日本選手権閉幕 斎藤が自己新で表彰台へ/日本選手権7・8日目

競泳

 7日目には女子800メートル自由形決勝に登場した佐藤千夏(スポ4=埼玉・埼玉栄)が3位につき、今大会3度目の表彰台に登った。最終日では男子1500メートル自由形決勝に古畑海生(スポ4=兵庫・市川)が出場。順位は5位となるが、自己新を大幅に更新する泳ぎを見せた。さらに、女子50メートル平泳ぎに出場した斎藤千紘(商3=東京・早実)は自己新をマークし、自身初となる日本選手権でのメダル獲得。早大勢から五輪内定者は出なかったものの、多くの好記録が生まれた今大会。8日間に及ぶ戦いはついに幕を閉じた。

☆佐藤は3度目の表彰台へ

レース直前の佐藤

 「自分らしい泳ぎを」(佐藤)。今大会で何度も口にしてきたこの言葉を、女子800メートル自由形でも体現して見せた。予選は目標としていた8分38秒台を上回る8分37秒台で3位通過。迎えた決勝では「前半から積極的にいく」という言葉通り、150メートル通過地点からはトップに躍り出る。その後は難波実夢(近大)、小堀倭加(日大)と並ぶ形で首位争いを繰り広げ、自己新を上回るペースで前半を3位で折り返した。後半は上位二人に食いつく粘り強い泳ぎを見せるも、じりじりと差を広げられる。後続の追い上げはしっかりと引き離し、そのまま3位でゴールとなった。

 「試合を楽しいと思えたのが久々だった」と今大会を振り返った佐藤。出場した3種目全てでメダルを獲得したことは、自身にとっても大きな自信となった。今大会で得た収穫を胸に、ラストイヤーでの躍動に期待したい。

☆古畑は自己新を大幅に更新!

インカレでは同種目で力泳を見せた古畑

 男子1500メートル自由形に出場した古畑は、ベストタイムに並ぶ記録で予選を8位で通過する。「リラックスして、自分の泳ぎを貫く」と意気込んで臨んだ決勝。レースは竹田渉瑚(現オーエンス)がハイペースで入り、引っ張る展開に。古畑は序盤からベストラップで入り、上位争いに食い込む泳ぎを見せる。その後はやや勢いが落ち、前半を7位で折り返した。だが、後半からはペースを上げて6位につけると、終盤500メートルでさらに前方を抜き去り、最後は5位でゴール。目標としていた表彰台には手が届かなかったものの、大幅に自己新を更新した。次に見据える最後の日本学生選手権(インカレ)ではさらなる好記録が期待される。

☆斎藤は自己新でメダル獲得!

力泳する斎藤(写真は2020年東京六大学冬季対抗戦)

 女子50メートル平泳ぎには斎藤が登場。予選では緊張から「得意なスタートを失敗してしまった」と振り返ったが、全体で8位につけ、目標としていた決勝進出を果たした。だが、「楽しもう」と気持ちをリラックスさせて臨んだ決勝で、さらなる好記録を打ち出す。予選から修正したという浮き上がりからペースを上げて上位につけると、その後も勢いを落とすことなく3位でフィニッシュ。ベストタイムを約0.8秒も上回る、学生記録目前の好記録で表彰台に登った。

 「まさかメダルを取れると思っていなかった」。今大会開幕約3週間前に行われた合宿で泳ぎを大幅に修正したという斎藤。大会直前に泳ぎを変えるという不安や葛藤があったが、その決断こそが今回の成績につながった。今大会での結果をバネに、次のインカレではさらに成長した姿を見せてくれるだろう。

(記事 小山亜美、写真 日本水泳連盟提供、菊池廉、小山亜美)

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結果

◇決勝

女子800メートル自由形

佐藤千夏 8分33秒41【3位】

女子50メートル平泳ぎ

斎藤千紘 31秒32【3位】自己新

男子1500メートル自由形

古畑海生 15分20秒41【3位】自己新

◇準決勝

女子50メートル自由形

今牧まりあ 25秒74【10位】

◇予選

男子50メートル自由形

村上雅弥 22秒97【21位】

今野太介 23秒05【25位】

伊東隼汰 23秒17【28位】

田中大寛 23秒52【36位】

女子50メートル自由形

今牧まりあ 25秒57【6位】

男子1500メートル自由形

古畑海生 15分22秒66【8位】

男子50メートルバタフライ

田中大寛 24秒49【24位】

女子50メートル平泳ぎ

斎藤千紘 31秒92【8位】

コメント

佐藤千夏(スポ4=埼玉・埼玉栄)

――予選の泳ぎを振り返っていかがですか

 8分38秒を狙っていたので、その中で37秒はまずまずだったかな、と思います。

――決勝はどのようなレースプランで臨まれましたか

 変わらず、前半から積極的に行くことです。

――予選から修正した点はどこでしょうか

 特別泳ぎが崩れていたわけではないので、修正点はなかったです。

――決勝は3位という結果でしたが、振り返っていかがですか

 2位とはタイム差があったので、妥当な順位だと思います。

――決勝の泳ぎを振り返って、反省点や良かった点を教えてください

 前半のタイムもトータルのタイムも目標に届かなかったことが残念でした。ただ、大きく落ち着いて、冷静に泳ぎ切ることができたのが1番良かった点だとは思います。

――決勝でのタイムを振り返っていかがですか

 ベストタイムプラス1秒でした。大学に入ってからは1番早く泳げたので、自信を取り戻せました。

――今大会は3度表彰台に登られる活躍がありました。大会を振り返っていかがですか

 結果がここまで良いのは多分6年ぶりくらいのことで、どの種目も目標タイムには届かなかったものの嬉しく思います。試合を楽しいと思えたのも久々なので、成長した部分もあったのかな、と。

――今後への意気込みをお願いします

 大きい大会はもう残り少ないので、悔いなくやり切ります。応援よろしくお願いします。

古畑海生(スポ4=兵庫・市川)

――まず、予選の泳ぎを振り返っていかがですか

 ベストタイで泳ぐことができ、調子が良いことを確認できました。しかし決勝ギリギリになってしまったので、ヒヤヒヤしたレースでした。

――決勝はどのようなレースプランで臨まれましたか

 選考会の決勝という大舞台で力まないようリラックスし、テンポを含めて自分の泳ぎを貫くことを意識しました。

――予選から修正した点はどこでしょうか

 前半のペースアップと呼吸の向きを修正しました。

――決勝は5位という結果でしたが、振り返っていかがですか

 目標としては3番に入るつもりで練習を積み重ねてきたので悔しいです。しかしベストを更新し決勝でタイムを上げてこられたのは、今後につながると思いました。

――決勝の泳ぎを振り返って、反省点や良かった点を教えてください

 前半の500メートルを力まずベストラップで入れたこととラストスパートをしっかりかけれたことは良かったです。しかし中間ラップで少しタイムを落としてしまったことは反省点でした。

――自己ベストを大幅に更新しました。どのように感じられていますか

 コロナ禍で不自由なことや、孤独な鍛錬で精神的に苦しいこともありましたが、こうして結果を残すことができ、今までの努力が報われたと感じました。

――今後に向けて意気込みをお願いします

 日本学生選手権では同級生のライバルに勝てるように頑張ります。

斎藤千紘(商3=東京・早実)

――まず、予選の泳ぎを振り返っていかがですか

 予選は得意なスタートを失敗してしまいとても焦りました。3月の合宿で泳ぎを変えて調子が上がっていたのですが、スタートを失敗した焦りで前半の25メートルは以前までの泳ぎになっていました。後半から泳ぎを変えなくてはと思って変えて泳いだので、まだ伸び代があったレースでした。

――決勝はどのようなレースプランで臨まれましたか

 とにかく焦らず、力まずに、リラックスして、楽しもう!と思って挑みました。

――予選から修正した点はどこでしょうか

 浮き上がりと泳ぎ方を決勝前のアップで再確認し修正しました。予選は緊張のあまり失敗してしまったので、とにかく深呼吸をして心を落ち着かせました。

――決勝3位、日本選手権での表彰台という結果でした。振り返っていかがですか

 決勝進出を目標にしていて、まさかメダルを取れると思っていなかったのでとても驚いています。3週間前の合宿で泳ぎを変えて不安もあったのですが、それが良い結果につながったので、あの時変える決断をして良かったなと思いました。ただ、今回の試合に100メートル(平泳ぎ)で出場できておらず、そこの悔しさは忘れないようにしようと思います。

――決勝の泳ぎを振り返って、反省点や良かった点を教えてください

 反省点は予選でスタートを失敗してしまい、決勝でも意識しすぎてスタートだけ力んでしまったことです。もう少しスタートで飛べるとタイムが出るのかなと思います。
良かった点は、周りを意識せずに自分のレースに集中できたことです。

――予選、決勝共に自己新を更新するタイムでした。振り返っていかがですか

 合宿で調子が上がっていたので2年前に出したベストは更新できると思っていました。ただ、予選決勝合わせて0.8秒も更新できるとは思っていなくて驚いています。先輩である渡部香生子さんが持つ学生記録まであと0.2秒まで迫れたことは嬉しいですが、次はその記録を目指して頑張ろうと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

 スピードはついてきているので、この泳ぎを100メートル平泳ぎでもできるように持久力を強化していこうと思います。50メートルだけではなく100メートルでも結果を残せるように、また昨年のインカレでは早稲田に貢献できていないので点数を取ることを目標に頑張っていきます。