まさかの逆転負けで日本選手権出場を逃す

水球女子
TEAM 1P 2P 3P 4P
鴨沂クラブ
早大
▽得点者
徳用2、田中2、小西、齋藤

  10月に行われる日本選手権の出場権をかけて挑んだ最終予選会。早大は2日間で5試合を戦い、3勝1敗1分で最終戦を迎えた。鴨沂クラブとの一戦は、勝った方が日本選手権の出場枠を獲得するという大一番に。序盤は相手の拙攻に助けられながらも効果的なミドルシュートで得点を重ね、わずかなリードを保ったまま後半戦に突入。第3ピリオドで一時2点差を付け、逃げ切りを図った第4ピリオドだったが、ラスト4分から3連続失点を許してしまう。痛すぎる黒星となり、日本選手権への道も断たれる結果となった

 前半で存在感を見せたのは、ユニバーシアードと世界選手権(世界水泳)に出場し国際試合の経験も積んだ徳用万里奈(社2=埼玉・秀明英光)だった。センターバックとしてゴール前でのパスカットでピンチの芽を摘みながら、2本のミドルシュートを決めるなど攻守にわたって奮闘する。しかし、この試合は高校生との対戦ということもあり、「大学では鳴らないプレーも向こうでは鳴ってしまった」(徳用)と退水(※1)を重ねてしまい、第2ピリオド終了直前に永久退水(※2)となる。3-2とリードして試合を折り返したものの、攻守の要を欠いて残りの2ピリオドを戦うこととなった。

国際舞台での戦いを終えチームに復帰した徳用

 第3ピリオドの開始直後、相手にペナルティースローを与え同点に追い付かれる。それでもこの状況に動じず、早大は攻守の両面で思い切りの良いプレーが光った。田中寧葉(スポ4=埼玉・秀明英光)が絶妙なロングシュートを含む2得点を挙げ再びリードを奪うと、ゴールキーパーの松岡美有(スポ1=埼玉・秀明英光)は右に左にファインセーブを連発しチームを再三救った。ところがその矢先、小路安希(スポ3=埼玉・秀明英光)が永久退水になる。「主力2人が永久退水になったことで、流れが変わってしまった」(田中)。第4ピリオドは、2点差を守りにいくことに重きを置いて戦ったが、交代できる選手のいない早大はスタミナの消耗の影響を受けていた。パスミスから相手をフリーにする場面が目立ち、多くが失点に直結する。瞬く間に逆転を許すと、終了間際で得たセットプレーのチャンスも生かせず、6-7で無情にもホイッスルが鳴った。

第3ピリオドでリードを広げる得点を決めた田中

 早大の目標は、本選まで1か月を切った日本学生選手権(インカレ)に絞られた。敗れはしたものの、チーム方針となっているディフェンスの強化について小西晃代主将(スポ4=埼玉・秀明英光)は、「決められたことは皆すごくできるようになってきた」と手応えを感じていることを強調している。来たるインカレでは最高のパフォーマンスを発揮するため、「チームでできる最大限のことを積み上げていきたい」(田中)と、視線は前を見据えていた。

※1重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

※2退水が累積3回となった選手は、残り時間出場できない。

(記事 高橋豪、写真 角田望、杉野利恵)

コメント

小西晃代主将(社4=埼玉・秀明英光)

――9位という結果について

ベスト4に入るのが目標だったのですが、目標も達成できませんでしたし、日本選手権にも出られなくなったので、本当に悔しい気持ちでいっぱいです。

――本日の試合のゲームプランは

相手は泳いでくるチームだったので、ディフェンスで先取りしようということと、絶対に焦らないということを気にしていました。

――2人が永久退水となりましたが影響は

影響は大きかったのですが、入っているメンバーでゲームの流れを修正できなかったところは問題だと思います。

――後半はどのような意識で臨みましたか

前半はとにかく我慢して、相手が落ちる後半で一気に追い上げていこうという考えでしたが、永久退水が二人いたので、予想外の展開になっていました。

――チームのいまの雰囲気は

今大会は久しぶりの大会だったので全体としてバラバラだったのですが、試合を重ねるごとに良くはなっていったと思っています。

――監督が「ディフェンスのチームにする」とおっしゃっていましたが、手応えはいかがでしょうか

ディフェンスは、決められたことは皆すごくできるようになってきたなと思っています。しかし逆にオフェンスで無理をしてディフェンスで苦しんでしまうことが課題であると思います。

――1ヵ月を切ったインカレに向けて

日本選手権で引退する予定が、インカレで引退することになってしまったので、(インカレは)絶対に優勝したいので、優勝できるチームにします。

田中寧葉(スポ4=埼玉・秀明英光)

――9位という結果をどのように捉えていますか

悔しいです。というより、こんな風になると思っていなかったので何も考えられないです…。率直に悔しいです。1日目にすべったのがこういう形の試合運びにつながってしまったのもありましたけれど、やはり最終戦これに勝っていれば問題なく本戦に行けていたので…。1日目もきょう両方悔しいです。

――きょうの試合はどこで流れが変わってしまったと考えていますか

結局こちらの退水がすごく多くて、ですけどそれはけっこう予想がついていたことでした。ダブルリーチがあったり、永退(永久退水)者が出てしまったり、いっぱいファウルトラブルがあることは予想していた中でそこは我慢していこうということでした。前半は割と我慢して我慢してできていました。後半はこちらも退水になり始めて、(そのまま)いけるかなと思っていましたが、やはり主力2人が永退になってしまったことで、流れが変わってしまったかなと思います。

――第4ピリオドは苦しい展開となりましたが、攻撃と守備のどちらに意識を置いていましたか

3ピリが終わってこちらが2点勝っていたので、この2点差を最初は守り切ろうという話でした。とりあえずあと7分しかないからここで失点をしなければ勝利につながる、かつスタメンの2人が抜けてしまったことで攻め手が少し無くなってしまいました。無理に攻めないで30秒使ってボールを大事にして、そのあとのディフェンスを大事にしていこうと。いけるときはカウンターを狙って無理な攻めは絶対にしないでまずは失点をしないようにやっていたんですけれど…。失点してしまいました。

――パスミスが痛い失点につながってしまったように見えましたが

そうなんですよね…。このチームが始まったころからダメなところがパスミスと言われていました。パスミスはこちらの不利な状況になるのを作ってしまうので、そこを丁寧にできなかったことと、パスミスした人が悪いというか4年生としてみんなを落ち着かせることができなかったです。焦ってパスミスというのが多くて、そこでもっと自分に余裕があったらみんなをもう少し落ち着かせて、パスを丁寧にさせられたのかなと思います。

――チームのディフェンス面について現状の手応えはいかがですか

一番ディフェンスの要になるセンターバックの子が日本代表に選ばれてチームから離れていることが多かったです。1日目はけっこう合わなかったのですが、試合を重ねていくにつれて意思の疎通ができてきて、だいぶよくはなってきてると思います。ここで日本選手権の道は断たれてしまいましたが、この後のインカレを考えるとディフェンスとしては次につながる試合になってきてると思います。

――夏はどういった意識を持って練習に取り組まれていますか

ワセダはもとから人数が少なくて、チーム内でゲーム形式ができませんが、まず質を高めていくしかないというのはありますね。無駄な練習をいっぱいやるのではなく、内容の濃い練習を限られた時間でやるというのは意識していますね。あとは人数が少ない中でも1対1、2対2など少ない人数でもディフェンスとオフェンスの練習も交えて、ワセダの男子や高校生も練習相手に付き合ってもらってゲーム感を高めたりしています。

――1ヵ月を切ったインカレに向けての目標、意気込みをお願いします

あと1ヵ月で引退になるとは思っていませんでした。きょうの最終戦はもちろん悔しいという気持ちもありますが、いまのチームがすごく好きすぎて、大好きなんです。そこでパッとあと1ヶ月を切ってしまったと思うと離れたくないと思いますが、時間は進んでいってしまうのでこのチームでできる最大限のことをインカレまで積み上げていきたいと思います。

徳用万里奈(社2=埼玉・秀明英光)

――徳用選手はユニバーシアードと世界選手権(世界水泳)に出場しましたが、まずはユニバーシアードではどのような経験を得ましたか

やはり大学生の試合なので、アジアの中で1位にいる中国とかでも、大学生だけのチームで出ている場合があってレベルが少しトップリーグと比べて下がっていて。その中でも強いチームはいたのですが、勝てる試合を落としてしまったというか、本当に僅差で負けた試合もあって悔しかったです。得られたものとしたら、きょねんの夏に世界ユースに出場したのですが、ヨーロッパなどのアジア以外のチームと戦うのがそれ以来の2回目の経験で、いろいろなチームの攻撃のパターンが体験できたのが戦術を考えるに当たって大きな経験になったと思います。

――世界水泳は振り返ってみていかがでしょうか

世界水泳の予選で当たったのが米国、イタリア、ブラジルで、全体としての結果も1位が米国、3位がイタリアで。自分はセンターバックなのですが、本当に強豪のチームと試合できたというのは、やられたのですが、強豪チームと試合をしたということが良い経験になりました。

――体の強さなども違いましたか

大きさが日本人の小柄な選手の倍近くあったと思います。自分も日本の選手の中では大きいほうなのですが、それでも向こうの小さい人よりも小さいかなというくらいでした。

――そこの差を他の部分でカバーしていったということですか

やはり泳ぎでも力では絶対に勝てないので、カウンターとかで勝負していくことになるのですが、そこの部分でも今回はカウンターが出ても得点、シュートにまで結び付かないことが多かったのでそこを決められるようにしたいのと、先ほど力の差と言ったのですが、自分は守るポジションなので力とか関係なく、1点も取らせないくらいのセンターバックになりたいと強く思いました。

――それでは、きょうの試合を振り返っていかがですか

(世界の舞台で)得られたものが大きかったのに、2ピリ目で永退になってしまうというチームに貢献できないことをしてしまって、チームにもすごく迷惑を掛けてしまって、自分的にマイナスなところばかりでした。

――チームとしても退水が多かったと思います

高校生と対戦するということもあって、大学では鳴らなくても向こうでは鳴ってしまうプレーも多くて。本当に退水者が多かったのですが、そこの退水ディフェンスは守れていたところもあったので、そこから攻撃にいけば良かったのですがあわててしまったのかなと思います。退水が多くても、守れるところは守れていました。

――ここからインカレ(日本学生選手権)までに強化していきたい部分はどこでしょうか

今回メンバーが少ないということもあって、退水で守れても最後にスタミナが切れて交代もできなくて苦しくなったので、本当にあと少ししかないのですがそこのスタミナ強化と、立ち上がり部分で自分たちの流れを持っていけるようにそこの部分を良くしていきたいと思います。それと、自分は世界ジュニアの方に行ってしまって、(8月)25日まで向こうに行っていてチームに合わせられないので、帰ってきて残り約1週間の間で本当に力をつけていきたいと思うので、良いかたちでチームに合わせられるようにしたいと思います。