日本学生選手権4日目 9月7日 東京アクアティクスセンター
インカレ最終日、この日のレースをもって競技を引退する4年生も多い。我が校に1点でも多く持ち帰るため、各校の選手たちがしのぎを削った。連日のレースで疲労がたまるなか、早大は最終種目の4×200メートルフリーリレーで女子が大会新記録を樹立し金メダルを獲得。男子総合7位、女子総合2位という結果で今年のインカレに幕を下ろした。

金メダルを獲得した早大女子リレーメンバー
女子50メートル自由形B決勝に、二宮歌梨(教3=東京・早実)が登場。記録が伸び悩むつらい時期を経験し、昨年はしばらく水泳から離れていた二宮。昨年のインカレは観客として、活躍する仲間たちを目にした。「夏の何か月も長い時間をレースの一瞬のために費やすのは、すごい熱くて面白い、楽しいことなんだと認識」し、そこから水泳を楽しめるようになったという。2年ぶりのインカレとなった今大会。自身に力をくれた仲間たちの応援を受けスタート台に立った。長い手足を生かしトップに並ぶと、自己ベストとなる25秒81でゴール。予選から順位を上げ、2位でレースを締めくくった。

レース前、気合を入れる二宮
続く50メートル自由形決勝に登場したのは、船越彩椰(スポ4=東京・淑徳巣鴨)と、全国大会の決勝の舞台に立つのは初となる内田さくら(スポ3=和歌山・向陽)だ。今季調子を上げており、チームメイトからの期待値も高い内田と、100メートル自由形では悔しい4位に終わった船越が、表彰台を目指し挑む。スタートからほぼ横一線の戦いとなり、ゴールタッチはほぼ同時。電光掲示板を確認すると、船越は5位、内田は8位。「チャレンジャーの気持ちで」挑んだ内田は悔しい表情も見せたが、決勝の舞台で輝いた。レース後には練習を共にしてきた2人で熱い抱擁を交わした。

レース後の内田
100メートルバタフライ決勝には、新開誠也(スポ3=鹿児島情報)と山口遼大(スポ3=東京・暁星)の同級生コンビが登場。この日50メートル自由形で予選落ちに終わった山口は、この種目で表彰台を狙いたい。2人は前半から積極的に入り、前半50メートルを山口が1位通過。しかし後半、後続の追い上げを許し5位となった。新開は自己ベストを更新した200メートルと同じ6位。メダルを持ち帰ることはできなかった。

決勝のレースを泳ぐ山口
100メートル平泳ぎに続き、二冠を狙う加藤心冨(スポ2=埼玉・春日部共栄)が200メートル平泳ぎ決勝に挑む。この種目を制すれば、目標の2冠2連覇達成となる。浮き上がりから1位につけ、前半100メートルを1位で通過し実力を見せつける。しかし150メートルにかけて、加藤を追う小畠優々美(神奈川大)がその差を縮め、150メートルをほぼ同時にターンする。逃げる加藤だが、最後小畠の追い上げを許しわずかな差で2位に。2分24秒94というタイムで、目標の2分23秒台には届かなかった。

銀メダルを獲得した加藤
今大会最終種目の4×200メートルフリーリレー。連日のレースで満身創痍のなか、各校が死力を尽くして臨むラストレース。4×100メートルフリーリレーで優勝した早大女子チームが二冠を目指す。1番手の松﨑りん(人3=東京・日大二)が前半100メートルを3位で折り返すと、後半怒涛の追い上げを見せる。150メートルを過ぎると一気に前を行く他大の選手を抜き去り、自己ベストとなる1分59秒52をマークし、1位で青木虹光(スポ2=群馬・明和県央)につなぐ。長距離を専門とする青木だが、前半から速いペースで入り後続をさらに突き放し、大会記録を約2秒上回るペースで泳ぎ続ける。2位と体2個分ほどの差をつくって青木も1分59秒台でタッチすると、ラストイヤーの船越彩椰(スポ4=東京・淑徳巣鴨)が飛び込んでいく。短距離を得意とする船越が前半積極的に入り、後半も粘りの泳ぎで大会記録を更新するペースを守る。圧倒的な1位のまま、個人で200メートル自由形を制した竹澤瑠珂(スポ1=東京・武蔵野)へ。女子自由形のルーキーが後続との差をさらに広げ、あとは大会記録との戦いに。最後まで強いキックを打ち続け、圧倒的な1位でフィニッシュ。8分00秒21の大会新記録を樹立した。2位とは約4秒の差をつけての、20年ぶりとなる優勝に選手たちは肩を組んで喜び、ラストレースを終えた船越は「今までで一番、女子チームが強い年になった」と笑顔で振り返った。

表彰台に立つ早大女子チーム(写真左から松﨑、青木、船越、竹澤)
4日間にわたったインカレが閉幕。女子チームは加藤、竹澤の優勝とリレー二冠を果たし総合2位に輝いた。来年こそは初の総合優勝を果たしたい。男子チームは総合7位。5位という目標には届かなかったが、4年生が爆発力を見せチームを勢いづけてくれた。4年生が引退し、次期主将の新開、内田を中心に新体制を迎えることとなる。これまで築き上げたチーム力を生かし、来年はさらに強くなった早稲田を見られるか期待だ。
(記事 神田夏希、写真 大村谷芳)
結果
予選
女子50メートル自由形
船越彩椰 25秒69【4位】決勝進出、自己ベスト
内田さくら 25秒93【6位】決勝進出
二宮歌梨 26秒15【11位】B決勝進出
男子50メートル自由形
山口遼大 23秒14【18位】
松井理宇 23秒42【37位】
高橋俊太朗 24秒01【67位】
女子100メートルバタフライ
高橋実花 1分02秒84【位】
男子100メートルバタフライ
新開誠也 53秒00【3位】決勝進出
山口遼大 53秒34【8位】決勝進出
入江崇也 54秒40【29位】
女子100メートル平泳ぎ
加藤心冨 2分24秒94【2位】
男子100メートル平泳ぎ
松田藍青 2分17秒45【8位】
女子4×200メートルフリーリレー
早大(柴田、松﨑、青木、竹澤) 8分13秒78【2位】決勝進出
男子4×200メートルフリーリレー
早大(増田、原、林、新開) 3分41秒18【7位】決勝進出
B決勝
女子50メートル自由形
二宮歌梨 25秒81【2位】自己ベスト
男子200メートル平泳ぎ
松田藍青 55秒88【7位】
決勝
女子50メートル自由形
船越彩椰 25秒70【5位】
内田さくら 25秒86【8位】
男子100メートルバタフライ
山口遼大 52秒89【5位】
新開誠也 52秒91【6位】
女子200メートル平泳ぎ
加藤心冨 2分24秒94【2位】
女子4×200メートルフリーリレー
早大(松﨑、青木、船越、竹澤) 8分00秒21【1位】大会新記録
松﨑りん 1分59秒52 自己ベスト
男子4×200メートルフリーリレー
早大(原、林、新開、増田) 7分21秒67【7位】
コメント
内田さくら(スポ3=和歌山・向陽)
――レースを振り返って
個人で全国大会の決勝に行くのが今日初めてだったので、チャレンジャーの気持ちで頑張ろうと思ったんですけど、最後あまりうまく泳げなかった印象です。
――最近調子を上げていますが、今日の調子はいかがでしたか
4日間の疲れもたまってると思うんですけど、感覚は悪くなかったので、ベストは狙えるかなとは思ってました。
――主将になりますが、意気込みをお願いします
今日ももちろん総合優勝を狙ってるんですけど、来年以降もまず4年生が抜けた穴を埋められるくらいにみんなで頑張って、来年のインカレも総合優勝を狙えるようなチームでやっていけたらと思います。
加藤心冨(スポ2=埼玉・春日部共栄)
――レースを振り返って
100とリレーでいい感じの泳ぎができたので、200も優勝を狙えるという気持ちはあったんですけど疲れもあったり。あとは小畠さんや他の選手が調子良さそうに予選を泳いでたので、それがちょっとプレッシャーになってしまって、スタート台に立つまでに余裕を持てなかったかなと思います。
――2分24秒台は悪くないと思いますが、泳ぎはどうでしたか
目標は23秒台だったんですけど、ラスト50メートルで競ってるのが自分でもわかってて。それまでの泳ぎはあまり速くないだろうと自分では思ってたので、後から24秒9だったと聞いてタイムは思ったよりはよかったのかなと思います。
――世界選手権からまもない大会でしたが
世界選手権は調子が良かったにも関わらずレースで失敗してしまったので、調子が良くても油断しないで、アップの泳ぎ通りで行くという気持ちをつくるのは、本大会ではできたかなと思います。技術面でも最初のストロークを素早くして軽く動くことを意識しました。
――これからまた大会は続くと思いますが
世界選手権が終わってからインカレまでに大会に出ることがなかったので、世界水泳で予選突破できなくて1レースしか泳いでないなかでインカレに来て、レースを重ねるごとに疲れが出てきてしまったのでそこは変えていきたいと思うところです。日本代表というプライドや余裕を持ってレースに臨めれば、プレッシャーも感じずに泳げるのかなと思います。
――世界選手権に出て、2年生として臨むインカレはどうでしたか
世界水泳に選ばれているというのもあったんですがタイムがあまり良くなかったので、みんなからしたらまだ脅威ではないのかなと思うので、みんなが勝てないなって思うくらい、それくらいのタイムを出せたらなと思います。
――チームとして戦うインカレはどうですか
大学1年生の時より先輩や同期に対する思いが強くなってて。チームとして総合優勝を去年より狙えるというチームだったので、メドレーリレーだったり個人で私が二冠することでチームに貢献したかったんですけど、その気持ちがちょっと足りなかったのかなと思います。
――悔しい思いをどこにぶつけたいですか
まずは国体があるので、青木(玲緒樹、ミズノ)さんと鈴木(聡美、ミキハウス)さんにどれだけ挑めるかというところで、(100メートル平泳ぎで)1分05秒台を目指して頑張りたいです。
リレー後
――レースを振り返って
1泳・松﨑りん(人3=東京・日大二)
自分が一番で引き継ごうと思っていたので、本当に一番で来れて本当にうれしいです。
2泳・青木虹光(スポ2=群馬・明和県央)
最終日でみんな体もきついと思うんですけど、絶対に優勝したいという気持ちを込めて早稲田の水着も着てきたので、一番で引き継げて優勝できてうれしいです。
3泳・船越彩椰(スポ4=東京・淑徳巣鴨)
いろんな思いがあってすごい緊張したんですけど、絶対に8継は最後優勝で締めくくろうと思って全員で頑張りました。今までで一番女子チームが強い年になったんじゃないかなと思います。
4泳・竹澤瑠珂(スポ1=東京・武蔵野)
昨日チームのみんなに迷惑をかけてしまって悔しい思いがあったので、ここは3人の先輩たちがすごい大差をつけて泳いできてくれたので、負けるわけにはいかないと思って一生懸命泳ぎました。
昨日チームのみんなに迷惑をかけてしまって悔しい思いがあったので、ここは3人の先輩たちがすごい大差をつけて泳いできてくれたので、負けるわけにはいかないと思って一生懸命泳ぎました。