シーズンの集大成となる大会、日本学生選手権(インカレ)が以前の姿を取り戻してきている。観客やチームメイトの声に押されながら、学生スイマーたちが自分たちの力を発揮していった。早大の選手たちも1日目から躍動。6種目に合計15人がエントリーし、予選通過者は8人、自己ベストを更新した選手はのべ8人に上った。
★田中が連覇達成! 原も3位表彰台
スタートから飛び出す田中
男子100メートル自由形には早大から前回優勝の田中大寛(スポ4=大分・別府翔青)、前回2位の須田悠介(スポ4=神奈川・湘南工大付)、伸び盛りの原空輝(スポ2=東福岡)の三人が出場した。予選7組目に須田が登場。前半にやや出遅れるものの、後半に巻き返して全体7位で予選を通過した。8組目に田中が出場するとスタート直後から後続をだんだんと離していき、49秒00でゴール。昨年のインカレ決勝で自身が記録した自己ベストを更新し、予選1位通過となった。最終9組目に原が出場した。原は前半から積極的なレース運びで、組1位で50メートルを折り返す。後半にわずかにラップタイムを落としたものの全体3位につけて、早大勢は決勝3枚残しを決めた。
順位を確認し喜び合う原(写真左)と田中
1日目のトリを飾る男子100メートル自由形決勝。会場のボルテージも一段上がり、選手たちがチームメイトとハイタッチをしながら入場してくる。早大勢による表彰台独占も決して夢物語ではない中で、スタートのホイッスルが鳴った。スタート後15メートル付近から徐々に田中が抜け出し始め、田中1位、原2位、須田4位で50メートルを折り返した。田中は自己ベストを出した予選のレースよりも、さらに速いタイムでターンしていく。その後も田中はスピードに乗り、先頭を譲らずゴールした。タイムは48秒84。「48秒台で優勝できたらいい」という言葉を現実のものとした。さらに原も予選より後半での減速を抑え、こちらも自己ベストで3位をつかんだ。ここで今回の結果に前回の結果を照らし合わせてみたいのだが、前回の田中の優勝タイムは今回の5位相当となる。この種目の学生スイマーのレベルの向上、そしてそれをけん引する早大勢の強さを改めて伺うことのできるレースとなった。
★自己ベスト樹立者多数で、幸先の良いスタートに
自己新で5位入賞の村上
1日目は自己ベストの更新も相次いだ。口火を切ったのは女子200メートル背泳ぎの亀井涼子(スポ2=東京・淑徳巣鴨)だ。本命種目ではなく、だんだんと順位を落としていく難しいレース展開だったが、粘り強く泳いでベストタイムを出した。男子200メートル背泳ぎの決勝では、村上汰晟(スポ2=兵庫・明石南)がハイレベルなレースの中で、自分の泳ぎを見せた。前半型の村上がやや遅れをとってしまうほど、積極的なレース展開となった中で、後半もずるずると落ちていくことなく前の選手に食らいついていき、自己新記録で5位入賞となった。また、予選決勝レース共に自己ベストにはわずかに届かなかったが、船越彩椰(スポ2=東京・淑徳巣鴨)が安定感のある泳ぎを披露し、好タイムで5位入賞を勝ち取っている。女子800メートル自由形の小原天寧(スポ3=東京・目黒日大)と松﨑りん(人1=東京・日大二)は、予選でそろってベスト更新だ。二人とも先行する選手に大きく引き離されず、泳ぎのテンポを崩すことなくフィニッシュまで持っていった。小原と松﨑はそれぞれ7位と6位で決勝進出を決めており、決勝での期待が膨らむ泳ぎを見せた。
(記事 新井沙奈、写真 安藤香穂、加藤志穂)
結果
◇決勝
男子200メートル背泳ぎ
村上汰晟 1分59秒13 【5位】自己ベスト
女子100メートル自由形
船越彩椰 56秒06 【5位】
男子100メートル自由形
田中大寛 48秒84 【1位】自己ベスト
原空輝 49秒20 【3位】自己ベスト
須田悠介 49秒84 【6位】
◇B決勝
女子200メートル背泳ぎ
亀井涼子 2分17秒11 【3位】
男子200メートル背泳ぎ
飯田光達 2分00秒05 【1位】
米山毅 2分00秒57 【2位】
◇予選
女子200メートル背泳ぎ
亀井涼子 2分15秒99 【9位】自己ベスト
柴田菜摘 2分19秒90 【22位】
木崎京香 2分21秒16 【24位】
男子200メートル背泳ぎ
村上汰晟 1分59秒54 【5位】
米山毅 2分00秒26 【10位】
飯田光達 2分00秒77 【12位】
女子100メートル自由形
船越彩椰 56秒06 【5位】
二宮歌梨 56秒96 【17位】
今牧まりあ 57秒44 【23位】
男子100メートル自由形
田中大寛 49秒00 【1位】自己ベスト
原空輝 49秒48 【3位】自己ベスト
須田悠介 49秒79 【7位】
女子800メートル自由形
松﨑りん 8分43秒48 【6位】自己ベスト
小原天寧 8分44秒84 【7位】自己ベスト
男子1500メートル自由形
金星洋将 15分38秒08 【15位】
コメント
田中大寛(スポ4=大分・別府翔青)
――優勝おめでとうございます。今の気持ちは
ありがとうございます。予選からベストで、決勝も48秒台で優勝できたらいいなと思っていたので、本当に100点のレースだったと思います。
――予選、決勝と立て続けにベストが出た要因はどこだと分析していますか
ターンアウトのドルフィンがずっと課題で、克服に向けて練習してきました。特に今日の予選決勝はそのターンアウトの動作が正確に速くできたと思うので、そこが一気にタイムが出た要因かなと思います。
――仲間の声援が力になったのではと思いますがいかがですか
そうですね。レース前のハイタッチの時からみんなの表情を見て、いい雰囲気をチームのみんなが出してくれていたので、本当にそのパワーおかげでもあると思います。
――今日のレースの手応えはどんなところに感じていますか
気持ちに関しては練習がずっとうまくいっていたので自信はありましたし、技術の面でもターン後の技術はずっと意識して練習してきたので、それがしっかり結果として表れたのかなと思います。
――世界選手権の後ということではなく、ずっと意識していたということですか
そうですね。ターンアウトの技術は200メートルになるとまだ潜れなかったりするんですが、100メートルではこういうふうにターン後でも選手を引き離せるというところまでいけたので、その課題をずっと意識してやってきたのは良かったかなと思います。
――今日は2回の自己ベストでしたが、タイム的にはどこまで見えてきていますか
100は48秒前半までは、すぐにとは言わないですがまだまだ出るのかなと思っていますし、100のスピードが上がったことは必ず200の実力アップにつながっていると思うので、この100のレースの48秒というのは本当に大きいと思います。
――200のための100という捉え方ですか
100メートルの実力が上がれば200も自然と上がってくると考えているので、100の延長線上に200があるという考え方をしています。
――決勝3枚でということは意識していたと思いますが、実際に3枚で決勝を泳いでみてどうでしたか
去年3枚残りをして、今年もインカレ前からずっと「3枚残りしたら熱いね」という話はしていたので。三人で表彰台という理想的な結果にはならなかったですが、予選でみんながしっかりタイムを泳いで3枚残りできたというのは、チームとしてもいい流れを持っていけるのかなと思います。
――原選手と一緒に表彰台に立ちましたが、その部分についてはいかがですか
ずっと一緒に上りたいねという話をしていて、空輝もずっと僕を目標としてくれていたので、そんな後輩と一緒にこういった大舞台で表彰台に立てたのは本当に嬉しいです。
――チームとしてもベストや決勝進出者が相次ぎましたが、いいスタートを切れたのではないでしょうか
1日目にしてはできすぎなくらいの流れを持ってこれていると感じているので、引き続き明日も、僕だけではなく他の人も流れに乗って最終日までそれを貫いていけたらなと思います。
――残り三日間ありますが、意気込みをお願いします
個人は2冠、2連覇を目標にしているのでまず一つ取って、明日の200フリーと、あとは明日から4継(4×100メートル)、メドレー、8継(4×200メートル)とあるので、個人だけでなくリレーでもチームにいい流れを持っていけたらなと思います。