インカレ、意地を見せるも初戦で敗退 来月の勝利へつなげる  

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P
専大 14
早大
▽得点者
古谷4、加納(恒)2、中村
 

 シーズンの集大成となる、日本学生選手権(インカレ)。水球部門は1日に開幕を迎えた。初戦で対する専大は今季の関東学生リーグで準優勝と、格上の相手である。それにも関わらず、「対専修に変えてきた(都田楓我主将、スポ4=鹿児島南)」ディフェンスシステムが見事にハマり、第1ピリオド(P)は1失点に抑えた。しかし一方で攻撃の流れをつかむことができず、徐々に点差が広がっていく。第3P終了時にはついに3-11まで圧倒されてしまい、勝負がついた。最後の4分間では4連続得点とプライドを見せたものの、反撃はここまで。7ー14と完敗し、昨年に引き続き初日で舞台を去ることになった。

試合終了後、悔しさを浮かべる都田主将

 専大がセンターボールを取り早速シュートまでこぎつけられるも、GK加納凪人(スポ2=三重・四日市中央工)がしっかり守りきり、幸先よく始まった第1P。1分半には相手の反則を誘い、ペナルティースローの権利を得るが、これは失敗に終わった。その後、都田主将、中村大智(スポ3=埼玉・秀明英光)、加納恒心(スポ1=東京・明大中野)、曵地孝太郎(スポ3=埼玉・秀明英光)らのシュートが飛び出すも、どれも相手ディフェンスに阻まれ、コースが定まらない。だが一方で、GK加納(凪)は鋭くボールの軌道を見極め、相手シュートを確実につかんでいく。結局このPは難しいループシュートでの1失点に抑え、0ー1と見事な展開で第2Pに移った。

献身的なプレーを多く見せた加納(凪)

 第2P1分、またも専大にゴールの角を突く巧みなゴールを決められると、直後にもペナルティースローを与えてしまい、連続失点。一方の早大はなかなか得点に至らない中、ようやく3分、この空気感を断ちきる。GK加納(凪)からプール中央付近で都田がボールを受け取ると、ゆっくりと状況を見定め、加納(恒)にパス。若干遠めの位置からバウンドシュートを華麗に決め入れ、流れを引き寄せた。そして5分半には早大の退水から得点を許すも、すぐさま曳地を軸としたパス回しからチャンスメイク。中村が水面から腕だけを伸ばして高速シュートを投げ込み、会場は大歓声に包まれた。こうして終始粘りを見せ続け、2ー4で前半を折り返した。

シュートを決める加納(恒)

 再開直後にダブルエクスクルージョンを取られ、イレギュラーな始まりを見せた第3P。1分半にペナルティスローを許すと、2分にもゴールの隙を突かれた。ここで早大がタイムアウトを取り、流れを抑えようと試みる。だが、高速なカウンターを止めることができず、さらに連続失点。ここで曳地が永久退水するなど、必死のディフェンスゆえにペナルティーを取られる回数も増えてきた。思うように攻撃が進まない展開の中、5分半に都田主将と加納(恒)でゴールを狙いつつパス連携。最後は中央で隙を見つけた古谷が、角度をつけて力強くシュート。得点直後、「こっからだぞー!」と仲間を鼓舞した。だがその流れは続かず、ラスト3秒まで得点を献上。「自分達が挑んでいく立場なのに保守的、守備的になってしまった(加納(凪))」「前半があまりにもうまくいきすぎて、その後を展開できなかったツメの甘さが出た(中村)」と振り返るこのPで、3ー11と大差をつけられてしまった。

パスを送る古谷。個人4得点の活躍ぶりだった

 意地を見せつけたい最終第4P。しかし早大の退水がきっかけでチャンスを与えてしまう場面が多く、2分間で3得点を許した。そんな苦しい雰囲気が続く中で、チーム1のムードメーカーが一筋の光を差した。3分、直前の失点からのカウンターでボールを持った古谷典也(スポ2=東京・明大中野)は、コートセンター付近で自らミドルバウンドシュート。間髪を入れずに契機を作った。そしてその直後のカウンターでは、加納(恒)を中心にゴール周りでパス回し。正面で古谷がシュートフェイントをかけ、右サイドの加納(恒)に戻す。加納(恒)はそのまま鋭くストレートにゴールへ決め込み、久々の笑顔を浮かべた。さらに4分半、カウンターからゴール目の前に入ったボールを打てず、中村があえて外ににがす。それを遠めの位置からミドルシュートで決められる、古谷がいるからだ。「チームを引っ張っていけたらという想いで、積極的な意識だけは持ったままプレーし続けていました」(古谷)。最後は5分半、専大の退水の場面でタイムアウトを取り、陣形を整えて再開。中村がフェイントをかけながらパスをした先には、古谷。GKにかなり詰めていた位置から、確実に刺し込んだ。こうして怒涛の4連続得点の末、試合は終了。敗北とはなったものの、最終Pでは全員の覚悟が強く感じられた。

フェイントの末にパスを出す中村

 試合後ほとんどの選手が口にしたのは、実戦形式での練習不足。部員12人という少人数チームであることからやむを得ない悩みだが、前半は勝利の兆しすら見えていたことから、やるせない思いになる。この後に行われた他大学の試合状況により、早大は10月開催の日本選手権最終予選への切符を手に入れた。チーム都田はまだ終わらない。知恵を出し合い、課題を打破できるか。このシーズンが、一戦でも長く続くことを願っている。

 

 ※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

 

(記事、写真 中村凜々子)

コメント

  

都田楓我主将(スポ4=鹿児島南)

――キャプテンとして、チームのインカレまでの準備をどう見られてきましたか

 早慶戦の敗北を糧に、チームとしてディフェンスシステムをガラッと変えて、対専修にしてきました。ただ早稲田はどうしても少人数なので、ゲーム形式での練習というのができなくて。ですが練習試合を積み重ねていく中で完成度は上がっていきました。そこで今日の前半は本当にうまくいって、自信もつきました。後半は体力的な部分やメンバーの入れ替えもあり、思うようにいかなかった部分もあったのですが、全体を通して言うと正直満足できた試合でした。

――今日の試合全体を振り返ると具体的にはいかがでしたか

 前半部分は、ゲームプランとしてロースコアを掲げている中でよかったです。本来後半はどんどんアーリーに、カウンターのオフェンスをやっていこうという中だったのですが、前半がうまく行き過ぎてしまった分、どうしても守りの姿勢に入ってしまいました。やはりそうではなくて、どんどん個々人の強みを出していけたらもっといい試合だったのかなという風には思います。

――ついにラストのインカレとなりました。試合を終えて、今の率直なお気持ちを教えてください

 1年生の頃は3位という順位で、そこからの2、3、4年では思うような結果を出すことはできませんでした。大学生の試合の中で最も重要なインカレという大会で、最後もこのような結果になってしまったのは悔しくはあるのですが、やりきったなという気持ちの方が大きくて。このチームの主将として、1年間引っ張ってこられたという達成感の方が強いというのが正直な気持ちですね。

――日本選手権最終予選の参加が決まった場合(この試合後、現在はほぼ参加が確定)、そこに向けての意気込みをお願いします

 自分の代になってから、まだシーズン目標を達成できていません。出場することができたらにはなりますが、最終予選を勝ちきって本戦への切符を手に入れて、少しでも上の順位を目指したいなと思います。

中村大智(スポ3=埼玉・秀明英光)

――試合全体の振り返りをお願いします

 うまくいったところといかなかったところがありました。前半の最初は予定通りに進んでいて、自分達のやりたいことができていました。それがあまりにもうまくいきすぎて、その後どう展開しようかというところは考えていなかったので、そのツメの甘さが出たかなと思います。

――具体的な課題点は

 個人技で点を取らなければいけなかったのですが、あまり点を取れなかったのでそこが課題かなと思います。

――来年のインカレはいよいよ最終学年で迎えることになります。そこへの思いを教えてください。

 僕らは自分が1年の時は最終日まで残って、2、3年と初戦で終わってしまっているので、来年はもうやるしかありません。練習していこうと思います。

――日本選手権最終予選の参加が決まった場合(この試合後、現在はほぼ参加が確定)、そこに向けての意気込みをお願いします

 出られることが確定ではないので、出れたらいいなと思いつつ、自分が何をしなければいけないのかをもう一度振り返って、次につなげていけたらと思います。

加納凪人(スポ2=三重・四日市中央工)

――試合全体を振り返るといかがですか

 専修大学が学生リーグの2位ということで強い相手というのは分かっていて、そこにどう自分達が戦っていくかというプランを試合前から話し合っていました。前半のピリオドは、自分達が思い描いていたロースコアの試合展開で進めることができたと思っています。ただ3Pに7失点してしまったところは、言ってしまえば自分達が挑んでいく立場なのに保守的、守備的になってしまった部分が、振り返って良くなかった点かなと思います。

――幾多のゴールを止められて大活躍だったと思います。個人のプレーを振り返っていかがですか

 終わった後に色んな人にそう言って頂いたのですが、自分が思い描いていた理想のプレーからは程遠くて。特に途中7失点してしまったピリオドについては、もう少しできたんじゃないかと後悔ばかり残ります。

――日本選手権最終予選の参加が決まった場合(この試合後、現在はほぼ参加が確定)、そこに向けての意気込みをお願いします

 他力になってしまうのですが、もし出られるとしたら都田主将は最後になるので、日本選手権出場を目標にしたいです。キャプテンは同期もいなくて、一人でチームを引っ張ってきてこられて、辛いこともたくさんあったと思うので、そこが報われたらいいなという思いです。最後は笑顔で終われたらと思っているので、その為に頑張っていきたいです。

古谷典也(スポ2=東京・明大中野)

――試合全体の振り返りをお願いします

 前半は自分達が立てていたロースコアで試合を進めるというプランが予想以上にうまくいきました。後半はディフェンスシステムを少しオフェンス的に変えて、しっかり点を取りにいこうとしていました。ですがその切り替えの部分がうまくいかず、こちらの得点も1点となってしまいました。第4Pのような感じで第3Pも入れていれば、もう少し良かったのかなと思います。

――個人4得点と最前線で活躍されました。特に第4Pは怒涛のゴールを決められていましたが、あの場面はどんな思いでしたか

 第3Pで点差を離されて、とにかく点数を取らないといけない状況でした。そこで自分が得意なのがミドルシュートなので、高い位置から積極的に狙っていきました。学年は2年生なのですがそれに関係なく、とりあえずチームを引っ張っていけたらなという思いで、積極的な意識だけは持ったままプレーし続けていました。

――リーグ戦からインカレと、今シーズンの今日までの流れをどう見ていますか

 リーグ戦と早慶戦では別のディフェンスシステムを採用していたのですが、戦う相手が専修ということでそれに合わせていきました。みんなで話し合う時間もたくさん設けて、試合直前まで悩みながら作り上げたものでした。それに対して、前半をプラン通りに進められたのは、話し合いや練習の成果が出たと思うのですが、やはり実戦形式で最後の最後まで練習をしきれなかったのが、その切り替えができなかった部分の要因なのかなと思います。

――日本選手権最終予選の参加が決まった場合(この試合後、現在はほぼ参加が確定)、そこに向けての意気込みをお願いします

 最終予選で負けてしまうと、本当に(都田)楓我さんの引退試合ということになります。悔いが残らないように、自分としては楓我さんに見合う左サイドになれるように努力しますし、チームとしてもしっかり最後に笑ってもらえるように頑張りたいなと思います。