悔しい4位、悲願は後輩へ

水球男子
TEAM 1P 2P 3P 4P
早大 10
健志台クラブ 13
▽得点者
戸張4、深田3、瀧川2、武田

  今季最後にして最もハイレベルな争いが繰り広げられる日本選手権最終日。この日は目標とする3位に向け、健志台クラブとの3位決定戦に挑んだ。試合は一進一退の攻防となったが、第2ピリオドでの失点が響き10-13で敗戦。早大の順位は4位となり、今シーズンは幕を閉じた。

試合前には円陣を組んで士気を高めた

 「1年間やってきたことを集大成として全部出し切って勝ちにいこう」(戸張真寿主将、スポ4=埼玉・秀明英光)。今試合をもって4年生は引退。最後を笑顔で締めくくるため、決して負けられない一戦だった。第1ピリオドで躍動したのは、1年間主将として、エースとしてチームをけん引し続けた戸張。味方の相次ぐ退水(※)により再三のピンチを招く苦しい立ち上がり。それでもGK高島丈司(社2=東京・明大中野)の好セーブからチャンスをつくり、戸張の放った一投はまっすぐにゴールへ。待望の先制点を奪い、拳を高く突き上げた。その後2連続失点で逆転を許すが、再び戸張がカウンターから得点。少ない好機をものにし、2-2でこのピリオドを終えた。しかし第2ピリオドになると空気は一変。点を取ろうとはやる気持ちからディフェンスがおろそかになり、4連続失点を喫する。深田隼輔(スポ3=鳥取中央育英)が1点を返すも、3-8と5点差をつけられ試合を折り返した。

 しかしここであきらめるわけにはいかない。食らいつきたい第3ピリオド、武田望(スポ4=富山北部)が浮き球のパスをワンタッチで合わせ、幸先よく得点。その後も深田の連続ゴールなど、流れは完全に早大へ。来季を担う深田、瀧川峻也(スポ3=京都・鳥羽)の攻守にわたる活躍が光り、9-10と1点差まで詰め寄った。

得点を決めガッツポーズを見せた深田

 このチームで戦う最後の8分間。先手を取り同点に追い付きたいところだったが、相手GKに阻まれると連続失点で3点差に。勝利のためには何としても点が必要な局面。相手の退水の好機でボールを受けた瀧川はゴールの右隅へと叩き込み、気迫のガッツポーズを見せた。この勢いのまま一気に攻めたい早大だったが、残り時間2分、カウンターから手痛い失点。逆転を信じ最後まで戦い抜いたが、力及ばず。試合終了を告げるブザーが響き渡った。

 勝利をつかめず苦しんだ東日本リーグ戦から始まった今季。悔しい幕引きとなったが、春先の苦難を糧にチームは確実に成長を遂げた。4年生は引退を迎え、「ありがとうという気持ち」(戸張)、「感謝という言葉しかないような4年間」(木村洋平、スポ4=兵庫・御影)と感謝の言葉を口にした。さまざまな思いを乗せた主将のバトンは、戸張から瀧川へ。今季果たせなかった日本学生選手権優勝、日本選手権表彰台という悲願。夢の続きは後輩へと託された。

※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。

(記事 谷田部友香、写真 平川さつき、建部沙紀)

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コメント

中嶋孝行監督(平13教卒=福岡工)
――この試合、チームとしてはどのように臨もうということだったのでしょうか
最後の試合なので、やっぱり3位でちゃんとメダルを持って帰りたいなと思っていました。ちゃんと勝って、4年生は終わりですけど、来季以降も考えて、緊張したなかで1試合を戦えればなというかたちで臨みました。
――第2ピリオドに責め立てられ、点差が開きました。あの展開は想定されていましたか
もしかしたら逆の展開だったかもしれないし、良いほうも悪い方も想定はしていたので、その点は別に。ただ、ああやって点が開くと考えてはいなかったですけどね。そういうこともあるということは理解してやっていました。
――ハーフタイムにはどのようなことをお話されたのでしょうか
あの点差でしたし、やっぱりセットでこつこつ点を取るというのはなかなか難しいので、カウンターの流れのなかから点を取るということをやっていかないと厳しいなと思っていました。第3ピリオドでばててもいいので、全部出して全力でいきなさいとチームとして方針は立てました。
――第3ピリオドの追い上げは、出し切った結果ということでしょうか
まあまだ泳げたとは思うんですけど、第4ピリオドはちょっとした歯車が合わなかったですね。シュート数なんかはうちのほうが打っていたんじゃないかと思いますし。決められるところで決められるか決められないか。最後はそこの差だったのかなと思いますね。
――4年生はどのような代でしたか
ちゃんと真面目にこつこつとやってくれた代だなと思いますね。特に誰かが愚痴を言うでもなく、しっかりとやってくれたので、僕としてはすごく助かりました。
――戸張真寿主将(スポ4=埼玉・秀明英光)は春先の結果が出ない時期には悩んでいるような場面もありましたが、主将ぶりについてはいかがでしたか
キャプテンだけが背負うというのはチームとしては良くないですし、とはいえ彼は責任感が強くてそのような場面もあったのかなと思います。逆に春先にチームの事情というか、しっかり理解できたというのは、彼にとってもチームにとっても良かったんじゃないかと思いますし、彼がキャプテンをやったなかで、一人間として成長していくというか、そういったものはキャプテンじゃないと味わえないので、良い経験になったんじゃないかと思います。
――これからどのようなチームをつくっていきますか
もう来季が始まっているので。メンバーは限られたメンバーでやるしかないので、減ることはあるかもしれないですけど、増えることはないので。いまいるメンバーでできることをやっていきます。普通に水球はできるんですけど、やっぱり素人目に見てもフィジカルの面がなかなか悩ましいところかなと思います。そこはもっと並んでいかないといけないなと思いますね。

戸張真寿主将(スポ4=埼玉・秀明英光)

――きょうが最終戦でしたが、どのような意気込みでしたか

1年間やってきたことを集大成として全部出し切って勝ちに行こうぜ、という気持ちでした。

――主将としてチームにはどんな言葉をかけましたか

本当に思い切ってやろうぜっていうことだけですかね。対策するようなチームじゃないので。

――前半はなかなかシュートまで持っていけませんでしたが

やはり相手のプレスが強いなと感じましたね。攻めづらかったですし。でも3クオーター目でああやっていいかたちでクオーターを取れて。最初からやればよかったなと思いました。

――第3ピリオドで追い上げた要因は何でしょうか

1回冷静になった点ですかね。クオーター間で話し合って。点差が開いてちょっと焦り気味だったので。落ち着いたからかなと思います。

――引退となりましたがいまのお気持ちは

やっぱり勝つのって難しいなと。最後の最後まで思っていましたけど。でも水球、楽しかったなと思います。

――4年間を振り返って

一言では言えないですけど、水球の技術もチームの環境的にも学生主体でやらなきゃいけなかったりして、人間的にもすごく成長できたと思います。ワセダの水球部がずっと自分のあこがれのチームだったんで、そこで4年間やれたのは幸せなことだなって思います。

――後輩へメッセージがあればお願いします。

1年間主将としてやってきて、ついてきてくれたことに感謝の気持ち、ありがとうっていう気持ちと、インカレ(日本学生選手権)にしろ日本選手権にしろ、目標としていたことが取れなかったんでそこをしっかり取ってほしいなと思います。

小川航(教4=東京・城北)
――勝っても負けても大学最後の試合。昨夜はどのように過ごされましたか
一週間前くらいは、意外と「もう終わりか」とあっさりしたかんじだったんですが、きのうになって、いざあしたで終わりとなると、4年間ですごくいろいろあったなと。泣きはしなかったんですけどいろいろとこみ上げてるものがあって、すごく感慨深くて寝られませんでした。
――きょうの前半で大きく差を広げられました。あの展開は想定されていましたか
実力的にはほぼ五分だと思っていたので、1ピリオド目は予想の範囲内だったんですけど、2ピリオド目で向こうのやりたいようにやられてしまったというのが勝敗を分けた一番大きい部分だと思います。
――第3ピリオドで盛り返しました。ハーフタイムにはどのような話がありましたか
もちろん相手のカウンターを防ぐというのは大事なんですけど、ここまでくるともう気持ちで、5点差になってしまっても簡単に諦めないということで気持ちの部分で一回締めて、3ピリオド目を戦っていこうという話をしました。
――春は結果が出ず、苦しんだシーズンの集大成としてのこの試合、結果についていかがでしょうか
東日本(リーグ戦)の結果がすごくうまくいかなくて、お互いのやりたいこともちぐはぐだったりして、フラストレーションの溜まる試合展開も多かったんですけど、インカレ(日本学生選手権)決勝は負けてしまいましたがなかなか良い試合ができたと思いますし、今回の日本選手権でも結果は負けてしまいましたが、自分たちの力をフルに出せたんじゃないかと思うので、その点ではすごく満足しています。
――水球部で過ごした4年間、どのような4年間でしたか
何より自分自身をものすごく育ててもらった4年間だと思っています。同期や先輩後輩にも学ばせていただきましたし、水球はもちろんいろいろなものを手に入れられました。自分自身、一人の人間として大きく成長させていただいた4年間だったと思います。
――後輩たちにはどのようなチームを作っていってほしいですか
ワセダらしい、というと抽象的な表現になってしまうんですけど、水球を楽しんで、遊ぶときは遊んで、やるときはやる。そういった当たり前の素晴らしいチームになってくれたらなと思います。

木村洋平(スポ4=兵庫・御影)

――きょうは最終試合でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

深いことは考えず、最後ということだけを考えて臨みました。

――接戦だった第1ピリオドから一転、第2ピリオドでは攻められる展開でしたがどのようなお気持ちでご覧になっていましたか

必ず勝ってくれると信じていたので、点差がどうこうとは特に思いませんでした。最終的に勝っているんだろうなというイメージが僕の中であったので、焦ることなく見ていました。

――第3ピリオドからは攻めの姿勢に転じましたが、その差はどこに感じられましたか

2ピリ目でかなり点差が開いてしまっていましたが、ハーフタイムで気持ちを切り替えることができたからじゃないかなと思います。

――きょうの試合での敗因は

ずっと言われていた選手層の薄さですね。僕みたいにベンチに座っている人間が、もっとスタメンたちを休ませてあげられるくらい、スタメンと同じように試合で仕事ができるようになれば少しは試合も変わったかなと思います。

――今回の試合で引退されるということですが、大学4年間を振り返ってみていかがでしょうか

大学に入る前は水球をやるかやらないか迷っていたくらいのレベルだったので、ここまで続けさせてもらえて…本当にいろんな人に支えられたなということで、感謝という言葉しかないような4年間でした。

――最後に、木村選手にとって水球とはなんですか

なんですかね…(笑)。すごい奥が深いスポーツだなと思います。本当に強いと言われているチームが勝てるかどうかもわからないし、誰がどうなるかも想像できない。そんな中で、チームみんなで一体となってできる本当にすごいスポーツだと、僕は思います。

武田望(スポ4=富山北部)

――ワセダでの最終戦でしたが、どのような気持ちでしたか

4年間の集大成ということで、絶対に勝つという意気込みで臨みました。

――試合自体を振り返っていかがですか

2ピリ目ですごく点を取られてムードが悪くなったのですが、3ピリ目で盛り返すことができたのでそこは良かったと思います。

――前半はシュートまで持っていけず苦しい展開が続きました

そうですね…。要因が分からないまま2ピリ目が終わってしまったというか。相手の方が泳げるので、点を決めにいこうという気持ちでディフェンスがおろそかになってしまって点を取られたのかなと思います。

――ハーフタイムではどのようなことを話されたのですか

攻め気になりすぎてディフェンスに力が入っていなかったので、ディフェンスを意識しようということを話し合いました。

――第3ピリオドではご自身のゴールもありました

得点はラッキーみたいなものだったのですが、チームのムードがすごく良くて、3年生が引っ張ってくれているチームになったのでそれは本当に良かったです。

――引退を迎えましたが、いまのお気持ちは

単純に最後負けて悔しいですね。でもチームの雰囲気が、4年生が引っ張るのではなくて3年生が主体としてやっていけていたので本当にうれしかったです。

――ワセダでの4年間、振り返ってみていかがでしたか

ワセダに入学してから試合に出さしていただいていて、本当にみんなの足を引っ張っていたのですが、4年生でやっと少しはチームを引っ張れる選手になれて良かったなと思います。

――後輩に何かメッセージがあればお願いします

らいねんこそは日本選手権でメダルを取ってほしいです!

瀧川峻也(スポ3=京都・鳥羽)

――今季の最後の最後、どのような気持ちで臨まれましたか

チームの集大成でもあり、僕らからしたら4年生とできる最後の試合だったので、なんとしてでもメダルを持って帰りたかったんですけれど、このような結果になってしまいました。

――きょうの試合はいかがでしたか

最初、1ピリ目は結構良くて、テンポ良くカウンターも出てディフェンスも良く守れていたんですけど、2ピリ目は相手ペースに持ち込んでしまったというのもあって、3・4ピリ目で立て直したは立て直したんですけれどもなかなかパスができず終わってしまったというかたちです。

――ご自身の働きはいかがでしたか

僕はセンターバックでディフェンス中心のポジションなんですけど、思い切ってやったということと、攻めに加わったというかたちでした。

――今後チームを引っ張っていく存在になられると思います。意気込みをお願いします

メンバーが変わりいまは土台がない状態なのでいろいろなことをちょっとずつ積み重ねていければいいなと思います。

――4年生への思いは

4年生は、1年生の頃から生活面から水球面まで大変お世話になっていたので引退されるのはすごく寂しいですが、教えてもらったことを僕たちが後輩に引継いで教えていきたいと思います。

――今後の課題は

最初だけは水球面でみんな戦力ダウンにはなると思うんですけれど、みんなでチーム一丸となってやっていきたいです。

深田隼輔(スポ3=鳥取中央育英)

――目標とする3位に向けては負けられない試合でしたが、どのような意気込みで臨みましたか

本当に勝つつもりでいったのですが、だめでしたね。勝ちたかったです。

――第2ピリオドでの失点が大きかったと思いますが、どのような点が足りなかったと思いますか

最初からカウンターのケアを意識してと言われていたのですが、僕たち自身前のめりになってしまったというか、ディフェンスにいって帰って来るときの意識が低かったなと思います。途中ディフェンスをしっかりしようと話をして引き締めて、第3ピリオドではああいう結果だったので、ディフェンスの意識が悪かったかなと思います。

――第3ピリオドでは巻き返しましたが、どのような点が良かったですか

ディフェンスをして、そこからカウンターというかたちだったので良かったのだと思います。

――第4ピリオド前を残して1点差でしたが、どのような話をされましたか

どうなっても最後だという話だったので、このチームで戦うのも最後なので最後までしっかり泳ぎきってやろうという話でした。

――ご自身ゴールを決めてガッツポーズもされていましたね

はい、そうですね(笑)。今シーズン最後の試合だったので、勝つというのもそうですし、楽しむということもしたいなと思っていたので、4年生と試合ができるのも最後だったので楽しもうと。最終的に勝たないと楽しむも何もないんだというのは改めて思いました。

――10−13という結果についてはいかがですか

途中で崩れた時にどうやって立て直すかというところができていなかったかなと思います。

――今大会、4位という結果はいかがですか

悔しいです、本当に。でもここまで一緒にやってきていろんな人に感謝したいですし、ありがとうございましたという感じです。

――4年生は引退となりますが、メッセージをお願いします

武田さん(望、スポ4=富山北部)と戸張さん(真寿主将、スポ4=埼玉・秀明英光)とは一緒に出ていたのですが、ベンチで控えている木村さん(洋平、スポ4=兵庫・御影)と小川さん(航、教4=東京・城北)の代わりに出してもらってるというのもあったので、最後は花を持たせてあげたかったです。本当に申し訳ないです。

――らいねんは4年生としてチームを引っ張る立場となりますが、どのようなチームをつくっていきたいですか

ことしもすごくいいチームだったので、ことしに負けないようないいチームをつくっていきたいです。

――らいねんに向けての意気込みをお願いします

らいねんこそはインカレ(日本学生選手権)を取りにいきたいと思っているので、またよろしくお願いします。