新記録続出の早慶戦! 飛込でもルーキーが魅せた

競泳/飛込

第95回早慶対抗水上競技大会 7月2日 東京アクアティクスセンター

 第95回早慶対抗水上競技大会(早慶戦)が、第91回大会以来となる入場制限を設けない完全有観客で開催された。競泳は午前の部と午後の部に分けて行われ、その間に水球、慶大水泳部葉山部門による日本泳法のエキシビジョン、飛込競技が実施された。競泳では個人、リレーともに大会記録の樹立が相次ぎ、1、2年生の活躍も目立つ充実の大会となった。全日本学生選手権(インカレ)に向けて、大きなはずみをつける結果だ。飛込ではルーキーの藤田優(商1=新潟)が堂々の演技で1位を獲得。早大の飛込のバトンがまた一つつながった。

★競泳は記録続出の充実した大会に!

早慶戦初レースで大会新を出した松﨑

  今年の早慶戦では早大勢による大会記録の更新が相次いだ。その口火を切ったのは早慶戦初参加の松﨑りん(人1=東京・日大二)だった。早慶戦初レースとなる女子400メートル自由形に出場すると、前半は小原天寧(スポ3=東京・目黒日大)がレースを引っ張っていく。「200メートルを過ぎてから更に切り替えてあげていけた」という言葉通り、250メートルのターンで小原をかわすと、疲れが出る後半にもラップタイムを落とすことなくゴール。電光掲示板に映し出された松﨑のタイムは、自己ベスト更新とともに、大会記録を2秒半ほど上回るものだった。大会新記録のアナウンスが流れると、早大側の客席から歓声が上がり、松﨑は笑みを浮かべた。その後も男子400メートル自由形で飯田光達(スポ1=東京・八王子)、男子100メートル自由形で原空輝(スポ2=東福岡)、女子200メートル個人メドレーで高橋実花(教1=宮城・仙台二華)といった下級生が続々と自己記録を更新していく。そんな中早大勢二つ目の大会記録を呼び込んだのは金星洋将(スポ3=大阪・桃山学院)。先行するオープン参加の選手たちを追いかけじわじわと後続との差を広げていく。中盤になってその差をさらに大きなものとしそのままゴール。自己ベストには届かなかったが、これまでの大会記録を7秒以上更新する活躍を見せた。会場からの拍手に、プールから上がり自身も手を叩いて応えた。

★4年生も最後の早慶戦で魅せる

笑顔で客席に応えた今牧

  早大の競泳部門から唯一世界選手権の日本代表に選出された田中大寛(スポ4=大分・別府翔青)も、得意の200メートル自由形で自身の持つ大会記録を更新した。前半100メートルの折り返しでは、後輩の長牛太佑(スポ3=京都外大西)と原を追いかけるかたちに。150メートルの手前で長牛をかわし二番手に上がる。スパートをかけて追い上げる中、残り15メートルまで原に先行を許すものの、最後は意地を見せ1位。自身が昨年マークした大会記録を上回るタイムでのゴールとなった。また今季での競技引退を明言している今牧まりあ女子主将(スポ4=長野・飯田)も、最後の早慶戦で有終の美を飾った。得意としている50メートル自由形に登場すると、早大側の客席からの声援に笑顔で手を振る。浮き上がりから大きなストロークで前に出ると、25メートルの手前で先頭に立つ。徐々に差を広げていき、そのままフィニッシュ。大会新記録の放送が会場に流れると、小さくガッツポーズをして見せた。リレー種目でも早大の強さが光る。特に大会の最後を彩るフリーリレーでは男女ともに大会新記録を樹立。女子の4×200メートルフリーリレーは、一年生2人を含めた早大Aチームが二人目の選手から後続との差を大きく広げていき、一位を獲得した。男子4×200メートルフリーリレーは、1年生から4年生まで全ての学年をそろえた早大Aチームが1位となった。ターンや中継を重ねるごとに着実に差を広げ、大会新記録で今年の早慶戦を締めくくった。

★早大飛込のルーキーがベスト更新の好演技

初出場で1位を獲得した藤田

 長らく早大の飛込部門をけん引してきた金子舜汰(令5卒=現セントラルスポーツ)が卒業。入れ替わるように藤田が早大飛込に姿を現し、金子が続けてきた早慶戦での1位の座を今年も守り抜いた。「とても緊張しましたが、いい経験ができた」と振り返った演技は、その一つ一つが会場中からの感嘆の声を誘うものだった。1回目の 105B(前飛込・途中宙返りなし・2回転半・えび型)で54.00を出し、この段階でトップに立つ。その後4回目まで安定して50点台を出し続け、慶大選手たちとの点差を広げていく。5回目の5152B(捻り飛込・前飛込・宙返り2回転半・捻り1回転・えび型)で、入水まで鮮やかに決めると会場から大きな拍手が沸き起こった。この技でこの日初めて70点台となる70.50を出して、会場をさらに湧かせていく。本人も最も得意という6回目の107B(前飛込・途中宙返りなし・3回転半・えび型)で75.95と、この日最高得点で早慶戦の演技を終えた。順位決定の方式上、出場選手が一人だけの早大は優勝とならなかったが、個人成績では1位を獲得。金子が守ってきたその座を今年も早大にもたらした。

表彰式後の田丸敬也主将(スポ4=大阪・太成学院)と今牧女子主将

(記事 新井沙奈、写真 堀内まさみ、新井沙奈)

結果

競泳男子

○早大69点-慶大9点

競泳女子

○早大39点-慶大6点

飛込

●早大3点-慶大3点※同点のため入賞者数で勝敗を決定

競泳

女子4×100メドレーリレー

早大(亀井、松本、船越、二宮) 4分12秒08 【1位】

男子4×100メドレーリレー

早大(村上、松田、山本、田中) 3分38秒74 【1位】
村上汰晟 55秒24 自己新

女子400メートル自由形

松﨑りん 4分15秒05 【1位】大会新・自己新
小原天寧 4分18秒60 【2位】

男子400メートル自由形

林大輝 3分54秒81 【1位】
飯田光達 3分59秒10 【2位】自己新
金星洋将 4分04秒00 【3位】

女子200メートル背泳ぎ

亀井涼子 2分17秒19 【OP】
柴田菜摘 2分18秒94 【OP】
木崎京香 2分23秒05 【OP】

男子200メートル背泳ぎ

米山毅 2分01秒38 【1位】
村上賢之慎 2分02秒24 【2位】
村上汰晟 2分05秒62 【3位】

男子200メートルバタフライ

新開誠也 1分59秒91【1位】
入江崇也 2分02秒57【2位】
金直輝 2分04秒73【OP】

男子200メートル平泳ぎ

松田藍青 2分15秒21【2位】

女子100メートル自由形

船越彩梛 56秒41【1位】
二宮歌梨 56秒54【2位】
今牧まりあ 56秒86【3位】

男子100メートル自由形

原空輝 49秒70【1位】自己新
須田悠介 49秒92【2位】
田中大寛 49秒98【3位】
菅野遼 50秒89【OP】

女子200メートル個人メドレー

松本信歩 2分14秒53【1位】
木崎京香 2分25秒34【2位】
高橋実花 2分27秒68【3位】自己新

男子200メートル個人メドレー

田丸敬也 2分02秒23【1位】
長牛太佑 2分02秒81【2位】

男子1500メートル自由形

金星洋将 15分42秒04【1位】大会新
飯田光達 16分00秒67【2位】

女子200メートル自由形

小原天寧 2分03秒37【OP】
二宮歌梨 2分03秒96【OP】
内田さくら 2分04秒28【OP】

男子200メートル自由形

田中大寛 1分49秒73【1位】大会新
長牛太佑 1分51秒24【2位】
林大輝 1分51秒91 【3位】
原空輝 1分49秒85【OP】

女子100メートル背泳ぎ

柴田菜摘 1分02秒86 【1位】
亀井涼子 1分03秒15 【2位】

男子100メートル背泳ぎ

村上汰晟 55秒57【1位】
米山毅 2分01秒38【2位】
村上賢之慎 2分02秒24【3位】

女子100メートルバタフライ

松本信歩 59秒85【1位】
内田さくら 1分03秒07【2位】
高橋実花 1分04秒54【3位】

男子100メートルバタフライ

山本拓武  53秒31【1位】
新開誠也 54秒57【2位】
入江崇也 54秒65【3位】
山口遼大 54秒33【OP】
金直輝 55秒82【OP】

男子100メートル平泳ぎ

田丸敬也 1分02秒09【1位】
松田藍青 1分02秒35【3位】

女子50メートル自由形

今牧まりあ 25秒51【1位】大会新
船越彩梛 26秒14【2位】

男子50メートル自由形

須田悠介 22秒76【1位】
山口遼大 22秒82【2位】自己新
菅野遼  23秒19【3位】

女子400メートル個人メドレー

松﨑りん 4分52秒47 【OP】

女子4×200メートルフリーリレー

早大A(松﨑、二宮、船越、松本) 8分11秒66 【1位】大会新
早大B(小原、内田、柴田、今牧) 8分25秒43【OP】

男子4×200メートルフリーリレー

早大A(原、田中、長牛、新開) 7分20秒16 【1位】大会新
早大B(林、山本、米山、田丸) 7分29秒07【OP】

飛込

男子3メートル飛板飛込
藤田優 1回目54.00 2回目52.50 3回目56.00 4回目52.50 5回目70.50 6回目75.95
合計361.45 【1位】自己ベスト

コメント

田丸敬也主将(スポ4=大阪・太成学院)

――早慶戦全体を振り返ってみてどうでしたか

 個人としては、両種目で優勝できて主将としても選手としても仕事ができて良かったです。しかし、メインである200メートル個人メドレーに関してはもう少しタイムが欲しかったです。チームとしては関カレ、インカレに向けて大きな弾みをつけられる試合になったと思います。普段できなかった応援を通してチームの輪が更に強くなった気がします。

――早慶戦に向けて部内で決めていた目標はありますか

 目標としてはまず男女総合優勝、そしてインカレに向けて良い準備をするという事でした。両方達成できたと思います。

――自己ベストや大会記録の更新も相次ぎましたが、チーム全体として強くなってきている印象などはありますか

 強くなっている実感が大きいです。何より何人かの選手というよりも全体的に上がってきていてチームとしての実力を底上げできていると感じます。

――一、二年生の活躍も各所で見られたように思いますが、下級生の勢いや雰囲気の良さを感じる部分はありますか

 下級生の活躍には本当に良い刺激をもらっています。上級生は先輩として下級生に負けたくないのはもちろんですし、下級生は後輩ながらも活躍したいという思いがあると思います。そしてその先にチームのためにという思いがあり今の結果に繋がっていると思います。

――インカレに向けてチーム全体と自身とで、それぞれ意気込みをお願いします

 インカレでは個人はA決勝進出、チームとしては男子総合3位、女子は総合4位を目標に突っ走ります。

松﨑りん(人1=東京・日大二)

――初めて参加した早慶戦はどうでしたか

 応援が盛り上がっていて、とても楽しかったです。応援のおかげでいつもより力を出すことができました。また、初めて他の部門も見ることができ、面白かったです。

――400メートル自由形での泳ぎについて伺います。大会新記録という結果についてはどう感じていますか

 大会新記録は出せるとは思っていなかったので驚きました。歴史のある早慶戦で大会新記録を出せてとても嬉しく思っています。

――400メートル自由形の泳ぎでは、どんな部分がよかったと考えていますか

 前半から力まず積極的に入れたことが良かったと思います。また、200メートルを過ぎてから更に切り替えてあげていけたことも良かったです。

――400m個人メドレーとフリーリレーについては、どんなことを意識して泳ぎましたか

 400メートル個人メドレーは前半から積極的に入ることを意識しました。フリーリレーは400メートル個人メドレーから時間がなく、かなり疲れている状態でしたが、その中でも泳ぎを崩さないようにすることを意識しました。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

 早慶戦での課題を後2ヶ月で修正し、良かったところをさらに磨いていきたいです。インカレでは自己ベストを出し、A決勝に進出できるように頑張ります。

藤田優(商1=新潟)

――初めての早慶戦はどうでしたか

 こんな大勢に見られることは今までなかったため、とても緊張しましたが、いい経験ができたと思います。全てが熱い闘いで楽しかったです。

――全体的な振り返りをお願いします

 早慶戦を振り返ると、ベスト更新で一位というこの上ない結果ではありましたが、まだまだ未完成な種目もあるため、次の試合に向けて修正していきたいです。

――六つの演技の中で特に良かったものや、上手くいったものはどれでしたか

 六つの演技の中で1番上手く行ったのは最後に飛んだ107Bです。最後に1番得意な技で高得点を出し、最高の終わり方ができて良かったです。

――今は特に何に重点を置いて練習していますか

 今は受験勉強で休んだ半年のブランクを戻すためにじっくり自分のペースで練習することを意識しています。

――これからの意気込みをお願いします

 インカレで表彰台を目指して頑張ります!