TEAM | 1P | 2P | 3P | 4P | 計 |
稲泳会 | 5 | 3 | 1 | 5 | 14 |
白鵬女高 | 3 | 3 | 0 | 4 | 10 |
得点者 | 杉本7、手坂3、鈴木2、阿部、井上 |
日本選手権最終予選会に卒業生を含む『稲泳会』として出場した水球部女子は22日、予選2日目に臨んだ。前日の1回戦で東女体大に8-9の惜敗を喫した稲泳会は、この日敗者復活戦に回った。勝利すれば、日本選手権進出が確定。敗退すれば、本戦進出の可能性が消滅するこの試合。絶対に負けられない一戦で対したのは、白鵬女高だ。白鵬女高は、全日本ジュニアやJOCジュニアオリンピックカップといった全国大会において、メダル常連の名門校。高校生ながら油断は禁物と予想された通り、試合は一進一退の展開に持ち込まれ、前半終了時点で8ー6と大きなリードを取ることができなかった。さらに第3ピリオド(P)では互いのプレスディフェンスが光り、得点は早大の1点のみと苦しい時間が続いた。結局大差をつけることはなかったものの、終始一歩のリードを保ち続けたことが実り、14ー10で勝利。無事9年連続の日本選手権出場を決めた。
個人7得点の活躍を見せた杉本
この試合は、7分×4P制で実施された。まずは第1P。白鵬女高がセンターボールを取ったが、直後の攻撃で手坂心乃(スポ4=千葉・秀明八千代)が右サイドからループシュートを決め入れ、幸先よく先制した。しかし、1分半に稲泳会のファウルでペナルティースロー(PS)を献上すると、2分にもゴール目前への接近を許し、連続得点を奪われた。リードされるわけにはいかない稲泳会は失点直後、左サイドでボールを持った手坂がセンタリングに成功。受けた杉本華音(スポ3=千葉・秀明八千代)は相手DFにぴったり付かれながらも、力強くネットを揺らした。続けてその15秒後、相手攻撃から早々にターンオーバーを返すと、左サイドの渋谷紗代(令5スポ卒=宮崎県スポーツ協会、稲泳会)が高めの位置を陣取る杉本へとパスを投げる。これを瞬く間にゴールに突き刺し、相手の目を盗む技アリのミドルシュートを決めた。さらに10秒後には、白鵬女高も得点を許し、まさに一進一退の攻防が繰り広げられた。稲泳会は4分、杉本がループシュートを決めると、重ねて4分半にもカウンターアタックを展開し、奥田麗主将(スポ4=東京・藤村)からコート中央付近の鈴木杏梨(スポ2=東京・白鵬女)へとボールが渡る。潜りながら前進して自らのシュートを狙い、最後は近距離からゴールを揺らす粘りのシュートで、会場を沸かせた。こうして白鵬女高の勢いを切り抜け、5-3と優位に立って第1Pを終えた。
出身校との対決となった鈴木。攻守に見せ場を作った
第2P開始直後には、留学生のスミラ・ロンベリ(リンショーピング大)がゴール前でDFを見事に抜き去り、シュートを放つ。惜しくも外れてしまったが、歓声を巻き起こした。その勢いに乗って1分、左サイドの井上舞(スポ3=京都・鴨沂)が大きくセンタリングし、しっかりとキャッチした阿部紗也香(スポ4=千葉・芝浦工大柏)がゴールに寄って相手退水(※)を誘発。これでPSの権利を得ると、杉本が安定感のあるシュートで得点した。しかし2分から、パスをカットされるミスもあり連続で得点を失い、またも1点差に詰められた。そして3分半、逃げる稲泳会は奥田がアシストしたボールをスミラがシュートに変えるも、ゴールポストに弾き返される。このこぼれ球に井上がすぐさま反応して、今度こそゴールを決めた。しかし再び直後に失点。すると5分に、セットプレーのチャンスが訪れる。だがシュートが再三ポストに弾かれ、計3回のシュートを放ったが結局得点には至らなかった。ここから守備面でも、インターセプトからターンオーバーをかけられるなど何度かピンチを迎えてしまう不穏な空気に。だが『やられる場面が多かったが修正していくことができた(手坂)』と振り返るDFや、GK木口京子(スポ3=京都女)のループシュートへの見事なセーブもあり、1失点で切り抜けた。ピンチをチャンスに変え、守りでリズムを作ると、残り時間20秒での稲泳会攻撃時間で、杉本がロングドリブル。これを鈴木にアシストすると、ミドルシュートで得点につなげた。こうして1点に重みのある前半となったが、8-6とリードを保ったままで試合を折り返した。
前半のゴールを守ったGK木口
突き放しを狙う後半。しかし第3Pは、互いのディフェンスが拮抗(きっこう)してパスを通しきれず、なかなかシュートに至らない。それでも2分半、カウンターを狙った渋谷が、左サイド深くに陣取った杉本へとボールを大きく展開。角度をつける工夫を見せ、ついにゴールを決めた。だがその後も『ラリーが続いていたのでかなりきつかった(井上)』と振り返る苦しい時間が続く。結局ラストプレーでのシュートもゴールポストに当たってしまい、このPは杉本の1得点のみ。しかし相手を無得点に抑える好ディフェンスにより、結果的には9-6とリードを広げて、最終Pへと向かった。
果敢にミドルシュートを狙う井上
第4Pは、稲泳会がセンターボールを取った攻撃で、すぐさま杉本がバウンド気味のミドルシュートを決めてスタート。しかしその後は3P同様プレスディフェンスに押され、高めの位置でしかパスを回せない時間が続いた。そんな中3分にカウンターを狙った稲泳会は、鈴木がボールを手にすると大きく前進。自らゴールを狙ったところで相手にファウルが取られ、杉本がPSを決める形で得点につなげた。ここから、前半の乱打戦の様相が戻ってくる。直後の相手攻撃で失点すると、負けじと20秒後に井上にシュートチャンスが。このプレーで相手ファウルが取られ仕切り直しになると、左サイドから手坂が華麗なループシュートを決め入れた。1分後、センタリングを許し得点を献上したが、5分に右サイドの橋本彩星(スポ1=東京・白鵬女)が左サイドの手坂にボールを展開。シュートを打つには遠い位置だったが、攻撃制限時間が迫る中で放ったループシュートは見事にネットを揺らした。さらに5分半、阿部がカウンターを狙って一気に泳ぎ込む。ロングドリブルの後に、ゴール前で潜りながら腕だけを出してシュートし、ダメ押しの14点目を決めた。直後に稲泳会退水から失点するも、この時点で4点差をつけ残り時間は1分半。それでも最後までゴールを狙い続け、試合終了のブザーを迎えた。途中オフェンスが難航する場面もあったが、『徐々に修正していけた(手坂)』ディフェンスでリードを保ち続け、14ー10と完勝した。
華麗なループシュートで計3得点の手坂
この勝利により、日本選手権の出場が確定した稲泳会。目指すは初戦勝利、さらにはベスト4を狙いたい所存だ。21日の1回戦敗退によりシード権獲得が叶わなかったため、本戦では1回戦から強豪との対戦が予想される。しかし今年の早大は関東学生リーグ戦3位、日本学生選手権準優勝と、歴史に残る快進撃を続けてきた。日本選手権では例年初戦が大きな壁となっているが、奥田主将率いる最後の大会でさらなる快挙を果たせるか、大いに期待したい。
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
(記事 中村凜々子 写真 中村凜々子、指出華歩)
コメント
手坂心乃(スポ4=千葉・秀明大秀明八千代)
ーー今日の試合前は、チームでどのようなお話を共有されていましたか
相手が高校生で、関東予選でも当たっていたので、強いキーマンは分かっていました。そこにやられないように、話し合いを重ねました。
ーー実際の試合の振り返りをお願いします
思っていたよりもやられてしまう場面が少し多かったですが、声をかけ合いながら所々修正できたと思います。
ーー個人3得点の活躍となりました。ご自身の今日のプレーを振り返るといかがですか
いつもだとストレートシュートが多いのですが、キーパーを見て判断して、ループシュートが打てたのでよかったのかなと思います。
ーー今日の得点は全てループシュートからでしたね
お恥ずかしながらそうですね。キーパーを見て判断できました。
ーー見事日本選手権出場を決められました。大学最後の大会となる本戦に向けての意気込みをお願いします
まずは今夜(本戦トーナメントの)抽選があって相手が決まるので、良い枠がつかめたらなと思います。試合としては、初戦に勝てば2、3日目に残ることができるので、ベスト4以上を目指して頑張れたらなと思います。
井上舞(スポ3=京都・鴨沂)
ーー今日の試合展開全体の振り返りをお願いします
はじめは点を取って取られての展開で、あまり良くなかったと思うのですが、後半は自分たちのカウンターであったり、攻めができて、得点につなげることができたのはよかったと思います。
ーー白鵬高校もコンスタントに得点を決めてきていた印象です。ディフェンス面ではどのようなことを意識されていましたか
白鵬はミドルからのシュートが上手かったので、私たちが練習してきたプレスディフェンスをもう一度意識し直して、強めに当たることを徹底しようとチームで話しました。
ーー第3Pは、得点が両校合わせて1点のみとかなり拮抗(きっこう)したように見えました。プレーされていてどのように感じられていましたか
ラリーが続いていたのでかなりきつくて、お互いに攻めているけれど点が取れない状況でした。お互いうまくいかない中でしたが、失点が無かったというのは早稲田のディフェンスが機能していたということなので、そこは良かったと思います。
ーーこれで日本選手権の出場が確定しました、本戦に向けた意気込みをお願いします
シードは取れなかったので、本戦で当たる相手は恐らく格上の強いチームになりますが、シーズンの最後に皆で早稲田らしいプレーができればいいなと思います。頑張ります!