第100回日本学生選手権水泳競技大会水球競技 8月29日 東京アクアティクスセンター
TEAM | 1P | 2P | 3P |
計(3Pコールド) |
早大 | 7 | 9 | 8 | 24 |
国士大 | 2 | 1 | 1 | 4 |
得点者 | 阿部8、鈴木5、杉本4、奥田4、井上、手坂、橋本 |
29日、水球女子の日本学生選手権(インカレ)が幕を開けた。5、6月に行われた関東学生リーグ戦(リーグ戦)での3位入賞の勢いそのままに、メダル獲得を目標に据える今大会。その初戦を国士大と争った。『いつも通りのプレーを徹底する(阿部紗也香、スポ4=千葉・芝浦工大柏)』というプラン通り、序盤から早大が得意とするカウンターアタックでハイペースに得点を量産。さらに守備面でもプレスディフェンスで相手の動きを封じ、思うようなシュートを打たせなかった。攻守をそろえて終始早大の勢いを保ち、24ー4でコールド勝ちを収めた。
個人8得点の阿部
戦いの火ぶたが切られると、まずは国士大がセンターボールを取った。するとすかさず早大がインターセプトでボールを奪取。阿部がゴール前で果敢に攻め、相手のファウルを誘い込み、自らペナルティースロー(PS)を決め先制した。さらに20秒後にも、素早いカウンターアタックからまたも阿部がゴールを割った。その後国士大にループシュートを許したものの、すぐさま多彩な攻撃を繰り広げて流れを渡さない。3分には手坂心乃(スポ4=千葉・秀明八千代)がボールを中に入れ、鈴木杏梨(スポ2=東京・白鵬)がゴール。4分には阿部が縦向きのパスを通し、杉本華音(スポ3=千葉・秀明八千代)がボールを水面を滑らせるようにして華やかに得点。続けて5分、杉本が相手のパスをカットしてマイボールとし、右サイドの奥田麗主将(スポ4=東京・藤村)に託す。これをゴールネット左隅に突き刺した。残り30秒には、奥田が右サイド深くから巧みに相手ゴール前にボールを展開し、これを阿部が決めて、4連続得点。1P終了間際に1点を失うも、残り1秒で奥田が鮮やかな遠距離弾を決め、取り返した。こうして、テンポの良いオフェンスと相手に十分な攻撃を許さない圧のあるディフェンスがかみ合い、7-2で第2Pへと続いた。
シュートの狙いを定める杉本
第2Pはまさに怒涛の得点劇だった。1分に岩本実姫(社学1=三重・暁)が相手の退水(※)を誘うと、その数的有利を活かして杉本がゴール。2分には橋本彩星(スポ1=東京・白鵬)が相手GKに詰め寄り、腕だけを水面から出して果敢にシュートするなど、1年生の積極的なプレーがチームを活気づける。続いて2分半には、杉本がまたも相手のパスをカットしてチャンスを生むと、大きく右に展開。これを井上舞(スポ3=京都・鴨沂)がゴール左隅に決め込んだ。この後も全ての攻撃権をモノにし続け、気がつけば8連続得点。さらに守備面でも、このPの失点はたった1。個々人のディフェンスの強度もさることながら、GK甘庶乃亜(スポ1=神奈川・桐光学園)のセーブ力が光り、16-3で前半を折り返した。
相手ゴールを阻むGK甘庶とDF陣
第3Pに入っても勢いは止まらない。早大がセンターボールを取ると、開始15秒で阿部がゴール。直後に1点を献上するが、1分に再び阿部がゴール前で相手DF3人をこじ開けるようにしてファウルを誘い、PSを決めた。2分半には杉本が奥田のアシストにワンタッチで反応してゴールすると、3分に手坂のミドルシュート、3分半には阿部の相手GK間近での迫力あるゴールと続き、さらに鈴木、杉本と連続得点を重ねる中、5分の阿部のシュートで試合終了のブザーが鳴り響く。この時点で20点差がついたため、大会規定によりコールドゲームとなり、早大が大勝を収めた。
多くのパスの起点となった鈴木
こうして、メダル獲得への大一番となる準決勝に駒を進めた早大。明日激突するのが、今シーズンの因縁の相手とも言える東京女子体育大学だ。リーグ戦での戦績を振り返ると、予選リーグでは同点により延長のPSO戦に持ち込まれて敗北。1投に涙を飲んだ。そして決勝リーグでの再対戦においては見事雪辱を晴らし、3位の座についた。そのため明日も互角の戦いが予想されるが、『いつも通りのことができれば、今年は絶対に勝てる』と阿部の言葉は力強い。最大の山場を乗り越え、決勝進出となるか。
(記事 中村凜々子 写真 指出華歩、中村凜々子)
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
阿部紗也香(スポ4=千葉・芝浦工大柏)
ー試合前はどのようなゲームプランをチームで共有されていましたか
明日の東京女子体育大学戦に備えて、いつも通りのプレーを徹底することを準備してきました。
ー実際に3Pコールドという理想的な結果になったかと思います。試合全体の展開の振り返りをお願いします
最初の方から自分達のペースでカウンターオフェンスやセットオフェンスを決め切れたことと、ディフェンスも徹底していた部分はよかったです。ただ、相手の得点源に対して甘くなってしまった部分がありました。明日はその1失点が命取りになるゲーム展開になると思うので、より組織的なディフェンスができるようにしたいと思います。
ー個人8得点、かつPlayer Of the Matchに選ばれました。ご自身のプレーを振り返るといかがですか
インカレに向けて、オフェンス面については、身体づくりからプレーの調整においてまで、だいぶ皆さんのおかげで仕上げることができたのではないかと思っています。明日も4Pまで自分の泳ぎができれば良いところまで行けると思うので、決め切るということを意識したいです。
ー特にゴール前で退水を誘う場面が印象的でした。そこも意識されていましたか
元々自分の得意なプレーの1つではあります。ただ本当はペナルティーシュートが苦手なので、ペナルティーシュートに行く前に自分で決め切りたいところでもあります。かと言って欲を出さず、自分のいつも通りのプレーを意識したいです。
ー明日の準決勝に向け、意気込みをお願いします
メダルを取るしかないです!いつも通りのことができれば今年は絶対に勝てると思うので、明日に4年間の全てを注いで、支えてくれた方々に感謝の思いをプレーで伝えられたらいいな、と思っています。
GK甘庶乃亜(スポ1=神奈川・桐光学園)
ー初めてのインカレを迎えられていますが、試合に臨む前はどのような心境でしたか
大きな会場でたくさんの観客がいらっしゃる中で試合をするので、とてもワクワクしていました。
ーGKの立場から見て感じられた、チーム面での収穫と課題点をそれぞれ教えてください
収穫は、以前より1投目からのプレスディフェンスが良くなっていることだと思います。課題点は、ボールが入ってからの下がりが少し遅かったので、プレスディフェンスの中でもボールフォローを全体で意識付けていきたいです。
ー続いて個人のプレーについて伺います。幾多のセーブを決められ、前半3失点で切り抜けられました。ご自身の今日のプレーをどのように捉えられていますか
初めての会場に引っ張られ、位置取りが普段より少し前になってしまっていた部分があり、ループシュートを多く決められてしまいました。相手の位置や体勢をみて冷静にポジショニングしていきたいです。
ー明日の東女体大戦はシーズン全体の山場になるかと思います。意気込みをお願いします
絶対に勝ちます。4年生と一緒にメダルを取ります!