インカレ二日目 リレーで学生新記録! 個人では田中が悔しい2位

競泳

 日本学生選手権(インカレ)2日目。この日からリレー種目が始まり、声援も一際大きくなった。早大からは個人種目に12人の選手が出場。前日の競技を終えて男子は総合3位、女子は総合7位につけている。少しでも順位を上げていきたい中で、この日は個人種目で一人、リレー種目では男女ともにメダルを獲得した。男子は暫定2位、女子は暫定5位で後半戦に入っていく。

★男子200メートル自由形 田中は2冠2連覇に届かず2位 原はまたしても自己新

表彰台に立つ田中

 男子200メートル自由形には、100メートルとの2冠2連覇を狙う田中大寛(スポ4=大分・別府翔青)、前日の100メートルで3位表彰台の原空輝(スポ2=東福岡)、これが今大会最初の種目となる長牛太佑(スポ3=京都外大西)が参戦。予選では原と長牛が7組目、田中は9組目のセンターレーンに姿を現した。原と長牛はそれぞれ組5位と組3位で最初の50メートルを折り返す。長牛はそのまま着実にレースを進め、組4位でゴール。一方の原は150メートルのターンで4位につけていたところを、スパートをかけて一気に前に出てくる。日大の柳本幸之介をかわして1着に入り、前日の100メートルに続いて200メートルでも自己新記録を出した。世界選手権日本代表に選ばれた種目である、200メートル自由形でも連覇を狙う田中。50メートルを1位で入るものの、その後は日体大の早﨑遼真に先行される展開に。150メートルのターン後に、すっと前に出て組1着を確保してゴールした。予選全てのレースが終わり、田中が2位、原が3位、長牛が8位で、100メートルに続き200メートルでも、早大勢は決勝に3枚そろって挑むこととなった。

この大会絶好調の原

 勝負の決勝がやってきた。田中が5レーン、原が3レーン、長牛が8レースを泳ぐ。長牛は50メートルを4位からスタートし、150メートルのターンでは6位となるも最後は5位争いを制して、予選から順位を上げた。原は50メートルを6位でスタート。100メートルのターン後、だんだんと順位を上げていき表彰台争いに加わっていくが、僅かに届かず4位となる。「」それでも予選で出した自身のベストタイムを、さらに更新する活躍を見せた。これで原は今大会の個人種目では、予選と決勝を合わせて全てのレースで自己ベストを出したことになる。そして連覇がかかる田中は、50メートルの入りから6レーンを泳ぐ柳本に先行され、2位。懸命に追い上げてトップを目指すものの、柳本の必死の前にあと一歩前に出ることができない。残り50メートルのターン後、ラストスパートをかけて前を追ったが0秒43届かず、2位でレースを終える。2冠2連覇とはならなかったが、今大会二つ目のメダルを首にかけた。

★1年生の躍動

決勝でも自己ベストを出した松﨑

 インカレ初出場となる1年生の活躍も光った。前日に自己ベストを更新して、小原天寧(スポ3=東京・目黒日大)とともに決勝に進出した、女子800メートル自由形の松﨑りん(人1=東京・日大二)。格上の選手がそろう中で、序盤は6位からスタートしていく。レース中盤で5位に浮上してから、じわじわと4位を泳ぐ選手との差を詰めていき、残り50メートルのターンで4位に。疲労も溜まる中、ラストスパートをかけ伸びやかな泳ぎで5位の選手の猛追を振り切り、初めてのインカレ決勝の舞台で自己新記録を出した。男子200メートルバタフライでは入江崇也(スポ1=大分・佐伯鶴城)と新開誠也(スポ1=鹿児島情報)の1年生コンビが、インカレデビュー戦で決勝に進んだ。それぞれ予選6組と5組に出場し、ともに50メートルのターンで組6位。そこからターンごとに一つずつ順位を上げていき、どちらも組3位でレースを終えた。レース直後、入江に泳法違反が取られたという誤った情報が会場にアナウンスされるというアクシデントがあり、一時早大チームは騒然となったがすぐに訂正され事なきを得た。迎えた決勝では日大の本多灯が大会新記録をたたき出すなど、ハイレベルなレースとなる。入江、新開は共に前半では横一線の3位争いに食い込んでいたが、次第に遅れてしまいそれぞれ入江が7位、新開が8位で決勝レースを終えた。

★4×100メートルフリーリレーでは男子が学生新で優勝! 女子は3位

決勝レース直後の男子早大チーム

  獲得ポイントが個人種目の2倍となり順位に大きく関わってくるリレー種目、その一つ目となる4×100メートルフリーリレーが行われた。女子の予選は第一泳者から、今大会初レースの松本信歩(スポ3=東学大付)、今季自由形から背泳ぎに転向している柴田菜摘(商1=東京・早実)、この大会で競技引退となる今牧まりあ(スポ4=長野・飯田)、今大会100メートル自由形5位入賞の船越彩椰(スポ2=東京・淑徳巣鴨)というメンバーで臨む。予選最終5組に登場し、スタートからすぐに隣を泳ぐ中京大と競り合うかたちになる。松本が自己ベストを出して2位で帰ってくると、続く柴田が中京大をかわして1位で今牧へ。前半から積極的な泳ぎを見せ、後半の中京大からの追い上げからも逃げ切り、1位のまま船越にバトンタッチする。船越は中京大のアンカーに先頭を譲るも、しっかり2位でゴールし、全体3位で決勝に駒を進めた。男子予選は1年生の山口遼大(スポ1=東京・暁星)を一番手に起用し、続いて今大会100メートル自由形7位の須田悠介(スポ4=神奈川・湘南工大付)、今大会これが最初のレースとなった菅野遼(スポ4=大分・佐伯鶴城)、アンカーに100メートル自由形連覇の田中を入れてチームを組んだ。山口が組5位で須田につなぐと、一時7位まで順位を落としたが最終的に須田が2位で帰ってくる。菅野は前半から飛ばしていき、50メートルのターンで1位。その後菅野は僅かに遅れ、2位で田中にまわっていく。田中は入水からすぐに後続を離していき組1位でゴール。しかし全体では4位での決勝進出となった。

表彰台からチームメイトに手を振る女子リレーメンバー

 二日目最後のレースとなる4×100メートルフリーリレー決勝。女子は予選を泳いだ船越、柴田、松本に加え二宮歌梨(教1東京・早実)を起用。第一泳者の船越が「自分の泳ぎをして、次につなげる」という言葉通り3位で柴田につなぐ。この柴田の泳ぎで早大は3位争いで一歩前に出るかたちに。三泳に置かれた二宮もしっかりと順位をキープしたまま、アンカーの松本へ。優勝争いを繰り広げる中大と中京大を猛然と追い上げるが、差を縮めきることはできなかった。それでもリレーのエントリータイムを上回るタイムで3位。大きな得点をもたらした。続いて行われた男子決勝では、この日200メートル自由形にも出場していた原と長牛をそれぞれ二泳と四泳に起用した。一泳の須田は50メートルのターンこそ4位で折り返したものの、ターン直後から一気に前に出て1位で原につないだ。今大会絶好調の原は、少しずつ後続との差を広げていき、頭二つほど抜け出して田中へまわす。田中は会場がどよめくほど圧巻の泳ぎだった。100メートル自由形の連覇を逃した悔しさをぶつけるように、ストロークごとにどんどん加速していく。あっという間に2位と体一つほどまで差をつけ、そのままアンカー長牛へ。リレー種目に注目して欲しいと語った長牛の、安定感とスピードを兼ね備えた泳ぎで、優勝がぐんぐんと近づいてくる。そして、長牛がゴールしタイムが出た瞬間、早大メンバーの大きなガッツポーズと歓声が上がった。タイムは3分16秒53。それまでの学生記録を0秒16更新して、学生新記録を樹立した。この結果により男子は198点で2位、女子は91点で5位となり、大会前半を折り返している。

表彰式での男子リレーメンバー

(記事 新井沙奈、写真 荒井結月)

結果

◇決勝

女子800メートル自由形

松﨑りん 8分42秒41 【4位】自己ベスト
小原天寧 8分49秒16 【7位】

男子200メートル自由形

田中大寛 1分47秒89 【2位】
原空輝 1分48秒71 【4位】自己ベスト
長牛太佑 1分49秒76 【5位】

男子200メートルバタフライ

入江崇也 1分58秒89 【7位】
新開誠也 1分59秒10 【8位】

女子4×100メートルフリーリレー

早大(船越、柴田、二宮、松本) 3分43秒55 【3位】

男子4×100メートルフリーリレー

早大(須田、原、田中、長牛) 3分16秒53 【4位】学生新

◇B決勝

女子200メートル自由形

船越彩梛 2分02秒39 【1位】
二宮歌梨 2分03秒60 【5位】

男子200メートルバタフライ

山本拓武 1分59秒00 【2位】自己ベスト

男子100メートル平泳ぎ

松田藍青 1分01秒75【7位】

◇予選

女子200メートル自由形

船越彩梛 2分03秒44 【11位】
二宮歌梨 2分03秒89 【14位】
内田さくら 2分05秒54 【21位】

男子200メートル自由形

田中大寛 1分49秒05 【2位】
原空輝 1分49秒17 【3位】自己ベスト
長牛太佑 1分49秒85 【8位】

男子200メートルバタフライ

新開誠也 1分58秒14 【5位】
入江崇也 1分58秒85 【8位】
山本拓武 1分59秒28 【10位】

男子100メートル平泳ぎ

松田藍青 1分01秒31【13位】

女子4×100メートルフリーリレー

早大(松本、柴田、今牧、船越) 3分46秒95 【3位】

男子4×100メートルフリーリレー

早大(山口、須田、菅野、田中) 3分21秒02 【4位】

コメント

原空輝(スポ2=東福岡)

――個人の振り返りをお願いします

 個人の方は自己ベストでそれはすごく嬉しいんですが、順位を狙っていた部分はあるのでちょっと悔しいです。また来年リベンジしようと思います。

――個人種目では自己ベストでしか泳いでいませんが、いい調整ができていますか

 今大会はずっと調子が良くて、1,2カ月前から調子が上がってきたので、本当に今できる最大限の状態かなと思います。

――個人の結果についてはどう感じていますか

 タイムの面で言えば自己ベストを結構大幅に更新したのでいいと言えるんですが、大学対抗戦なので順位を大切にしたいので。3位と4位では全然違うので、(200メートル自由形では)3位を狙いたかったなと思います。

――リレーは学生新記録で優勝と有言実行でしたが、その点についてはどうですか

 歴代で見ても最強というぐらい強かったので、出なきゃおかしいかなと思っていました。

――先輩方とは何かお話されましたか

 1フリ(100メートル自由形)専門の人が3人、一泳、二泳、三泳で並んでいたので、後ろの太佑さんに「絶対に1位で帰ってくるから気楽に泳いで」と言っていました。その通りにできて良かったと思います。

――須田選手から1位で回ってきましたが、どんな気持ちで入っていきましたか

 1位かどうかちょっと微妙で、たぶん1位だろうと思って飛び込んだんですが、1位をキープして最後までいけたので、タッチする前にもう勝ったかなと思いました。

――個人種目は終わりましたが、この後の意気込みをお願いします

 まだまだ明日も最終日もあるので、気を抜かずに最終日まで突っ走っていけたらと思います。

船越彩椰(スポ2=東京・淑徳巣鴨)

――今日の振り返りをお願いします

 個人は予選は昨日の疲れが多少残っていてA決勝には残れなかったんですが、B決勝では修正していい泳ぎができたと思います。リレーでは一泳として自分の泳ぎをして、次につなげることを意識して泳ぎました。

――昨日の100メートル自由形は5位ということで、今大会調子はいいですか

 そうですね。悪くはないのでまた三日目四日目と、いい流れを作れるように頑張ります。

――予選では今牧女子主将と一緒に泳ぎましたが、何か話をしましたか

 決勝でも一緒にリレーを泳ぎたかったですが、「一泳頼んだよ」と最後に一言エールを送ってもらいました。

――リレー決勝は今日4レース目で、心身ともに大変だったと思いますがその点はいかがですか

 もともと今日が一番きつい日だと自分の中で思っていたので、1本1本集中して頑張りました

――個人種目は終わりましたが、この後の意気込みをお願いします

 個人種目は終わってしまったんですが、引継ぎでもいいタイムを出して早稲田に貢献できるように頑張りたいです。