僅差を守りきり勝利！好敵手・慶大を下し、リーグ戦初白星

　強豪相手に２敗で迎えた関東学生リーグ戦（リーグ戦）第３節。この日は昨年のリーグ戦、早慶対抗大会でどちらも敗北に終わった因縁・慶大との対戦だ。「勝ちにこだわりたい」（加納恒心、スポ１＝東京・明大中野）と意気込む中、試合は一進一退の展開に。前半でリードを作ると、第３Ｐで同点に追いつかれる。これをすぐさま返し、最後まで逃げ切った。９－８で僅差の勝利を収め、今大会初白星を飾った。

シュートを打つ曵地孝太郎（スポ３＝埼玉・秀明英光）

　試合開始直後から、早慶戦特有の応援の声がプール中に響き渡る。まずは加納（恒）が先制点を決めて良い立ち上がりを見せるも、すぐさま慶大に返される。負けじと密なパスを重ね、４分には永野冬惺（スポ１＝東京・明大中野）が相手ＧＫを目前にワンタッチでシュートを投げ込み、公式戦初得点を挙げた。両校のせめぎ合いが続く中、中村大智（スポ３＝埼玉・秀明英光）のシュートで第１Ｐは終了。ＧＫ加納凪人（スポ２＝三重・四日市中央工）からゴール前付近で直接大きなパスを受け、左下隅ギリギリに突き刺した。これで３－２と一歩リードして入った第２Ｐでも、中村が相手の退水からの数的有利を生かしてゴールを決める。さらに、１点を返されて迎えた５分、ゴール前でボールを受けたのは、またもエース・中村だ。相手ディフェンスに潰されそうになる中、水中から腕だけを伸ばして、ゴールネットを揺らした。中村はこのほかにも、相手を３人抜きするドリブルを見せるなど、チームの要らしいプレーが多々表れていた。この勢いに乗ったまま、３－５で試合は後半へ。

シュートを決める中村

　第３Ｐ３分、左サイドにいた中村から、右の加納（恒）に大きくクロスがあがり、落ち着いて決め入れる。その直後の慶大の攻撃中、再び加納（恒）がボールを奪取。カウンターアタックに入ると、今度は奪い返される。これがもう一度繰り返され、最後は慶大にゴールを許した。両校が拮抗（きっこう）した今試合を、象徴するような一幕だった。これを契機に、試合はさらに白熱していく。５分には中村が一対一から軽いループシュートを決めたが、連続得点を許し同点に追いつかれる。７分には古谷典也（スポ２＝東京・明大中野）が距離のある位置から渋りながらもシュート。ストレートに伸びた球が見事にゴールを割り、８－７で運命の最終Ｐに突入。「打たせないぞという人をしっかり決めて、対処できた」（中村）と話すように、厳しいディフェンスで相手にチャンスを作らせない。４分、曵地孝太郎（スポ３＝埼玉・秀明英光）、古谷とつながったボールを加納（恒）が右サイドからゴール。たくましいガッツポーズを見せた。５分には、相手の退水が出たチャンスで一度タイムアウトを取るが、ここは得点には結びつかない。しかしこの直後に失点があり、あと１点で同点という緊迫した状況に。７分、慶大のラストチャンスは緻密なパス回しが続けられたが、プレスディフェンスでプレッシャーを与え、シュートはポスト上に抜けていく。緊張の最終局面で守りきり、接戦を制した。

ゴールを決めガッツポーズを見せる加納（恒）

　終始僅差ではあったものの、リードを保ち危なげなくつかんだ今回の勝利。競り勝つ上でのカギとなるディフェンス面で、一枚上手のプレーが多く見られた。また、カウンターアタックを始めとする早大の強みが出しきれたことも、自信につながっただろう。上位リーグ残留に向け、負けられない戦いが続いていく。「ここからは全勝でいきます」（加納（恒））。力強い目標を叶えるべく、まだまだ突き進んでいってほしい。

　

※重大なファウルを犯した選手は、２０秒間ディフェンスに参加できない。

　

※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません

　　

（記事　中村凜々子　写真　荒井理沙、中村凜々子）

コメント

　　

杉山哲也監督（平18人卒＝埼玉・伊奈学園総合）

――今日に向けて、システム等これまでと変えた部分はありましたか　

　システムなどは大きくは変えていません。ただ、交代選手をいかに的確なタイミングで活用するかということと、交代選手の底上げの部分が今日もテーマでしたし、これからもテーマになっていきます。昨年は交代選手をほとんど使えず、後半にバテてきつい、という状況が生まれて他のチームと差が出てきてしまっていました。うちのチームも、去年よりは交代できる選手が増えていますが、システムなどにまだついてこられていないので、出せないこともあります。なので、誰が入ってもしっかりシステムができるように、これからも進めていきます。　

――１年生の選手の活躍も目立ちました。リーグ戦の中で力を付けてきていますか　

　高校日本チャンピオンの２人なので、元々個の力は高いです。ただ、チームの駒にはなれていますが、大学で活躍できるレベルまではもちろんまだ行っていないので、早く活躍できるようにしてあげたい、という形です。　

――ディフェンスが相手にしっかりハマっているように伺えました　

　向こうは、シュートのうまい選手が具体的に言うと２人なので、そこの２人にシュートを打たせないというディフェンスがしっかりできたと思います。

中村大智（スポ３＝埼玉・秀明英光）

――対慶大ならではの気持ちの入り方はありましたか　

　去年は、慶應と当たる前のこの学生リーグの試合がコロナで出られなくて、そこから負けが続いて悪い流れに入ってしまったので、今年は両校フルメンバーで戦える嬉しさがあり、そこで勝ち切れるように頑張ろうという気持ちでした。　

――実際に戦ってみての振り返りをお願いします　

　両校点を取る選手が決まっているので、そこに対して降りるのが簡単な部分、例えばうちだと、自分と都田には簡単に下がってきて、向こうの左サイドにはとことん打たせないように、という引き合いになりました。その流れの中で点を取れたのがよかったかなと思います。

――ディフェンス面がよかったのは、その対個人の部分が当たったということでしょうか　

　そうですね、相手のエースに点を取られないというのが一番の課題でした。昨日の日体大戦を振り返ると、どうしてもキーマンに簡単に打たれていたので、打たせないぞという人をしっかり決めて、対処できたと思います。　

――攻撃面でも、チームの理想とされている形が組めていたように見えました　

　全体として、カウンターでいく場面とゆっくり攻める場面を使い分けられました。ここは他の大学にも通用する場面だと思うので、これからもしっかりやっていきたいです。　

――最後に、次戦以降の意気込みをお願いします　

　今日１勝できましたが、上位リーグに残るためには勝たなければならない大学にもちろん勝っていかないといけないので、僅差の試合が続くと思いますがしっかり集中してやっていきたいと思います。　

加納恒心（スポ１＝東京・明大中野）

――慶大戦という意味で意識するところはありましたか　

　この学生リーグの対戦は、今後の早慶戦で勝つためにも勝って勢いづけたいと思っていたので、勝ちにこだわりたいということを意識していました。　

――緊張はしていましたか　

　緊張もありましたが、楽しみの方が大きかったです。

――チーム面と個人面での今試合の振り返りをお願いします　

　チームとしては初めから組織のディフェンスがしっかりハマって、相手の得点も抑えられたのでそれはよかったなと思います。後半は僕のミスでいくつか得点を許してしまったところがあったので、チームに迷惑がかからないように自分がもっとしっかり動きたいと思います。　

――大きな歓声が飛んでいましたが力になりましたか　

　とても力になりました。　

――同点に追いつかれた時はどんな心境でしたか　

　同点に追いつかれた時はまだ３ピリ目だったので、ここで焦って得点を取りに行って逆転されるというのが一番よくない状況でした。なので、そこは落ち着いてゆっくり１点を取ってリードしていこうというのを意識していました。　

――リーグ戦が続きますが、次戦以降の意気込みをお願いします　

　今日で１勝２敗なので、もう絶対に負けないように、ここからの戦いは全勝でいきます。