大島、明大エース下して優勝!

卓球ダブルス

 2か月前の悔し涙は、笑顔に変わった。大島祐哉(スポ2=京都・東山)は優勝をかけて、メイジのエース神巧也(明大)と対戦。前半はやや苦しい展開が続くが、ゲームカウント2-2で迎えた第5ゲーム目を接戦の末に奪うと、戦況が一転した。第6ゲーム目も激しいラリー戦に打ち勝ち、最後は床に倒れ込んでガッツポーズ。今季の関東学生春季リーグ戦(リーグ戦)で不調が続き、涙を流したエースが完全復活を遂げた。また、前日に昨季王者の王凱(専大)から大金星を挙げた山本勝也(スポ2=石川・遊学館)もメイジの新星を連破し、ベスト4に輝いた。

これまでの不調を払拭し、関東王者となった大島

 息を飲むラリー戦だった。大島は格下相手に苦戦しながらも勝ち進み、決勝で神と対決。白熱したロングラリーが何度も続く中、序盤は神にゲームカウント1-0、2-1と1ゲームのリードを奪われる。しかし、ゲームカウント2-2となった第5ゲーム。ここを取ってあと1ゲームとするか、取られてあと1ゲームとされるか。重要な局面で、大島は強気に攻め、11-8で制した。これで流れを掴むと、ジュースにもつれた第6ゲームでは、苦手なバックハンド攻撃で思いきりの良さが光り、優勝。大島がいつも以上の雄叫びと、ガッツポーズでのけぞると、相手の神は激闘を称え拍手を送った。互いに死力を尽くしたゲームだったことを、この光景が物語っていた。

威力を増したフォアハンドで勝負に出た山本勝

 強気な姿勢が、実力を開花させた。山本勝は7回戦で有延大夢(明大)、準々決勝で町飛鳥(明大)と、メイジの1年生エースに挑んだ。武器とする打点の速いバックハンド攻撃に加え、大島との練習で威力が増したというフォアハンドで、2人に本来のプレーをさせない。有延にはゲームカウント4-1で、町にはゲームオールの末に見事競り勝ち、立て続けにスーパールーキーたちを下した。準決勝では神にあと一歩及ばず、決勝で大島との競演は敵わなかったが、確実に一皮むけた山本勝。劣勢の場面から逆転する場面や、接戦の中で仕掛ける場面が多く、「気持ちの部分が変わった」(山本勝)と、精神面での成長がベスト4という結果につながったようだ。

 それでも、喜んだのは一瞬だった。昨季の関東学生新人選手権以来、ようやく王者に返り咲いた大島。春季リーグ戦で味わったどん底から這い上がって、たどり着いた優勝だけに喜びもひとしおなはずだ。それでも、「チャンピオンとして頑張っていかないといけない」(大島)と再び、身を引き締める。次は、9月からの秋季リーグ戦。大会まで約1か月半と間は空くが、王座奪還に向けもう歩き始めている。

(記事 栗坂美祐、写真 藤川友美子)

賞状を手にする山本勝(左)と大島

結果

▽男子シングルス

7回戦(ベスト8決定戦)

○大島4-2斎藤稜馬(筑大)

○山本勝4-2有延

準々決勝

○大島4-2鹿屋良平(法大)

○山本勝4-3町

準決勝

○大島4-0生田裕仁(法大)

●山本勝3-4神

決勝

○大島4-2神

▽女子シングルス

6回戦(ベスト8決定戦)

●小道野結(スポ2=神奈川・横浜隼人)1-4王舒(青学大)

●栗原加奈子(スポ2=北海道・札幌大谷)1-4北川真央(専大)

○高橋結女(スポ2=新潟産大付)4-2小鉢友理恵(東京富士大)

準々決勝

●高橋結女1-4姜赫煜(大正大)

コメント

大島祐哉(スポ2=京都・東山)

――6回戦筑波大の斉藤選手に苦しむ試合もあったが、格下相手に順調に勝ち進んだ決勝までについて

今日は、斉藤稜馬(筑大)選手など格下の選手と競る場面がすごく多くて、相手も攻めてきてましたし、それに受けて立っていては僕も勝てないと思ったので、そこで開き直って勝負しにいけたので今日は勝てたんじゃないかなと思います。

――決勝の明治大・神選手との過去の対戦成績は

正式に言うとリーグ戦で1回やっていて、1勝0敗で僕が勝ってたんですけど、やっぱり力的には神さんのほうが全然上ですし、今日はチャレンジャーのつもりで行きました。

――中盤激しいラリーもありましたが、決勝にはどのような戦略で臨みましたか

台上が神さんは得意ではないので最初はそこから行きたかったんですけど、サーブを少し変えられたりして台上から行けなくなってしまったので、自分の得意なラリーで勝負しようと思って、その結果勝てて良かったです。

――不利な展開が多い中、5ゲーム目の相手のミスに漬け込み得点し大きなガッツポーズも出ましたが、このポイントは大きかったと思いますか

(ゲームカウント)2-2になってここで3-2にするか2-3にされるのでは精神的に大きく違うと思ったので、やはりそこが今日の試合の中で大きかったですね。

――ラストゲームでは今まで苦しんでいたバックハンドで得点した印象でしたが

バックハンドはレベルに応じてレベルアップしていかないといけないと思っていましたし、今日は振らないと勝てない相手で行けたので、これが振れば入るという自身にもつながりましたし、これからの試合につなげていけるようにもっと練習していきたいです。

――ジュースになりマッチポイントを握られる苦しい場面もありましたが

そこで諦めることは簡単なのですが、諦めずに1本大事に取りにいけたというのはすごく自分の精神的な成長というか、相手目線で考えるのではなく、自分がこうすれば1点取れるという自分のことだけを考えて、相手がどうこうということではなかったので、あそこで競って勝てたのではないかと思います。

――接戦を制して勝利、神選手も拍手をしていましたね

神さんは先輩で、仲良くて普通に喋りますし、ナショナルトレーニングセンターでも一緒に練習しているので、いい試合をしようと最初から話をしていたので、いい試合ができたのでああいう風に拍手をしてくれました。

――不調からジャパンオープンなどで吹っ切れたと思いますがいかがですか

これで少し吹っ切れたという部分もありますし、逆に関東のチャンピオンということでプレッシャーもかかってくると思うので、自分のプレーをしっかりと貫いていけるようにすれば、関東のチャンピオンらしい大島というのも見せられるのかなと思います。

――不調をこえてトップに立った率直な気持ちは

トップには立ったのですが丹羽孝希(明大)選手も平野友樹(明大)選手出ていないですし、そういう選手が出ていない中で優勝したので、うれしいはうれしいですけど、丹羽選手に勝てるような練習をしていかないといけないと思いますし、愛知工業大学がインカレで優勝しているので、吉村真晴(愛工大)選手がすごく強いと思いますし、そういう選手にどんどん勝っていけるように、関東のチャンピオンとして頑張っていかないといけないと改めて思いました。

――これから、特にリーグ戦向けての意気込みをお願いします

リーグ戦になると僕と勝也(山本選手)のシングルスというのは見てもわかるとおり関東のトップですし、そこでダブルスが今回ベスト32で負けてしまったのでダブルスを課題においていけば、僕たちで3点取って、あと1点みんなで取ってくれるというのが最高の形なので、ダブルスを強化してあとはみんなの底上げをはかっていけば優勝につながってくると思うので、そこをやっていきたいなと思います。

山本勝也(スポ2=石川・遊学館)

――ベスト4という結果で終えて

準決勝はあと1歩のところでした。決勝で大島とやりたかったんですけど、最後は勝負した結果なので納得しています。

――ちなみに大島選手に勝てる自信はありましたか

結構練習は毎日やっていて、5分だと思っていたのでやりたかったです。

――メイジの1年生エースを2人も倒してベスト4という結果でした

2人とも1年生なので、1年生には負けたくないという気持ちがあって、最後は押し切ることができたので良かったと思います。

――得意のバックハンドはもちろんのこと、今回はフォアハンドの威力が増していたように思われましたが

良く練習する大島はやっぱりフォアが上手いので、それを真似して自分でも練習していて、最近すごくフォアも威力がでてきて良くなっているので、今度からどんどん(フォアハンド攻撃の威力を)上げていきたいと思います。

――相手に本来のプレーをさせなかったのも勝った要因だと思いますが

自分の特徴は打球点の速いバックハンドだと思うので、それをやれば相手は自分の卓球ができなくなると思っていました。レシーブでもサーブでも先に攻めていってラリー戦に持ち込もうと思っていました。

――劣勢なところから逆転してゲームを奪うことも多かったと思います

今回は強気でずっといけて。結構ラッキーボールも多かったと思うんですけど、それは強気にいけた結果だと思うので、そうやってラッキーボールも増えて良かったです。

――最後は神選手に負けてしまいましたが、フルゲームの激戦でした

お互い五分でいい試合だったんですけど、最後の最後で迷いが出てしまって。勝負はできたんですけど、相手の方が1枚上をいっていました。

――どこで迷いが出てしまいましたか

9-9になったときに、どんなサーブを出すかで迷ってしまって、最終的には相手にチキータをやられてしまったので。ロングサーブだったり、下回転だったり、色々なサーブがあったんですけどそこで迷ってしまいました。

――前よりもサーブが効いているようにも思いますが

逆回転のサーブが今回すごく効いて、最近取り組んでいたんですけど、それがすごく良くて。今までは相手のバック前とかミドル前とかに出すことが多かったんですけど、今大会ではフォア前中心に出すことができたので良かったです。

――団体戦では結果を残してきたと思いますが、個人戦でもこうして結果を残せたことについてはどう考えていますか

やっと結果が出たという感じです。練習の成果が出ました。

――何が1番変わったと考えていますか

気持ちの部分で、王凱さんであったり、倒すという気持ちが強くて、その結果相手も弱気になってくれたので、そこの部分だと思います。

――最後に今後の意気込みを

リーグ戦も全日学もすごく重要な大会なので、そこでも結果を残せるように頑張ります。

試合ができたのでああいう風に拍手をしてくれました。

――不調からジャパンオープンなどで吹っ切れたと思いますがいかがですか

これで少し吹っ切れたという部分もありますし、逆に関東のチャンピオンということでプレッシャーもかかってくると思うので、自分のプレーをしっかりと貫いていけるようにすれば、関東のチャンピオンらしい大島というのも見せられるのかなと思います。

――不調をこえてトップに立った率直な気持ちは

トップには立ったのですが丹羽孝希(明大)選手も平野友樹(明大)選手出ていないですし、そういう選手が出ていない中で優勝したので、うれしいはうれしいですけど、丹羽選手に勝てるような練習をしていかないといけないと思いますし、愛知工業大学がインカレで優勝しているので、吉村真晴(愛工大)選手がすごく強いと思いますし、そういう選手にどんどん勝っていけるように、関東のチャンピオンとして頑張っていかないといけないと改めて思いました。

――これから、特にリーグ戦向けての意気込みをお願いします

リーグ戦になると僕と勝也(山本選手)のシングルスというのは見てもわかるとおり関東のトップですし、そこでダブルスが今回ベスト32で負けてしまったのでダブルスを課題においていけば、僕たちで3点取って、あと1点みんなで取ってくれるというのが最高の形なので、ダブルスを強化してあとはみんなの底上げをはかっていけば優勝につながってくると思うので、そこをやっていきたいなと思います。