日本選手権(25メートル)は2日目。この日は船越彩梛(スポ1=淑徳巣鴨)が前日に続いて100メートル自由形で決勝に進出。さらに斎藤千紘(商4=東京・早実)が学生新記録を樹立、銅メダルを獲得した。今後は世界水泳の代表選考にも関わる日本選手権、そして日本学生選手権に向けて、さらなる成長を見せてくれるだろう。
★船越が今大会3種目目の決勝に臨む
力強く泳ぐ船越
前日に2種目で決勝に進出した船越。この日は100メートル自由形と200メートル個人メドレーに出場した。特に100メートル自由形では2年連続で決勝に進出。しかも前回の予選順位を上回ることができた。
決勝では前半から積極的に入って、後半粘るレースプランで臨んだ。しかし、その前半で自己ベストから少し遅れたタイムとなる。それでも4位で折り返すが、前半の遅れを後半で取り戻すことができずに7位でフィニッシュ。それでも日本トップレベルの選手と戦うことができたことを嬉しく思ったようだ。
一方、200メートル個人メドレーでは疲労が響いたか予選落ち。「今まで以上の強度でレースをした状態からもう一本を泳ぎ切る、いつもと違うきつさ」を感じ、今後の強化を誓った。さらに自己ベストやメダルまで僅かなタイム届かなかったことを反省と口にした船越は、さらなる練習を積み進化をしてくれるだろう。
★斎藤、得意の50メートル平泳ぎで学生新記録樹立
素晴らしい泳ぎを見せた斎藤だが悔しさも露わに
斎藤はこの日、50メートル平泳ぎに出場(200メートル平泳ぎにもエントリーも棄権)。これは前回3位に入った種目で、しかも3月には長水路で学生新記録を樹立している。この得意種目で学生では前人未踏の29秒台、そして自己最高の2位以上を目指した斎藤は、予選を2位で通過。決勝では予選で課題となった泳ぎの曲がりを調整して臨んだ。「今できる全ての力を出せた」と言う斎藤。タイムは29秒に惜しくも届かなかったが、昨年の大会で達成できなかった学生新記録の更新を果たした。
しかし、順位は3位。3位は通算4回目という斎藤は納得はしていない。1位の青木玲緒樹(ミズノ)、2位の鈴木聡美(ミキハウス)の壁は厚く、彼女らを上回らない限り目標の世界には届かないだろう。さらなる鍛錬を積み、卒業後に福岡で開催される世界水泳日本代表を目指し、これからも戦いは続く。
表彰台に上った斎藤。目指すは世界水泳だ
(記事・写真 芦沢拓海)
結果
◇決勝
女子100メートル自由形
船越彩梛 54秒83【7位】
女子50メートル自由形
斎藤千紘 30秒04【3位】学生新記録
◇B決勝
男子100メートル自由形
須田悠介 48秒02【1位】
男子100メートル背泳ぎ
米山毅 53秒12【5位】
◇予選
男子100メートル自由形
須田悠介 48秒05【9位】
菅野遼 49秒01【17位タイ】
男子100メートル背泳ぎ
米山毅 53秒07【14位】
女子100メートル自由形
船越彩梛 54秒47【6位】
女子400メートル自由形
小原天寧 4分14秒21【18位】
女子50メートル平泳ぎ
斎藤千紘 40秒43【2位】
女子200メートル平泳ぎ
斎藤千紘 棄権
女子200メートル個人メドレー
木崎京香 2分13秒53【14位】
船越彩梛 2分13秒78【17位】
コメント
船越彩梛(スポ1=東京・淑徳巣鴨)
――100メートル自由形について、どのような泳ぎを目指していましたか
私の持ち味は、前半から積極的に入って、後半粘るというプランなのでそこを特に意識して泳ぎました。前日のレース全てでリアクションタイムが遅かったこともあり、しっかり反応できるようにすることも心がけました。私は周りの選手よりテンポが速いので最初から最後まで持続出来る泳ぎを考えて取り組みました。また、隣が速い選手だということは分かっていたので前半は先行し、後半は頑張ってついていこうと思っていました。
――実際に泳いでいかがだったでしょうか
前半のタイムが自己ベストから少し遅く、トータルもその分遅くなってしまい目標タイムにはあと少し届きませんでした。ですが、去年に引き続き100メートル自由形で決勝進出することが出来て嬉しかったです。8番通過ではなく6番通過にも成長を感じました。 日本トップレベルの選手と同じ舞台で戦えてすごく光栄です。後半、周りの選手が速く焦った部分はありましたが最後まで頑張り切れたと思います。
――200メートル個人メドレーはいかがでしたか
100メートル自由形が直前にあり、疲労が溜まっていて本来の力を出すことが出来なかったのが少し悔しかったです。自己ベストならA決勝に進めたのでチャンスだったなと思いました。 普段の東京都の大会でもタフなレースをこなしてきましたが今まで以上の強度でレースをした状態からもう一本を泳ぎ切る、いつもと違うきつさでした。もっと強くなりたいです。
――今大会、3種目で決勝に進出されましたが
去年の自分なら1つでも決勝に残れたら飛び上がるほど嬉しかったのに、それに比べ、今年は3つも残ることが出来て凄く成長を感じられました。決勝でタイムを上げられたのがそのうち2つ、良かったかなと思います。ですが自由形種目で自己ベストを出すことが出来なかったのでまたリベンジしたいです。選手権の独特な雰囲気にはだいぶ慣れたと思うのですがまだまだ実力が足りなかったです。ここぞというときにベストを出せる選手になりたいです。
――インカレ後の目標はなんでしょうか
私は、主要種目だけでなく色んな種目を満遍なく泳げる選手を目指して日々取り組んでいます。そのためジャパンオープンの標準記録の10種目以上、選手権の標準記録も出来るだけ多く切りたいと考えています。主要種目だけではない選手、それにつなげるためにこれからも泳ぎ続けていきたいです。 さらにメンタル面も強くしてより成長したいです。
――今大会を得られた収穫・反省は何でしょうか
決勝に残れたことが一番大きい収穫です。入場からとても楽しかったので経験できて本当によかったと思います。 反省点としては自己ベストまで0.03秒や、メダルまで0.11秒とその他にも惜しかったことが多々あったことです。 あと一歩、足りないということは努力も足りなかったと思うのでまた一から練習を積んで結果に結びつけたいと思います。 技術的な部分は、ターン後のドルフィンが弱く、周りの選手に抜かされてしまったので特訓したいです
斎藤千紘(商4=東京・早実)
――学生新記録おめでとうございます。率直な感想をお願いします。
ありがとうございます!3月に長水路で学生新を出していて、短水路でも記録を狙っていたので更新できてほっとしています。
――今日のレースの目標、レースプランは何だったのでしょうか
29秒台、2位以上が目標でした。 その両方を達成できず悔しい気持ちの方が大きいです。レースプランは周囲を見ずに集中し、ひとかきひとけりで間延びせず、ターン後のけのびが曲がらないように気をつけることでした。
――予選の泳ぎはいかがでしたか
予選は後半の25mで右側に大きく曲がって泳いでしまっていたので、決勝前のアップでそれを修正しました。
―― 決勝での泳ぎを振り返ってください
今できる自分の力は出せたと思います。
――順位についてはいかがでしょうか
3位を取るのはこれで4回目なのであまり納得してないです。
――前日には泳ぎが固いとおっしゃっていましたが、修正できたでしょうか
前に体重を乗せて滑らかに泳ぐことができました。
――今後の目標は何でしょうか
世界水泳福岡の日本代表に選出されることです。