【連載】『春季関東学生リーグ戦直前特集』 第1回 阿部愛莉×徳永美子×平野晃生

卓球ダブルス

 男女共に春季関東学生リーグ戦(リーグ戦)での優勝を目指す早大卓球部。この春、その門を叩いたのが平野晃生(スポ1=山口・野田学園)、阿部愛莉(スポ1=大阪・四天王寺)、徳永美子(スポ1=福岡・希望が丘)だ。悲願達成に欠かせない存在になるであろうこの3名に、早大での新生活や初舞台となるリーグ戦などについてお話を伺った。

※この取材は4月23日に行われたものです。

ワセダへの憧れ

左から平野、阿部、徳永

――卓球を始めたきっかけを教えてください

平野 両親が卓球をやっていたので、気付いたら始めているという感じでした。

阿部 両親が実業団の監督をしていて。最初はやるつもりはなかったんですけど、両親に勧められて始めました。

徳永 お兄ちゃんが卓球をやっていて、「一人は嫌だから来て」と言われて始めました。

――卓球の他にスポーツのご経験は

平野 自分はやったことないです。

阿部 ちょっとだけ、水泳していました。

平野 あ、俺もしたことあった(笑)。

――その経験が卓球に生かされたりは

阿部 ないですね(笑)。

――今までの卓球人生で、印象に残っていることはありますか

平野 高校2年生の時のインターハイの団体で、準決勝で負けた時に試合に出ていない先輩方が、(試合に出た)自分たちよりも泣いていて、かけられた言葉は覚えていないんですけど、それがすごく印象に残っています。

徳永 高校3年生の時のインターハイの団体で、5番目で自分が負けてしまって、エースでずっと(チームを)引っ張っていた子にも、試合に出ていなかった子にも頭が上がらなくて、その時に、(内容は)はっきりとは覚えてないんですけど、前を向けるような言葉をかけてもらいました。

阿部 高校1年生の時、卓球のやる気をなくしている時に試合に出たんですけど、自分も気持ちが入ってないまま試合していて。でも、観客席で母が真剣に応援してくれていて、それが申し訳ないなと思って。そこから、自分のためだけじゃなくて、人のためにも頑張ろうと思いました。

――みなさんはなぜ、ワセダを進学先に選ばれたのでしょうか

平野 小さい頃から、ワセダに憧れみたいなものがあって、できるならワセダで(卓球を)やりたいなと思ってワセダを希望しました。

徳永 私も小さい頃から大学に行ってみたいという思いがあって、ワセダだったら勉強も卓球もしっかりできる環境があるのかなと思って。あとは、上にたくさん(高校の)先輩方がいて、みんな「ワセダがすごく良い」と言って進めてもらって、入りました。

阿部 高校の時に卓球を教えてもらっていた先生の教え子がワセダ出身の人がいて、その人が夏休みに大阪に戻ってきた時に「ワセダに来たらいいんじゃないの」と先生に言っていて。ワセダだったらすごく良い学校だし、卓球の環境も良いというか。それで勧められて入りました。

――平野選手は昨年度の主将である山本直哉さん(平27スポ卒=現旺文社)は高校の先輩ですが、入学にあたってお話はされましたか

平野 進学するにあたって、いろいろ連絡を取り合ったりして、いろんなことを聞きました。

――大学の練習にはもう慣れましたか

一同 はい。

――高校と大学の卓球部で違うところはありますか

平野 高校の時は毎日みんなが一緒に練習するんですけど、大学になると授業があったりして(それぞれの練習時間が)ずれて、一緒にはできないところが違うなって思いました。

徳永 高校の時は練習時間が毎日長くて、決められた練習をずっとやってたんですけど、大学は短い時間でみんな集中して練習していると思います。

阿部 私は高校の時は一人一人に担当のコーチが付いていて、練習の時はそのコーチが指導するという感じだったんですけど、大学は自分たちでやらないといけないし、考えなきゃいけないところが違うかなと思いました。

――ワセダの練習にはいつ頃から参加されましたか

平野 自分は全日本選手権(全日本)の後に別の合宿に参加して、その後2月の最初くらいから練習に参加しました。

徳永 私も2月です。

阿部 私は3月の初めくらいです。

――チームの雰囲気はいかがですか

平野 みんな集中して練習に取り組んでいて、その他のところでも楽しくやっているので良い雰囲気だなと思います。

徳永 みんながリーグ戦優勝やインカレ優勝という目標に向かって前向きにやっているので、練習中も部室でもすごく雰囲気が良いです。

阿部 一緒です(笑)。

――山本勝也主将(スポ4=石川・遊学館)や小道野結主将(スポ4=神奈川・横浜隼人)はどんな方ですか

平野 もちろん中心となってチームを引っ張ってくれてるのもそうなんですけど、一人一人に対してもしっかりと見ていてくれてアドバイスや言葉をかけてくれるのですごく助かっています。

阿部 すごくしっかりしていて、卓球をやっている時はすごく集中していて、試合でも闘争心が見ていて伝わってくるんですけど、卓球をやっていない時はしっかり(力を)抜いてオンはオン、オフはオフってメリハリがついているのですごいなと思います。

徳永 阿部さんと同じで、すごくしっかりしていて、「みんな頑張りましょう」という感じでみんなの前でよく話したり、キャプテンっていう雰囲気があって。普段はケガしてる人にも声をかけたりしていてすごいなと思います。

――徳永選手はことし1月の全日本で小道野主将と対戦されましたが、対戦相手としてはどうでしたか

徳永 小道野さんはバックが表で、卓球が早くて、スマッシュも威力があるので最初はびっくりしました。

ワセダの一員

男子部期待のルーキー平野

――3月の東京選手権では、初めてワセダのユニフォームに袖を通して試合をされましたがいかかでしたか

平野 自分はさっきも言ったように憧れがあったので、とても嬉しくて試合に集中できなかったりもしたんですけど。そうですね、嬉しかったという気持ちが一番です。

阿部 ちょっと緊張しました。

徳永 嬉しくて、自分が思っていたより1回目はユニフォームを着ただけで緊張しました。

――入学して1か月が経ちますが、大学生活には慣れてきましたか

平野 授業は、まだそんなに慣れないです。

――90分間の授業は長いですか

平野 そうですね、長く感じます。

――阿部選手はいかがですか

阿部 私的には慣れました。まだテストとかやったことないので分からないんですけど。

――面白い授業はありましたか

阿部 今のところないです。

一同 (笑)。

――徳永選手はいかがでしょうか

徳永 所沢からの移動が遠くて、まだちょっと慣れないです。授業は、長いです(笑)。

――みなさんは一人暮らしをされているのでしょうか

平野 はい、自分は一人暮らししています。

阿部 寮です。

徳永 私も寮です。

――一人暮らしでは大変なことはありませんか

平野 やっぱり食事の面が一番大変です。

――自炊をされているのでしょうか

平野 いや、ほとんどしてないです(笑)。

――お二人の寮生活はいかがですか

徳永 中高が寮だったので、それに比べたらだいぶ楽になりました(笑)。

阿部 私も中高が寮だったので、今の寮はだいぶ楽です。

――どういった点が楽なのでしょうか

阿部 中高だったら、オフの日でも外出する時は監督に帰る時間まで言ってから外出していたんですけど、今の寮は自由が利くというか。

徳永 中高はずっと大部屋だったんですけど、今は一人部屋なので、誰もいないなので楽です(笑)。

――オフの日はどのように過ごされていますか

平野 (オフの日も)授業があるので、授業に行っていたら1日がほとんど終わっちゃうので、オフというオフな感じはしてないです。

阿部 結構、新宿に行きます。映画とか。

徳永 授業が始まる前は遊びに行ったりしていました。

――オフの日も卓球部の方と過ごされることが多いですか

平野 やっぱり卓球関係になることが多いですね。

――みなさん大学入学以前から面識はあったのですか

一同 はい。

阿部 小学校だよね、美子とか。

徳永 え!?。

――初めてお話されたのは

阿部 それなら中1ですかね。バスの中でメールしてました。一緒のバスに乗ってるのに話せなくて(笑)。

平野 それが第一印象なの?(笑)。

一同 (笑)。

――では今のみなさんそれぞれに対する印象、イメージというのは。

平野 (阿部さんは)さらってしてる感じです。

阿部 いいように言うね(笑)。

平野 (徳永さんは)ちょっと抜けてるのかなという感じがします。

阿部 (平野さんは)女子力が高い。

一同 (笑)。

阿部 なんでしょうね。見ないと分からないんですけど、不意に仕草が女の子っぽいです。

徳永(平野さんは)高校の時はみんなが平野くんのことをかっこいいと言っていて…。

阿部 どんまい、今は違うってことだよ。

徳永 そうじゃなくて(笑)。あまり話す機会もなくて。

阿部 意外と話しやすくて面白い。面白いかな?

平野 面白くはないよ。

阿部 もっとしけーっとしてるのかと思った。

一同 (笑)。

――阿部さん、徳永さんはお互いにいかがですか

阿部 動きとか発する言葉とか全て人間じゃない。

一同 (笑)。

阿部 でも分かるよね?人間並みじゃない。

平野 あー。

徳永 でも(阿部さんも)あんまりレベル的には変わんない。

阿部 (笑)。

徳永 すごいズバって言う。

――平野さんもそういった点で感じるところはあります

平野 そうですね。感じますね(笑)。

リーグ戦での勝利

変化系ラバーで相手を揺さぶる阿部

――今現在リーグ戦に向けてどのような練習をされているのですか

平野 練習自体はそこまで変わっているという意識はないですが、みんな状態は高まっていると思います。相手の動画を見たり、分析であったりを各自でやったり、みんなで集まってやったりしたりしています。

阿部 一人一人対戦する大学の分析をビデオを持ち帰って家でやったりして、全部パソコンに打ち込んでみんなで同じ情報を共有し合い、とりあえず対策を練ったりしています。

徳永 同じなのですが、対策をやったりシングルスもそうなのですけれど、ダブルスの練習も毎日やるようにしています。出られたら(団体の中で)1点を取れるように頑張ろうと練習しています。

――ダブルスはどなたと組んで練習されているのですか

阿部・徳永 この2人で(笑)。

――平野さんは

平野 主将の山本さんとです。

――阿部さん、徳永さんはダブルスを組まれてみて選手としてのお互いの印象などはいかがですか

阿部 中学が一緒でその時も組んでいたのでなんとなくは分かっていたのですけど、普通だったら止められないようなボールでも徳永さんは取ってくれるので、それが助かります。

徳永 ここに来て練習し始めて中学の頃から球の速さがすごい変わっていて、ダブルスを組んでいて私は決められないので、すごい速いボールを打って決めてくれるので

阿部 決めてない(笑)。

――阿部さんは中学の時と比べて徳永さんの変化で何か感じるところはありましたか。

阿部 ぶれない粘り。いや、でも中学校の時も結構ね(笑)。

徳永 (笑)。

阿部 結構中学校の時から粘り強い選手なので。でもその頃より今はもっとネバネバしています。

――平野さんは主将の山本さんの隣でプレーされていて学ばれたこと、感じたことなど何かありますか

平野 一つ一つのプレーに対する取り組みであったり、そういうところは本当にすごいなと思います。

――みなさんはご自身をどのような選手で、どんなところが強みだと考えていますか

平野 自分は卓球の中では少し身長の高い方であると思うので、そういう意味ではなるべく台から下がらないで前で腕などを伸ばして打点を速くやっていくというのが強みだと思います。

阿部 変化系のラバーを使っているので、裏裏とか普通の表より相手を前後に揺さぶれるのが強みだと思います。

徳永 人より打ったり動いたりするのがあまりよくないので。でも入れるのが得意なので人とはちょっと違うのですが、粘って勝つというのが強みかなと思います。

――反対に今後伸ばしていきたいところ、課題だと思っているのは

平野 自分はレシーブです。

――そう思うきっかけがあったりしたのですか

平野 勝負所の競ったところでレシーブになってしまうと消極的なレシーブであったり、ミスなどが多くそこで試合に負けてしまうことが多いのでそこが課題だと思います。

阿部 (変化系のラバーを使っていて)相手がそのボールに対して合わせて来た時に、けっこう(その回転を)利用されて打たれてバックに集められるのですけれど、その時に変化系のラバーなのでスピードが出せないので、できたら裏面で打つ技術も覚えていきたいです。

徳永 少しずつでも攻撃力を上げていきたいです。大学生になるとみんな威力もあって、守っているだけでは打ち抜かれてしまうので。トレーニングもやり始めたので、威力が出たらいいなと思います。

――他大学や同世代の選手で意識されている選手は誰かいますか

平野 大学で言ったらやはり明治大学が意識するところではありますね。

――総体で対戦した渡辺(裕介、明大)選手や他にも酒井(明日翔、明大)など同級生でも意識される選手は多いのですか

平野 やはりそこは意識しますね。

阿部…。みんなライバルです(笑)。

徳永 専修大学に同い年の強い子が入ったのですけれど、何回やっても最後には2-3で負けてしまうので、勝てるようになったらいいなと思います。

――リーグ戦のワセダの戦いで注目して欲しい点はどこかありますか

平野 ワセダは応援がすごいと思うので、その応援で乗っていけるように頑張ってやりたいですね(笑)。

阿部 レギュラーにいろいろな戦型の人がいるので、一試合一試合戦い方とかが違っていて、それぞれの特徴があり見ていて面白いと思います。

徳永 ワセダはチーム力もあると思いますし、小道野さんと高橋(結女、スポ4=新潟産大附)さんのダブルスも強くて、2年生の方のダブルスも強くて、私たちはちょっと分からないんですけど

阿部 (笑)。

徳永 頑張るので、ダブルスが注目です。

粘り強いプレーが魅力の徳永

――リーグ戦ではどういったプレーがしたい、自分には求められていると考えていますか

平野 1年生なのでチームに勢いを与えられるような、元気なプレーで盛り上げていきたいなと思います。

阿部 一緒です(笑)。

徳永 1年生なので絶対緊張はすると思うのですけれど、その緊張した中で自分のいいところを出していけたら、それでチームに貢献できたらいいなと思います。

――リーグ戦の中で山場になると考えている試合はどこかありますか

平野 最終目標は最後の明大戦なのですけれど、その前日の中大戦であったり、専大戦であったりにしっかりと勝って、最終日に繋げていきたいと思います。

阿部 専大だと思います。

徳永 どこも強いんですけれど、中大と専大が強い人が揃っているので、特にその2試合だと思います。

――そんな強敵と戦っていくのにみなさんから見てワセダのキーマンになるのはどなただと思いますか

平野 自分たちはやはり4年生の大島さん(祐哉、スポ4=京都・東山)、山本さんが信頼して見ていられるというか、勝ってきてくださるので心強いです。

阿部 誰というか、試合の中でダブルスが勝てたら絶対にその試合にも勝ちやすくなると思いますし、4年生のダブルス。ダブルスが1番大事だと思います。

徳永 どなたも先輩はみなさん強いのですけれど、4年生の方二人も強くて、(3年の)佐藤(風薫、スポ3=岡山・就実)さんも最近すごく調子がよくて、見ててもすごくいいです。

――みなさんのリーグ戦での目標は

平野 優勝に貢献するためにはやはり勝たないといけないので、勝つことを意識してやっていきたいです。

阿部 優勝に貢献できるように、出た試合は絶対に勝ちたいです。

徳永 個人で何勝とかもあると思うのですけれど、それよりチームが優勝することが大事なので、あまり勝敗は気にせず一回一回勝ちを目指して頑張りたいです。

――今後の大学4年間で成し遂げたいこと、どのような選手になりたいというビジョンを教えて下さい

平野 団体でもそうなのですけれど、個人戦でも勝てるような選手になって、チームの柱になっていけたらいいなと思います。

阿部 一緒なんですけど、団体戦だけではなくて個人戦でも勝てるようになりたいです。今の4年生の方がとてもしっかりしていてとてもいい人だと思うので、自分も4年生になった時に1年生からそう思われるような先輩になりたいです。

徳永 今はどんな相手に当たっても勝ったり負けたりが分からないレベルなので、4年生になった時にリーグ戦とかで絶対に勝てるような選手になっていきたいです。

――最後にこれから過ごす早大卓球部での4年間への意気込みを聞かせて下さい

平野 卓球もそうなのですけれど、勉強の方でもしっかり学校に行って、充実した4年間が過ごせるように頑張りたいと思います。

阿部 同じく勉強もしっかりやって4年間で絶対に卒業して、早大に通ってよかったと思える大学生活にしたいです。

徳永 せっかく早大に入れたので、4年間でいろいろなことがあると思うのですけれど、全部自分の成長に繋げていって楽しい4年間にしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 三井田雄一、稲満美也)

意気込みを書いていただきました!

◆平野晃生(ひらの・こうせい)(※写真左)

1996年(平8)6月7日生まれ。山口・野田学園高出身。スポーツ科学部1年。マイブームを尋ねると、「本を読むこと」と答えてくれた平野選手。最近の愛読書は、西加奈子の『サラバ!』だそう。終始落ち着いた受け答えをしてくださった平野選手ですが、リーグ戦では長い手足を生かした迫力あるプレーに注目です!

◆阿部愛莉(あべ・あいり)(※写真中央)

1996年(平8)12月6日生まれ。大阪・四天王寺高出身。スポーツ科学部1年。韓国の音楽グループ、少女時代のファンだという阿部選手。少女時代のバラード曲を聞いてから試合に臨むことも多いそうです。大好きな少女時代にパワーをもらい、リーグ戦ではワセダを勝利に導いてくれることでしょう!

◆徳永美子(とくなが・みこ)(※写真右)

1996年(平8)12月12日生まれ。福岡・希望が丘高出身。スポーツ科学部1年。趣味はジグソーパズル作りだと教えてくれた徳永選手。ご実家には、過去の作品が飾ってあるんだとか。パズル作りで培った集中力を発揮し、リーグ戦で活躍されること間違いなしです!