第96回早慶対抗水上競技大会 6月30日 東京アクアティクスセンター
大観衆に見守られながら、開催された第96回早慶水上対抗競技会。4年ぶりの勝利を狙う今大会。前半から一進一退の拮抗(きっこう)した試合展開が続き、4−5で試合を折り返す。第3ピリオド(P)には、怒涛の4連続得点で慶大を突き放し、8ー6で最終Pに向かうも慶大の猛追で同点にまで追いつかれ、決着は、PSO(ペナルティーシュートアウト)戦へ。しかし、慶大にあと一歩及ばず、12―14で敗北を喫した。
円陣を組む選手たち
慶大のセンターボールで試合の幕があがる。中村大智主将(スポ4=埼玉・秀明英光)の右サイドからの鋭いシュートで先制すると両者一歩も譲らない互角のカウンター合戦が続いた。慶大の2連続得点があるものの、1ー2とロースコアゲームで第1Pを終える。続く第2P。開始3分半、古谷典也(スポ3=東京・明大中野)のディフェンスを交わしながらの水面を滑らすミドルシュートが炸裂。しかし、直後に慶大に反則を誘われ、ペナルティーシュートを許してしまう。その後、曵地孝太郎(スポ4=埼玉・秀明英光)から回ったパスを中村がループシュートでゴールへと放り込み得点を重ねる。慶大も負けじと2連続得点するも残り20秒で古谷が左サイドから差し込み、4ー5で試合を折り返す。
シュートを放つ古谷
反撃を試みたい第3P。開始30秒、退水(※)を誘ってからの加納恒心(スポ2=東京・明大中野)のミドルシュートが決まると流れは早大へ傾き始める。加藤旺道(スポ2=静岡・磐田) の自らボールをゴール前まで運んでのシュート、続けて、古谷の3得点目となるミドルシュートで次々に得点する。その後も勢いを止めることなく、斎藤昴泰(スポ1=神奈川工)からのパスをゴール前中央に陣を取っていた曵地が速攻で決め切り、怒涛の4連続得点で8ー6で第3Pを終える。
ディフェンスをする加納凪人(左)、加藤
逃げ切りたい最終P。反撃を試みる慶大の猛追が始まった。加納凪人(スポ3=三重・四日市中央工) の守備が光るも3分、慶大に退水(※)を誘われ、得点される。続けてカウンター攻撃からまたも得点を許すと、流れは慶大に。中村が左サイドからゴールし、9―8と一歩前に出たものの、残り4秒に慶大がゴールに押し込み、9ー9と同点まで追いつかれ、試合はPSO(ペナルティーシュートアウト)戦へともつれ込む。緊張感で会場が包まれたPSO戦。早大一番手は、古谷だ。「楽しむことができた」と振り返るように堂々としたシュートで、会場を沸かせる。加納(恒)、そして小林と続くも、4番手となる曵地のシュートが慶大の守備に阻まれる。後がない慶大のペナルティーシュートも最後に止めることができず、12―14と今年も勝利を飾ることはできなかった。
ペナルティーシュートを放つ加納(恒)
宿敵・慶大への勝利を掲げ、それぞれが想いを持って挑んだ早慶戦。勝利とはならなかったものの応援部や大勢の観客の大声援に包まれながら、選手たちのプレーを楽しむ姿が印象的だった。次に控えるのは、日本学生選手権(インカレ)だ。「早慶戦で負けた悔しさを糧に、個人としてもチームとしても成長したい」(加納(恒心))と振り返るように、さらに成長した姿に期待したい。
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません。
(記事 指出華歩 写真 指出華歩、田中瑠花、中村凜々子)
結果
TEAM | 1P | 2P | 3P | 4P | 計 |
早大 | 1 | 3 | 4 | 1/3 | 12 |
慶大 | 2 | 3 | 1 | 3/5 | 14 |
コメント
中村大智主将(スポ4=埼玉・秀明英光)
――今日の試合を振り返っていかがですか
全員が全力を出して戦えたのですが最後の踏ん張りが足らなかったのが正直な感想で、ペナルティースロー戦になってしまったことが問題だったと思うので、今回の試合をしっかりと振り返って、インカレ(日本学生選手権)に向けて頑張ろうと思います。
――個人としては
毎年早慶戦は、緊張し過ぎてしまってこけてしまう部分があったので、今年も緊張するかなと思ったのですが、そこはあまり感じずに、のびのびプレーできたので、後輩のおかげかなと思います。
――ペナルティスロー戦の際の心境はいかがですか
勝ち負けに関わらず、後輩を信じることができたところが、自分の4年間の成長かなと思っていて、頼れる後輩も同期もいるので、またインカレに向け、再スタートできたらいいなと思います。
――最後の早慶戦でしたがいかがでしたか
個人的には、最後という言葉が、引っかかっていて、最後なんだと思いつつも、いつも通りのプレーをしようと心がけていたので、それができてこの結果だったので、もっと精進しようと思います。
――大声援の中でのプレーでしたが、応援は力になりましたか
普段から応援してもらっていることはわかっていたのですが、直に感じることができて、自分が1年生の時は、無観客でそこから比べると本当に色々な人に支えられているなと実感した試合だったと思います。
――最後に、次戦となる日本学生選手権に向けた意気込みをお願いします
インカレ(日本学生選手権)までのカウントダウンは始まっているので、組み合わせも今後出てくると思うのですが、しっかり一戦一勝というところで、まずは目標にしているベスト4を取れるように頑張っていこうと思います。
古谷典也(スポ3=東京・明大中野)
――今日の試合を振り返っていかがですか
試合全体通して早稲田のやりたいことはできているっていう感じではありましたが、何個か最後爪が甘いところがあって勝利を目前にして逃がしてしまったっていうのは悔しいです。
――3得点を決めた個人としての感触は
たまたま今日はシュートが枠内に飛んでくれて調子が良かったので、打てるタイミングでシュートを積極的に狙っていったのが得点という形に繋がったので良かったと思います。
――今後の課題は
やっぱり競った試合で勝ちきれないっていうのが時々早稲田はあるので、そこをしっかり最後まで勝ち切る能力をチーム全体で統一して、最後の最後までしっかり勝利できるように頑張っていきたいです。
――ペナルティスロー戦の際の心境はいかがですか
僕は楽しむことができたので、こんな場面で決めたらすごい楽しいだろうな、ヒーローだなと思ってワクワクしながら打つことが出来ました。
――インカレに向けての意気込みをお願いします
このチームならインカルでメダルが確実に狙えるチームだと思っていますのでまた一から鍛え直して、4年生が再度メダルを取ることができるように頑張りたいと思います。
加納恒心(スポ2=東京・明大中野)
――2度目の早慶戦となりました。今日を迎えるにあたっての心境として、昨年と変わった部分はありましたか
昨年は初めての早慶戦ということで、緊張よりはワクワクの方が大きかったです。また昨年は自分が永久退水をしてしまって、敗因にもつながってしまったので、今年は何としても最後までプールにいたままで勝ち切りたいという思いがありました。
――試合を終えての率直なお気持ちを教えてください
競る試合になるというのはチーム全員で認識していました。ただ1点がどれだけ大事になるかを感じさせられるような形で最後慶應に追いつかれてしまって、その勢いのままにペナルティースロー戦で負けてしまったのかなと思っています。
――最後はペナルティースロー戦になりました。あの場面ではどういった思いでシュートを打ちましたか
僕達は日頃から練習の最後にペナルティスローをやってきています。早稲田のキーパーの方々はセーブ率が高いので、必ず止めてくれるから自分は止められても大丈夫だと信じて打ちました。
――最後に、次戦となる日本学生選手権に向けた意気込みをお願いします
インカレまで1ヵ月余りと少し期間が空くので、早慶戦で負けた悔しさを糧に、個人としてもチームとしても成長していけたらなと思います。