流れ呼び込み、黒星回避

　開幕から３ヶ月経ち、第３節を迎えたジャパン・ウォーターポロリーグ。この日は社会人チームのブルボンＷＰＣ柏崎と対戦した。筑波大をはじめとする強豪校出身の選手を数多く擁するチーム相手に、試合序盤はディフェンスで苦戦。第１ピリオドで４点差をつけられてしまった。しかし、第２ピリオドで追い上げを見せると同点へ。そこからシーソーゲームに持ち込み、１１－１１の引き分けで試合を終えた。

　試合開始から相手に３連続で得点を許すも、ゴール前でのパス回しにとどまりなかなか１点目を得られないワセダ。開始５分を過ぎ、山田太一（スポ２＝埼玉・秀明英光）が鋭いシュートでボールをネットに沈めるが、相手が攻撃の手を緩めることはない。岩井雄太郎（文構４＝東京・城北）のループシュートを深川幹徳主将（スポ４＝福岡工）が押し込むプレーも見られたが、第１ピリオド終了時点で４点差をつけられる厳しいスタートとなった。しかし、続く第２ピリオドからは追い上げを見せることとなる。「１対１でケアできないところは２対１でケアするということを注意してやっていけた」と中嶋孝行監督（平１３教卒＝福岡工）が振り返るように、６失点を許した第１ピリオドから一転、第２ピリオドでは失点を１に抑えることができた。開始から連続で３得点を決めるとともに流れをつかむと、巻き返しに成功。５－７と点差を縮めて試合を折り返した。

挽回のきっかけとなったディフェンス

　試合後半は手に汗握るシーソーゲームとなった。第３ピリオド中盤で桜井祐太（人４＝東京・城北）がゴール真ん中にシュートを決め同点に追いつくも、リードをすることはできない。その後も得点を許し、追いついては離されの展開となったが、終盤のタイムアウトから相手優位でスタートを切る場面も吉村崇（スポ２＝大分商）が抑え、２点差で第３ピリオドを終えた。これ以上点差を広げられることが許されない第４ピリオドでは、高島丈司（社４＝東京・明大中野）が好セーブを連発する。ゴール前での退水（※）から失点のピンチを迎えた際もワセダの守護神は強さを見せた。点を取っては取られの中で、同点に追いつき迎えた試合終了１５秒前。相手に攻め込まれたものの、ギリギリのところでボールを弾き出し失点を防ぐなど、緊張感のあるプレーが続く。最後まで勝利をもたらす追加点を狙い続けたもののそれはかなわず、１１－１１で試合終了となった。

冷静に得点を狙った桜井

　「ことしのチームの色は、誰かが大量に点を取ってくるというものではなく、みんなで点を取っていこうというもの」（中嶋監督）。今回の試合では、いたる所で粘り強いプレーが見られた。ワセダの持ち味である『全員水球』のためにも、一人ひとりがより一層の活躍を見せることに期待が高まる。

※重大なファウルを犯した選手は、２０秒間ディフェンスに参加できない。

　　　

（記事　井嶋梨砂子、写真　井口裕太、杉野利恵）

コメント

　　

中嶋孝行監督（平１３教卒＝福岡工）

――きょうの試合結果についてはいかがですか

向こう（ブルボンＷＰＣ柏崎）は、負けなくて良かったなと思っていると思うんですが、リーグ戦なのでうちとしても負けなくて良かったというのはあります。ただ、たられば論で言うと勝てたかなと思います。１クォーター目でああいう点数になって４点差がついてしまって、勝つには基本５点連続で取らないと逆転できないのでちょっと厳しい状況だったかなというのはあるんですが、ただ１クォーター目でどこを潰さなきゃいけないかということがわかったので、１クォーター目が終わってから気付くのではなく１クォーター目の途中で選手間で気付いて出来たら良いと思いました。タイムをとるか少し迷ったんですが、リーグ戦ということもあるのでそこは様子を見たいなと思ってとりませんでした。

――第２ピリオドから追い上げてシーソーゲームに持ち込みましたが、上手くいったのはどのようなところでしょうか

向こうもこっちもかもしれないんですけど、点をとる人間はある程度決まっているので、その点で１対１でケアできないところは２対１でケアするというところを注意してやっていけたので、自然とうちの流れになったのかと思います。あと、退水が少なかったのでそこも良かったと思います。でも基本的にはずっと追いかける側だったので、そこは少し苦しかったところがあります。

――上手くいかなかったところや改善すべき点はありましたか

ある程度力を持ったセンターフォワードがいる場合に若干ディフェンスに難があるので、そのあたりをキーパーやセンターバックと周りが連携して、どういう風にやっていくよいうのをケースバイケースになりますが、１クォーター終わってとかではなくて流れの中でできるようになれば良いと思います。

――きょう、あすとブルボンや筑波大といった強いチームとの試合となりますが、対策や声掛けしている点はありますか

いえ、取られちゃいけない人間に取られてはならないという対策はありますが、きょうあすの試合に関しては特別なことをやるというのは控えようと思っています。普段通りの動きの試合というか、ディフェンスに関してやはり一人で守れない場合のケアというのはやるべきだと思いますが、特別というのは考えていません。

――新チームで試合に臨んでいますが、監督から見て今のチームの様子はいかがですか

みんなちゃんと自分で色々と考えて練習をやってくれているので、すごくありがたいです。とはいえ、チーム層としては去年と比較すると薄いところがあるのでチームの底上げをしなくてはならないです。おそらく、ことしのチームの色は誰かが大量に点を取ってくるというものではなく、みんなで点を取っていこうというものなので、きょうのようなシーソーゲームが入ってくるかなと思います。そこで最後まで集中してやるというのが、毎回言っているテーマでもあるので、そういう意味でもきょうは良かったと思います。

――選手層の薄さはチーム全体でカバーしていくということでしょうか

全体というのもありますし、交代のメンバーも現時点では寂しい部分があるので、それを急に変えるのは厳しいですが個々の練習の中でパワーアップしていかなければならないと思います。

――今後チームに必要となるのはどのような点でしょうか

やはりチーム力の底上げというのと、ロースタートなところがあるのでそこを最初からいければ楽な試合展開ができると思います。どうしても最初は相手の様子をうかがう部分があるので、最初からしっかりとスタートを切れるような試合運びができれば良くなると思います。

岩井雄太郎（文構４＝東京・城北）

――引き分けに終わりましたが、きょうの試合を振り返ってみていかがですか

勝ちにいく試合でした。１ピリオドが全然うまくいかなくて、あれほどリードされてしまった中で追い付けたのは良かったと思います。

――その１ピリオド目は６点奪われましたが、うまくいかなかった部分は何でしょうか

１ピリオド目はプレスでいっていたんですが、それで３失点し、そこからすぐに下がりに変えていけば良かったですが、そのままプレスでいってしまいました。僕も守れなくて、キーパーの高島（丈司、社４＝東京・明大中野）も最初は当たりが悪かったので、そこで差を付けられてしまいました。

――最終ピリオドでの残り１５秒で、退水が出てしまいました。あの場面はどんな心境でプレーしていましたか

あの時点で、引き分けで終われればいいと思っていました。あそこで点を入れられないように必死に守るという感じでした。

――ディフェンスの中心として統率するために心がけている部分はありますか

やはり声を出していかないと周りも動いてくれないので。周りを見て大きい声を出すということですね。あとは、深川（幹徳主将、スポ４＝福岡工）と高島も結構声を出してくれるので、それを聞きつつという感じですね。

――ゴールデンウィークに強化してきた部分はありましたか

新潟産業大学と三建（・３０ＣＬＵＢ）の先輩方と合宿をして、退水時のオフェンスやディフェンスの詰めであったり、下がりの練習などをしてきました。

――来週からは関東学生リーグも始まりますが、目標を聞かせてください

ジャパン・ウォーターポロ（リーグ）は、結果というよりは一人ひとりの力を付けるという感じですが、学生リーグになってくると負けられない試合が続きます。この結果がインカレにもつながっていくと思うので、負けないようにというそれだけです。

池水勇太（スポ３＝鹿児島南）

――きょうの試合を振り返っていかがですか

できれば勝ちたかったのですが、出だしが悪かったのであしたはそこを修正したいです

――第１ピリオドでの失点の理由はどのように考えられていますか

相手チームのゲッターが分かっていたので、そこで得点を取られないようにということでしたが、第１ピリオドではその人たちに取られてしまったので、そこがダメだったなと思います。

――相手は強豪チームでしたが、特に意識したことはありますか

みんなでしっかりとディフェンスをして、オフェンスも少ないチャンスで決めるということを意識して頑張りました。

――きょうの試合の収穫点と課題点は

収穫点は個人的になのですが泳げてつなぎだとか周りをよく見られていたことですね。課題点は１対１で仕掛ける場面が少なかったなと思うので、仕掛ける場面を増やしていければ良いなと思います。

――前半に多くパスを回している印象を受けましたが、その点についてはいかがですか

消極的な感じだったので、様子を見るのではなく自分が行けると良かったのかなと思います。

――あしたの筑波大戦への意気込みをお願いします

きょう以上に積極的に攻めてチームに貢献できるように頑張ります。