劇的な逆転勝利で、うれし涙の表彰台

水球女子
TEAM 1P 2P 3P 4P PT
東女体大
早大 10
▽得点者
小路4、小西2、徳用2、齋藤2

※PTはペナルティーシュート戦を指す

 「勝った時は本当にうれしくて、やってきて本当に良かったと思いました」(小西晃代主将、社4=埼玉・秀明英光)。前日の準決勝に惜敗し、3位決定戦に回ることとなった早大。優勝への道は断たれてしまったが、勝って日本学生選手権(インカレ)を終えるべく東女体大との決戦に臨んだ。試合は最終ピリオドで5点差を追い付き、ペナルティーシュート戦にまでもつれ込む大熱戦に。最後は5人目の小路安希(スポ3=埼玉・秀明英光)が得点を決め、3位を勝ち取った。

 8月に行われた日本選手権最終予選会で敗戦し、日本選手権への出場権を得ることができなかった早大。そのため、この日の3位決定戦が現チームでの最後の試合となった。「みんな最後に4年生を笑顔で送り出したいと思っていた」(大久保映見、人2=大阪・茨木)。勝って有終の美を飾るために。それぞれが並々ならぬ思いを胸に秘め、試合は始まった。第1ピリオドでは先制点は許したものの、開始約4分に小さくパスをつなぎ、齋藤有寿(スポ2=山形工)が1対1を冷静に決める。しかしその後は最終戦の緊張もあり、思うような動きをすることができず。東女体大に少しずつ引き離されていき、第3ピリオド終了時点で1-6と5点差がついていた。

 決して少ないとは言えない点差であった、『5点』。だが、「絶対にひっくり返せると思っていた」(小西)という言葉通り、選手たちには諦めの気持ちは全くなかった。まずは相手の退水(※)の好機で小西が待望の得点を挙げると、そこから流れは早大へ。理想的なチームディフェンスで相手の攻撃の芽を摘み取り、カウンターを中心に小路が3連続得点を重ねる。「ディフェンスからのカウンターがとても良くできていて、それがワセダのチームのプレーだとすごく実感した」(小路)。流れるような攻撃で会場全体をも魅了し、ついには徳用万里奈(社2=埼玉・秀明英光)のシュートで5点のビハインドを跳ね返し同点に。大歓声に包まれる中で第4ピリオドを終え、ペナルティーシュート戦へ勝負は持ち越しとなった。

同点ゴールを決め渾身のガッツポーズを見せる徳用

 早大の1本目を任されたのは齋藤。プレッシャーがかかる場面だったが見事に沈めると、相手の1人目が外してこの試合で初めてリードを奪う。その後は小西、徳用、田中寧葉(スポ4=埼玉・秀明英光)とつなぎ、両チーム4人目を終えて3-2。勝負の行方は、5人目の小路に託されることとなった。会場中の視線が注がれる、緊迫した状況。小路の放ったボールがネットを揺らす――。その瞬間に早大の勝利が確定し、中心には勝利に喜ぶ選手たちの笑顔が溢れていた。

勝利が決まり、全員で喜びを分かち合い涙を流した

 「ラストゲームがベストゲームでした」(田中)。大逆転劇を演じ、インカレ3位を勝ち取った早大。昨季までのエースが卒業した中で、当初は苦しむこともあったが試合を通じて成長を重ねていった。「このチームで終われて満足しているので、素敵な仲間を持てたことに心から感謝しています」(小西)。目標としていた優勝ではなかったが、最後に流した涙はうれし涙。何よりも価値のある試合をものにして、本年度のシーズンを終えた。

(記事 角田望、写真 井口裕太、寺脇知佳)

コメント

小西晃代主将(社4=埼玉・秀明英光)

――勝利が決まった瞬間、どのようなことを思いましたか

今まで小学校3年生から水球をやってきましたが、それが終わったなというのとこの1年間、本当にしんどいこともありました。勝ったときは本当に嬉しくて。やってきて本当によかったと思いました。

――やはり主将としての重責があったのでしょうか

ワセダは学生主体であるからキャプテンが色々と戦術を決めたり日頃の練習内容を決めたりします。チームマネジメントの難しさを痛感させられた1年間でしたし、自分は就職活動もあってなかなかチームにいられないこともありましたが、その点では同期の寧葉がうまくチームをまとめてくれました。本当にしんどかったですが、同期2人でやってこれてよかったです。

――第4ピリオドのあの場面、チームの雰囲気はいかがでしたか

3ピリ終わった時点で5点差でした。流れも来てなくてつらかったですが、絶対に我慢しようと言っていました。自分の中では東日本(リーグ戦)のときに、前半東女体大に圧勝していた試合がありました。それがあったので今回も絶対にひっくり返せると思っていて、それをチーム(のみんな)にも言いました。

――小西選手の2点目がチームに流れを呼び込んだのではないですか

ありがとうございます。私は1対1で点を決めて、チームのバランスを保つことをやらないといけなかったのですが、うまくパスも回せてなかったですし、1対1でも全然決められていなかったのでダメダメでした。後輩が流れを作ってきてくれたなと思います。

――小路選手の3得点は大きかったですね

やっぱり持っているなと思いました(笑)。あとは同点ゴールを決めた万里奈(徳用)のシュートも、いつもあの子はシュートが得意ではないなかであれを本当に決めてくれて頼もしい後輩を持ったなと思いました。

――ペナルティーシュート戦に臨むにあたってはどのような気持ちでいましたか

絶対勝ちましょうということでした。ペナルティーの練習もたくさんしてきましたし、最後はやるだけだなと思っていました。

――ゴールキーパーの松岡選手の活躍など、1年生2人が存在感を示していました

美有は中学生のころから同じ中学、高校で本当にびっくりするくらい成長しました。あと、まお(小泉、教1=東京・中大付)に関して言えばきのう2得点しましたし、これからのチームが楽しみだなと思います。

――このメンバーで水球をやれたことについてはいかがですか

このチームでよかったなと思います。このチームで終われて満足しているので、素敵な仲間を持てたことに心から感謝しています。

――後輩に向けたメッセージを最後にお願いします

ワセダはその年ごとにチームのカラーがあります。私たちがいなくなって、また新しいチームになったときにやっぱり優勝を目指してほしいし、優勝を目指せるメンバーだと思っているので、誰よりも応援しています。私たちが果たせなかった、日本選手権の出場とインカレでの優勝をリベンジしてほしいなと思います。

田中寧葉(スポ4=埼玉・秀明英光)

――勝った瞬間にはどのようなことを思いましたか

自分の中でラストイヤーで、そのラストゲームがベストゲームでした。

――第4ピリオドはプレーしていてどのような気分でしたか

3ピリ終わって5点差がついていたのですが、全然負ける気がしなくて。「全然大丈夫、追い付ける追い付ける」という感じで。みんなも声出していましたし、自分でも声を出していました。ただ、心が折れそうなときが少しありましたが、そのときには観客席からもすごい声援もらっていましたし、ベンチからの声もあったので、チームのなかでも追い付けるという感じがあって、この試合負けてしまうのかなとは思わなかったです。2ピリが終わったくらいから、笛が少し東女よりかなという自分の中では思っていて、「ここは我慢していこう」と言っていました。いつかワセダよりになるからそこまで我慢しようと。その我慢ができました。

――最終ピリオドの小路選手の3得点はどのように映りましたか

本当によくやってくれました。安希は小、中、高、大とすべて同じチームで誰よりも長く一緒に水球をやっていて、直属の後輩がこうやって決めてくれました。一つ下の代は安希ひとりですが、全然心配することなく引退できますね。

――キーパーの松岡選手も1年生ながら活躍が光っていました

2人抜けてしまうことでぴったりになってしまいます。どれだけ新入生が入ってくるかによってくるのですが、私たちが抜けた穴もしっかりと埋めてくれてさらにレベルアップしてくれると期待しています。

――試合前、この試合が最後だという実感はありましたか

最後と思っていたからかはわからないですけれど、とにかくこのチームでできる水球を楽しもうと思って。最後だからといって気負っていたりとか焦ったりはしなかったですね。

――大竹いこい選手(教2=東京・藤村女)がケガで欠くなかでの大会となりましたが、チームのなかでの存在感はいかがでしたか

いこいは高校は違うチームでしたが、小、中とは同じでした。大学でまた一緒になって2年間共にやってきました。やはり手術を選んでしまったことで一緒にプレーできなくてたぶんいこい自身がこの試合に出れなくてすごい申し訳なさを感じていたと思います。陸の上での仕事ぶりは選手ではできないことをしてくれたので、それが本当にワセダの力になりました。それがこういう勝ちにつながったと思います。

――もう一人の同期であった小西選手への思いは

晃代とは7年目の付き合いで私たちはもうアイコンタクトで意思の疎通ができますし、思ってることなども十分理解できていますが、どうしてもテンパってしまう性格もあって。そういうところを自分が晃代に声をかけて冷静にして、そうすると晃代も普段以上の力を出してきのうもきょうも爆発してくれました。そういうバランスがよくて、晃代と一緒に水球ができてよかったです。

――あらためてことしのチームはどのようなチームでしたか

私たちの代になってから大学4年間の中で一番練習した代だとけっこう自信を持って言えますが、それだけに結果が伴わなかった代だなと思っています。球技ですし勝負事ですから絶対に勝てるというのはありませんが、結果以上のものが得られたような気がして。チームワークとか、信頼関係とか、言葉で言い表せるものもありますが、言葉で何か言い表せない何かがワセダの女子の中で芽生えた気がします。

――最後に後輩たちへのメッセージをお願いします

私が頑張れなど言わなくても、後輩たちは頑張ってくれると思っていますが、ただ頑張れと言って見捨てるだけではなくて、私も卒業してから何かできることを探して来年からのチームの力の何か一つになれたらいいかと思っています。そういった形でサポートしたいと思います。

小路安希(スポ3=埼玉・秀明英光)

――勝利を収めたいまの気持ちを聞かせてください

逆転勝利だったので、本当にやってやったとチーム一丸となってつかんだ勝利だなと思います。

――第4ピリオド、5点差を追いついたあのときのチームの雰囲気は

いままで一番いいピリオドであったし、一番いい試合が4ピリ目になってできたのは遅かったですが、とてもいい試合でした。

――攻撃が非常によかったと思いますが

ディフェンスからのカウンターがとてもよくできていて、それがワセダのチームのプレーなんだなとすごく実感しました。

――このピリオドだけで3得点をあげましたが、もっているなと感じましたか

自分が3得点したことよりも、それをつなげてくれたみんなの力が一番大きいので、自分が決めたことよりも全員で勝ち取った試合だなと思います。

――ペナルティーシュート戦の前にチームのメンバーで声をかけ合った部分はありましたか

ペナルティー合戦になったときのために練習もずっとしていて、順番も決めていたのでそこはスムーズに入れましたし、練習通りやろうとなりました。そこまで緊張はしなかったです。

――試合の序盤に関してはいかがでしたか

緊張していたところがあって、みんな焦っていた部分があったと思います。やはり4ピリ目というところで勝ちたい気持ちが強かったのかなと思います。

――きょうの試合で最後になる4年生2人への思いは

寧葉さんは小学校のころからずっと一緒にいて、晃代さんは高校生のころからずっと一緒でした。一番長い2人が(チームを)抜けるのが自分の中では大きなことです。すごく引っ張ってくれたので、きょうの勝利があったと思います。本当に感謝しかないです。

――新チームでは最上級生となりますが、どのようなチームを目指していきたいですか

私は4年生になったら一人しかいないので、至らない部分もたくさんあると思いますが下級生も手伝ってくれますし、支えてくれるという面で下級生とたくさんコミュニケーションをとっていいチームに仕上げていきたいです。

――目標などはありますか

勝ちたいというのはやはりありますが、最後は笑って終わりたいので自分たちの水球ができるようにこれから練習をしていきたいです。

大久保映見(人2=大阪・茨木)

――逆転勝利を収めたいまの気持ちは

みんな最後に4年生を笑顔で送り出したいと思っていて、きょうは4年生が最後の試合だったので勝てて本当に嬉しかったです。いままで練習してきたことを出そうとみんなで言っていて、ワセダの強さが見せられたかなと思います。

――第4ピリオドにワセダの強さが集約されていたと思いますがいかがでしたか

みんな勝てるというなぜかよくわからない自信があって、その勢いに乗れたのかなと思います。

――第3ピリオドが終わってから気持ちの切り替えなどはあったのでしょうか

1ピリずつ、気合を入れ直してやっていました。最後というのもあったと思いますが、より一致団結していたなと思います。

――どこか開き直った部分があったのでしょうか

やはり最後までみんながあきらめていなかったからだと思います。

――ペナルティーシュート戦の前に何か心構えなどはありましたか

もう打つ人が決まっていたので、いけるいけるという感じでした。

――これで4年生2人が引退となりますが思いを聞かせてください

2人は水球を本当にまじめに取り組んでいて、すごく一生懸命で、熱心に水球を教えてくださりました。本当に一生懸命な先輩たちだったので、最後に少しでも恩を返せたのかなと思います。

――新チームとなってからはどのようなチームを目指していきたいですか

まだ全然イメージがつきませんが、一からチームの戦術などをやり直して、今まで受け継がれてきた強さ、あきらめないということをこれからも引き継いで新たに頑張っていきたいです。

徳用万里奈(社2=埼玉・秀明英光)

――試合を終えてみていまのお気持ちは

とにかく嬉しいです。4年生の涙と笑顔が最後に見れたので本当に良かったと思っています。今回、4年生との最後の試合ということで自分でも異常なくらい緊張していて、特に最初のほうはこれが最後、と思いすぎてしまって自分のプレーができなかったですね。

――ピンチをときの気持ちは

連続失点で5点差まで離されてしまったときに、まだ立て直せるからとその状況でもみんな諦めずにやっていました。

――ご自身の動きや役割を評価すると

自分はディフェンスを中心にやっているんですけど、他のひとのサポートをして1.5人分は絶対にできるように助け合ってやっていました。でもできたかどうかはわからないですね(笑)。

――同点となった6点目を決めたときのお気持ちは

自分でも、「入った、、、。」みたいな感じだったんですけど、それで同点になって本当にありがとうという言葉をたくさん言われたので、自分がどうこうとかじゃなくてそこで貢献できたのは本当に嬉しいです。

――5点差が開いたあとのピリオド間ではチームでどのようなお話をされましたか

最後のインターバルではもう最後だから楽しんでやろう、負けても勝っても悔いの残らない試合にしよう、という感じで、具体的な内容というよりはモチベーションを持って挑もうという話をしましたね。

――試合後、4年生とはどのようなお話を

もう、ありがとうとたくさん言われました。こちらこそ本当にありがとうございましたと。本当に泣いてしまってなんも言えずでした(笑)。

――今後の目標は

今後はガラッと新チームになり、また1からになってしまうので、新たな1年生を伸ばしていくことですね。あと、らいねんのインカレ(日本学生選手権)でもきのう負けてしまった秀明大学に絶対に勝って優勝するくらいにもっていきたいなというのと、それまでに合宿などでまた一層強くなって試合に貢献したいなと思います。

松岡美有(スポ1=埼玉・秀明英光)

――3位決定戦への意気込みはどのようなものでしたか

4年生も最後だし、このチームでできるのも最後なので、勝つことだけを考えてやりました。

――3位になってのお気持ちは

本当にうれしいし、4年生や応援してくれた人たちに恩を返せたかなと思いました。

――好セーブも連発されていましたが、出来はいかがでしたか

きょうは本当に良かったです(笑)。調子も良かったので、悔いの残らない試合ができました。

――最終ピリオドの追い上げは後ろから見ていてどうでしたか

点差が開いていたので、とにかく入れてくれ、と願っていました。

――4ピリオドで東女体大を6点に抑えました。守備ではどのような点が良かったと思いますか

最初は緊張していたところがあったと思うのですが、クオーター間とかに指示を聞くようにという声掛けをして、みんなで声を掛け合ってディフェンスしていたのでそれが良かったと思います。

――ペナルティーシュート戦はどのようなお気持ちでしたか

すごく練習していたので、最初から自信はありました(笑)。決めてくれたら、自分が止めたら勝ちに近づくので、絶対に止めようと思っていました。

――ルーキーとしての1年間を過ごして、成長した点は

最初のころは自分が一番下なので、先輩方に対してディフェンスの指示をあまり出せていなかったのですが、いまは出すようになってきたのと、(シュートを)止める機会も増えてきました。チャンスはつくれたと思うのですが、まだまだ満足しては駄目だと思っているので、頑張っていきたいと思います。

――インカレで練習の成果は出せましたか

はい、出せました。高校の時はキーパーに教えてくれる人があまりいなかったのですが、いまの監督(地平達郎監督、昭46政卒=東京・早大学院)は熱心に教えてくれていて。自分がやってきたことを変えた部分も多いのですが、そこが良くなったかなと思います。

――来年に向けてのお気持ちは

来年は絶対に優勝したいので、まずは自分が成長していきたいと思います。