【連載】インカレ直前特集『DARE』第2回 米山毅×村上賢之慎

競泳

 第2回は背泳ぎを専門とする米山毅(スポ2=東京・早実)、村上賢之慎(スポ1=熊本西)へのインタビューだ。今回で二度目のインカレ出場となる米山は、日本選手権で200メートル背泳ぎで自己新を残すなど、大きな成長を遂げている。一方村上賢は入学後けがに苦しんだ時期もあったがその後改善し、インカレでは好成績が期待される。今回は村上賢から米山に対する憧れの気持ちなど、切磋琢磨する背泳ぎコンビニ迫った。

※この取材は9月16日に行われたものです。

「学年関係なく良い結果を残したい」(村上賢)

――お2人にお互いの紹介をしていただきます。プライベートのエピソードや練習のエピソードを交えつつ、他己紹介をお願いします

米山 練習中は真面目なので一緒に切磋琢磨できます。すごく真面目ですし、頑張る子だなと思います。

村上 プライベートはコロナであまり一緒に外に行くとかはできていないのですが、練習では熱心で、僕のことも気に掛けて一緒に練習してくれます。技術面を見て学んだり、口で教えてもらったり、刺激をもらう部分がたくさんあって、偉大な先輩です。

――なかなか外には行けないということでしたが、お2人は練習中や寮の中ではお話されるのですか

米山 そうですね。練習中や練習の合間の時間とかでも話すことは多いですね。

――米山選手にとって村上選手はどのような後輩ですか

米山 結構ぐいぐい来る感じなので、話しやすいと思います。

――偉大な先輩というお話がありましたが、村上選手から見た米山選手は具体的にどのような先輩ですか

村上 まず僕が早稲田に決めた理由の一つが、毅さんがいるということでした。ずっと憧れていて、こんな速い人と一緒に練習したいと思って早稲田に来たので、今は練習で毅さんについて行けるように頑張っています。

――他には何か早大に進学した理由はありますか

村上 昔から早稲田大学は上位の大学で、昔からいいなとは思っていましたが、自分が届くところではないと思っていました。でも高校生のときにインターハイなどで、あまり良い結果ではないですが、結果を残すことによって進学できることになって、自分が水泳に本当に打ち込めるのがここかなと思って、早稲田大学に決めました。

――実際入学してみて練習環境はいかがですか

村上 高校時代とは全く変わった環境で、とても設備も良くて、練習の質は上がっていると思います。

――米山選手は2年目ですが、あまりこういったお話を聞けていないので、早稲田大学に進学した理由を具体的に教えてください

米山 僕は小学校から早稲田実業だったのであまりなくて。大学ではレベルの高い選手がたくさんいて、体験などでも、質が高いし環境や周りの雰囲気もすごく良かったので、ここなら頑張れるなと感じました。

笑顔の村上賢

――なかなかコロナ禍で遊ぶことがないと思うのですが、寮内で最近はまっていることなどはありますか

米山 あんまり無いですね。寝るのがすごく好きなので、オフのときはごろごろするのが好きです。

村上 ドラマや映画を見たり、YouTubeやTikTokを見ることにはまっています。

――そのような話を他の選手とされることはありますか

村上 そうですね。同期とはよくしますね。

――この夏は東京オリンピックやパラリンピックがありましたが、お2人は見ましたか

米山 はい。

村上 はい。

――何か印象に残ったレースがあれば教えてください

米山 競泳は全部見ていたので、いろいろ記憶には残っていますが、大橋悠依さん(イトマン東進)の個人メドレーはすごいなと思って見ていました。

村上 僕も競泳は全部見ました。早稲田大学の先輩でもある瀬戸大也選手(TEAM DAIYA)がいくつかレースに出場されていて、あまり良い結果ではなかったと思うのですが、悪くても折れない気持ちをずっと保っていて、最後の1本のレースで良い結果を残されたので、そういうところから刺激を受ける部分がたくさんありました。

――夏休みに入ってから、グループに分かれて練習をしているというお話を伺いました。今お二人はどのようなスケジュールやグループで練習されていますか

米山 基本は奥野さん(奥野景介コーチ、昭63教卒=広島・瀬戸内)のもとで練習させてもらっています。賢之慎もそうで、2人とも同じグループでやっています。

――そのグループには他にどういった選手がいらっしゃいますか

米山 平河楓さん(スポ3=福岡・筑陽学園)や大﨑威久馬さん(スポ4=神奈川・桐光学園)とか、あとは簑田圭太さん(スポ3=大阪・太成学院大高)とか同期の田中大寛(スポ2=大分・別府翔青)や田丸敬也(スポ2=大阪・太成学院大高)もいるので、分かれてやっていてもそこまで人数が少ないわけではないです。

――夏休み期間中に力を入れた練習や、課題として修正した点は何がありましたか

米山 たくさんありましたが、一番は、強化の時期なので、体力や基礎的なことを夏はやっていました。

――では、かなり量を増やされたのでしょうか

米山 そうですね。あとは一本一本の質を上げる感じでやっていました。

――村上選手はいかがですか

村上 僕はトップの選手と比べると筋力が劣っているので、まずは筋トレから頑張ってやろうと考えていました。泳ぎの面では、テクニックを磨こうと思って、どう泳いだら抵抗を少なくできるのかというのを、自分で動画を見返して気づいた点を修正して練習していました。

――泳ぎの点についてどなたかからアドバイスはありましたか

村上 毅さんはバックの先輩なので、手の入水の位置や水中での掻き方などを潜って見たりしていました。

「今年は楽しんで自分の全力を出し切りたい」(米山)

――ここまで、日本選手権やジャパンオープンなど、今季全体を振り返っていかがですか

米山 日本選手権から自己ベストを何本も出せたので、タイム的にはすごく向上したシーズンではあるかなと思います。練習が昨年から結構積めていたので、自信はあって、上出来なほうです。順調にタイムは伸びたかなと思います。

村上 僕は選手権には出ていなくて、ジャパンオープンもありましたが腰を怪我してしまって出場できませんでした。でも入学してからは、個人種目のベスト記録を更新することが結構多くて、インカレではそれを大幅に更新できるように頑張ろうと思っています。

――村上選手の怪我の今の状態はいかがですか

村上 今は大分良くなってきています。

――改めて、インカレでの出場種目とその具体的な目標を教えてください

米山 100メートル背泳ぎと、200メートル背泳ぎです。メドレーリレーはどうなるか分かりませんが、たぶん出させてもらえる予定です。目標としては、100は決勝に残ることで、200は優勝できたらなと思っています。メドレーリレーは昨年先輩方が優勝されている種目なので、足を引っ張らず、背泳ぎで一泳なので良い流れで後ろの3人につなげられたらなと思います。タイムとしては100メートルが55秒前半、200メートルでは1分58秒台というのを狙っています。

――米山選手は昨年もインカレに出場されていますが、昨年のインカレを振り返っていかがですか

米山 1年目であまりよく分からないまま始まって、今までとは雰囲気も違ってすごく緊張しました。あまりタイムも良くなくて悔しい思いが残っていますね。

――昨年優勝したメドレーリレーを見て何か刺激はありましたか

米山そうですね、すごくありました。会場で見させてもらっていて、すごく感動しましたし、このチームの一員になれて良かったなと思ったのを覚えています。

――昨年の丸山優稀選手(令3法卒)から何かアドバイスはありましたか

米山 日本選手権やジャパンオープンなどで自分のレースが終わった後にラインで連絡をいただくことがあって、すごくいろんな言葉をいただいています。

――高校の大会とはどのような点で違うと感じましたか

米山チームで戦うという意識がすごく強いと感じました。

――続いて村上選手に伺います。インカレでの出場種目と具体的な目標をお願いします。

村上 100メートル背泳ぎと、200メートル背泳ぎに出場します。100メートル背泳ぎでは、200メートル背泳ぎに比べてまだランキングが低いので、ランキングを向上させるために、56秒中盤のタイムを出したいと考えています。200メートル背泳ぎでは、インカレの決勝に進出して、早稲田の二枚残りをしたいと思っています。

――村上選手は今回がインカレ初出場ですが、インカレにはどのような印象を持っていますか

村上 毅さんも言われたように、高校とは違ってチームで団結して戦う大会だなと思っています。個人のことを考えるより、チームのことを考えることで、自分の個人種目の結果やチームの結果を上げることができると思うので、そういうところを意識して頑張りたいと思います。

――4年生選手にとっては最後のインカレになりますが、特にお世話になった方はいらっしゃいますか

米山 いろんな人にすごくお世話になりました。昨年僕が1年生のときの3年生にはすごくいろいろなことを教えていただきましたし、1人を挙げるのは難しいので、全員ですね。特に印象に残っているのは、今はグループごとの練習で、大﨑威久馬さんしか一緒に練習する機会が無いのですが、練習中の声出しとか、何かあったときに声をかけてくださったり、いろいろしてくれるので、それが印象に残っています。

――村上選手はいかがですか

村上 4年生には短い間ですがお世話になっています。やはり同じチームの大﨑威久馬さんにメンタル面で支えてもらったり、練習できついときに声をかけてもらったりと、そういう部分で支えてもらったことがたくさんあります。

――メンタル面について具体的にはどのようなアドバイスをもらいましたか

村上 僕は練習がきついときに少しつらい表情をしてしまうことがあるので、そういうときに「顔に出したら駄目だよ」と言われたり、「自分の気持ちが前に向いていないと、泳ぎにも影響しない」と言われたり、たくさん教えてもらいました。

――意識している選手はいらっしゃいますか

米山 今全体的にレベルが高いので、皆意識はしています。その中で近大の4年生の井野竜佳さんは、ランキングでは一番なので、練習中もそのタイムを頭に置いて練習しています。

村上 1年生の明治大学の柳川大樹選手がインターハイも優勝されていて、実力のある選手ですが、その選手に少しでも追いつけるようにと思って練習しています。

――先ほど、団結力が大事だというお話がありましたが、お2人は現在のチームの団結力はどのように感じていますか

米山 チームとしても4年生の方々が主体となって、悩みとかがあったら、些細なことでも、たとえば精神的に辛いなと思ったときに、すぐに気づいて声をかけてくださったり、相談にのってくださったりします。そういう面で団結力が生まれてきていて、すごく良いチームなんじゃないかなと思います。

村上チーム全体で練習することはあまりできていませんが、インカレに向けてまとまりが強くなってきています。分かれているチームの中でも「どういう雰囲気でやっているよ」というのを共有することで、チーム全体の志気が上がってきていると思います。

――コロナ禍や早慶戦の欠場などで大会が減っている中で、モチベーションの管理などが難しい時期はありましたか

米山 気持ちの部分できつい時期はありましたが、周りの方々に支えていただいてなんとかなっているかなと思います。

村上 休む時間が長くて気持ちが続かないことがあったのですが、インカレがすぐそこにあると考えていたので、自分が毎日できることは全力でやっていました。

――先ほど村上選手が米山選手からアドバイスを受けているというお話がありましたが、練習中はよくお互いにアドバイスし合っているのでしょうか

米山 そうですね。スタートの技術など、お互いに違和感があるところは聞いたりして、意見交換をしています。

二度目のインカレ出場となる米山

――現在、インカレに向けてご自身の課題だと感じている点はありますか

米山 僕は体のキレを出していくことかなと思います。そのために練習中も1本の出力を上げることを意識してやっています。

村上 最初の100メートルで少し離されてしまって、後半から巻き返すようなタイプなので、まず前半を課題としています。前半をいかに全体と一緒に折り返すことができるかというのと、そこからどう勝負ができるかというのを練習中意識してやっていました。

――では、お2人の現在の調子を教えてください

米山 そんなにすごく悪いわけではなくて、まだ20日くらいあるので、ここから100パーセントに近い状態にどんどん近づけていこうという感じですね。どのくらいと言われると難しいのですが、過程としてはその半分くらいなのかなと思います。

村上 練習を積むごとにタイムも上がってきていますし、自分の理想とする泳ぎに近づいているというのが現状です。インカレまで20日ちょっとしかなくて短い期間ですが、自分の最大限の力を出すために考えて練習しようと思っています。

――チーム内の注目選手と、その理由を教えてください

米山 僕は同期の須田悠介(スポ2=神奈川・湘南工科大附)に注目しています。今シーズンすごく調子も良いですし、練習中もノリノリというか、速いので、インカレでもやってくれるんじゃないかなと思っています。

村上 僕は毅さんに注目しています。優勝を狙える一に毅さんはいるので、僕もついて行きながら、優勝してほしいと密かに思っています。

米山 ありがとうございます(笑)。

――では、ご自身の注目してほしいポイントも教えてください

米山 200メートルの背泳ぎは、自分の思いも強いので注目してほしいです。あとメドレーリレーは連覇が懸かった種目なので、注目してほしいなと思います。

村上 僕はやはり後半型なので、後半追い上げていけるように頑張るので、そこに注目してもらえればと思います。

――いつも対談では色紙に言葉を書いてもらっているのですが、もし今色紙を渡されたら何を書きますか

米山 僕は『楽しむ』でお願いします。昨年のインカレは緊張もあって、あまりレース自体を楽しめなかったので、今年は楽しんで自分の全力を出し切れたらなと思います。

村上 僕は『輝く』でお願いします。1年生ですが、学年関係なく良い結果を残したいので。

――改めて最後にインカレに向けての意気込みをお願いします。

米山 優勝します!

村上 毅さんと一緒に決勝に残ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 是津直子、小山亜美)