうか

坂内 僕が年上とダブルスを組むのが好きで、高田さんはキャプテンでみんなを引っ張ってくれる存在なんですけど、ダブルスでも同じで。僕を励ましてくれたり、指示を出してくれて、引っ張ってくれるので、そういう意味では気持ちよくダブルスができてるなと思いますね。

――主将とペアを組むことで気負いはありませんか

坂内 いや、それは高田さんの人柄を見てもらえれば分かると思うんですけど、そういう気負いはないですね。

――先日の世界選手権にはことし早大を卒業した大島選手が出場されていましたが、思うことはありましたか

上村 本当に見ててすごいなって。大島さんは高校の時とかそんなに有名な選手じゃなくて、大学に入って一気に伸びた選手で、僕も高校の時シングルスであんまり成績残せなかったので、そういう部分では励みになるというか、目標としてる選手ではあります。見てて楽しかったです、負けましたけど(笑)。

坂内 中学、高校では身近に世界で活躍するような人はもちろんいなかったので、世界に出て頑張ってる選手が身近にいると思うとうれしいですし、吸収できるものはしていきたいなと試合見てて思いました。

硴塚 僕は入れ替わりなので、意識するっていうよりは自分が代わりになるじゃないですけど、大島さんくらい頑張らないといけないなという思いがありました。

――昨年の課題をどう生かしていこうと考えていますか

上村 去年は勝負どころで負けたので。(秋季リーグ戦は)シングルスは1敗、ダブルスは2敗しかしてないんですけど、そのシングルスの1敗は(専大との)優勝決定戦で、ダブルスも優勝決定戦で負けて。重要な一戦でどれだけ自分の力が発揮できるかが重要なので、そういう場面を想定した練習をしたり対戦相手の戦術を組んだり、もっとしっかり準備をしていくことが大事だと思いました。去年とかは1、2日前にちょっとやってという感じだったんですけど、ことしはダブルスのパートナーも変わりますし、最初はうまくいくと思わないので、準備をしっかりしていきたいですね。

坂内 昨シーズンはベンチから見てて大島さんと勝也さん(山本勝也、平28スポ卒=現リコー)の存在が戦力的にも精神的にも大きかったと思うので、その二人が抜けてしまって、精神的な主柱がなくなって。上村がそうなってくれれば一番いいんですけど、やっぱりまだ全員でやっていかなきゃいけないと思うので、実力で大島さんと勝也さんに及ばなくても、試合中に声出すとかチームメイトを励ますとか、精神的に支えていければと思います。 それがまた自分の勝ちにもつながっていくと思います。

「一試合一試合が勝負」(坂内)

新レギュラーとして、坂内がリーグ戦に懸ける思いは大きい

――上村選手は新エースの呼び声が高いですが、チームを意識することで自分が変わった点はありますか

上村 去年から大島さんと勝也さんとダブルスが勝つので、自分が勝てばチームが勝つっていう状況だったので。自分が勝たなきゃって思ってきたので、去年はそれができたっていうのが自分の中で大きくて、自分が一回り成長できた部分があります。ことしはチームの精神的な柱になって、後半にいる選手に安心感を与えられるようなプレーをしなきゃいけないと思いますね。

硴塚 かっこいいっす。

上村 大島さんが出てた時、本当に精神的に心強かったので、エースはそういう存在にならなきゃだめだと教えてもらいましたね。

――男子部の見どころはズバリ何でしょうか

硴塚 早稲田は去年と比べると戦力が落ちてるんですけど、他の大学はあまり戦力が落ちてないので。一戦一戦、全部大事だと思うんですけど、その中でメイジとか専修に少しでも食らいついて、勝てるチャンスがあったら勝ちにいきたいですね。

坂内 1戦目から勝負になると思います。いままでだったら勝ちを積み上げていって、メイジや専修と勝負だったんですけど、今回からは全試合が勝つか負けるか分からないシーソーゲームになってくると思うので、一人一人が自覚を持ってやってるので、一試合一試合が勝負だと思います。

――逆に女子の見どころは

上村  女子はかなり強いので…。

坂内 ワセダの女子はオールスターです。巨人です(笑)。

一同 (笑)。

――女子の注目選手は

坂内 鎌田(那美、スポ1=北海道・駒大苫小牧)と金子(碧衣、スポ1=愛知みずほ大瑞穂)の新入生の二人かな。全学年が強いので、そういうところに飛び込んできた二人がどれだけ試合に出て、どれだけ活躍できるかが楽しみです。すごい上からみたいですけど(笑)。

――改めて、チームの目標は

一同 優勝ですね。

――そのためのご自身での役割とはどう考えていますか

上村 やっぱり僕は前半で相手のエースを倒して、ダブルスでも勝って。『勝つ』ことが優勝への近道だと思っています。

坂内 監督がオーダーを組むときに、いちばん1点を計算できないのが僕だと思うんですよね。逆に、その僕が勝つことができればチームとしてはすごく楽になると思うので、1点を貪欲に狙っていきたいと思います。

硴塚 僕は団体戦というものがあまり得意じゃないんですけど、チームで勝つということを少しでも早く学んで、チームの勝利に貢献できたらいいなと思ってます。

――最後に意気込みをお願いします

硴塚 新入生らしく元気良く、自分の力を十分に発揮して、一勝でも多くしてチームの勝利に貢献できたらいいなと思います。

坂内 相手の学年が上でも下でも常に挑戦者の気持ちを忘れずに、勝っても負けてもチームに勢いをつけられるようなプレーをしていきたいです。

上村 自分の力を出し切れば結果はついてくると思うので、しっかり準備して臨みたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 菖蒲貴司)

リーグ戦の抱負を色紙に書いていただきました!

◆上村慶哉(うえむら・けいや)(※写真左)

1995(平7)年7月24日生まれ。165センチ。B型。福岡・希望が丘出身。スポーツ科学部3年。左シェーク裏・裏。ことしからはワセダのエースとしてリーグ戦に挑む上村選手。万全の準備をして、リーグ戦優勝に向けて突き進みます!

◆硴塚将人(かきつか・まさと)(※写真中央)

1997(平9)年10月6日生まれ。168センチ。AB型。東京・JOCエリートアカデミー出身。スポーツ科学部1年。左シェーク裏・裏。対談では幼馴染である上村選手との仲の良さが感じられました。リーグ戦は1年生らしく元気なプレーでチームを『勢』いづけます!

◆坂内拓也(ばんない・たくや)(※写真右)

1994(平6)11月13日生まれ。186センチ。A型。東京・実践学園高出身。スポーツ科学部3年。左シェーク裏・裏。3年目のことし、やっとの思いでレギュラーの座を勝ち取った坂内選手。『挑戦者』として強敵にも果敢に立ち向かう坂内選手に注目です!