競泳界屈指の名門校である早大に、今年も期待の新人が入部した。世界ジュニア代表などの経歴を持つ大崎威久馬(スポ1=神奈川・桐光学園)は、早くもチームの中心として活躍している。そんなルーキー大崎に、春シーズンの振り返りや早慶戦に向けての意気込みを伺った。
※この取材は6月23日に行われたものです。
「自分が倒したい相手や自分より速い選手と練習したい」
丁寧に質問に応じる大崎
――学校生活はもう慣れましたか
そうですね、もうだいぶ慣れてきました。
――休みの日は何をしていますか
休みの日はできるだけ出かけるようにしています。でももともと東京生まれ東京育ちなので、これといって行きたい場所とかはないんですけど、買い物しに行ったり、違う大学の友人と遊びに行ったりしています。
――仲の良い同期の人はいますか
同期の高野(高野大祐、教1=東京・立教池袋)とは小学3年生の頃から一緒にレースに出ていて、その時からライバルで話すような仲だったんですけど、いつのまにか同じ大学に入っていたという感じです(笑)。
――4月の日本選手権ではどのような結果を狙っていましたか
新しい環境ということで、無理に速いタイムを狙うとかではなくて、ベストに近いタイムで泳ぐ、200メートル(平泳ぎ)なら2分11秒台で泳げたらいいなという思いでレースに挑みました。慣れない環境で、レースにも違うアプローチで臨んだので、そこでちょっと遅かったのはあります。
――日本選手権に本調子を持ってくるのは難しかったですか
本来ならば同じチームで本番を迎えるんですけど、2月の途中からワセダで練習していたので、そういう部分で難しかったかなというのはあります。
――5月のジャパンオープンに関してはどのような狙いがありましたか
そこに関してはやっぱり慣れも出てきて、自分なりのやり方が少しずつ見えてきたので、ベストには少し及ばなかったですけど、日本選手権よりは(タイムを)上げることができたので、そこは収穫だったかなと思います。
――タイムを上げることができた要因は、慣れ以外にもありましたか
周りの環境として、先輩の渡辺一平さん(スポ4=大分・佐伯鶴城)という平泳ぎの世界記録保持者や、小学3年生の頃から競い合っていた今井流星さん(スポ2=愛知・豊川)などの方々と日頃から練習できるというのは励みになって、それこそ刺激にもなりました。普段は一緒に練習する仲間ですけど、レースになれば敵なので、いい刺激になっていると思います。
――水泳はいつ頃から始めましたか
僕は1歳からやっていて、もともと喘息持ちだったのでその治療のために始めたのがきっかけです。
――ワセダに進学した経緯を教えてください
やはり自分が倒したい相手や自分より速い選手と練習したいと思ったのが第一です。そうなった時にやっぱり世界記録を持つ選手がいるチームですから、それが日本にある限りは、自分でもどうしても挑みたいと思ったのでワセダに来ました。
――練習環境はいかがですか
室内に50メートルプールがあるのは日本屈指の環境です。レースは50メートルプールですし、25メートルだとスピード感も全然違うので、普段からレースを意識した練習ができるのは大きな強みですね。
――高校時代と比べて大学の練習はいかがですか
現在の日本代表選手がいるので練習のタイムですらレベルが高いですし、寮でも一緒に暮らしているので、水泳以外の面で尊敬できる部分を見られるというのは僕にとってすごくいい環境です。
――これまでの水泳人生で印象に残っているレースはありますか
印象に残っているのは高校3年生の時に出場した世界ジュニア選手権ですね。自分は今まで日本代表になったことがなくて、その試合が初めてのジュニアの日本代表でした。200メートル平泳ぎで決勝に残ったんですけど、国内試合で味わえないような雰囲気で、見たことのない選手たちと戦って、なおかつ世界の精鋭が集まっているわけで、そんな中で泳げたというのは自分にとってプラスだったかなと思います。
――結果がなかなかついてこない時期などはありましたか
高1のインターハイの時期です。インターハイ予選では1秒以上ベストが出て、決勝に残れるくらいのタイムだったんですけど、調整を間違えてしまって、本番のインターハイではベストから遠いタイムでした。その後の国体も納得がいく結果が出せなくて、自分としては不甲斐ないシーズンだったと思います。でもそのシーズンがあったからこそ、自分の弱点が見えたので今振り返ると良い意味で悪いシーズンだったかなと思います。
――いつ頃から平泳ぎを専門で泳いでいるのでしょうか
僕は小学生の頃から平泳ぎが向いているよとコーチに言われていたので、そこから10年以上平泳ぎを泳いでいます。
――100メートル、200メートルとありますが、得意なのはどちらでしょうか
200メートルですね。
――考えとして、100メートルと200メートルではどちらに重点を置いていきたいですか
一平さんもそうですけど、世界で戦うには100メートルも速くないと200メートルも速くなれないので、100メートルを高いレベルで泳いでいくというのも大切だと思っています。なので両方とも力を入れていきたいですね。
――泳ぎの面で自分の強みはどこでしょうか
決してプルもキックも人より優れているわけではないんですけど、そこをカバーできる強みは、泳いだ時のポジションの高さ、体の位置の高さというのが自分としては長所です。プルとキックとのタイミングの取り方は自分の中でオリジナルの部分で、そこは自分の中では武器なのかなと思います。
――渡辺一平さんの泳ぎで参考にしている部分はありますか
一平さんは自分の体をよく理解してらっしゃっていて、身長を活かした大きいストロークや、大きくて素早いキックというのは自分にとって理にかなっている泳ぎをしているなと感じています。
――泳ぎに関して相談などはするのでしょうか
そうですね、一平さんに限らずわからないことを先輩に聞くと、必ず先輩なりの答えが聞けるので、泳ぎの部分や試合に向けてのアプローチの仕方などを聞くと参考になる答えをいただくことが多いです。
「自分のレースをすれば結果がついてくる」
平泳ぎでは先輩の背中を追いかけていく
――入学してまだ3ヶ月ほどですが、1年生同士のつながりはどうですか
同期はけっこう仲がいいと思います。1年生はやるべき仕事もあって、横のつながりが大切なので、「こうした方がいいよね」などと助け合って生活しています。
――仲の良い先輩はいますか
寮の部屋が同じなので、井上奨真さん(スポ4=県岐阜商)や今井流星さんにはいろいろなところに連れて行ってもらっています。先週も軽井沢に連れて行ってもらいましたし、ラーメンが好きなので、一緒にラーメンを食べに行ったりしていますね(笑)。
――早慶戦に向けたお話を伺います。出場する平泳ぎの目標を教えてください
インカレ前のいい時期にできる試合なので、(200メートル平泳ぎでは)2分11秒台を一応目標にはしていますが、その中でも先輩たちと競い合ってレースができるので、しっかりとした自分のレースをしたいなと思っています。
――ジャパンオープン後から取り組んでいる課題などはありますか
自分からペースを乱して、前半速く入りすぎてしまったり、逆に前半上げられずに中途半端なタイムになってしまったりすることがあります。隣のレーンの選手などを考えるのではなく、自分のレースをすれば結果がついてくるという話をいただいているので、そういう部分で自分のレースをすることを意識して練習をしてきました。
――早慶戦は団体戦ですが、その辺はいかがですか
自分の気持ちを盛り上げるという面でも先輩方のレースを見ることで自分も頑張ろうという気持ちになります。水泳は個人競技ですが、そういう面ではチーム全体が個人を強くできる環境なのかなと思います。
――大学4年間で成し遂げたい目標はありますか
大学4年間の間にシニアの代表に入るというのが目標です。日本の平泳ぎはレベルが高くて世界的に見てもお家芸といわれるくらいなので、その中で代表に入ればしっかり結果もついてくると思うので、厳しいことだとは思うんですけど、頑張りたいです。
――最後に早慶戦に向けて意気込みをお願いします
早慶戦ではしっかりと自分のレースをして必ずチームとして優勝したいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大島悠輔)
早慶戦への意気込みを書いていただきました!
◆大崎威久馬(おおさき・いくま)
1999(平11)年5月21日生まれ。174センチ、69キロ。A型。神奈川・桐光学園高出身。スポーツ科学部1年。昨年の世界ジュニア選手権では男子のキャプテンを務めたという大崎選手。世界での経験をもとに、早慶戦では存分に力を発揮してくれるでしょう!