学生日本一の夢、ついえる

卓球ダブルス

 全日本大学総合選手権個人の部(全日学)最終日。シングルスの準々決勝から決勝までが行われ、強豪たちによる激闘が繰り広げられた。男子は、大島祐哉(スポ4=京都・東山)が出場。順調に駒を進め、決勝では国際大会でダブルスを組む明大の森薗政嵩と激突した。結果は、無念の2位。悲願のタイトル獲得には、あと一歩及ばなかった。一方の女子は、準々決勝で小道野結(スポ4=神奈川・横浜隼人)、阿部愛莉(スポ1=大阪・四天王寺)の同士討ちとなる。自分のペースを保ち続けた小道野が、準決勝への切符を獲得。準決勝で敗れたものの、自身の成長を感じられる大会となった。

 準々決勝を難なく突破した大島は、準決勝で今大会ダブルスの決勝で敗れた田添健汰(専大)と対戦。「かなり決勝も意識して試合していた」と語った大島はストレート勝ちを収め、森薗政嵩(明大)との最終戦に臨んだ。激しいラリーが展開され、大島は得意のフォアで応戦。しかしオーバーミスが目立ち、ゲームカウント1-3に追い込まれる。何とか次のゲームを取り返し、迎えた第6ゲーム。10-8で大島がリードするも「僕の戦術が甘かった」(大島)と悔しげに振り返ったように、続く1点を森薗にチキータで奪われる。そのままジュースにもつれ込み、11-11で並んだ後2連続でミス。大島が頂点に立つことはできなかった。

決勝まで圧倒的な強さで勝ち進んだ大島

 1年生の勢いに、4年生の経験が勝った。女子の準々決勝は、小道野、阿部のワセダ対決。1ゲーム目は小道野が先制するも、続くゲームは「思い切って戦うことができた」と振り返った阿部が11-1で奪取する。両者一歩も譲らない熱戦は、フルゲームまでもつれ込んだ。折り返しとなる5点目を先取した小道野に、阿部も負けじと食らいつく。9-8の1点差まで追い上げた。ここで小道野が、4年生の意地で2点連取。ベスト4入りを決めた。準決勝は、幸先よく2ゲームを連取したものの、流れに乗った相手に逆転を許す。そのまま巻き返すことはできず、決勝進出とはならなかった。

2年連続の準決勝進出と、学生トップレベルの強さを誇る小道野

 4年生はもちろん、次世代を担う選手たちも好成績を収めた今大会。しかし、惜しくも金色のメダルを逃した選手たちには、悔しげな表情が浮かんでいた。「やってきたことがここで試すことができた」(阿部)と語ったように、自身の課題を見つめなおす良い契機になったことだろう。今回ランク入りを果たした選手は、11月の全日本学生選抜選手権に出場する。実力者ばかりが集うため、今大会以上のレベルの高い争いが予想されるが、次こそは優勝を掴み取りたい。

(記事 橋本望 写真 石川諒、豊田光司)

※ダブルスではベスト8以上、シングルスではベスト16以上を『ランク入り』と呼ぶ。

激戦を終え、晴れ晴れしい表情の大島

ランク入りを果たした阿部、小道野、徳永

結果

▽男子シングルス

準々決勝

◯大島4-1宮本(中大)

準決勝

◯大島4―0田添健(専大)

決勝

●大島2-4森園(明大)

▽女子シングルス

準々決勝

◯小道野4-3阿部

準決勝

●小道野2-4高橋(同大)

コメント

大島祐哉(スポ4=京都・東山)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

朝から3試合を自分では想定して準備しましたし、決勝まではうまく行くことができました。決勝戦では、(相手が)森薗(政嵩、明大)君か吉田(雅己、愛工大)君か自分の中では予想していて、森薗君が上がってきました。(ゲームカウント)2-3で負けていたんですけど、やっぱり10-8リードで(ゲームカウント)3-3に持ち込んで、(どちらが勝つか)わからない状況まで行きたかったです。でもやっぱり森薗君の執念が少し上回ったかなと思いますね。

――準決勝は、ダブルスの決勝で敗れた田添(健汰、専大)選手が相手でした。何か意識したことはありましたか

そんなに意識することはなく、ここはもう絶対勝つぞっていう自分の気持ちで、勝ちました。

――その気持ちがストレート勝ちという結果につながったということでしょうか

そうですね。やっぱりもう準決勝くらいからは、かなり決勝も意識して試合していました。

――決勝戦では、世界選手権などでダブルスを組む森薗選手が相手でした。特別な思いはありましたか

森薗とはダブルスも組んでいますし、ワールドツアーという世界の大会を廻る時でも一緒の部屋にいます。一緒に過ごす時間が長くて仲も良い選手なので、本当に良いライバルです。やっぱり、勝ちたいという気持ちはかなりありました。森薗君もそう思っているでしょうし、勝ちたいという気持ちは二人ともあったと思います。

――森薗選手はチキータを得意としていますが、対策はありましたか

バックに大きいサーブというのは、かなり対策としてありました。でもやっぱり相手もそこは考えてきていたので、少し僕の戦術が甘かったかなと思いますね。

――最後のゲームはジュースまでもつれ込みましたが、その時の心境はいかがでしたか

10-8リードで自分がサーブでした。短いサーブを二本出しちゃったんですけど、どっちか一本でも長いサーブを出して、自分のフォアにつなげていきたかったなという部分はありました。でもそれができなかったのが、あそこの敗因かなって思います。ジュースになったらもうかなり不利なので、そこが勝負だったと思います。

――2位という結果で終ったことについては、どのようなお気持ちですか

今大会は自分の地元でもある京都での開催で、二冠を狙ってきていました。でも、最後どっちも決勝戦で負けたっていう本当に一番悔しい結果に終わってしまいました。自分にはまだまだ何かが足りないから決勝で勝てないということだと思うので、そこを何なのかっていうのを突き止めて、これから先練習していきたいと思います。

――今大会は後輩の活躍も多く見られましたが、どのように思いましたか

上村(慶哉、スポ2=福岡・希望が丘)君が大学に入ってから初めてランク入りしました。ワセダは来年から僕が抜けて、エースとなる選手が少しいなくなると思うので、上村君がそうやってエースの意識を持ってやっていってくれればいいかなと思います。

――次の大会は何でしょうか

日本だと、12月の半ばに世界選手権の選考会があるので、そこに向けてですね。

――その大会の目標を教えてください

優勝することで、世界選手権への道が開けると思います。まず一人は絶対に代表に選ばれるので、そこで優勝して、世界選手権に向けて頑張りたいと思います。

小道野結(スポ4=神奈川・横浜隼人)

――シングルスベスト4の率直なお気持ちは

やり切ったなという感じです。

――今大会どのような気持ちで過ごせていましたか

シングルスではベスト8決定で、安藤(みなみ、専大)選手と当たるというのがわかっていたので、もし勝ったとしても阿部(愛莉、スポ1=大阪・四天王寺)と当たるのもわかっていたので、一戦一戦、相手が誰であろうと自分で盛り上げて。相手を気にするよりは自分の集大成というのと応援してくれている人たちのためにやり切ろうと臨みました。

――きょうの初戦では阿部選手とのワセダ対決でしたが

同士討ちというのと後輩と思ってしまうと負けてしまうと思っていたので、相手は知らない人だと思って(笑)。とりあえず自分を盛り上げて戦いました。

――その後高橋真梨子(同大)との試合ではリードしながらも敗れるという展開でした

1、2セット目ずっと優勢で連取して、3セット目からどんどん相手の調子が上がってきてたのですが、それに気付くのが遅くてそのままいってしまったので、ちょっと気持ちの切り替えが良くなかったかなと。でも振り切ったのでしょうがないかなと思います。

――相手の苦戦したポイントはどこですか

最初はバックに集めて、バックバックで勝っていて、相手もバックのミスが多くなっていたのですが、あんまりミスしなくなってきて、フォアに出すと結構深くていいボールが来るので、こっちが焦って打たされちゃうという展開になって、そのまま終わってしまったかなと思います。

――またダブルスでは2位という結果でしたが、連覇できなかった悔しさはありますか

正直連覇はしたかったですが、2人で最後まで楽しくできたので、悔いはないと言ったらうそになるんですけど、良かったかなと思います(笑)。

――高橋(結女、スポ4=新潟産大附)選手と二人でとても楽しんでプレーしているように感じました

相手が誰というよりも、二人で最後の全日学なので、とりあえず二人の中で、「今回のテーマはエンジョイだ」と高橋に言われて、それをやり切れて良かったです。

――最後の全日学はどのような大会になりましたか

きょねんがあまりにも自分にとってはいい成績で、今回臨んだので、きょねんよりは良い成績ではないのですが、また一段階ステップアップしたというか、自分にとっても収穫があったし、4年間やり切ったと思える大会になったので、良かったです、

――きょねんの成績はまぐれとおっしゃっていたこともありますが、今回の実感はどうですか

特に、安藤選手とか阿部選手に勝ってここまで来られたので、実力まではいかないのですが(笑)、そのまぐれから自信を持てるような試合になったと思います。

――全日本に向けてお願いします

ここまですごく順調に来ていて、ステップアップしているのが自分でも感じるので、全日本で大暴れできるように、成長できるように頑張ります。

阿部愛莉(スポ1=大阪・四天王寺)

――専大の鈴木李茄・安藤みなみペアとの一戦を振り返っていかがですか

前半は攻め切れていて良かったと思うんですけど中盤から相手の方が一本多く入れるようになってリズムが崩れてしまってそのままいかれてしまったので、今後は自分達のリズムが崩されてもそこから先に入れることと、入れてくる相手に対してどう対策をしていくかが課題になりました。

――徳永選手と組んで初の全日学でした

最初は自信がなくて秋リーグ(関東学生リーグ戦)で負けた大正大のダブルスへの対策をしっかりして臨めたことが出来たので、今回は初めてのわりにはうまくいったかなと思います。

――シングルスでの小道野選手との一戦はどのような戦いをしようと考えていましたか

向かっていくだけだと思ったので緊張とかはなかったんですけど、ゲームカウント3-2の6-2で勝っていてそこから勝ち急いでしまって、そこで全部自分から攻めてしまったのでそこが経験の差というか。小道野さんはタイムを取ってそこからの巻き返しとか、そこからの一本を多く返してくるのでそれはいい刺激になりました。

――表情も険しかったように見えましたが、先輩との試合はどのような心境でしたか

正直同士討ちはあんまり得意じゃないというか変な気持ちが入るとかよくあるんですけど、相手は先輩だしすごく強いと分かっていたので思い切って戦うことが出来ました。

――ランク入りもしましたがこの結果をどう受け止めていますか

全体的に大学に入って半年間やってきたことがここで試すことが出来て相手にも通用する技術があったので、今回は今後につながる良い試合だったかなと思います。

――来月の全日本学生選抜選手権ではどのような戦いをしたいですか

選抜は最初から強い選手と当たるのでそこでいいプレーができるようにこれから頑張って練習したいと思います。