自己ベストラッシュと日本学生記録更新でシーズン開幕を飾る

競泳

 今体制初の対抗戦である東京六大学冬季対抗戦臨んだ早大。チームとして、男子部は明大に破れ2位に終わり、女子部も得点を伸ばしきれず3位に止まった。しかし、今大会でも複数の選手が日本選手権およびジャパンオープンの参加標準記録の突破。また自己ベストを更新する選手も相次ぎ、本格的なシーズンに向けて充実した結果となった。

★目標達成ならずもそれぞれが収穫を得る

200メートル平泳ぎで標準記録を突破した今井主将

 男子部は目標の総合優勝は果たせなかったが、自己ベストを更新する選手や新たに日本選手権の参加標準記録を突破する選手が相次いだ。まず昨年12月の大会で男子200メートル個人メドレーの標準記録を突破し、初の日本選手権への出場を決めていた髙野大祐(教2=東京・立教池袋)。今大会では出場3種目全てで自己ベストを更新した。特に男子400メートル個人メドレーでは4分12秒60を記録し、2種目目の切符をつかんだ。また今井流星主将(スポ3=愛知・豊川)は「胃腸炎に感染して1週間くらい泳げていなかった」そうで泳ぎ込みができていなかったが、力強い泳ぎでこちらも新たに2つ目の標準記録突破を果たした。さらに最終種目の男子1500メートル自由形では武井凜太郎(スポ1=東京・早実)も優勝を飾るとともに日本選手権への切符を手にした。一方でチームの主力である幌村尚(スポ3=兵庫・西脇工)と竹内智哉(スポ3=神奈川・湘南工大付)は少し精彩を欠いただろうか。幌村は専門種目のバタフライで100メートル、200メートル両種目の優勝を逃した。竹内も得意の400メートル個人メドレーは昨年同大会で記録したタイムから10秒近く遅れた。しかしそれでも専門外の種目では爪痕を残している。竹内は新たに男子200メートル自由形で日本選手権の参加標準記録を上回り、幌村も初めて出場した男子50メートル自由形について「思ったより良くて、良い経験になった」と好感触を得たようだ。今大会はあくまで通過点。今年最初の山場となる日本選手権まで3ヶ月弱、選手はそれぞれ合宿などで厳しい追い込みをしていくことになる。春、早大のスイマーたちの努力が花開く瞬間を楽しみにしたい。

★牧野が2年連続の女子優秀選手に選出

得意のバタフライを泳ぐ牧野

 女子部では昨年に続き牧野紘子(教2=東京・東大付中教校)が女子優秀選手に選ばれる活躍を見せた。前日の午後まで合宿でハードな泳ぎ込みを行なっており、「思ったより疲れが抜けてなくてきつい部分もあった」という。しかしそんな厳しい日程の中でも、女子200メートルバタフライ、女子100メートルバタフライの2種目で大会新記録を樹立。女子200メートル自由形、女子400メートル個人メドレーと合わせ、今年も出場した4種目は全て制した。また佐藤千夏(スポ2=埼玉栄)も女子400メートル自由形と女子800メートル自由形で自身が持つ大会記録を上回るタイムを残した。かつて東京五輪世代とも言われ、煌めく才能があふれるこの年代が20歳を過ぎ心身ともに充実した時期を迎えている。日本選手権の優勝経験がある2人だが、今年はどんなレースを見せてくれるだろうか。

★チャレンジレースで日本学生記録樹立!さらに斎藤が日本選手権標準記録突破

日本学生記録樹立を果たし、笑顔で最終泳者の伊東を讃えた

  全種目終了後に行われたチャレンジレース。早大は男子4×50メートルフリーリレーの日本学生記録樹立を狙い、今野太介(スポ1=山形・羽黒)、伊藤新盛(スポ2=岐阜・中京学院大中京)、村上雅弥(スポ2=香川・坂出)、伊東隼汰(社2=東京・早大学院)の布陣で臨んだ。まず第1泳者の今野が昨年12月に記録したベストタイムに迫るタイムで帰還。続いて伊藤、村上と良い形でつなげ、最終泳者は今大会で男子50メートル自由形を制した伊東。早大だけでなく他大学の選手からも大きな声援を送られる中、力泳を見せた。タイムは1分28秒14で有言実行、見事11年ぶりに日本学生記録を更新した。また日本選手権やジャパンオープンの参加標準記録突破を目指し3人がチャレンジレースにエントリー。その中で女子100メートル平泳ぎを泳いだ斎藤千紘(商1=東京・早実)が1分7秒99を記録。多くの人が見守る中たった1人で泳ぐ緊張感あふれるレースだったが標準記録の1分8秒18を上回り、4月の大舞台へ立つ権利を得た。この結果を自信につなげ、今後の大会に臨んでほしいところだ。

(記事 青柳香穂、写真 宇根加菜葉、小山亜美)

結果

総合成績

▽男子 2位

▽女子 3位

個人各賞

女子優秀選手 牧野紘子

OB会長賞 平河楓

◇タイム決勝

男子50メートル自由形

伊東隼汰 22秒16【1位】

村上雅弥 22秒51【4位】

幌村尚 22秒54【5位】

今野太介 22秒74【6位】

伊藤新盛 22秒76【8位】

男子100メートル自由形

伊東隼汰 48秒50【2位】

今野太介 49秒51【6位】

丸山優稀 50秒12【10位】

村上雅弥 50秒43【12位】

伊藤新盛 51秒24【14位】

男子200メートル自由形

竹内智哉 1分46秒80【4位】

簑田圭太 1分48秒17【6位】

髙野大祐 1分48秒69【9位】

田中航希 1分49秒70【12位】

伊東隼汰 1分50秒58【14位】

古畑海生 1分52秒38【17位】

男子400メートル自由形

古畑海生 3分48秒77【2位】

武井凜太郎 3分54秒48【7位】

田中航希 3分54秒65【8位】

男子1500メートル自由形

武井凜太郎 15分0秒70【1位】

古畑海生 15分7秒19【2位】

男子50メートル背泳ぎ

幌村尚 24秒93【2位】

丸山優稀 25秒21【5位】

男子100メートル背泳ぎ

丸山優稀 53秒71【2位】

竹内智哉 57秒79【11位】

男子200メートル背泳ぎ

丸山優稀 1分55秒57【1位】

男子50メートル平泳ぎ

今井流星 27秒21【2位】

伊東隼汰 27秒54【4位】

平河楓 27秒79【6位】

大﨑威久馬 27秒96【7位】

白石崇大 27秒98【8位】

男子100メートル平泳ぎ

今井流星 59秒10【4位】

平河楓 59秒20【5位】

白石崇大 59秒27【6位】

大﨑威久馬 1分0秒68【10位】

男子200メートル平泳ぎ

平河楓 2分6秒16【5位】

白石崇大 2分7秒60【6位】

今井流星 2分8秒01【8位】

髙野大祐 2分10秒08【10位】

大﨑威久馬 2分10秒31【11位】

男子50メートルバタフライ

幌村尚 23秒73【3位】

今野太介 24秒10【4位】

峯野友輔 24秒39【5位】

男子100メートルバタフライ

幌村尚 51秒89【2位】

峯野友輔 53秒22【6位】

男子200メートルバタフライ

幌村尚 1分53秒73【2位】

男子200メートル個人メドレー

竹内智哉 1分56秒74【2位】

髙野大祐 1分59秒41【7位】

福岡清流 2分4秒22【9位】

田中航希 2分4秒30【10位】

丸山優稀 2分5秒39【11位】

男子400メートル個人メドレー

髙野大祐 4分12秒60【3位】

竹内智哉 4分16秒69【6位】

福岡清流 4分22秒98【7位】

女子50メートル自由形

佐々木杏奈 26秒23【3位】

常盤怜以 26秒72【7位】

女子100メートル自由形

佐々木杏奈 56秒59【4位】

佐藤千夏 57秒12【6位】

常盤怜以 58秒49【10位】

女子200メートル自由形

牧野紘子 1分57秒86【1位】

佐藤千夏 2分1秒00【3位】

佐々木杏奈 2分1秒12【4位】

女子400メートル自由形

佐藤千夏 4分8秒18【2位】

女子800メートル自由形

佐藤千夏 8分29秒45【1位】

女子100メートル背泳ぎ

中道穂香 1分23秒14【6位】

女子50メートル平泳ぎ

浅羽栞 31秒48【2位】

井ノ口茉里 32秒73【4位】

松浦優美奈 33秒70【6位】

女子100メートル平泳ぎ

浅羽栞 1分7秒33【2位】

斎藤千紘 1分8秒31【3位】

松浦優美奈 1分10秒98【6位】

井ノ口茉里 1分11秒10【7位】

女子200メートル平泳ぎ

浅羽栞 2分22秒74【2位】

斎藤千紘 2分27秒36【3位】

松浦優美奈 2分29秒29【4位】

井ノ口茉里 2分32秒60【6位】

女子100メートルバタフライ

牧野紘子 58秒02【1位】

中道穂香 1分34秒98【10位】

女子200メートルバタフライ

牧野紘子 2分5秒88【1位】

女子200メートル個人メドレー

浅羽栞 2分16秒83【3位】

女子400メートル個人メドレー

牧野紘子 4分48秒59【1位】

◇チャレンジレース

男子200メートル自由形

簑田圭太 1分47秒58

男子100メートルバタフライ

峯野友輔 53秒16

男子4×50メートルフリーリレー

早大(今野、伊藤、村上、伊東) 1分28秒14

女子100メートル平泳ぎ

斎藤千紘 1分7秒99

コメント

今井流星主将(スポ3=愛知・豊川)※男子50メートル平泳ぎ後

――男子200メートル平泳ぎで日本選手権の標準タイムを突破しました。率直な感想はいかがですか

ホッとしていますね。

――切れると思って泳いでいたのですか

切れるとは思っていましたけど、いまいちまだ200よりも100とか50の方が良い感じだったのでちょっと心配な部分あったので、ギリギリでしたがまず切れたというのは良かったです。

――12月のウインターカップからしっかりした練習が詰めてきたのでしょうか

胃腸炎に感染して1週間くらい泳げていなかったので強化が遅れてしまったんですが、なんとか選手権が切れるくらいには200も戻せました。あと100も大学ベストだったので、その点は良かったのかなという感じです。

――チームでは他にも新しく日本選手権の標準記録を突破する選手がでましたが、主将としてはどのように捉えていますか

新しい突破はチームに勢いを与えると思いますし、特に大祐(髙野)とかは普段僕は同じ部屋で生活しているので、本当に嬉しかったですね。

――今大会の団体戦の勝敗という面ではどうでしょうか

竹内と幌村があまり調子が良くないというのもだいぶあると思うんですけど、昼の時点で結構明治さんに30点弱離されていて。ただ新しい基準突破しているメンバーや自己ベストを更新しているメンバーも多いので。そういう点では、チームとしても総合優勝とあとは自己ベスト更新も目標に掲げているので、得点では思ったより伸びていないというのはあるんですけど、後者の方はかなり達成できているので良いのかなと思います。

――日本選手権も近づいてきますが、今調子が良さそうな部員はどなたですか

今回も3種目でベストを出している髙野とか、長水路になると結構良いタイムが出るんじゃないかなと思いますし、あとは1年生ですね。平泳ぎは結構みんな速くて競争もあるので下級生中心に期待ができるんじゃないかなと思います。

――今年の自身の目標は何ですか

最上級生で本当に今年が最後なので、平泳ぎはレベルが高いんですけど、まずはしっかりレギュラーとってインカレにとれるようにするというのと、自己ベストを大幅に更新していってインカレの中でも上位に食い込んでいくというのが目標ですね。

幌村尚(スポ3=兵庫・西脇工)※囲み取材より抜粋

――きょうのレース全体を振り返っていかがでしたか

きょうは良いところもあれば悪いところも多かったかなと思います。

――具体的にはどの種目が良かったですか

50の自由形は初めて出たんですけど、思ったより良くて、良い経験になったかなというのと、バタフライがちょっとあまり良くなくて結構良い練習が積めていたので少し残念かなというのがあるので来週のKOSUKE KITAJIMA CUPはある程度タイムを狙っていこうと思っているのでそこでまずは54秒台を目指したいと思います。2バタではある程度感覚も良くてタイムを狙っていきたかったんですけど、半フリで疲れちゃったので。

――肩の具合は今はどうですか

最近また痛みがなくなってきて、練習も泳ぎも少しずつ良くなっているので頑張っています。年末年始も自分なりに頑張れたので、またアメリカに行ってさらに追い込んで頑張りたいなと思います。

――2枠ありますが、五輪代表に入るのは非常に狭き門だと思います

とにかく自己ベストはしっかり出したいと思っているのですが、速くても2番以内に入らなきゃダメというのがあるので2番以内を目指して。2番以内に入れば自ずとタイムも付いてくると思うので、タイムの勝負なのか順位の勝負なのか分からないですが、とりあえず2番を目指していきたいなと思います。

――タイムとしてはいくつを目標にしていますか

4月には53秒5くらいを出すことが目標で、前半を54秒でいって後半を59秒前半でまとめられればいいかなと思っています。

牧野紘子(教2=東京・東大付中教校)※囲み取材より抜粋

――きょうは何レースも出場しましたが、振り返ってみていかがでしたか

本当はもうちょっとタイムを出したかったんですけど、きのうまで所属の合宿があって結構追い込んだ合宿明けのきょうだったので、ちょっとやっぱり思ったより疲れが抜けてなくてきつい部分もあってまあまあって感じでしたね。

――疲れがある中でどの程度手応えを感じていますか

1月7日まで長野県の東御市で東京都の合宿に参加していて、降りて先週も試合だったんですけど、そのときは身体が重いなというのが印象に残っていて。そこから今週は身体が動いてきていつも以上の練習が積めている感じなので、それもあってもう少し出したかったというのはあったんですけど、追い込めた分の疲れがきてるので悪い感じではないのかなと、前向きに捉えられる結果だったかなと思います。この疲れが抜けていけばタイムも上がっていくかなというのが感触としてあるので。来週の大会では1バタと4個メと1フリにエントリーしていて、2バタはテストがあって出られないんですけど、きょうよりは調整して出場します。

――たくさんの種目に出ていますが日本選手権に向けてどの種目を狙って練習していますか

ターゲットは2バタですね、派遣標準のタイムもあまり速くなくて、ちゃんと自分のレースをすれば切れるし、優勝もできるかなと思うので2番以内とは言わず優勝を狙って。練習は昨年よりもできていると思うので、あとは力まないように泳げば良いかなと。1バタも接戦になるので、個人の派遣は厳しいかなというのが現状なんですけど、リレーの派遣は7秒9で狙えるかなと思っているので優勝してそのタイムを切りたいです。

――具体的に目標のタイムはいくつですか

200メートルは6秒0で優勝すること、100メートルはリレーの派遣標準を切って優勝することです。