僅差を保ち続けるも最終Pで力尽きる 最終予選初戦は惨敗

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P
健志台クラブ 16
早大 11
▽得点者
中村4、都田3、古谷2、加納(恒)、永野

 早大水球部、大一番の火ぶたが切られた。静岡の地に集まった14チーム中、日本選手権本選の進出権が用意されているのはたった4枠。早大は昨年度成績により初戦をシード進出とし、2回戦・健志台クラブ戦に臨んだ。健志台クラブは、強豪・日体大のいわゆるBチーム的な位置づけであり、その攻撃力にはもちろん注意しなければならない。早々に先制を許すも、そこから意地を見せ点差を離されない。中盤までそのペースを保ち続けるが、第4ピリオド(P)で力尽きる。痛恨の5失点を許してしまい、最終スコアは11―16。一時は早大優勢の流れも見えたが、惨敗となった。

  センターボールはあえて取らずに、序盤から積極的にカウンターアタックを狙っていく。ところが厳しい1対1を強いられる場面が多く、阻止され続けてしまう。その間に、先制から3連続得点を献上。不穏な空気が漂ったここで、杉山哲也監督(平18人卒=埼玉・伊奈学園総合)は早々のタイムアウトを取った。これが功を奏し、直後のアタックでは落ち着いて縦方向のパスが通る。6分、まずは中村大智(スポ3=埼玉・秀明英光)がゴール真正面から1点を返した。さらに6分半には、相手のゴール前での反則によりペナルティスローの権利を得る。これも中村がきっちりと決めると、その20秒後にも再びペナルティスローのチャンス。ホイッスルが鳴った直後に高速なボールを投げ込んだ古谷典也(スポ2=東京・明大中野)が、GKの不意を突き得点した。こうしてなんとか食らいついている早大は、3ー5とまずまずの状況で第1Pを終えた。

ペナルティスローを打つ中村

 続く第2P、GKは加納凪人(スポ2=三重・四日市中央工)から渡邉空(スポ2=新潟産業大付)にチェンジ。だが早々に1点を奪われる。負けじと早大も3分半、永野冬惺(スポ1=東京・明大中野)が相手ゴール前からドリブルし、一気に自陣へ。いい位置でシュートを打つが相手反則に阻まれ、退水(※)後に都田楓我主将(スポ4=鹿児島南)がもう一度バウンドシュート。巧妙にゴールを決めた。さらに4分、またも相手退水から数的優位を得ると外周でパスを回しボールは都田へ。左サイドからミドルシュートを決め込んだ。その後連続失点を許し流れが悪くなるが、中村が水面から腕だけを伸ばし巧みに得点。GKは再び加納(凪)に戻った。さらに7分には大きくカウンターを展開。ゴール右サイドでボールを受けた加納恒心(スポ1=東京・明大中野)がノールックで真隣にパスを上げた先には、うまくサポートに入った永野。そのままゴールし、このPでは4ー3と優勢に立った。

ゴールを狙う都田

 この流れで勝ち越したい後半第3P。前半とは打って変わって、お互い着実なラリーを繰り広げる。4分に1点を許すと、直後に古谷がミドルシュートで返した。そして5分半には、相手の1対1のディフェンスが厳しくアタックが膠着(こうちゃく)状態に。シュートがなかなか打てない中、左サイド遠めの位置からパスを受けた都田がミドルシュート。さすがの技術力だった。この勢いに乗り、6分には中村が相手ゴール前でターンオーバー。全員でパスを回しながら前進し、最後は自ら決めた。このPは3ー3と同点にし、10ー11と僅差で最終Pに挑んだ。

ディフェンスに入る選手達

  なんとしてでも勝ちきりたい最終第4P。しかし開始3分で連続得点を献上し、選手達は厳しい表情を浮かべる。なんとか3分半に、中村がチャンスを作るも、マークが集中しシュートが打てない。このボールを加納(恒)が右サイドで受け、急な角度からゴール。雄叫びをあげた。しかしここから相手が固い守りを進め、なかなかシュートを打たせてもらえない。2分間で3連続得点も許してしまい、そのまま試合終了のブザーが鳴る。最後に意気消沈となってしまった。

相手ディフェンスを破る加納(恒)

 試合後都田主将は、「小さなミスが続き、それが積み重なって点差をつけられてしまった(都田)」と全体を振り返った。今シーズンは惜しいところで勝利を逃す試合が多く、何としても改善したいポイントだ。今日の敗者復活戦、その負けはシーズンの終幕を意味する。後悔なく納得できるプレーで、最後まで戦い抜いていってほしい。

 ※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

 

(記事、写真 中村凜々子)

コメント

  

都田楓我主将(スポ4=鹿児島南)

――試合全体の流れを振り返るといかがですか

  オフェンス面では個を生かしたプレーで点を取ることができており、相手のディフェンスシステムを崩すことができていました。しかし早稲田の弱みであるディフェンス面において、ミスが多く目立ちました。大きなミスではなく、小さなミスが続きそれが積み重なって点差をつけられてしまい、敗北という結果になってしまいました。

――具体的な課題点について、さらにお聞かせください

 先程申し上げたのと同じく、ディフェンス面で多くの課題が残りました。前半は相手に対して強くプレッシャーを与えられていたのですが、後半になるにつれ体力の低下により強いプレッシャーを与えることができず、ひと踏ん張りすれば失点することはなかった場面が多々ありました。この課題は、絶対に次の試合から改善しなければならないと感じています。

――ご自身のシュートの決定力が光っていたと思います。個人のプレーについてはどう振り返られますか

 得点をすることはできたのですが、個人のプレーとしてはあまり納得がいっていません。正直調子は上がりませんでした。前半は特に集中力が欠けており、主将という立場でありながらチームの士気をあげることができませんでした。明日は自身の強みである1対1で点をとりつつ、しっかりチームを引っ張っていきたいです。

――最後に明日の敗者復活戦への意気込みをお願いします

 ここからは負けたら即終了かつ引退、勝てば日本選手権本戦に繋がっていくというギリギリの試合が続きます。私の代では納得のいく結果を残せていないので、この予選で勝利を勝ち取ります。必ず本戦に出場したいと思います。

加納恒心(スポ1=東京・明大中野)

――まずは試合全体の振り返りからお願いします

 今回の試合はどちらも泳いでカウンターを出すチームだったので点の取り合いになる試合だというのはわかっていました。ですがその中でも決めなければいけないところで決めきれない、守らないといけないところで守りきれなくて終始自分たちのペースに持っていくことができずに苦しい試合だったと思います。

――今振り返られて、特にここが今日の試合結果のカギを握っていたなと思う点があれば、教えてください

 決め切るところで決めきれなかったことだと思います。相手より泳力では劣っていたので相手よりカウンターの数は少ないけど、その少ないカウンターの中で決め切ることができればもっと楽になったし、自分たちのペースに持っていくことができたと思います。

――サイドから数々のゴールチャンスを生み出している姿が印象的でした。個人のプレーについてはどう振り返られますか

 個人的には課題であったディフェンスは今までよりかはできていたと思いますが、シュートまでの持っていき方、シュートの決定率が悪かったと思います。シュートを打ちたくても自分のポジショニングが悪くて打てなかったり、少ないシュートチャンスを決め切ることができませんでした。ラリーが続いてしんどい時に自分の詰めの部分が甘かったです。

――最後に、明日の敗者復活戦への意気込みをお願いします

 まだ日本選手権に行くチャンスが残っているので、残りの試合全部勝って本戦に出場したいです。