3月のアメリカ高地合宿を経て、最近の大会では好タイムをマークしている大芦知央(スポ3=大阪・関大北陽)。もうすぐ最上級生になるというこの時期、チーム全体の状況を見渡すことも多くなったという。そんな大芦に、春シーズンのレースや早慶戦に向けての意気込みなどを伺った。
※この取材は6月23日に行われたものです。
「ベストに近いタイムで泳げたのは自信になりました」
穏やかな表情で対談に応じる大芦
――3月のアメリカ高地合宿はいかがでしたか
大学は一応100メートルの選手でとってもらったんですけど、もしかしたら200メートルの適性があるのかもしれないというのを奥野さん(奥野景介総監督、昭63教卒=広島・瀬戸内)に見つけていただきました。ただ200メートルとなると、50メートル単位で分けたときの後半の25メートルでスピードが落ちて、タイムロスが大きかったので、50メートルの中でも前半後半で同じようなスピードでいけるようにテンポコントロールなどを練習しました。
――合宿を終えてみて手応えはありましたか
200メートルは自信がなかったですけど、ベストも出るようになりましたし、ジャパンオープンでは自分の思った通りの泳ぎができたので、だいたいの感覚はつかめてきたかなと思っています。
――アメリカ生活で苦労したことはありましたか
最初の方は時差ぼけとかがあったんですけど、意外と僕はそういうのにすぐ慣れちゃうタイプで(笑)。日本でも午前と午後で5時間ずつ寝るような生活をしているので、時差ぼけなのか常に眠いのかよく分からない状況だったんですけど(笑)。食生活でもハンバーガーとか大好きなのでむしろ幸せでした。
――4月の日本選手権での目標タイムはどれくらいでしたか
とりあえず自分のベストタイムを出すことが大事だと思っていて、100メートル200メートル両方とも出そうというのが大前提でありました。そこで200メートルに関しては奥野さんとしっかり狙っていくという話をしていたので、準決勝には残りたかったんですけど、そのラインが2分01秒出していれば残れていたので、そこはちょっと悔しかったですね。
――コンディションはうまく合わせられましたか
今年は大学に入って初めて奥野さんから見てもらったんですけど、けっこう気遣いとかもしていただいて、いいコンディションで迎えられました。
――5月のジャパンオープンはいかがでしたか
レース数でいうと(日本選手権を含めて)3回連続で2分02秒2というベストに近いタイムで泳げたのは自分の中で自信になりました。大学入って苦労していましたが、水泳が楽しいイメージに変わって、今は楽しく泳げています。
――ワセダの練習環境はいかがですか
施設としては抜群のプールがありますし、スイムミルなどもあります。コースの人数も1コースに2人〜3人で泳げる大学はあんまりないので、いい環境で泳がせていただいているなと思います。
――これまでの水泳人生で思い出深いレースはありますか
高校3年生時の国体ですね。僕はリレーだけの出場で結果も決勝の引き継ぎで失格という形にはなってしまったんですけど、人生で1番楽しいレースだったかなと思います。その当時は埼玉県がライバルで、背泳ぎでは僕の小さい頃からのライバルが相手でしたし、平泳ぎとバタフライとフリー(自由形)は埼玉の方が強いと言われていたので、当初どの人も埼玉県が優勝するだろうと思っていましたが、僕たち(大阪府)がベストを出していって、最後はタッチ差まで追い詰めました。負けてはしまったんですけど、あんなにいい勝負ができたので、リレーでは1番楽しめたかなと思います。記録には残らなかったですけど、僕の中で1番記憶には残っていますね。ちょうどその時にワセダの入学が決まっていた中で、中村克さん(平成28スポ卒=現イトマン東進)や、瀬戸大也さん(平成29スポ卒=現ANA)に「(100メートル背泳ぎで)55秒台出せよ!絶対見てるから」と言われていて、約束というか、そういった中で55秒台を出せました。それが今のベストタイムでもあるので、思い出深いかなと思います。
――早大を進学先として選んだ理由は何でしたか
憧れの強い渡辺一平さん(スポ4=大分・佐伯鶴城)、坂井聖人さん(平成30スポ卒=現セイコー)、瀬戸大也さん、中村克さんといった人たちがいたのが大きかったかなと思います。
――トップレベルの選手たちと一緒に練習できるというのはやはり大きいですか
そうですね。練習もそうですが、僕はリレーが組みたかったので、そういった人たちと一緒にリレーを組めたらなというのは僕の中にありました。
――奥野監督の存在は大きいですか
ダメな時はダメと言ってくれて、それだけだと気持ち的にもしんどくなるんですけど、ほめる時にはほめていただきます。僕の中では奥野さんに見てもらいたいという気持ちもあってワセダにきた部分もあるので、最近はタイムも出るようになりましたし、指導者として素晴らしい方だと思います。
「水泳に対する意識が変わった」
力強いストロークが持ち味だ
――ずっと背泳ぎが専門なのでしょうか
小学3年生の秋から水泳を始めたんですけど、当時から基本的に背泳ぎ中心でやっていました。
――小学3年生だと水泳を始めるのは比較的遅い方でしょうか
そうですね。当時はあんまり選手コースにも入りたがらないサッカー少年だったので、どちらかというとJリーガーになりたかったと思います(笑)。
――ご自身の泳ぎにおいて、ストロングポイントはどこでしょうか
僕の強みはストロークの強さで、けっこうフォームがキレイと言われるんですけど、その強さがキレイな泳ぎを生み出している要因なのかなと思います。
――背泳ぎに関して、目標としている選手はいますか
昔は入江陵介さん(イトマン東進)を目標にしていました。少し前は自分がそういう選手になりたいなと思っていましたし、目標というかそういう選手と戦えるようになりたいなというのもありました。自分のオリジナリティーみたいなものを生み出せたらいいなというのは、恥ずかしながらに思っていました(笑)。
――今年からチーム内でも上級生という立場ですが、去年までと比べて変化はありましたか
あと2〜3か月で最上級生になるということで、自分が1番上に立ってチームがうまく回らなかったりしたら困るので、そういった面でしっかりとしていきたいです。今まではついていくことが多かったですけど、今は自分から周りに声をかけるなど、上手くできているかわからないですけど、チームを見渡せるように努力はしています。
――後輩から相談事などを受けることはありますか
部屋の後輩などには、人間関係や、仕事のことで話せることは話しています。自分から聞きにくいこともあると思うので、僕から積極的に「最近どう?」などと聞いて回ったりしてはいますね。
――オフの日は何をすることが多いですか
僕はスポーツ観戦が多くて、ラーメンにも行きますけど、1番はスポーツ観戦ですね。野球だったら阪神や西武の試合に行ったり、サッカーはセレッソ大阪が大好きなので、見に行ったりしています。
――日本代表の選手と一緒に練習することについてはいかがですか
高地合宿に行くと決まった時に、ちょうど代表の選手と一緒に練習させてもらうことになって、そこからけっこう水泳に対する意識が変わって、甘かったなということを知らされました。一緒に練習するだけでこっちも頑張らないとなと思わせてくれるような雰囲気で練習していて、僕もそれがあってもっと頑張ろうと思えるようになりましたね。
――自分のモチベーションを高めてくれる存在でもあるということですか
そうですね。レベルは違うんですけど、高めてくれる存在です。
――最後に、早慶戦当日はどんなレースをしたいか聞かせてください
今年はリレー含めて3本泳ぐので、3本ともしっかりと諦めず粘り強くレースしたいです。(レース間の)時間的にもハードだとは思うんですけど、その中でも自分の力をしっかりと出したいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大島悠輔)
意気込みを書いていただきました!
◆大芦知央(おおあし・あきお)
1997(平9)年11月1日生まれ。178センチ、76キロ。O型。大阪・関大北陽高出身。スポーツ科学部3年。最近はとにかくサッカーワールドカップを観ているという大芦選手。決勝トーナメント進出を決めた日本代表からも勢いをもらい、早慶戦では素晴らしいレースをしてくれるでしょう!