第97回早慶対抗水上競技大会 6月29日 東京アクアティクスセンター
水上競技の早慶戦が今年も開幕。競泳は午前と午後の部に分かれ、その間に慶大水泳部葉山部門による日本泳法、早大水泳部AS部門によるアーティスティックスイミングのエキシビション、飛込競技、水球が実施された。ASでは計8名が演技を披露。CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか」に合わせた、元気で息の合った演技で観客の心をつかむと、次の曲では和田彩未(スポ4=長野・上田西)が優雅なソロ演技を披露。その後は雰囲気が打って変わり、アクロバットも含めた力強い動きで会場を盛り上げた。飛込競技では藤田優(商3=新潟)が唯一出場し会場を魅了した。1回目は前向きに2回転半回る「105B」を、水音をほぼ立てずにこなし、高得点を獲得。5回目の、前に踏みきり2回転半しながら1回ひねる技「5152B」で63.00点を叩き出し、演技終了後に笑顔を見せた。6回の演技を終え最終スコアは347.60点となった。

飛び込みに唯一出場した藤田
最初の種目、4×100メートルメドレーリレーでは早大男子が3分37秒98の大会新記録を樹立。200メートル自由形では、ワールドユニバーシティゲームズ(ユニバ)に代表入りしたエース・原空輝(スポ4=東福岡)が抜け出す。1分49秒12の大会新記録を叩き出した。

大会新記録を樹立した原
女子の自由形長距離勢は、1年の竹澤瑠珂(スポ1=東京・武蔵野)を新たに迎え、さらに強さを増した。松﨑りん(スポ3=東京・日大二)、青木虹光(スポ2=群馬・明和県央)、竹澤の3枚岩で挑む400メートル自由形では、竹澤が最初の50メートルから首位をキープし、松﨑、青木がその後ろを並走する形でレースが展開。止まらないキック、落ちないテンポで安定してタイムを刻む。「思い通りのレースができた」と振り返った竹澤が1位を獲得。追い上げた松﨑が2位、青木が3位となり、3人全員が大会記録を更新した。松﨑と青木は200メートル自由形で自己ベストを更新しており、仕上がりを見せた。

1年生ながらチームを引っ張る活躍を見せた竹澤
松田藍青男子主将(スポ4=愛知)は慶大3人に対し早大から唯一、200メートル平泳ぎに出場。アウェーのなか序盤から一人抜け、後続を徐々に突き放し1位でフィニッシュ。最初の4×100メートルメドレーリレーで引き継ぎベストを更新し、「最初から良い流れで取り組めていた」という松田男子主将。電光掲示板を振り返り、2分12秒22と自己ベストを更新するタイムを見ると笑顔をこぼした。50メートル自由形では二宮歌梨(教3=東京・早実)が高身長を活かした大きな泳ぎで、25秒90の自己ベストをマークし、日本選手権の標準記録を突破。100メートル自由形でも大学ベストを更新し、好調を見せた。

自己ベストを更新した松田男子主将

スタートで飛び出す二宮
最終競技の4×200メートルフリーリレー、早大女子Aチームは船越彩椰(スポ4=東京・淑徳巣鴨)、松﨑、青木、竹澤の4人で挑む。スプリントを得意とする船越が力強い泳ぎで引き継ぎ、2泳の竹澤が最後まで速いテンポを保つ。竹澤と、続く青木が引き継ぎで2分01秒台をマークして松﨑につなぎ、大会記録を3秒塗り替え新記録を樹立した。早大男子Aチームは1年の木村佳華(スポ1=大阪・桃山学院)が1泳でスタートするも、慶大の伊勢空翔が迫り逆転を許す。しかし2泳の原が追い上げ、100メートルを過ぎてから慶大を抜きさらに差を広げて3泳の新開誠也へ。その差をキープして4泳の飯田光達(スポ3=東京・八王子)につなぎ、応援も駆けつけ盛り上がりを見せる中1位でフィニッシュした。

リレーの応援に駆けつけた選手たち
7月にユニバを控えるなか、早大、慶大にかかわらずユニバの代表選手も多く出場し、ハイレベルなレースが展開された今大会。ユニバには自由形種目に原、青木、竹澤が出場予定だ。さらに同月の世界選手権には加藤心冨(スポ2=埼玉・春日部共栄)が出場する。代表合宿も通してトップ選手たちと練習を積んでいる彼らが、世界の舞台で輝く姿に期待したい。チームとしては9月のインカレに向けて男子総合5位、女子総合優勝を目標に突き進んでいく。

表彰式後の選手たち
(記事 神田夏希、写真 植村皓大、土橋俊介)
結果
競泳男子
〇早大55点―慶大21点●
競泳女子
〇早大43点―慶大2点●
飛び込み
早大3点
競泳
女子4×100メートルメドレーリレー
早大(亀井、加藤、水野、船越)4分06秒74
亀井 1分03秒05【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN突破
女子200メートル個人メドレー
木崎京香 2分23秒76【1位】
高橋実花 2分23秒78【2位】自己ベスト
女子200メートル背泳ぎ
亀井涼子 2分17秒89【OP】日本学生選手権突破
水野柚希 2分13秒61【OP】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
男子200メートル背泳ぎ
村上汰晟 2分00秒26【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
飯田光達 2分01秒10【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
添田重樹 2分07秒18【3位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
男子200メートルバタフライ
新開誠也 1分57秒87【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
入江崇也 2分00秒37【2位】日本学生選手権突破
女子200メートル自由形
松﨑りん 2分01秒02【OP】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破、自己ベスト
青木虹光 2分01秒64【OP】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破、自己ベスト
竹澤瑠珂 2分00秒07【OP】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
男子200メートル自由形
原空輝 1分49秒12【1位】大会新記録、日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
林大輝 1分50秒97【2位】日本学生選手権突破
増田莉蔵 1分51秒70【OP】日本学生選手権突破
木村佳華 1分53秒26【4位】
女子200メートル平泳ぎ
加藤心冨 2分27秒57【OP】
男子200メートル平泳ぎ
松田藍青 2分12秒22【1位】自己ベスト
女子100メートル自由形
船越彩椰 55秒99【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
二宮歌梨 56秒25【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
柴田菜摘 57秒04【3位】日本学生選手権突破
内田さくら 57秒04【OP】日本学生選手権突破
松村千桜 59秒60【OP】
坂下花菜 1分00秒22【OP】
男子100メートル自由形
原空輝 49秒64【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
松井理宇 49秒59【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
髙橋俊太朗 51秒75【6位】
増田莉蔵 51秒05【OP】
村上稜芽 51秒08【OP】
女子400メートル自由形
松﨑りん 4分13秒32【2位】大会新記録、日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
青木虹光 4分14秒48【3位】大会新記録、日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
竹澤瑠珂 4分11秒03【1位】大会新記録、日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
男子400メートル自由形
林大輝 4分03秒96【1位】
木村佳華 4分05秒37【2位】
女子100メートル平泳ぎ
加藤心冨 1分07秒87【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
熊谷奈津季 1分15秒81【2位】
男子100メートル平泳ぎ
松田藍青 1分01秒14【1位】
髙井直人 1分02秒46【3位】
女子100メートルバタフライ
高橋実花 1分02秒95【1位】
男子100メートルバタフライ
山口遼大 53秒32【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
新開誠也 53秒35【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
入江崇也 53秒87【3位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
女子100メートル背泳ぎ
亀井涼子 1分02秒64【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN突破
柴田菜摘 1分03秒83【3位】日本学生選手権突破
水野柚希 1分02秒46【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
男子100メートル背泳ぎ
村上汰晟 55秒18【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
松下湊 56秒36【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN突破、自己ベスト
添田重樹 57秒77【3位】
飯田光達 56秒77【OP】日本学生選手権突破、自己ベスト
女子400メートル個人メドレー
木崎京香 5分13秒88【OP】
女子50メートル自由形
船越彩椰 25秒85【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破
二宮歌梨 25秒90【2位】日本学生選手権、JAPANOPEN、日本選手権突破、自己ベスト
内田さくら 26秒10【3位】日本学生選手権、JAPANOPEN突破、自己ベスト
松村千桜 26秒89【OP】
坂下花菜 27秒17【OP】
男子50メートル自由形
山口遼大 23秒33【3位】日本学生選手権突破
松井理宇 22秒90【1位】日本学生選手権、JAPANOPEN突破
髙橋俊太朗 23秒49【5位】
松下湊 24秒28【OP】
髙井直人 24秒08【OP】
女子4×200メートルフリーリレー
早大A(船越、竹澤、青木、松﨑)8分08秒49【1位】大会新記録
早大B(二宮、水野、柴田、内田)8分25秒04【OP】
男子4×200メートルフリーリレー
早大A(木村、原、新開、飯田)7分28秒76【1位】
早大B(林、松井、添田、村上稜)7分38秒54【OP】
早大C(増田、村上汰、松田、髙橋)7分39秒67【OP】
コメント
松田藍青男子主将(スポ4=愛知)
――最後の早慶戦でした。振り返って
全体の総括としては、宿敵の慶大に全部門優勝という輝かしい結果を収めることができて満足しています。競泳では私を含めベストを更新する選手や調子の良いタイムで泳ぐ選手が多数おり、夏に向けてのいい鍛錬が積めていると肌で感じています。また、応援部の方々や保護者の方々などの応援して頂いている人達からのエールを力に変え、高いパフォーマンスを発揮できていたと感じます。
――自己ベスト更新も見られましたが、ご自身のレースを振り返って
練習で取り組んできた事、慶大への勝利への執念、朝のメドレーリレーで引き継ぎベストを更新することができ、最初から良い流れで取り組めたことが200Brで大きく自己ベストを更新できた要因ではないかと考えています。ただ、得意種目である100m平泳ぎでは惜しくもベストに届かなかった為、とても悔しい思いをしました。この悔しさは引退レースであるインカレで晴らしたいと考えています。
――インカレの意気込み
練習してきたことが4年目にして目に見える形で表れてきたと感じています。一選手として目標であるインカレ優勝、主将として目標である男子総合5位を目指して満足することなく飛躍を続けたいです。
亀井涼子女子主将(スポ4=東京・淑徳巣鴨)
――早慶戦を振り返って
まずは、今年も伝統ある早慶戦を開催することができたことがありがたいですし、男女共に優勝できたことを嬉しく思います。今回はレギュラー選考がかかっていたり、ユニバに出場する選手も参加していたりと普段の早慶戦とは雰囲気が異なる部分もありましたが、選手・マネジャーともに全力を尽くしてくれたと思います。最後まで気持ちを切らさなかったことは今後の関カレ(関東学生選手権)、インカレにも繋がっていくと思います。
――チームとして自己ベストや大会記録の更新も見られました。チーム全体として良い流れができている印象がありましたが、いかがですか
今年は例年に比べてベスト率も高く、チームとして良い流れを作ることができたと思います。長らく自己ベストを出せていなかった選手や、専門種目でベストを更新できた選手はやはりチームに勢いをもたらしますし、今回ベストが出なかった選手も「私ももっと頑張らななきゃ」という思いを引き起こすことが出来ると思うので、それだけでも今回の大会は収穫があったと思います。ただ、まだ私たちの目標(インカレ総合優勝)を達成するには足りない部分もあるので、残りの期間でそれをいかに詰めていくかがポイントになると思います。
――1年生の活躍はいかがでしたか
女子選手としては今年は2人入部してくれて、今回もとても頑張ってくれたと思います。竹澤は個人種目でも優勝、リレー優勝にも貢献してくれて今後ももっとチームにとって重要な選手になっていくと思います。坂下(坂下花菜、スポ1=大分・佐伯鶴城)は今回ベストは出なかったものの、調子を取り戻してきていて本人からも前向きな言葉を聞くことができたので、もっと成長するだろうなと感じられたことが嬉しかったです。
――インカレへの意気込み
今年競泳部門女子はインカレ総合優勝を目指しています。他大学に比べて人数も圧倒的に少なく、高い目標であることは承知ですが、達成できない目標ではないと考えています。これからあと約2ヶ月、さらにチームとしての力を高めながら、この高い目標にチャレンジしたいと考えています。
竹澤瑠珂(スポ1=東京・武蔵野)
――初めての早慶戦はいかがでしたか
競泳だけでなく普段観戦ることの無い水球や飛び込み、ASといった他の競技も見れてとても楽しい試合でした。また、たくさんの方々から応援していただいていつも以上に気合いの入り集中してレースに挑めたと思います。
――400メートル自由形では大会新記録を樹立されました。この結果についてはどう感じていますか
午前中の200mで自分が思っていた以上のタイムが出たので、午後の400mでも前半から積極的にいくレースをしようと思いレースに臨んだので、思いどおりのレースができ大会新記録を出せたことは嬉しく思います。
――400メートル自由形、フリーリレーはどんなことを意識して泳ぎましたか
間が短くリレーは3本目のレースで疲れが溜まっていたけれど、その短い時間を上手く使って400mよりもスピードが上がるようにしたり、足を最後まで動かし続けられるようにしたりして前後半のタイム差が無くなるようにすることを意識しました。
――7月にはユニバを控えていますが、意気込みをお願いします
今回のレースを踏まえて良かった点や改善点を見つけることができたので、残りの1ヶ月で強化をし、自己ベスト更新とメダル獲得できるよう頑張りたいです。
今回のレースを踏まえて良かった点や改善点を見つけることができたので、残りの1ヶ月で強化をし、自己ベスト更新とメダル獲得できるよう頑張りたいです。
早大男子Aチームは1年の木村佳華(スポ1=)が1泳でスタートするも、慶大の伊勢空翔が迫り逆転を許す。しかし2泳の原が追い上げ、100メートルを過ぎてから慶大を抜きさらに差を広げて3泳の新開誠也へ。その差をキープして4泳の飯田光達(スポ3=東京・八王子)につなぎ、応援も駆けつけ盛り上がりを見せる中1位でフィニッシュした。