93回目を迎えた日本選手権が愛知の地で開幕した。この大会は7月にブタペストで行われる世界選手権の代表選考も兼ねている。あるものは世界の舞台を目指して、あるものは自己ベストの更新をかけて。4日間にわたる熱き戦いの火ぶたが切られた。
★下級生躍進!今後の活躍に期待
1年生ながら堂々の5位に入賞した竹内
男子50メートルバタフライに池江毅隼(スポ2=東京・日大豊山)が登場した。予選では序盤から飛び出すと、勢いそのままにゴールイン。高校時代の自己ベストの更新となる24秒15。大学に入ってからの1年間は苦しいものだった。自己ベストを一度も更新できず、なかなか思うようにいかない日々。そんな苦しさを経験してきた池江にとって、久しぶりの自己ベスト更新のうれしさは並大抵のものではない。例年なら決勝に進出できていたタイムをたたき出したものの結果は9位。惜しくも決勝に駒を進めることは叶わなかった。また、午後のB決勝では出遅れが響き、7位。それでも、この大会での確かな手ごたえを感じている。「これからもベストを更新し続けられるように頑張る」。これからの池江の活躍に注目だ。一方、男子400メートル個人メドレーに竹内智哉(スポ1=神奈川・湘南工大付)が出場。昨年の日本選手権のこの競技で4位と好成績を残した期待のルーキーだ。予選では、隣を泳ぐ西山雄介(山梨学院大)に必死に食らいつき、8位で予選を突破する。迎えた決勝では、またしても隣のレーンとなった西山と熾烈(しれつ)な4位争いを繰り広げる。200メートルの折り返しまでリードするも、平泳ぎで追い抜かれる。最後の自由形で再び抜き返すも、ラスト50メートルで力尽き、5位に終わる。高校を卒業し、ワセダに入学して間もない竹内。ワセダに入ったことについて「自分よりも速い選手と練習する機会が増えたことに刺激を受けている」と語る。新しい環境で己を磨き、世界の舞台を目指して突き進む。
(記事 石田耕大、写真 大谷望桜)
★ケガから復活!決勝進出も4連覇を逃す
復調の兆しをみせる3位入賞となった渡部
世界選手権代表の獲得を目指し、復帰戦となる日本選手権のスタート台に立った渡部香生子(スポ3=東京・武蔵野)。1月には足首をケガするアクシデントにも見舞われたが、メキシコ遠征に参加できるほどに回復し、調子は上がってきている。100メートル自由形に重点を置いてやってきており、フレッシュな気持ちで女子100メートル平泳ぎに臨んだ。久々の試合となった予選では「良い感覚で泳げた」と、1分7秒62と2位で通過する。決勝では、50メートルを31秒74と4位でターン。後半に追い上げを見せ先行する選手との差を縮めたが追い抜かせず。1分07秒09と予選よりタイムを縮めてゴールし、3位と表彰台には上る。「実際に泳いでみたら、やっぱり悔しい」と涙をこらえる結果に終わる。リオ五輪後思うような結果を出せずにいたものの、復活の兆しを見せ始めている。前向きな気持ちで100メートル自由形で勝負をかける。
(記事 杉野利恵、写真 大谷望桜)
★攻めのレースも、目標タイムには及ばず
200メートル平泳ぎでのリベンジを誓った
1月の東京都選手権の200メートル平泳ぎにて世界新記録を樹立した渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)。今大会最注目選手の1人として、重点的に練習してきたという男子100メートル平泳ぎに出場した。予選を1分00秒30と2位で通過する。迎えた決勝では、50メートルを27秒98と目標としていた27秒台でターンする。「力を使い過ぎていて、後半ばててしまったことにつながってしまった」(渡辺)。ストローク数も増えてしまい、予選よりもタイムは縮めたが目標としていた59秒台は出せなかった。59秒台を出した小関也朱篤(ミキハウス)を追い掛けきれず、2位でフィニッシュ。「タイム的にはまったく満足していないというか悔しさしかない」(渡辺)。悔しさの中にも前半の入りという課題を見つけた。最終日の200メートル平泳ぎに向けて調整し、自身の持つ世界記録の更新を狙う。
(記事 杉野利恵、写真 大谷望桜)
結果
◇決勝
男子400メートル個人メドレー
竹内 4分18秒58【5位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分07秒09【3位】
男子100メートル平泳ぎ
渡辺 1分00秒11【2位】
◇B決勝
男子50メートルバタフライ
池江 24秒47【7位】
◇予選
男子50メートルバタフライ
池江 24秒15【9位】
男子400メートル個人メドレー
竹内 4分19秒32【8位】
女子100メートル平泳ぎ
渡部 1分07秒62【2位】
男子100メートル平泳ぎ
渡辺 1分00秒30【2位】
今井流星(スポ1=愛知・豊川) 1分04秒15【50位】
男子1500メートル自由形
寺崎拓海(スポ4=茨城・並木中教校) 15分46秒85【26位】
コメント
決勝進出者
渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)※囲み取材より抜粋
――レースを振り返って、自分の納得するレースはできましたか
(男子)100メートル(平泳ぎ)を中心にずっと練習をしてきたんですけれども、タイム的にはまったく満足していないというか悔しさしかないので、もう少しこうすれば良かったというのはたくさん思うことがあります。でも前半27秒台で入るという課題は達成できているので、リラックスして27秒台で入れればいいレースができるのではないかなと思います。これからレースを見直して、小関さん(也朱篤、ミキハウス)との違いとかも見て、次につながるレースをしたいなと思います。
――具体的なタイムとしてはどのくらいのタイムを目指していたのですか
27秒台で入り、後半31秒5でかえってこれば59秒台を目指していたのですが、前半力を使い過ぎていて、それが後半ばててしまったことにつながっていると思います。リラックスして27秒台で入ることをこれからの課題にしたいと思いますし、最終日の(男子)200メートル平泳ぎまでは中2日あるので、それに合わせて練習をして、200メートル平泳ぎでの自己ベスト更新を目指してやっていきたいと思います。
――オリンピック後、世界新記録も出して注目を浴びるようになってきていると思いますが、そのなかで自分のレースに関係することはありますか
レースに関係というよりは、僕自身目立ちたがり屋というか応援されることがすごくうれしいので、注目されることもうれしいので、いい方向にしか向いてないかなと思います。
――あしたからの意気込みを教えてください。
3日目に200メートル個人メドレーと最終日に200メートル平泳ぎがあるんですけれども、100メートルでは59秒台ですら出せなかったので、200メートル個人メドレーと200メートル平泳ぎでは自己ベストの更新を目指してやっていきますし、200メートルの平泳ぎでは世界選手権につながる試合をやりたいなと思っているので、思いきったレースをして、後半ばててしまったらばててしまったでそれを課題と捉えられるので、課題を見つけるレースをしたいなと思います。
竹内智哉(スポ1=神奈川・湘南工大付)
――決勝のレースを振り返って
ラップタイムまではまだ詳しくわかんないんですけど、ラストのフリーで隣の山梨学院大の選手に競り負けてしまって悔しいです。
――予選から1秒ほどタイムをあげてきていますが
予選は朝で決勝は午後で、体は午後の方が動くんで、予選よりもっと大幅にタイムをあげたかったんですけど、なかなかうまくいかなかったです。
――昨年からの1年で何かプラスになっていることはありますか
大学に入ってまだ間もないですけど、12月に一週間ほど大学の方で練習させていただいてたんですけど、自分のクラブだと自分と競るような選手がなかなかいなくて、自分一人で頑張ることが多かった。しかし、大学だと聖人さん(坂井、スポ4=福岡・柳川)や一平さん(渡辺、スポ3=大分・佐伯鶴城)と練習することで自分より速い人がいるのはとても刺激になりますし、見習うこともあるのでとてもプラスになってると思います。
――あす以降への意気込みをお願いします
あしたも200メートルの自由形があって、それは決勝に残るのは難しいと思うので、B決勝に滑り込めるように頑張っていきたいです。
B決勝進出者
池江毅隼(スポ2=東京・日大豊山)
――きょうのレースを振り返って
予選よりタイムを落としてしまって、残念な気持ちです。
――予選では24秒15というタイムでしたが
大学1年生のときは、1回もベストが出なくて、なかなか思うようなタイムが出ないことが続いてたんですけど、今回大学入って初めてベストタイムが出てすごく嬉しかったです。
――以前のベストタイムからどのくらい更新されましたか
ほんとに0秒0いくつとかなんですけど、例年だと決勝に残れてるようなタイムなので決勝に残れなかったのが悔しかったです。
――今後への意気込みをお願いします
1年間ベストが出なかった分、これから上級生になっていくのでこれからもベストを更新し続けられるように頑張りたいです。
予選後
渡辺一平(スポ3=大分・佐伯鶴城)*囲み取材から抜粋
――予選から小関也朱篤選手(ミキハウス)と競うかたちになりましたが
特に意識というよりかは、見ながらは泳いでいたんですけど、スタートとかターンで離されていたので、ビデオを見直して、どこが違うのかというのを見直したいと思います。
――泳ぎに関しては思い通りにいきましたか
はい。まだビデオを見ていないのでよく分からないんですけど、僕の感覚としてはすごくいい感じに泳げたかなというふうに思うので、ビデオを見直して、ビデオと自分の感覚というのを一致させて決勝頑張りたいと思います。
――前半から積極的に入るというのを課題にしていましたが、その点では今の泳ぎは
気持ち的には前半から行けたと思うので、そういう点では消極的なレースではなかったかなと思っているので、決勝も予選と同じように思い切ったレースをして、後半も粘れるように頑張りたいと思います。
< p class="mt15">渡部香生子(スポ3=東京・武蔵野)※囲み取材より抜粋
――一本泳いでみて感触はどうですか
いい感覚で泳げました。
――自由形をやってきて調子が上がってきたなって感覚はありますか
思うように調子は上がってきてると思います。
――位置付けとしては、自由形や平泳ぎをどのように考えていますか
今回は基本的には1フリ(女子100メートル自由形)に重点を置いて練習とかやってきていた。そんなに力を入れすぎずというかブレ(平泳ぎ)とかで行き詰まっていたところもあったので、ブレをフレッシュな感覚で泳げるようにと思ってます。
――この予選は結構いいタイムで泳げてると思いますが個人での競技への想いはどうですか
やっぱりリレーで代表に入るっていうよりは、個人で出たいって気持ちが正直な気持ちではあるので、まずはきょうのブレをしっかり頑張りたいなと思います。
竹内智哉(スポ1=神奈川・湘南工大付)
――レースを振り返って
横に大也さん(瀬戸、平29スポ卒=現ANA)がいたのが怖いってのもあったんですけど、あまり気にせずに泳ぎました。隣の山梨学院の方が結構いいペースでいたので彼についていく気持ちで頑張りました。
――4分19秒32というタイムについてはどうですか
予選の朝早い時間なので、悪くはないかなと思うんですけど、もっと朝から動けるようになっておけばもっと予選に余裕をもって臨めるかなと思います。
――昨年の日本選手権のこの種目では4位になっていますが
昨年いなかった僕より速い選手がことしはいるので、その中でも上の人たちに負けないようなレースをしたいと思います。
――大学生になって初めての大会となりましたが
今まで団体行動で日本選手権に出たことがなかったので不慣れな部分もあるんですけど、たくさんの仲間が応援してくれるので、それを力に変えて頑張りたいです。
――ワセダでの4年間をどうしていきたいですか
まず大学1年生の日本学生選手権で優勝を目指して、大学2年生、3年生と徐々に海外遠征にも行けるようにどんどんランクアップしていって、大学4年生の時に東京オリンピックがあるのでそこを目指して頑張っていきたいです。
今井流星(スポ1=愛知・豊川)
――きょうのレースを振り返って
大学一発目のレースだったので、ベスト出したいなと思ったんですけど、ちょっとダメでした。わかんないです。
――この大会への意気込み
高校生のときは、目標がインハイで3位とか表彰台に乗るとかだったんですけど、今は明確な目標が見当たらないって感じです。
――ワセダでの4年間をどうしていきたいですか
大学生活は一瞬だと思うんで、一日一日を大切にしていきたいです。