インカレ三日目 松本が自己新記録で3連覇達成! 亀井も自己ベストで3位

競泳

 大会三日目、後半に入った日本学生選手権(インカレ)。この日は女子チームが大いに活躍した。リレーも含め21選手が出場し、個人では四人がA決勝に進んだ。とりわけ200メートル個人メドレーの松本信歩(スポ3=東京・東学大付)は自己ベストを出しての3連覇、亀井涼子も100メートル背泳ぎで自己ベスト更新の上、3位を獲得している。

★松本が圧巻の泳ぎで3連覇達成!

平泳ぎで後ろの選手を離していく松本

 後半戦に入った今年度のインカレ。決勝出場や大量得点獲得の期待からかかる選手が次々に登場する。その一人、昨年、一昨年で200メートル個人メドレーを制している松本が、同種目3連覇に挑んだ。予選はいつも、決勝に余力を残すため流して泳ぐことが多い。スタートからの浮き上がりも良く、得意のバタフライで前に出ると、背泳ぎと平泳ぎはゆったりとした大きな泳ぎで上位をキープしたまま進んでいく。最後の自由形は数人の選手が横並びとなるが、一歩抜け出して組1着で予選を終えた。この結果により、全体では3位で決勝進出を決めている。

  そして迎えた決勝。しかし「どちらかというと自己ベストの方を意識して準備」してきたと、3連覇に対して気負いすぎることなく臨んでいた。王者にふさわしい松本の圧巻の泳ぎは、浮き上がり直後から始まる。スタートから浮き上がりまでで頭一つ抜け出すと、最初のバタフライでは一かき一蹴りするたびに、見てわかるほど後続の選手と差が開いていく。背泳ぎでもじわじわと差を広げ、100メートル折り返しの時点で既に体一つ分のリードを取っていた。さらに、続く平泳ぎでも伸びのある泳ぎで、3連覇をほとんど確実なものにしていく。タイムが決まる最後の自由形。いいタイムとは言えなかったが、力を尽くして泳ぎフィニッシュ。松本のタイムは2分10秒95で初めて10秒台に突入した。目標としていた自己ベストと3連覇を成し遂げ、表彰台の真ん中に立つ松本の顔には充実の表情が浮かんでいた。

松本が表彰台で客席に手を振る

★亀井は自己ベストで3位

亀井はスタートから攻めていった

 女子100メートル背泳ぎには、亀井が後輩の柴田菜摘(商1=東京・早実)とともに出場した。亀井は浮き上がりからすっと前に出ると、前半の50メートルは腕の回転数も多く、積極的なレースを展開する。折り返してバサロキックでさらに差をつけるが、残り25メートルほどで隣の選手に並ばれてしまう。そこからは並んで最後まで泳ぎ、同着で1位。全体では2位タイに入って、決勝に駒を進めた。柴田は予選11位でB決勝に回っていく。

 勝負の決勝。エントリーランキングでは亀井は2位だ。チームが目標とする総合4位のためにも、最低でも表彰台は欲しいところ。決勝はハイレベルな先頭争いが繰り広げられる、劇的なレースとなった。亀井も浮き上がりからその先頭争いにしっかりと食い込んでいく。前半25メートル過ぎまでトップを泳ぎ、50メートルの折り返しは2位。ターン後のバサロキックで再び先頭に躍り出ると、75メートル付近までは1位をキープしていた。しかし後半の疲れが出てくるところで一人にかわされ、残り15メートルからは2位争いに加わる。最後まで分からない展開であったが、亀井は2位と0秒09という差で3位でのゴール。自己ベストを更新する大健闘のレースを見せたが、電光掲示板を確認した後、チームメイトに向けて苦笑いで小さく手を合わせる姿があった。

表彰式で笑顔を見せる亀井

★メドレーリレーは男子4位、女子5位入賞

決勝後、喜ぶ女子チーム

 現在平泳ぎを専門とする選手がいない、早大女子チーム。難しい戦いとなることが予想されており、チームとしての目標も決勝進出と設定していた。背泳ぎには亀井、平泳ぎには松本、バタフライには船越彩椰(スポ2=東京・淑徳巣鴨)、自由形には二宮歌梨(教1=東京・早実)というチームで予選を戦った。予選4組目に登場した早大は、亀井が積極的に仕掛けて2位でつなぐ。しかし、やはり専門種目の選手たちと勝負することは厳しく、松本と船越で二つ順位を落としてしまう。最後二宮が一つ順位を上げ、組では3着、全体では7位で目標の決勝進出を決めた。目標を達成し、あとは少しでも順位を上げていきたい早大。自由形に柴田を投入し、さらにタイム向上を狙った。亀井は決勝でもしっかりと前半から攻め3位で帰ってきた。続く平泳ぎの松本は一時順位を落としたものの、後半に上げて3位をキープした状態で戻ってくる。船越は順位こそ落としたものの、3位争いに食い込んで横一線の状態で、柴田に託した。柴田も必死の泳ぎで3位争いに参加したが、僅かに遅れて5位入賞。それでも予選からタイム順位ともに大きく向上させ、選手たちの顔には笑顔が浮かんでいた。

 男子は予選を順当に勝ち進む。背泳ぎでは米山毅(スポ4=東京・早実)が「(決勝を泳ぐ村上)汰晟(スポ2=兵庫・明石南)にいいかたちでつなげられた」と役割を果たして3位で平泳ぎの松田藍青(スポ2=愛知)へ。松田が2位に順位を上げ、続くバタフライの山本拓武主務(スポ3=千葉・成田)が1位との差を詰めて、アンカーの原空輝(スポ2=東福岡)に。原がしっかりと前をかわして1着。全体3位で決勝に進んだ。決勝では背泳ぎに村上汰、自由形に田中大寛(スポ4=大分・別府翔青)という布陣で臨む。村上汰が前半から攻めて3位で松田につなぐ。松田は一度5位になるが後半にしっかりと盛り返して、山本に3位で渡す。しかしここで本多灯(日大)の影が迫ってきた。50メートル折り返しの前で抜かれてしまい、4位に。田中が必死に追い上げたが、上位チームに追いつくことはできず、4位で決勝を終えた。

レース後互いを労う男子チーム

(記事 新井沙奈、写真 荒井結月)

結果

◇決勝

女子100メートル背泳ぎ

亀井涼子 1分01秒28 【3位】自己ベスト

女子200個人メドレー

松本信歩 2分10秒95 【1位】自己ベスト

男子200メートル個人メドレー

田丸敬也 2分01秒46 【7位】

女子400メートル自由形

松﨑りん 4分15秒48 【5位】

女子4×100メートルメドレーリレー

早大(亀井、松本、船越、柴田) 4分07秒06 【5位】

男子4×100メートルメドレーリレー

早大(村上汰、松田、山本、田中) 3分36秒97 【4位】
村上汰晟 55秒16 自己ベスト

◇B決勝

女子100メートル背泳ぎ

柴田菜摘 1分03秒56 【5位】

男子100メートル背泳ぎ

村上汰晟 55秒56 【2位】
米山毅 55秒62 【3位】自己ベスト

男子200メートル個人メドレー

長牛太佑 2分02秒44 【4位】

女子400メートル自由形

小原天寧 4分16秒92 【1位】

男子400メートル自由形

飯田光達 3分54秒52 【1位】

◇予選

女子100メートル背泳ぎ

亀井涼子 1分02秒06 【2位】
柴田菜摘 1分03秒27 【11位】

男子100メートル背泳ぎ

村上汰晟 55秒57 【9位】
米山毅 55秒88 【13位】
村上賢之慎 56秒54 【19位】

女子200個人メドレー

松本信歩 2分15秒93 【3位】
木崎京香 2分24秒95 【40位】

男子200メートル個人メドレー

田丸敬也 2分00秒94 【6位】自己ベスト
長牛太佑 2分02秒97 【15位】

女子400メートル自由形

松﨑りん 4分16秒21 【8位】
小原天寧 4分16秒26 【10位】

男子400メートル自由形

飯田光達  3分53秒83 【9位】自己ベスト
林大輝 3分59秒96 【30位】
金星洋将 4分00秒17 【33位】

女子4×100メートルメドレーリレー

早大(亀井、松本、船越、二宮) 4分10秒48 【7位】

男子4×100メートルメドレーリレー

早大(米山、松田、山本、原) 3分38秒80 【3位】

コメント

松本信歩(スポ3=東京・東学大付)

――3連覇と自己ベストおめでとうございます。決勝のレースは振り返ってどうですか

 3連覇と自己ベストと、どちらかというと自己ベストの方を意識して準備してきてはいたので、そこは良かったかなと思います。

――前半から飛ばしていくレース展開でしたが、プラン通りでしたか

 昨日と予選の段階では本当に調子が良くなくて、コーチと12秒くらいかなと話していました。ですが75メートルくらい泳いだタイミングで、これはもう行った方がいいなと思って行きました。

――来年のパリ五輪の選考会までにどういう計画でタイムを伸ばしていこうと考えていますか

 まだこのくらいのタイムが安定して出せているわけではなくて、今年のユニバ(ユニバーシティゲームズ)でも14秒かかってしまいましたし。10秒台を安定させるとか、ちゃんと出すべきところで9秒台まで持っていきたいという感じです。あとは国際大会では予選からしっかり泳がないといけないということは感じていて、私はいつも予選では流していることが多いのでそこをちゃんと泳いだ上で、決勝でタイムを出すというのが大事になるかなと思います。

――タイムを狙いに行ったレースだったと思いますが、意識したポイントは

 正直泳ぐ前はベストが出ると思っていなかったので、全体としていいペースで帰ってくることを意識していました。

――リレーの結果はどうでしたか

 リレーは決勝に残ることを目標にやっていたので、決勝のタイムや順位には満足です。

――これまでリレーで平泳ぎを泳ぐのは少なかったと思いますが、何を考えて泳ぎましたか

 逆にペースをあまり気にせずに、泳ぐことができたかなと思います。

――事前にチームではどんなことを話していましたか

 監督が中心になって、このくらいのタイムで来たらということは話してくださいました。決勝に残ることが目標だったので、そこからタイムを上げていけたのは良かったと思います。

――最終日に向けて意気込みをお願いします

 ユニバのリベンジということで、個人種目二つ目でも自己ベストを出せるように頑張ります。

米山毅(スポ4=東京・早実)

――今日のレースの振り返りをお願いします

 100も200もずっと自己ベストが全然出ていなかったので、最後100だけでも出て良かったと思います。

――予選でのリレーはどうでしたか

 昨日の夜に言われたのでびっくりはしましたが、(村上)汰晟にいいかたちでつなげられたかなと思います。

――大会全体を振り返っていかがですか

 200が本当に良くなくてチームに迷惑をかけたので。最後、順位としてはとてもいいというわけではなかったですが、自己ベストを出してチームに勢いをつけられたのは良かったと思います。

――最終日に向けて一言お願いします。

 ずっといい流れで来ていると思うので、最終日はサポート役として貢献できるように頑張ります。