インカレ最終日 惜敗で幕を閉じる

水球女子
TEAM 1P 2P 3P 4P
日体大 4③ 12
早大 2① 10
大会規定により、PS戦で勝敗決定
▽得点者
阿部3、奥田2、杉本2、鈴木2、高橋
 

 日本学生選手権(インカレ)最終日。前日の準決勝に敗れた早大水球女子は、3位決定戦に挑んだ。相手となる日体大とは、今季の関東学生リーグ戦で1勝1敗という戦績であり、互角の争いが予想される。まさにその通りの展開となった。序盤から連続得点の取り合いが止まらず、差をつけたかと思えばすぐに追いつかれる。早大はループシュートを多用し着実にゲームメイクしていったが、決定機を作りきれなかった。最後の決着はペナルティスロー戦に託され、4人中1人が成功。この時点で日体大の成功本数が上回ったため、日体大の勝利となった。試合後、プールから上がった高橋里佳子主将(スポ4=千葉・秀明大秀明八千代)、GK石山佳乃(スポ4=埼玉・幕張総合)両4年生の目には涙が浮かんでいた。

悔しさをにじませる選手一同

 早大のアタックから試合が開始されるも、カウンターを受け2連続失点。そこで2分、杉本華音(スポ2=千葉・秀明大秀明八千代)がバウンドシュートを決め1点を返す。さらに6分。日体大が直前のゴール後に反則を犯し、ボールはGK石山へ。すぐさま高橋主将から奥田麗(スポ3=東京・藤村女)にパスが回り、左サイドからループシュートを決め入れた。そして30秒後にも、相手の退水(※)から数的優位に立つ。パスを駆使し最短距離でゴールに近づく全員の連携が光り、最後は鈴木杏梨(スポ1=神奈川・白鵬女)がループシュートで得点。3-3と五分五分の展開で、第2Pに続く。

シュートを打つ奥田

 再開直後から1対1の場面で優位に立ち、何度かシュートにこぎつけるも、相手GKに阻まれる。そんな中2分半、縦方向のパスをうまく使いゴール前に入り込んだ高橋主将のゴールは枠に当たるが、奥田がうまく左サイドに逃がし、そのままループシュートを決め込んだ。4分半には、攻撃ルール時間残り3秒に杉本が放ったロングミドルシュートが、なんとゴールイン。GK石山の好セーブで失点も1に抑え、5ー4で前半を折り返した。

周囲を鋭く見極める杉本

 点差をつけたい後半第3P。しかし反則数が増え流れをつかめず、退水をきっかけとした得点も許してしまう。この流れを返上し始めたのが、4分半。杉本がゴール前を陣取ると、自らは打たず、近くに浮かせる巧妙なパスでボールは鈴木へ。超至近距離なこの場面を冷静に見極め、ループシュートを選択。実に聡明なゴール劇だった。さらに6分半、カウンターを狙ったボールを鈴木が受けると、敵をうまくかわし左サイドにパス。攻撃時間残り3秒で、阿部紗也香(スポ3=千葉・芝浦工大柏)が真っ直ぐに決めた。終盤に退水を取られたピンチも切り抜け、7ー5と優位に立ち、命運は最終Pに委ねられた。

シュートを決めた鈴木へ、ハイタッチを交わしに行く高橋主将

 早大が流れに乗れるかと思いきや、序盤から日体大が決死の猛攻を仕掛けてくる。大きなカウンターを次々に成功させ、3分時点でまさかの3連続得点。あっさりと逆転を許してしまった早大はタイムアウトを取り、一度状況を整理する。すかさず再開直後、鈴木が一気に右サイドを駆け上がる。円形にパスを回し、最後には阿部が巧みな軌道から同点のゴールを割った。しかしまたも30秒後に逆転を許す。残り2分、カウンターから相手退水を誘ったビッグチャンスで再びタイムアウト。杉本、高橋と回したボールをきっちりと決めたのは、またも阿部であった。この同点弾が乱打戦を終わらせ、第4Pは終了。決着はペナルティスロー戦に持ち越された。まずは日体大1人目のシュートをGK石山が死守。続いて早大1人目の高橋もゴールを決めた。だが最終的に早大はこの1本のみの成功となり、敗北が確定した。

パスを送る阿部

 絶対に取りたかったメダルへの道のり。結果は惜しいものになったが、阿部の同点弾など最後まで意地を見せた。また中盤の、相手ゴール前から素早く切り返すカウンターには目を見張るものがあった。この悔しさを晴らす舞台は、もうひとつしかない。次戦となるのは日本選手権最終予選だ。進出の切符をつかめるか。まだまだシーズンを終わらせないでほしい。

 

※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

 

※掲載が大変遅れてしまい、申し訳ありません。

  

(記事、写真 中村凜々子)

コメント

  

高橋里佳子主将(スポ4=千葉・秀明大秀明八千代)

――昨日からのチームの雰囲気の流れはいかがでしたか

 最終目標は優勝だった中で準決勝で敗れてしまったのですが、最後は勝って終わろうということで、みんなでミーティングで気持ちを切り替えました。

――改めて、今日の試合はいかがでしたか

 惜しくも敗れてしまったのですが、後輩たちに助けられて、応援の力もあって。自分としてはやり切ることができたかなと思っています。

――具体的によかった部分で言うと

 向こうがやってくるであろうことは対策していたので、エースを止める、大事に攻める、といったことは実践できたかなと思います。

――ラストのインカレでした。率直な今のお気持ちを教えてください

 もう後悔はなく!終われました。

――最後に、次戦に向けての意気込みをお願いします

 シーズンはまだ続くので、次は日本選手権に向けて、しっかり休んでからまた全員で進みたいと思います。

阿部紗也香(スポ3=千葉・芝浦工大柏)

――やはりまずは第4Pの同点弾について、お聞かせください

 やはりここで決め切りたいという気持ちが全員強かった場面だったと思います。自分は前半はすごく焦って、あがってしまい、ミスが連続してしまったので、精神的にも平常心が保てていなかったです。そんな中で後半に立て直して決められた1点だったので、個人的にも嬉しいシュートでした。

――チーム全体としての、昨日一昨日からの流れというのはどのように見られていましたか

 まずこのチームというのが、ここ数年で一番団結力のあるチームで、一人一人の熱意がギュッとまとまっているので、最高のチームで勝ちたいという気持ちがみんな強かったです。昨日のミーティングから勝ち筋は見えていたのですが、最後は相手のナイスプレーもありだったので、気持ちは全員出し切れたのかなと思います。今日の試合は特に、一人一人の得意なプレーやいいところがたくさん出た試合で、ミスも少なくできたのでよかったと思います。

――阿部さんは現在3年生ということで、来年は最終学年で挑むインカレとなります。今からわき上がっている思いはありますか

 4年生2人が築いてくれたチームのよさをこれからも引き継ぎつつ、後輩同期含めて全員すごく実力があると思うので、それを最大限引き出すことのできるチーム作りをしていけたらなと思います。

――最後に、次戦となる日本選手権最終予選への意気込みをお願いします

 ここで終わりじゃないというのを、最後のミーティングで監督陣にも言って頂きました。大好きな4年生ともっといい試合をするために、まだまだやれることがあるというのを今日実感したので、スピードダウンしないでまだまだレベルアップして、挑みたいと思います。

鈴木杏梨(スポ1=神奈川・白鵬女)

――初めてのインカレですね。どういった気持ちで臨まれていますか

 4年生のために、今まで練習してきたことをしっかり発揮できるように頑張りました。

――改めて、今日の試合全体の振り返りをお願いします

 今まで学生リーグなどで日本体育大学と対戦しているのですが、その結果などを踏まえて前日にミーティングを重ねて、自分達らしい水球ができたので、内容としてはよかったかなと思っています。

――前進力と決定力のあるシュートで、チームに大きく貢献された試合だったと思います。個人のプレーを振り返るといかがですか

 攻撃に関しては自分の持ち味であるスピードを活かして、泳ぎの中でシュートを決められたのはすごくよかったなと思っています。一方で守備の面では、退水してチームの流れを壊してしまった場面もあったので、まだまだ課題が残るなと思います。

――最後に、次戦となる日本選手権最終予選への意気込みをお願いします

 今回結果的には負けてしまったのですが、内容をしっかり振り返って、この悔しさをバネに必ず日本選手権に出場したいなと思います。