4日間にわたる日本選手権も半分を終えて3日目。この日は女子200メートル個人メドレーで松本信歩(スポ2=東京学芸大付)が決勝に進出した。また松本以外は決勝進出とはならなかったものの、多くの選手が自己ベストを更新し、それぞれが満足がいく結果を残した。
★松本が見せ場を作るも表彰台を逃す
自身の専門種目である女子200メートル個人メドレーに臨んだ松本。自己ベストの更新と上位入賞も目標としていた松本にとって、あくまで予選は通過点にすぎなかった。6位で通過したが、「背泳ぎの調子が悪く、テンポが上がらなかった。」と満足はしていない。決勝に向けての課題をあぶり出した上で、決勝の瞬間を待った。
東京五輪で2冠を達成している大橋悠依(イトマン東進)など国際大会を経験している多く選手が揃った決勝。そこで松本は最初の50メートルから強者を差し置いて、いきなり前に出る。「150メートルまでで前に出られれば、残り50メートルで上位を狙える可能性があると思っていた」と、大逃げはレースプラン通りであった。実際に50メートル時点を2位と0.5秒も差をつけて通過、後半は徐々に差を詰められていくがそれでもバタフライでの貯金を活かし、レースプラン通りに150メートルを終えた時点で首位に立った上で最後のクロールに進む。しかし、やはり国際大会を経験しているトップスイマーたちは強かった。疲労からペースが落ちた松本を捉えて追い抜いていき、残りの50メートルで3人に抜かれて4位。表彰台にはあと少し届かなかった。
序盤から積極的な泳ぎを見せた松本だったが、表彰台には及ばなかった
「悔しい」と話した松本だったが、前半から飛ばしたことについては後悔がない。その上で松本は、「長所のスピードのある泳ぎを見せることができた」ことに収穫を得た。今回の悔しさ、そして後半までスタミナをどう持たせるかという課題を胸に、さらなる成長を遂げてくるに違いない。
★田中、白石ら4人が自己ベストを更新!
この日に決勝進出を果たしたのは松本のみであったが、予選では4人が自己新記録を更新した。自由形が専門種目である田中大寛(スポ3=大分・別府翔青)だったが、この日は50メートル背泳ぎで出場。予選30位と順位は振るわなかったが、タイムは26秒98と自己新記録の泳ぎを見せた。また、女子100メートル自由形には今牧まりあ(スポ3=長野・飯田)が出場dし、自己新記録を樹立した。
男子B決勝では白石(最奥)と田丸(前から3番目)と、早大勢二人が隣のレーンで対決した。
男子400メートル自由形には米山毅(スポ3=東京・早実)が登場。「調整をあまりせず、強化段階でどれだけできるか」と結果には拘らずに臨んだが、自己ベストを更新する泳ぎを見せた。レース後に肩の痛みを発症したためB決勝は辞退し、万全な状態で200メートル背泳ぎに臨むことを決めた米山には翌日も期待できる。さらに、男子200メートル個人メドレーでは白石崇大(スポ4=広島・沼田)が自己新記録を更新する泳ぎで、田丸敬也(スポ3=大阪・太成学院)とともにB決勝に進んだ。B決勝では共に競り合い、白石が7着、田丸が5着という結果になった。
翌日が最終日となる日本選手権。最終日にWUSTの選手たちは、国内最高峰の舞台で、どのような輝きを放つのだろうか。
(記事・写真 芦沢拓海)
結果
◇決勝
女子200メートル個人メドレー
松本信歩 2分13秒23(4位)
◇B決勝
男子400メートル自由形
米山毅 棄権
男子200メートル個人メドレー
田丸敬也 2分02秒17(5位)
白石崇大 2分02秒38(7位)
女子50メートル背泳ぎ
亀井涼子 29秒10(2位)
◇予選
男子400メートル自由形
米山毅 3分56秒67(15位)自己新
田中大寛 3分58秒52(21位)
林大輝 3分59秒44(26位)
男子50メートル背泳ぎ
田中大寛 26秒98(30位)自己新
男子200メートルバタフライ
山本拓武 2分2秒61(34位)
男子200メートル個人メドレー
田丸敬也 2分1秒53(12位)
白石崇大 2分2秒06(15位)自己新
長牛太佑 2分2秒88(20位)
女子100メートル自由形
船越彩梛 56秒78(22位)
今牧まりあ 56秒80(23位)自己新
女子50メートル背泳ぎ
亀井涼子 29秒24(11位)
女子200メートル個人メドレー
松本信歩 2分15秒93(6位)
船越彩梛 2分18秒14(17位)
斎藤千紘 2分21秒25(26位)
コメント
松本信歩(スポ2=東京学芸大付)
――今回の日本選手権の目標は
自己ベスト更新と上位入賞です。
――予選での泳ぎを振り返ってください
決勝に進出することのみを目的に泳ぎました。背泳ぎの調子が悪く、テンポが上がらなかったことなど、決勝にむけて改善すべき点を見つけられたのでよかったです。
――決勝では序盤にいきなり飛ばしましたが、これはレースプラン通りだったのでしょうか
プラン通りです。150メートルまでで前に出られれば、残り50メートルで上位を狙える可能性があると思っていました。中途半端なレースはしたくなかったので、この決断はよかったと思います。
――結果は4位でしたが、これについてはどのようにお考えですか
メダルをとりたかったですし、国際大会の代表選手に最後太刀打ちできず悔しいです。
――レース後には電光掲示板に背を向けて動いていませんでしたが、その時はどのような気持ちだったのでしょうか
体のエネルギーを使い果たしてしまって何もできませんでした。後半に想定していた泳ぎが出来なかったので、どっと疲れを感じました。
――今回の結果を今後にどのように活かしたいですか
私の長所のスピードのある泳ぎを見せることができました。あとはそれを後半まで続けられるように練習するのみです。課題が分かるレースができたのは収穫です。
米山毅(スポ3=東京・早実)
――今回はどのような目標で臨んでいましたか
調整をあまりせず、あくまで強化の段階でどれだけ出るのかということを確認しようと思って臨んでいます。
――400メートル自由形の予選の泳ぎについて、どのように振り返りますか
長水路での400メートル自由形は試合でまだ数回しか出たことがない為、ペースなどが掴めなかったのですが、スピードを上げるところと抑えるところの強弱は上手くできたかなと思います。
――自己ベストを更新しましたが、これについてはどのようにお考えですか
自己ベストといってもあまり出たことがない為、タイムがどうというよりはラップタイムであったり、泳ぎ方であったりがイメージ通りであったことが良かったかなと思います。
――B決勝はどうして棄権されましたか
レース後に肩の痛みを感じてしまい、明日にメインレースが残っている為、大事をとって棄権させていただきました。
――翌日の男子200メートル背泳ぎはどのような目標で臨みたいですか
強化中ということでインカレに向けて今後の練習で何をするべきなのか課題を抽出したいと考えています。
――翌日の意気込みをお願いします。
今できる中で最大限のレースをして夏に向けて課題を見つけられるように頑張ります。