日本選手権から一週間、アリーナ杯東京六大学春季対抗戦が行われた。冬と春の年2回行われる今大会。瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)を初め、リオ五輪代表組も参加しレベルの高い内容となった。「目標は達成できたが悔しい」(田村美紅女子主将、スポ4=埼玉栄)。優勝こそ逃したものの、1年生から4年生までが活躍し男女共に総合2位の結果で終わった。
男子部は瀬戸、上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)、坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)、荒木優介副将(人4=三重・暁)が参加した男子400メートルメドレーリレーで1位となり、幸先の良いスタートで始まる。注目の瀬戸は男子400メートル個人メドレー、男子200メートルバタフライで自身の持つ記録を塗り替える大会新記録をマーク。同じくリオ五輪代表の渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)も男子200メートル平泳ぎで大会新記録を樹立し、「(自己)ベストだったので良かった」と振り返った。取材では応援を含め1年生も加わったチームの雰囲気の良さに触れた上野主将。早大チームのまとまりを評価した。
日本選手権に続き好調をキープする渡辺
女子部はエース渡部香生子(スポ2=東京・武蔵野)が不在の中、「今までの悔しさをぶつけることができた」と田村女子主将を中心に得点を伸ばした。また日本選手権では本来の力を見せられなかった志賀珠理奈(スポ2=埼玉・武南)も女子800メートル自由形で1位、他の種目でも上位に食い込む泳ぎを見せチームに貢献。アリーナ杯東京六大学冬季対抗戦では優勝していただけに最高の結果とは言えなかったものの、新たな課題も見つかるなど収穫は十分だ。
複数種目で好成績を残した田村女子主将
日本選手権直後ということもあり、多くの主力選手が良い状態で臨めた今大会。個々の成長とチーム力向上にもつながる場となった。また在学生、卒業生ともに多数のアリーナ杯東京六大学対抗戦出身者がこの夏世界の舞台へと羽ばたく。閉会式では表彰とともに五輪出場者の壮行会が行われた。今後の日程としては5月にジャパンオープン2016(50メートル)が行われる。「いい流れをつくってリオに臨む」(坂井)。ワセダは注目選手が多いだけに今後のレースにも期待がかかる。
(記事 難波亮誠、写真 平川さつき、井口裕太)
★チャレンジレースで参加標準記録を突破!
今回も全種目終了後にチャレンジレース(※大会の本レースにおいて特定の記録に迫った者に再度記録の突破の機会として与えられるレースのこと)が行われた。来月に控えるジャパンオープン2016の参加標準記録突破を狙う最後の機会。このラストチャンスをものにしたのが高木遼司(スポ3=大阪・生田)と野田飛雄馬(スポ2=茨城・古河一)の二人だ。チームメイトの応援を受けながら泳ぎ、高木は男子100メートル自由形、野田は男子200メートル個人メドレーで参加標準記録を突破した。ジャパンオープン2016ではこの二人の泳ぎにも注目だ。
結果
総合成績
▽男子 2位
▽女子 2位
個人各賞
最優秀選手賞 瀬戸大也
優秀選手賞 渡辺一平
角間杯 坂井聖人
コメント
上野聖人主将(社4=神奈川・法政二)
――総合2位という結果となりましたが全体的に振り返っていかがですか
掲げていた目標は達成できたので良かったのですが、ある程度できて当たり前という最低限の目標でした。それでもひとつのステップとして確実に上っているという点では良かったのかなと思います。
――複数種目に出場されていましたがご自身の泳ぎを振り返って
日本選手権から調子を落としてしまって体力的に苦しかったのですが、リレーを含めると4種目に出ていて、その中で良かったものと悪かったものが半々だったので、まあまあかなと思います。
――1年生が入ってきてチームの雰囲気は変わりましたか
そうですね。1年生は応援などもしっかりしてくれてチームに貢献してくれているなと感じますし、そういう姿を見て先輩たちもしっかりやらなければという感じで、最上級生も含めて行動できているなという部分もあります。1年生が入ってきたことで盛り上がって、すごく良い雰囲気だと思います。
――最後の六大学の試合となりましたね
そうですね。でも終わってしまえば、そうなんだなという感じです。競技中は駆け抜けている感じで特に意識をすることはなくて、普段通りやることをやろうという感じでしたね。
――今後チームとしては早慶定期戦や全日本学生選手権が控えていると思いますがそこに向けての目標などを教えてください
早慶戦は、勝利は絶対しなければいけないと思っています。各々が掲げているタイムや設定したベスト率というのをしっかりと達成して、次のインカレにつなげられる試合にしたいと思います。
田村美紅女子主将(スポ4=埼玉栄)
――2位という結果となりましたが大会全体を振り返って
今回はエースの渡部(香生子、スポ2=東京・武蔵野)が不在ということもあって、またワセダの新入生と他大学の新入生を比べたときに今の現状だと2位というのが目標でした。ですがやはり冬六(東京六大学冬季対抗戦)では優勝を奪還していただけに、目標は達成できたのですが悔しいなというのが正直なところです。私たちの代はもう六大学は終わりなのですが、次の代が優勝を目指して頑張ってくれたらなと思っています。
――今回も数多くのレースに出場されていましたね
そうですね。私自身六大学の試合は7回目となっていて、1年生の頃からたくさんの種目に出ていたので思い出深い試合なのですが、複数種目に出場する中でも一つ一つ目標がありました。その目標が今までは達成できていなくてすごく悔しい思いをしてきたので、今回はそれをぶつけることができたかなと思います。今までの六大学の中できょうが一番まとまった試合ができたかなと自分の中では思っているのですが、それでも1バタ(女子100メートルバタフライ)と1ブレ(女子100メートル平泳ぎ)の二つが今回2位で、一番を取ることができなかったので、そういうところは残り半年で磨いていけるところなのかなと思っています。
――1年生が新しくチームに加入したことで雰囲気などは変わりましたか
そうですね。2年生は3人しかいなかったのですが、ことしは5人も入ってくれたのですごくフレッシュな感じはしますね。元気が良いなと思います。
――早慶戦やインカレでの個人とチームの目標をそれぞれ教えてください
早慶戦のチームの目標に関しては、男女共ベスト率50パーセント以上を目指しています。早慶戦はずっと連勝しているので勝つことを前提として、そこでインカレにつながる早稲田基準の締め切りが近づいてきているので、一丸となって少しでもインカレのレギュラーをとれるようにしていきたいです。個人としては、今はまだ出る種目を迷っているのですが、100メートルのバタフライは確定しているので59秒台を狙っていきたいと思っています。残りは200(メートル)のバタフライか個人メドレーだと思うのですが、9月まで残り少ないのでそれなりのタイムを出して泳ぎたいなと思っています。またリレーがあるので、チームを引っ張っていけるような先輩でありたいなと思っています。インカレのチームの目標に関しては、8位までのシード権を死守というところです。今、VS筑波大、法大、明大、日大の4つと戦っている状態です。今回の日本選手権の結果を作成したときに、リレー抜きでワセダは9番でした。この9番という結果を受け止めて、ここからどう順位を上げていくかということについてこれから対策を練っていきたいと思っています。あとワセダはリレーが強いので、リレーでは表彰台を必ず狙いたいです。女子部の課題としては、出場する選手が現段階で非常に少ないので、一人でも多く早稲田基準を突破できる選手を出すことだと思います。個人としては、1バタに関しては本当に表彰台を狙っています。今まで3歳から水泳をやってきて、スポーツ推薦で入学させてもらってから個人で大した成績を残せていないので、恩返しができるようなシーズンにしたいと思っています。また残りの種目は迷っているのですが、200メートルのバタフライかなと考えていて、この種目に関してもしっかりと決勝に残って点数を取っていきたいと思います。リレーに関してはおそらく全部出ると思うので、やはり後輩を安心させてあげられるような先輩になりたいと思っています。
瀬戸大也(スポ4=埼玉栄)
――ご自身にとって今大会の位置づけは
日本選手権が終わってから、試合数が五輪までにそんなに多くないので、選考会から一週間でしたが集中して少しでも全力で泳ごうと思っていました。冬の六大学対抗戦よりもタイムは上げられていますし、余力もありレース感覚は日本選手権後というのもあって上がっているという印象でした。
――きょうは五輪に合わせての種目で出場をしたのでしょうか
いえ、選考会前に種目は決めていました。ちょうどこれが代表種目でしたので良かったです。レースするごとに調子も上がってきているのでこのまま引き続き上げていきたいです。
――きょうの結果に関してはいかがですか
今までの六大学の中では一番良かったです。自分の中では納得するレースができたかなと思います。大会新の二種目とメドレーリレーでベストが出せたのですごく良かったです。
――長水路と短水路どちらが得意ですか
短水路の方が日本新記録など持っているので得意かなと思います。
――ターンしてからの潜水時間は他の選手よりも長く見えました
そうですね、そこはまだまだ強化できるところかなと思います。練習中からしっかり、潜るところは潜ってというのを意識してやっていけたらなと思います。
――ワセダとして泳ぐのはこれが五輪前最後ですか
出られるかわかりませんが早慶戦もありますし、インカレ(全日本学生選手権)もあるので、最上級生としてベストを出したり大会新を出したり皆を引っ張っていく立場はクリアできていると思っています。引き続きインカレでも下級生を引っ張って、流れをつくりたいです。
――代表合宿については
あの日本選手権の結果ではまだまだというのもわかったので、合宿でなくても一日一日の練習を大切にやっていきます。
――現役の早大水泳部からは4人の五輪出場選手が出ました
在学中の学生が4人、プラスOB、OGも含めワセダから出ていてとても誇りに思います。出るだけではなく、ワセダの水泳部に初の金メダルを持って帰ってきたいです
――身近なところでの目標は
一番近い大会だとジャパンオープンがあるので、そこで日本選手権よりもタイムを上げていけたらいいと思います。
坂井聖人(スポ3=福岡・柳川)
――きょうはどんな目標を持って試合に臨みましたか
種目数が多かったので、練習の一環としていろんな種目を泳いで持久力をつけられたらなと思っていました。また多数の種目に挑戦しようと思って、たくさんエントリーしました。
――100メートル、200メートル、それぞれのバタフライの調子はいかがですか
毎回東京六大学春季対抗戦で自分の種目のバタフライがうまくいかなかったのですが、100メートルでは1秒5のベストが出たので、それは良かったかなと思います。でも200メートルがちょっと課題の残るレースになってしまったので、まだまだですね。
―その課題とは何でしょうか―
その前に三種目泳いでいたので、疲れが残っている状態で臨んだのですが、スピードが出ていなくて後半もバテていたので、完全に練習不足だなという感じがしました。
――東京六大学冬季対抗戦で背泳ぎに出ていた時はドルフィンキックの強化を課題とされていました。今回の背泳ぎのエントリーも練習の一環としてということですか
そうですね。その一環としてです。
――多くの種目に出場されハードだったと思いますが、最後は自由形1500メートルにも出ていました
1500メートルは本当に練習の一環ですね。肺活量を鍛えるのときつくなった状態で足を入れて、とにかく持久力の強化でやりました。
――ジャパンオープンへの意気込みを教えてください
日本選手権の200メートルバタフライで僕が狙っていたタイムを出せなくて、53秒を狙っていたのですが54秒21かかってしまいました。そこで調子はそんなに上がってこないと思いますけど、ジャパンオープンで53秒台を出していい流れを作って、リオのオリンピックに臨めたらいいのではないかなと思っています。
――オリンピックに向けてこれから合宿などは行われるのでしょうか
6月の後半くらいに高地合宿に行く予定ですが、まだ場所は決まっていないです。あとはオリンピック代表の2次合宿、3次合宿がもう少しであります。
渡辺一平(スポ2=大分・佐伯鶴城)
――きょうのレースはどのような位置付けでしたか
選考会(日本選手権)からまだ1週間しかたっていなくて、調子がいいことは分かっていたので、自己ベストを更新しようということで臨みました。
――平泳ぎの収穫を挙げるならばどのあたりですか
100(メートル)はベストタイぐらいですけど、高校3年のときから出ていなかったタイムのベストタイでした。50(メートル)と200(メートル)はベストなので、いいレースだったと思います。
――男子100メートル個人メドレーにも出場されました
100メートル個人メドレーはあまりうまくいきませんでした。そのあとの男子400メートルフリーリレーでは2泳を泳がせていただいて、いいタイムで来ることができたと思います。ジャパンオープンでは100メートル自由形も出るので、いいタイムを狙っていきたいと思います。
――日本代表の1次合宿はいかがでしたか
楽しかったです。みんなの交流が深まるというのもありました。来週以降2次合宿も始まります。ここからは本格的な強化になっていくと思いますけど、みんなでリオ(五輪)を成功させたいと思います。
――これから五輪までのスケジュールはどのようになりますか
2次合宿が来週くらいから2週間ほどあります。6月中旬くらいから高地合宿に行って、そのままリオ入りになると思います。
――最後にジャパンオープンに向けて抱負をお願いします
チームジャパンとして出場する試合なので、みっともないレースはできないと思います。100、200メートルの平泳ぎと100メートル自由形に出場しますが、200メートル平泳ぎでは自己ベストの更新を目標にしています。100メートル平泳ぎではスタンダードAという記録を切らないと五輪には出場できないので、何としてでも切って100メートル(平泳ぎ)でも(五輪に)出られるように頑張りたいと思います。